2015年10月1日平成27年第283回定例会(第4号)

一般質問

◯二十四番(安藤晴美)

日本共産党の安藤晴美です。
通告に従い、今期初の一般質問を行います。

第1の質問は、知事の政治姿勢について。平和安全法制関連二法についてです。
安倍自公政権は、9月19日、安保法制いわゆる戦争法の採決を強行しました。私たちは、空前の規模で広がった国民の運動と6割を超す今国会での成立に反対という国民の世論に背いて憲法違反の戦争法を強行した安倍自公政権に対して満身の怒りを込めて抗議します。
この間、国民一人一人が主権者として自覚的、自発的に声を上げ、立ち上がるという、戦後かつてない新しい国民運動が広がり、その中で、とりわけ若者たちがすばらしい役割を発揮していることは日本の未来にとって大きな希望です。
何よりも戦争法は、日本国憲法に真っ向から背く違憲立法です。戦争法に盛り込まれた戦闘地域での兵たん、戦乱が続く地域での治安活動、米軍防護の武器使用、そして集団的自衛権行使、そのどれもが、憲法九条をじゅうりんして自衛隊の海外での武力行使に道を開くものとなっています。
戦争法に対して圧倒的多数の憲法学者、歴代の内閣法制局長官、元最高裁判所長官を含むかつてない人々から憲法違反という批判が集中しています。このような重大な違憲立法の存続を許すならば、立憲主義、民主主義、法の支配という我が国の存立の土台が根底から覆されることになりかねません。
そこで、集団的自衛権行使の容認という国の防衛のあり方を大きく変える重要案件を、政府は憲法第九条の解釈改憲によって、多数の反対意見と今国会での成立に反対という国民の世論に背いて平和安全法制関連二法として成立させたことに対する知事の見解をお伺いします。

次は、TPP協定についてです。
7月28日から31日までハワイで開かれていたTPP閣僚会合は、大筋合意というフィクションをでっち上げることに失敗し、次回会合の予定を決めることもできないままで終わりました。
TPPは、単なる貿易協定ではなく、アメリカのルールをアジア太平洋地域に押しつけ、参加国の国家主権を侵害し、国民の生活を悪化させるものです。ハワイ閣僚会合での安倍政権の交渉姿勢は史上最悪であり、国会決議を全く無視して日本の農業をアメリカに売り渡すもので、アメリカ米の輸入枠の拡大、牛肉、豚肉の関税大幅引き下げ、乳製品の輸入枠拡大に加えて、小麦、砂糖の輸入拡大措置の検討や鶏肉関税引き下げなど、農産物市場を開放し、日本の農業と経済主権をアメリカに売り渡すものと言えます。
そこで、TPP協定は本県の産業や暮らしに強く影響を及ぼすものであるので、国に対してTPP脱退の働きかけをすべきと考えますが、知事の考えを伺います。

次は、原子力政策についてです。
経済産業省が7月に、エネルギー基本計画を踏まえ、中長期的な視点から、2030年度のエネルギー需給構造の見通しとして長期需給見通しを決め、2030年電源構成で原発比率を原発20から22%とすることを示しました。
6月10日の衆議院経済産業委員会での宮沢洋一経済産業相は、原発比率20から22%を達成するには、30基半ばの原発が稼働していることが必要と答弁しました。30基半ばを確保するには、福島第二原発4基分に加え、特例60年運転の老朽原発10基前後、新増設3基が必要となる計算となります。エネルギー基本計画では、原子力発電について、いかなる事情よりも安全性を全てに優先させると書かれています。しかし、原発が存在する限り、特に日本のように火山がたくさんある巨大地震国で安全性を完全に保証できる条件はありません。原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められたとしても、100%確実に安全性が確保できるか、誰も保証できません。高レベル放射性廃棄物の最終処分についての解決の方向性も全く見出せていません。エネルギー基本計画で安全性を前提にすると言っている以上、原発再稼働も四十年以上の古い原発を動かすことも認めるべきではありません。
エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーはコストが高く、出力変動要因などとしてピーク時における電力として軽視され、22から24%の導入とされています。ドイツ、デンマーク、スペインで行われているように、再生可能エネルギー電力を優先利用することは可能とされています。実際に、既に電力のコントロール技術を駆使して実施しています。和田武元立命館大学教授は、日本でも再生可能エネルギーを最優先すべき電力として利用し、そして足りない部分を火力などで運用することは可能と述べています。
そこで、国の長期エネルギー需給見通しは、原子力発電へ依存することを前提とし、再生可能エネルギーの導入拡大に消極的であると思うが、知事はどのように受けとめているのかお伺いします。
原子力発電所の再稼働への反対意見が多数ある中で、九州電力が8月11日に鹿児島県薩摩川内市にある川内原発一号機の原子炉を起動し、再稼働させました。一昨年9月に最後の関西電力大飯原発が停止して以来初めてとなります。安倍晋三政権は、再稼働を事業者の判断だと言いますが、福島原発事故も収束しない中での再稼働は政権の判断で推進したものであり、責任重大です。川内原発の地元でも、運転再開への不安と批判が渦巻いていました。再稼働しても、規制委員会の審査で不十分さが浮き彫りになった火山噴火への対策や、地元自治体に丸投げした事故の際の避難計画など、問題は山積みしています。
そこで、原子力発電所の再稼働への反対意見が多数ある中で九州電力株式会社の川内原子力発電所が再稼働したことについて県の見解をお伺いします。

第2の質問は、原子力施設での事故案件についてです。
日本原燃は、六ヶ所再処理工場で機器の故障が相次いだ原因は落雷によって異常な電流が流れた可能性が高いとする経過報告書を8月11日に原子力規制委員会と県、六ヶ所村に提出しました。それによると、8月2日に再処理工場で高レベル放射性廃液の漏れを検知する装置など二十九の機器が故障し、このうち15の機器が安全上重要な機器であり、原因は敷地内であった落雷で、ケーブルを通す地下道を通じて異常な電流が流れ、故障した可能性があるとしています。8月19日に開催された原子力規制委員会において、この事象は重要な事案と考えられることから、原因究明及び再発防止対策において適合性審査の中で確認していくという発言がなされました。
そこで、本年8月、六ヶ所再処理工場において発生した雷が原因と考えられる安全上重要な機器の故障について、重要な事案であるとして原子力規制委員会が新規制基準適合性審査で確認していくとしたことについて県の見解をお伺いします。
六ヶ所再処理工場で発生した安全上重要な機器の故障は、他の県内原子力施設でも発生する可能性があり、県はそれらの施設の安全確保を求めるべきと考えますが、県の見解をお伺いします。

