2017年12月6日平成29年農林水産委員会

「リンゴ黒星病の発生防止対策について」

◯安藤委員

2つの項目について質問いたします。
最初の質問は、リンゴ黒星病の発生防止対策についてです。
昨年よりは落ち着いたと感じていますが、生産者の方から、やはりことしも黒星病にかなり悩まされたというお話を伺っています。関係者の皆さんの大変な御努力で大分よい結果にはなっているのかなと思いつつ、生産者の方のそうした思いに今後どう応えていくかということが大変重要かと思いますので、質問させていただきます。
初めに、改めての質問になりますが、平成29年産リンゴにおける黒星病の発生状況についてお伺いいたします。

◯舘田りんご果樹課長

りんご研究所では、今年度から新たに導入した自動計測顕微鏡により、4月以降、同研究所内での菌の飛散状況を実測してきました。この結果、黒星病菌の飛散が4月13日から確認され、4月下旬と5月中旬にピークとなり、昨年以上の飛散が見られました。また、東青、中南、三八、西北地域に設置した胞子採集器でも、発生の少ない三八地域を除いて同様の傾向が見られています。
しかし、菌の発生情報に基づき、使用薬剤や散布時期・回数を見直した新しい防除を実施したところ、7月のリンゴ着果状況調査時の被害果率は0.7%と、昨年の2.7%と比べ大きく減少しております。


◯安藤委員

結果、被害果率は0.7%ということで、昨年の2.7%に比べて減少したということですけれども、リンゴの品種によって