第3の質問は、障害者差別の解消に向けた取り組みについてです。
障害者権利条約が2006年12月13日、国連で採択され、2008年5月に発効しました。日本は、批准とその実現に向けて、改正障害者基本法を2011年7月、国会が認め、8月施行、2013年、障害者差別解消法成立を経て、2013年12月3日に国会が障害者権利条約の批准を承認し、世界で141番目の締約国となりました。障害者権利条約は、あらゆる障害者の尊厳と権利を保障するための条約であり、締約国は障害のある人の人権と基本的自由の実現と促進のため効果的な政策を実施することを求めています。
こうした動きの中、2006年10月、千葉県で障害者差別禁止条例が県議会全会一致で可決されたのを皮切りに、北海道、岩手県、熊本県など11県3市に障害のある人もともに暮らしやすい条例が制定され、障害を理由とした、あるいは障害に関連することを理由とした差別をなくしていくことを目的とした条例づくりが進められています。
そこで、障害者基本法や障害者差別解消法の成立、障害者権利に関する条約の批准を受け、障害のある人に対する差別をなくすため、本県における障害者差別禁止条例を制定すべきと考えますが、県の見解をお伺いします。
障害を理由とする差別の解消を推進することにより、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指し、障害者差別解消法が平成25年6月26日に公布され、平成28年4月1日に施行されます。この法律は、国が基本方針を作成し、行政機関等ごと、分野ごとに障害を理由とする差別の具体的内容等を示す対応要領、対応指針を作成することとされています。
そこで、平成28年4月1日の障害者差別解消法の施行に当たり、県ではどのように取り組んでいくのかお伺いします。

第4の質問は、子どもの権利条例の制定についてです。
昨年は、国連で子どもの権利条約が採択され25年目を迎え、日本がこの条約を批准して20周年の節目の年でありました。子どもの権利条約の子供観の基本原則は、子供を一人の人間、人格として認め、子供の最善の利益を保障するということ、すなわち、子供にとって一番いいことを考え合うということです。今、子どもの権利条約の理念に基づき、子供にとって大切な権利の保障を図ることを目標として、各自治体が子どもの権利条例を制定する自治体が2012年6月現在で19道府県6区63市十五町村に上ります。お膝元の青森市でも平成24年12月25日に制定しています。その制定理由について、日本では、依然として家庭における虐待や学校等におけるいじめが社会問題となっています。青森市民意識調査に、16歳以上の青森市民8割近くが子どもの権利条約の存在を知らない状況でした。このような状況の中で、本市における子どもの権利について明言化を図るために制定したと説明しています。
そこで、子供の権利を再認識し、子どもの権利条約の趣旨を普及するため、県は子どもの権利条例を制定すべきと考えますが、県の見解をお伺いします。

第5の質問は、性的マイノリティーへの取り組みについてです。
日本には、人口の4から10%に当たる性的マイノリティーの方々が暮らしています。性的マイノリティーとは、体の性と心の性が異なる人、同性愛者、両性愛者など、社会的には少数派の人たちを言います。こういう方々が約20人に一人暮らしているということは、知らず知らずのうちに学校や職場の仲間として、家族としてともに暮らしていることを示しています。しかし、今も多くの人が自分とは縁遠い人と感じていることもあり、当事者は偏見や差別の壁に苦しんでいます。
私自身、性的マイノリティーの人たちの存在を意識したことはありませんでした。しかし、約半年前、20歳の当事者の方から真剣に悩んでいることを告白され、医療や相談窓口についての率直な声をお聞きしました。その後、青森市の当事者支援団体があり、全国各地で研修会の講師をされていること、国の事業として、現在、24時間、当事者からの相談も受け付ける活動をされていることを知り、お話を聞く機会を得てきました。
差別や暴力、偏見に悩み、多くの人と違うことで受けているいじめや排除、体の性と心の性が一致しない場合は、二次性徴による体の変化に苦しみ、自傷、自殺未遂にまで至るケースも少なくないと言われます。こうした中で、文部科学省は、ことし4月30日、同性愛や性同一性障害などを含む性的マイノリティーの子供について配慮を求める通知を全国の国公私立の小、中、高校などに出しました。
そこで、公立学校における性同一性障害児童生徒への対応について、二点質問いたします。

平成27年4月30日付文部科学省の通知の内容について。
文部科学省通知を受けての県教育委員会の対応についてお伺いします。
性別違和のある方が心の性の体つきに近づくためのホルモン治療は、医療的な診断がなければ受けることはできません。また、性別適合手術となれば全国でも限られた病院の対応となり、本県には対応できる病院がないと聞いております。
そこで、県立中央病院及び県立つくしが丘病院において性同一性障害に悩む人が受診した場合、どのような診断及び治療を行うのかお伺いします。
厚生労働省の調査によると、ゲイ、バイセクシュアル男性のおよそ半数がいじめを経験。また、ある調査では、性同一性障害で診療を受けた患者のおよそ6割が自殺を考えた経験があり、そのピークは中学時代であり、子供時代の否定的な経験は大人になってからの生活、また自己肯定感の形成にも深刻な影響を与えていると言われています。国も、こうした現状を受けとめ、内閣府の自殺総合対策大綱に性的マイノリティーへの対策が必要と初めて明記されました。
そこで、性同一性障害で精神的な悩みを抱えている人に対し、県ではどのような機関で相談対応しているのかお伺いします。

第6の質問は、教員の精神性疾患の現状と改善に向けた取り組みについてです。
教員の精神性疾患の要因の一つである過酷な勤務状況の改善が図られているのか、教育委員会がどれだけ真剣に取り組んできたのかが問われています。多忙化解消検討委員会が設置されたことは一歩前進だと受けとめています。しかし、この委員会に報告された県内の小、中、高校などの教職員の勤務実態によれば、時間外勤務は、中学校で平日1日当たり3時間15分、休日でも3時間を超えることが明らかになり、県高等学校・障害児学校教職員組合書記長の酒田孝委員によれば、1カ月の残業時間が平均で85時間6分となり、過労死の危険ライン80時間を超えていることが示されています。このような状況の中、青森県の教育職員の現職死は、平成20年度から7年間で71人、うち自殺者は7人と深刻な事態です。
そこで、2点質問いたします。
本県公立学校教員における休職者と、そのうち精神性疾患によるものの人数について。
教員の精神性疾患の要因の一つに教員の多忙があると考えますが、教員の多忙化を解消し、精神性疾患を予防するために県教育委員会としてどのように取り組んでいるのかお伺いします。

第7の質問は、少人数学級のさらなる推進についてです。
一クラスの子供の人数を減らし、行き届いた教育を保障する少人数学級の推進は保護者、教育関係者の切実な願いです。特に、近年の貧困と格差の広がりなど、さまざまな要因で手厚い対応が必要な子供がふえ、現行の1クラス40人では学級運営が大変なことは誰もが認めることです。2011年に法律が改正され、小学校1年生について31年ぶりに基準が引き下げられ、35人以下になりました。しかし、2012年末に発足した安倍政権は、2学年からの35人学級をやめてしまいました。さらに、財政制度等審議会は、ことし6月に出した建議で、35人学級は教育的効果がないと、40人学級に戻せと求めました。これに対し、日本PTA全国協議会が反対の声を上げ、文科省も、きめ細かい対応がこれまで以上に必要だと反論しました。にもかかわらず、今回の予算概算要求で少人数学級の推進を盛り込まなかったのは、財務省財政審の圧力によるものであるにせよ、許されません。国がこのような状況でありながらも、青森県が本年度から少人数学級を4年生まで拡充したことは、大いに評価に値するものと思います。
そこで、少人数学級編成を今後他の学年に拡充すべきと思いますが、県教育委員会ではどのように考えているのかお伺いします。

第8の質問は、学校図書館の充実についてです。
昨年、学校図書館法の一部改正が行われ、4月に施行されました。改正法の趣旨には、学校教育において、児童生徒の確かな学力の育成には、言語活動や探究的な学習の充実が必要であり、同時に、読書活動等を通じて児童生徒の豊かな人間性を形成していくことが求められていると明記され、利用の一層の促進のために、司書教諭と連携しながら、学校図書館の事務に従事する学校司書として位置づけ、学校に置くよう努めることとされました。地元紙に、学校司書本県最下位、高校は全国唯一ゼ口と大きな見出しで報じられました。今後の取り組みの充実を願い、次の3点について質問します。
本県の公立小・中学校における学校図書館図書標準の達成状況について。
本県の公立小・中学・高等学校における学校図書館担当職員いわゆる学校司書の配置状況について。
学校図書館の充実を図るためには、いわゆる学校司書の配置充実が必要と考えるが、県教育委員会では今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。

第9の質問は、旧尾太鉱山木戸ヶ沢廃水処理施設における未処理廃水の流出についてです。
新設される津軽ダムの真横に存在する旧尾太鉱山木戸ヶ沢廃水処理施設は、整備された縁切りダムによって遮断されているものの、未処理排水の流出は岩木川に流れ、弘前市民の飲み水に影響するため、事故を防止する厳重な対策が求められます。しかし、平成24年と25年の雪解け時期に続けて事故が発生し、対応策も講じられたものと思っていただけに、今回の事故は改めて住民の不安を大きくしています。
そこで、2点質問します。
本年4月6日から9日にかけて発生した未処理廃水の流出原因と流出時に講じた対応について、再発防止に向けた取り組みについてお伺いします。

第10の質問は、植栽140周年を迎えた本県リンゴの生産振興についてです。
青森県のリンゴ栽培が今年140周年を迎えました。明治8年4月に、青森県庁の前庭にリンゴの苗木が3本植えられたのが最初というお話を聞き、何とも感慨深いものを感じます。台風による大量落果や霜、ひょう、大雪などの災害に直面しながらも、血のにじむような努力を重ね、基幹産業として育て上げてきた生産者、関係者の皆さんに敬意を表したいと思います。
しかしながら、今後の一層のリンゴ産業の発展にとって克服すべき課題も横たわっているのも事実であります。特に、後継者不足とそのことによる放任園の問題は深刻です。また、生産者からふじにかわる新品種への期待の声が寄せられています。

そこで、3点の質問をいたします。
リンゴ産地の労働力不足への対応について県ではどのように取り組んでいくのか。
リンゴの放任園対策について県はどのように取り組んでいくのか。
県産業技術センターりんご研究所での新品種開発の取り組みについてお伺いし、壇上からの一般質問を終わります。

◯知事(三村申吾) 安藤議員にお答えします。

まず、私からは、第1点目の平和安全法制関連二法として成立させたことに対する見解でございます。
この法律につきましては、我が日本国の安全保障の根幹にかかわる非常に重要な問題でありますことから、憲法にかかわる部分も含め、国政の場において十分に議論を尽くし、広く国民の理解を得ながら進めていくことが重要であると、これまで申し上げてきたところであります。今般、法案に対するさまざまな意見や世論がある中で、国民の代表である国会での審議を経て成立に至ったわけでありますので、今後、政府においては、国民の理解をさらに深められるよう、より丁寧な説明に努めていただきたいと考えているところでございます。

TPP協定についてでございます。
TPP協定は、私ども青森県の基幹産業でございます農林水産業のみならず、国民生活や経済活動など幅広い分野に大きな影響を及ぼすことが懸念されております。このため、私は、当初から交渉参加に反対の立場を貫いております。去る8月11日にも、内閣官房及び農林水産省に対し、衆参両院農林水産委員会決議の遵守及び農林水産分野における重要品目の関税維持などについて緊急要請を行ってきたところであります。
TPP協定交渉は、アメリカ合衆国において現在閣僚会合が行われている状況というふうに伺っておりますが、国からは、交渉に関する詳細な情報の提供が依然として行われていない状況にございます。
私としては、ふるさと青森県の生業(なりわい)と生活を守るため、国において国民への十分な情報提供と説明を行うとともに、我が国の基幹産業であります農林水産業の将来にわたる持続的発展が図られるよう、国に対し、断固たる対応を引き続き強く求めていきたいと考えているところでございます。
国の長期エネルギー需給見通しに対しての受けとめでございます。
私はかねてより、我が国のエネルギー政策においては、国家安全保障、地球温暖化への対応、国民生活と産業経済の維持発展等のさまざまな観点から、エネルギーのベストミックスを図り、状況に応じてより望ましいエネルギー需給構造を目指すべきと申し上げてきたところであります。
国の長期エネルギー需給見通しにつきましては、エネルギー政策の基本的視点であります安全性、安定供給、経済効率性及び環境適合のいわゆる3E+Sの視点から、それぞれのエネルギー源のメリットを生かしたバランスのある姿を目指したものと受けとめているところでございます。
私からは以上です。

◯病院事業管理者(吉田茂昭)

県立中央病院及び県立つくしが丘病院において性同一性障害に悩む方が受診した場合、どのような診断、治療を行うのかについてでございます。
まず、性同一性障害とは、体の性と心の性が一致していない障害であり、患者数は、厚生労働省などの資料によりますと、男性で3万人に1人、女性で10万人に1人の割合で存在すると言われておりまして、青森県では約30人程度と推測されます。
我が国において、性同一性障害に関する専門的知識を有する医師や、ホルモン療法を初め、外科治療を含む専門的治療を行うことができる医療機関は極めて限られております。
現在、県立中央病院及び県立つくしが丘病院では性同一性障害に関する専門的治療は行っておりませんが、精神科医師による問診の結果、性同一性障害に起因すると思われる鬱症状や適応障害などの精神症状で受診したケースが年間2ないし3例くらいあり、それぞれの症状に応じた精神科的治療や対応を行っているところでございます。
また、患者さんが確定診断や専門的治療を希望される場合は、性同一性障害に関する症例を豊富に扱っている埼玉医科大学などの医療機関を紹介することになります。
以上でございます。

◯環境生活部長(林 哲夫)

2点お答えいたします。
再処理工場における機器の故障の関係についてでございます。
8月11日に日本原燃株式会社が原子力規制庁に提出した経過報告によりますと、事象の発生当時、六ヶ所地域では多数の落雷が発生していたこと、伝送系の機器に故障が確認されていること、複数の機器で同時に故障が発生していることから、落雷の影響により障害が発生した可能性が高いとしております。
また、8月19日の原子力規制委員会におきまして、原子力規制庁は、本事象は共通要因故障によって多数の安全上重要な施設が機能喪失した重要な事案と考え、原因究明及び再発防止対策について新規制基準の適合性審査の中で確認していくとしております。これを受けまして、日本原燃株式会社は、8月31日の審査会合におきまして、原因調査及び再発防止対策の確立に当たっては、専門家の知見や助言を取り入れるとともに、落雷による設備影響に係る経験を有する外部機関等の協力を得ながら有効な対策を講じていくとしております。
県といたしましては、日本原燃株式会社に対し原因の究明と再発防止への対応について報告を求めているところでございまして、本事案に対する事業者及び国の対応を注視してまいります。

次に、こういった機器の故障が他の県内原子力施設でも発生する可能性があるのではないかという部分についてでございます。
日本原燃株式会社では、故障の原因は落雷である可能性が高いとして現在調査を進めているところでございます。
また、新規制基準におきましては、原子力発電所や再処理施設について、台風を中心とした風、竜巻、落雷、火山等の白然現象が発生した場合において施設の安全性を確保するために必要な機能が損なわれないことを求めているところでございまして、事業者が講じる対策について適合性審査の中で確認されることとなります。
県といたしましては、日本原燃株式会社が今回の事象について原因の究明を行い、再発防止対策に万全を期すとともに、得られた知見につきましては他の施設にも生かすことが重要と認識しているところであり、事業者及び国の対応を注視してまいります。

◯健康福祉部長(一戸和成)

御質問四点にお答えいたします。
まずは、障害者差別禁止条例の制定についての考え方でございます。
障害者の権利擁護については、平成23年の障害者基本法の改正の中で、障害を理由とする差別の禁止が新たに規定され、青森県でも改正障害者基本法の理念を踏まえ、平成25年3月に第三次青森県障害者計画を策定し、障害者への理解の促進による共生社会づくりを推進しています。

また、来年4月1日に施行される障害者差別解消法では、行政機関や民間事業者における障害を理由とする差別的取り扱いの禁止や合理的配慮の提供が規定されており、行政機関における相談体制の整備や普及啓発など、差別を解消するための支援措置についても定めております。
全国では、障害者差別の解消を図るための条例を制定している県もありますが、これらの条例は、障害者差別解消法成立以前または成立前後に制定しており、その内容は法と同じ趣旨であることから、本県では、来年4月に施行される法律の枠組みの中で障害者に対する差別のない社会づくりを進めていきたいと考えております。

次に、来年の障害者差別解消法施行に当たる県の取り組みについてです。
障害者差別解消法では、行政機関の職員が障害を理由とする差別の禁止に関して適切に対応するための要領の制定のほか、障害者差別に関する相談体制の整備や障害者差別を解消するための啓発、関係機関により組織される地域協議会の設置について定められております。
これらの規定に関して、県では、法の趣旨を踏まえ、現在、対応を検討しているところでございます。

次に、子どもの権利条例の制定についてでございます。
児童の権利に関する条約は、平成元年に第44回国連総会において採択され、日本では平成6年に批准しました。この条約は、国際人権規約で定められている権利を子供について広範に規定するとともに、子供の生存、発達、保護、参加という包括的な権利を実現、確保するために必要となる具体的な事項を規定しているものです。
平成27年3月に県が策定した次世代育成支援計画のびのびあおもり子育てプラン(前期計画)の基本理念は、「子どもとともに、親とともに、地域とともに育ち合い、一人ひとりが安心と幸せを実感し、結婚・妊娠・出産・子育てに希望と喜びを持てるふるさと青森県をめざします」としております。
この基本理念の説明の中で、「子どもは、大人と同じ一個の人格を持った人間であり、自由と権利を有し、社会参画の機会を与えられる「権利の主体」です。子どもと親と地域が共に育ち、支え合う社会には、子どもの主体性を認め、権利や利益を尊重し、成長・発達の可能性が最大限発揮されるよう、一人ひとりのニーズに応じて、必要な支援を活用できることが大切です。」としており、この考え方は、子どもの権利条約の趣旨を踏まえたものとなっております。
県としては、さまざまな機会を通じて、計画が目指す基本理念の普及啓発を図り、施策を展開する中で子どもの権利条約の趣旨の普及に努めてまいります。

最後に、性同一性障害などで精神的な悩みを抱えている方の相談対応についてです。
性的マイノリティーと言われている方の中でも、性同一性障害などの精神疾患によって悩みを抱えている方については、各保健所や県立精神保健福祉センターで実施している精神保健福祉相談において相談対応しているところであり、必要に応じ精神科医療機関の紹介などを行っております。
以上です。

◯商工労働部長(八桁幸男)

旧尾太鉱山木戸ヶ沢廃水処理施設における未処理廃水の流出について、2点の御質問にお答えいたします。
初めに、本年4月6日から9日にかけて発生した未処理廃水の流出原因と流出時に講じた対応についてです。
西目屋村にある旧尾太鉱山は、鉱業権者が現存しないため、県が実施主体となり、旧鉱山の採掘現場付近で発生する坑廃水を処理する本山処理施設と、採掘の過程で生じる鉱滓等を搬入した堆積場から発生する廃水を処理する木戸ヶ沢処理施設の2カ所で、法令等で定める水質基準以下まで重金属などの濃度を下げる坑廃水処理事業を実施しております。
今回の木戸ヶ沢処理施設における一部未処理廃水の流出は、去る4月3日に発生した記録的な大雨とその前後において気温が比較的高く推移したことなどが相まって発生した大量の雪解け水が時間の経過とともに木戸ヶ沢堆積場の地中に浸透し、処理能力を超える量の廃水が集水施設へ流入したために起こったものと考えております。
県では、4月6日に坑廃水処理事業を委託している事業所から、集水施設から処理すべき廃水の一部が流出している旨の報告を受け、直ちに県職員二名を現場に派遣し、流出状況や施設の稼働状況を直接確認するとともに、国、関係自治体及び庁内各関係機関へ流出状況等を報告したところです。

また、集水施設からあふれた未処理廃水が流入した水路において、流出が確認された4月6日から流出の停止が確認された4月9日まで、計12回の水質検査を行い、いずれも水質汚濁防止法等で定める排水基準値内であることを確認しております。
次に、再発防止に向けた取り組みについてです。
今回の未処理廃水の流出は、集水施設から処理施設までの送水能力を超える量の廃水が集水施設に流入したことが原因と考えられることから、県では、地方自治体へ鉱害防止の技術支援を行っている独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構の助言も得た上で、国に対し、今年度の補助対象事業として送水能力向上のための送水管増設工事を認めていただきたい旨、緊急要望したところです。
その結果、国から今年度の補助事業として送水管増設工事を認めていただいたことから、来年春の雪解けに間に合うよう、今年中に工事を完了させる予定です。
県としては、今後とも、地域住民の健康保護や生活環境の保全の観点から、緊張感を持って坑廃水処理を初めとする鉱害防止事業に取り組んでまいります。
以上です。

◯農林水産部長(成田 博)

植栽140周年を迎えた本県リンゴの生産振興についてお答えします。
最初に、リンゴ産地の労働力不足への対応についての取り組みについてです。
植栽140周年を迎えた本県のリンゴ産地は、他の主産県に比較して栽培面積の減少割合が少なく、生産量を維持しているものの、高齢化や労働力不足が進む中にあって、農業経営の基盤となる担い手不足や、本県の強みである周年出荷体制に欠かせない有袋栽培の減少、オペレーター不足による共同防除組織の弱体化などの課題が顕著になってきています。
このため、県では、現在策定を進めている青森県果樹農業振興計画の中で労働力不足対策を重点的に検討する課題として位置づけ、今後10年間の取り組み方向を定めることとしています。
具体的な取り組み方向として、次世代への技術継承による担い手の育成や技術研修等による補助労働力の確保のほか、地域の核となる共同防除組織の合併再編による効率化などを進めていきます。また、省力化に向けた矮化樹への改植を進めるとともに、加工仕向け栽培を経営に取り入れることを促すほか、ICTやロボット技術などの導入についても対応を検討していくこととしています。

次に、リンゴの放任園対策についての取り組みです。
県では、リンゴ放任園が腐乱病など病害虫の感染源となり、周辺のリンゴ園はもとより、本県のリンゴ生産に影響を及ぼすことが懸念されることから、放任園の解消に向けて、市町村が行う伐採などの処理や、発生防止対策活動に対して支援するりんご放任園発生防止等対策事業を実施してきました。
今後とも、日本一のリンゴ産地を守っていくためには、現在あるリンゴ園を維持し、栽培面積を減少させないことが重要であると考えています。
このため、県では、放任園の発生防止に向けて、引き続き腐乱病等の発生状況の一斉点検を市町村、農協等と連携して行っていきます。また、県、市町村、農業団体などで構成する各地域の果樹産地協議会が主体となって、国の事業を活用しながら、伐採跡地への新植や規模拡大につながる優良品種への改植等による園地再生を進めていくとともに、希望する担い手へ園地を引き継ぐ仕組みづくりについても取り組んでいきます。

最後に、県産業技術センターりんご研究所での新品種開発の取り組みについてです。
県産業技術センターりんご研究所における新品種の開発に当たっては、交配試験の確実性向上と能率化を図るため、有望な組み合わせの個体数を多くし、よい品種が出る確率を上げるほか、育種目標の設定の段階から関係者の意見を反映させて試験研究に取り組んでいます。
平成24年度に設定した育種目標については、貯蔵力のある収穫時期の遅い晩生良食味品種の開発及び病害抵抗性品種の食味及び貯蔵性の向上とし、現在、晩生で貯蔵性にすぐれた品種の開発に取り組んでいるところです。
品種開発の決め手となる選抜試験においては、効率向上とスピード化を図るため、多くの系統が結実した段階で一斉調査を行って一次選抜の効率を向上させていきます。一次選抜した系統の苗木への養成を省略して原木の状態で二次選抜することで育種期間をこれまでの20年程度から5年程度短縮するなど、生産者の要望にできるだけ早く応えられるよう品種開発を進めていくこととしています。
以上です。

◯エネルギー総合対策局長(八戸良城)

九州電力川内原子力発電所の再稼働に対する県の見解についてお答えします。
川内原子力発電所1号機の再稼働については、原子力規制委員会により安全性が確認された原子力発電所の再稼働を進めるという基本政策のもとで、国、事業者が地元の理解を得て進められてきたものと受けとめています。
原子力発電所については、何よりも安全性の確保を最優先に、国民の一層の理解を得ながら、国、事業者が責任を持って対応することが重要であると考えています。

◯教育長(中村 充) 御質問8点にお答えします。

初めに、公立学校における性同一性障害児童生徒への対応についての文部科学省の通知の内容についてです。
文部科学省は、平成25年度に、学校における性同一性障害に係る対応を充実させるための情報を得ることを目的とした調査を実施し、その結果を踏まえて、平成27年4月30に性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等についてを各都道府県教育委員会等に通知しました。
通知では、性同一性障害に係る児童生徒についての特有の支援については、個別の事案に応じ、児童生徒の心情等に配慮した対応を行うこととした上で、学校においては組織的に取り組むことが重要であること、医療機関と連携しつつ進めることが重要であること、保護者と十分話し合い、可能な支援を行っていくこと等が示されております。
また、性同一性障害に係る児童生徒や性的マイノリティーとされる児童生徒に対する相談体制の充実については、学校において日ごろより児童生徒が相談しやすい環境を整えていくこと、教職員が児童生徒から相談を受けた際は、当該児童生徒からの信頼を踏まえつつ、悩みや不安を聞く姿勢が重要であること等が示されております。

次に、文部科学省通知を受けての県教育委員会の対応についてです。
通知を受け、県教育委員会では、各市町村教育委員会及び県立学校に通知の内容を周知しました。加えて、8月21日に開催された平成27年度第2回生徒指導担当指導主事連絡会議において、性同一性障害に係る児童生徒に対しては、通知で特別な配慮の参考として示されている職員トイレの利用を認める、体育または保健体育において別メニューを設定する等の学校における支援の事例を確認し、きめ細かな対応を行うこととしたところです。今後も、機会を捉え、性同一性障害等への対応について周知を図っていく予定としております。
県教育委員会としましては、性同一性障害等の児童生徒への対応について、養護教諭やスクールカウンセラーを対象とした研修会等で取り上げるとともに、学校訪問を通して、悩みや不安を抱える児童生徒に適切かつきめ細かな対応ができるよう、各学校に対し必要な情報提供を行うとともに、指導、助言してまいりたいと考えております。

次は、本県公立学校教員における休職者と、そのうち精神性疾患によるものの人数についてです。
本県公立学校教員の過去3カ年の休職者数は、平成24年度、104人、平成25年度、99人、平成26年度、87人となっております。
そのうち、精神性疾患によるものは、平成24年度は56人で53.8%、平成25年度は60人で60.6%、平成26年度は53人で60.9%となっております。

次に、教員の多忙化を解消し、精神性疾患を予防するための県教育委員会の取り組みです。
教員の精神性疾患にはさまざまな要因が考えられますが、文部科学省の教職員のメンタルヘルス対策検討会議の最終まとめでは、教員のメンタルヘルス不調の背景として、業務量の増加や質の困難化などを挙げております。
教員の精神性疾患の予防に向けた取り組みとしては、管理職向けの研修において精神科医等によるメンタルヘルスについての講義を行うとともに、一般教員に対しては、初任者・十年経験者研修などにおいて同様の講座を設け、教員の心の健康に関する意識の啓発を図っております。
さらに、公立学校共済組合においても、精神科医による面接相談や心理カウンセラー等による電話相談等のメンタルヘルス事業を実施しております。
また、教員の多忙化解消に向けた取り組みとしては、本年2月、学校関係者等から成る多忙化解消検討委員会を設置し、今後、取り組むべき方策等の検討を進めていただいている状況です。
県教育委員会としては、検討委員会の報告をもとに教員の多忙化解消に向けて取り組むとともに、教員の心身の健康の維持のための施策の充実に努めてまいります。

次は、少人数学級編制拡充についての県教育委員会の考えです。
本県独自で実施しているあおもりっ子育みプラン21による少人数学級編制については、学級経営の改善及び学習指導上や生徒指導上の効果に関して学校などから高い評価を得ているところであり、平成27年度においては、これまでの小学校1年生から3年生及び中学校1年生に加え、新たに小学校4年生まで拡充したところです。
この少人数学級編制を他の学年に拡充することについては、教員の増配置に伴う多額の経費を要すること、また、市町村においては、教室の確保など施設、設備の整備が必要となり、新たな財政負担を伴うなどの課題もあります。
なお、少人数学級編制については、第一義的には国の責任において実施されるべきものであることから、これまでも、知事と県教育委員会から文部科学省に対し、国の責任において少人数学級編制が着実かつ計画的に実施されるよう要望し、また、全国都道府県教育長協議会を通じて働きかけているところであります。今後も、国の動向を踏まえつつ、本県における少人数学級編制を推進してまいります。

次は、本県の公立小・中学校における学校図書館図書標準の達成状況についてです。
学校図書館図書標準は、国が公立義務教育諸学校の学校図書館に整備すべき蔵書冊数の標準として平成5年3月に定めております。
文部科学省の調査によりますと、本県の公立小・中学校において平成25年度末現在でこの図書標準を達成している学校数の割合は、小学校が全国平均60.2%に対し38.2%、中学校が全国平均52.3%に対し24.9%となっております。

次に、本県の公立小・中・高等学校における学校図書館担当職員いわゆる学校司書の配置状況についてです。
平成27年4月に施行された学校図書館法の一部を改正する法律において、司書教諭と協力し、専ら学校図書館の事務に従事する職員を学校司書として位置づけ、その配置が努力義務とされました。
文部科学省で実施している学校図書館の現状に関する調査では、学校図書館担当職員いわゆる学校司書の本県の配置状況は、平成26年5月現在で、小学校が全国平均54.4%に対し2.3%、中学校が全国平均52.8%%に対し0.6%、高等学校が66.8%に対し0%となっております。

最後に、いわゆる学校司書の配置拡充に県教育委員会では今後どのように取り組んでいくのかについてです。
本県の県立高等学校では、図書の選定、貸し出し、返却、蔵書整理などの学校図書館運営については、司書教諭等の学校図書館担当教職員や図書委員の生徒により行われているところであります。
このような中、学校教育における児童生徒の確かな学力の育成には、言語活動や探求的な活動、読書活動等の充実が求められ、これらの活動における学校図書館の重要性が一層高まっていることを受け、学校図書館の運営の改善、向上を図り、利活用の一層の促進に資するため、本年4月1日に改正学校図書館法が施行されたところであります。県教育委員会としましては、この法改正の趣旨を踏まえながら、いわゆる学校司書の配置について検討してまいりたいと考えております。

また、小・中学校における配置につきましては、このたびの法改正や、平成24年度から小・中学校への学校司書配置に要する経費について市町村へ国の地方財政措置がなされていることを踏まえ、これらの趣旨が生かされるよう、今後も機会を捉えて市町村教育委員会に働きかけてまいりたいと考えております。


◯二十四番(安藤晴美)

それでは、順次再質問をさせていただきます。
戦争法にかかわる質問です。
弘前には、自衛隊弘前駐屯地があります。その周辺に住む住民から、最近、戦闘機の夜間訓練が夜遅くまで行われ、屋根すれすれに飛び交い、恐怖を感じるという訴えが複数からありました。法律成立とともに住民の不安が広がっています。そして、何よりも、自衛隊員の命が戦争法による海外での兵たん活動などで死者が出るような危険性が高まっています。県民の命を守る立場にある知事としてこうした事態をどう受けとめているか伺います。
日本共産党は、戦争法を廃止し、日本の立憲主義、民主主義、平和主義を取り戻すための戦争法廃止国民連合政府の呼びかけをしました。この呼びかけに、今、続々と各界の皆さんからエールが送られています。ノーベル物理学賞受賞者益川敏英さんは、今こそ野党の団結で現政権退陣をと。改憲論者である慶應大学名誉教授小林節さんは、選挙で政権交代、我が意を得たりと。また、安保関連法に反対するママの会発起人西郷南海子さんは、社会は変わると実感、やってほしかった提案など、こうした歓迎の声が寄せられています。
そこで、知事に伺います。立憲主義や民主主義を守ることが何よりも重要と考えますが、知事はどのように受けとめているか伺います。
TPP交渉に関して。
8月11日に知事が緊急要請書を出したことは、これまでも反対の意思を表明してきた知事の姿勢をあらわすものであると考えます。しかし、提出した要請書で求めている衆参農林水産委員会における決議を遵守も、毅然とした姿勢を貫くことも、国民に十分な情報提供と説明を行う、そして、農林水産分野における重要品目の関税を維持することも、既に安倍政権は投げ捨てていることが明らかです。米国の要求のままに、農産物重要五品目を含む関税削減、米は米国、豪州に無税の輸入枠を新設し、米国向けは年70,000トンで最終調整してきました。このように、輸入拡大を初め、農業生産、地域経済、国民生活を害する悪質な亡国の譲歩を重ねてきたことは明らかです。今回の合意案とTPP交渉からの撤退をしっかりと主張すべきと思いますが、見解を伺います。
原子力政策についてです。知事にぜひ伺います。
ベストミックスといって原発を認め、世界で最も厳しい水準の規制基準に適合したからといって、原発再稼働を認めていけば、福島原発の二の舞は受けないという自信があるのか、県民の安全は保障できるのか、コメントを伺いたいと思います。

障害者差別解消の問題です。
障害者が差別なく町に出て買い物や食事に行けるかというと、まだまだバリアフリーになっていないのが現状です。障害者差別禁止条例をつくり、バリアフリーへの補助を行うなど、そして、協力しない店主には罰則を科すなどして県全体を障害者に対し差別のない町にしていく。そのためには、啓蒙だけではなく、障害者差別禁止条例を策定することが必要だと考えます。この点についてもう一度お答え願います。
子どもの権利条例について。
青森県次世代育成支援行動計画を着実に実施していくことが重要です。しかし、子どもの権利条例は、青森県としての子供施策の基本姿勢を示す法規範となるものです。制定に当たっては、子ども委員会や子ども会議を設置するなど、子供の意見を直接聞く子供参加の機会を設けることになります。そして、市民参加を経て、議会での議論を経て合意するもので、理念を中心としたものであっても、施策の根拠になることが重要です。
そこで伺います。
次世代育成支援行動計画にのっとった企画、推進、評価、検証という一連の過程を効果的に促進するためにも条例という法の形式が有効と思うが、いかがでしょうか。

性的マイノリティーの問題です。
当事者はこう述べています。セクシュアルマイノリティーの抱える困難は、社会の中でマイノリティーいわゆる社会的少数者と共通することも多い。多様な人間が生き生きと生活できる青森を目指すためにも、この関門を突破することは大きな意味があると述べています。
そこで、再質問します。
性同一性障害という呼び方は二年後になくなるそうなんですが、性別違和がある人、こういう方のニーズに対応できる医療機関が県内にあるのかどうか伺いたいと思います。
そして、先ほどの答弁でも埼玉医科大学に誘導するというふうなお話がありましたが、ぜひとも県立である中央病院こそが、性別違和がある人に対する専門医を配置し、診断と治療の充実を図ることが必要だと思います。もう一度その点について伺いたいと思います。
自殺者対策に取り組む青森県が、自殺率が6倍も多いという性的マイノリティーの問題で悩む人たちの相談窓口を持つことが必要です。先ほどの答弁では、精神性疾患であるなら保健所やその他で受けるということでしたけれども、精神性疾患とは限らない悩みを持っている方も多いです。ぜひとも保健所にこのような悩みを受ける窓口をつくっていただけないか、そしてまた、県内で相談活動をしている当事者団体の相談のお知らせを置く協力はできないか伺いたいと思います。
旧尾太鉱山木戸ヶ沢排水処理施設にかかわってですが、今回は予想以上の豪雨がその理由だということですけれども、このたびの西目屋の降雨量は85ミリで、送水管の増設事業を行うということですが、今回のような雨量、そして雪の解けた状況で、今度の工事で同じ事故が起きないのかどうか。
それからもう一つ、東北南部を襲った豪雨は16時間で573ミリという事態でした。このような事態がこの木戸ヶ沢排水処理施設に起きたならば、木戸ヶ沢堆積場堤が崩れる可能性もあり、大災害を招くことになると思います。異常気象を想定した抜本対策を国に求めるべきと考えますが、見解を伺います。
そして、教員問題ですが、教育職員の精神性疾患が直近の3年で56人、60人、53人、そして現職死が7年で71人、うち自殺者が7人、こうした事態をどういうふうに受けとめているのか。そして、これを解決していくための一つの手段として時間外労働が85時間もあるという現実をどう解決していくのか。時間外労働を減らすべきと考えますが、この点についてどう取り組んでいくのか伺いたいと思います。

◯知事(三村申吾)

安藤議員の再質問にお答えいたします。
まず、私からは、平和安全法制関連二法についてでございます。
先ほどもお話しさせていただきましたが、やはり民主主義ということについては、多くの国民の方々に対しましての政府においての説明がこのたびしっかりとなされることが大切であると、そのように考えております。さらに、政府においての丁寧な説明が何よりも大事かと考えているところでございます。
そして、TPPでございますが、御案内のとおり、今交渉中ということでございますが、実は、見えない、出てこない、わからないという言い方は変ですが、要するに交渉の状況というものがまるっきりわからないあんばいなわけなんです。だからこそ、私どもとしては、最初から、そういうことではよろしくないのではないかと。何よりも、もともと参加反対ということで申し上げてきたわけですけれども、具体の対応等も含めて、やはり戦略的にこちらも考えていかなければいけない段階にあるのかなと思っているのでございます。
もちろん、反対ということについては徹底して申し上げたいと思っておりますが、やはり、どういうことが具体に、我々にとって、例の主要五品目についても、実際はどうなっているかとかわからないところが多々あり過ぎると思っております。何よりも詳細な情報の提供が行われること、それに対しての具体的な対応ということを今後考えていかなければいけないと思いますが、我々とすれば、青森県にとりまして、いや、日本の国にとりましても、農林水産業、自分としては攻めの農林水産業を続けてきたわけでございますが、これが将来持続できると、このことのために断固たる対応を国にも求めたいと思っております。
以上です。

◯病院事業管理者(吉田茂昭)

質問にお答えいたします。
性同一性障害患者に対する専門医を県立病院に用意したほうがよいのではないかという御質問でございます。
性同一性障害に限らず、希少疾病と呼ばれるものの専門医をどうやって配置するかという非常に難しい問題がございます。例えば、年間数例から数10例の患者さんのために専門医に来ていただきたいといっても、専門医の方のインセンティブがききません。また、専門医を育成する側にとっても、症例数が100例、200例というふうなところで、たくさんの症例を収れんすることで、そこで専門的な知識なり、専門的な治療法が開発されるというのが我が国の現状でございます。
したがいまして、青森県のような人口の少ないところではそういった希少疾病に対する専門医を置くことが非常に難しゅうございます。青森県出身でどうしてもというふうな方がおられれば別ですが、性同一性障害に限らず、仙台なり東京なり、あるいは札幌なり、そういったところの患者さんをたくさん見ている先生に正しく診断していただいて正しい治療を受けていただくということが第一になるかと思われます。
ちなみに、多数の症例を扱っている大学といたしましては、例えば札幌医科大学280例、関西医科大学では346例、岡山大学では何と927例というふうに多数の症例を扱って専門的に医療を展開されている部署がございますので、そういったところと連絡をとりながら、正しい治療選択をしていくということが筋だろうと私は思っています。
個人的な見解ではございますが、医療の問題もそうですが、性同一性障害に対しては、議員が御指摘のように、社会の受け入れ側に対する介入あるいは教育というものも同時に必要ではないかと思っております。
以上でございます。

◯健康福祉部長(一戸和成)

再質問3点にお答えいたします。
まず、障害者に対してバリアフリーを進めるために条例を制定すべきということですけれども、バリアフリーにつきましては、建築物等に関しましては、青森県の福祉のまちづくり条例というのが既にございまして、現在、それに対応する建物も徐々にふえてきているということもありますので、先ほど回答させていただきましたけれども、差別解消に対する取り組みについては、この法の趣旨にのっとって対応を検討していきたいと考えております。

続きまして、子供の意見を聞くために条例を制定すべきではないかという再度の御質問ですけれども、先ほども回答させていただきましたが、権利条例というものをつくるということではなくて、その趣旨を今の施策の中でかなえていくというところに我々は尽力させていただきたいと考えております。

最後に、性的マイノリティーの方の相談窓口を保健所に設置するべきという御質問ですけれども、性的マイノリティーの方の相談の中身というものが、医療に限らず、多分、幅広く、さまざまな部分があるかと思います。教育の問題であり、就職における問題であり、さまざまな問題があると思いますけれども、それを一つの窓口で全部できるかというと、なかなか難しいところもあり、現に対応しているという窓口もありますので、そういったところと連携しながら対応していくということで、保健所と精神保健福祉センターについては、性同一性障害と先ほど申し上げましたけれども、精神疾患にかかわる精神的な問題についての相談はそこで受けることができるわけですので、そういったところで対応させていただきたいと考えております。
以上です。

◯商工労働部長(八桁幸男)

再質問2点にお答えします。
まず、現在行われている送水管増設工事は今回のような雨量や雪解け水に十分対応できるかということでございますが、石油天然ガス・金属鉱物資源機構からの技術的助言等も十分いただいてございまして、今回の増設工事によりまして十分対応可能ということでございます。

2つ目の抜本的な対策を講じるべきでないかということで、国のほうに要望すべきということでございますが、鉱業及び鉱山保安行政は法令に基づいて国が所管しているということで、国においてやはり総合的、抜本的な施策を講ずるべきものと考えております。このため、県では、鉱害防止事業を国の責任と負担において実施することなどを、関係十二道県で構成されます全国金属鉱業振興対策協議会を通じまして毎年国に対し要望しているところです。県としては、今後とも、関係道県と連携しながら粘り強く国に対して要望活動を展開してまいります。
以上です。

◯エネルギー総合対策局長(八戸良城)

原発の安全確保に自信を持てるのかという再質問にお答えいたします。
ゼロリスクというのは困難であると考えております。福島のような事故を二度と起こさないために、現在の安全規制体制が整備されたと理解しているところでございます。
法令上は、原発の安全確保に一義的に責任があるのは、まず事業者でございます。その上で、原子力規制委員会は、原子力施設の安全確保を図るために必要な施策を一元的につかさどる役割があると認識しています。新規制基準に適合すると認められた原子力発電所につきましては、国が法令上求める安全性が確認されていると、そのように受けとめているところでございます。
以上です。

◯教育長(中村 充)

教職員の体調の不良でありますとか精神性疾患ということにつきましては、早期からの本人の気づきでありますとか周囲の気づきということが大事であると思っております。そのために、研修でありますとか相談活動とか、そういった体制をしっかり整えていきたいと思っております。
また、多忙化の解消ということについては、現在、多忙化解消検討委員会を開催しておりますので、その関係者等の意見をよく聞きながら、できる対応はどういうことがあるのかということを検討し、学校の教育環境の充実に努めていきたいと考えております。
〔安藤晴美議員、答弁漏れを指摘〕


◯安藤委員

自衛隊員の方々が今後の兵たん活動などで命を奪われるということもあり得るという、こうした状況について知事はどのように受けとめておられるか、この点についてお願いします。

◯知事(三村申吾)

別に反問権を言うわけじゃないですけれども、先ほど民主主義的にどうかという御質問だと受けとめましたので、大変恐縮、失礼いたしました。
自衛隊員の方々がということでございましたが、私どもの日本国憲法が持つ平和にかける理念というのは、私は非常に重要な意義があると思っています。さきの大戦における悲惨な体験からの教訓を酌み取って、これを将来に生かす、そして、日本国民の安全と恒久的な平和を願い、その実現を目指していくこと、そのことが大切なことだと思っております。したがって、この平和憲法のもとにおいての運用ということが国において適切に行われることが大事だと私は思っております。
以上です。

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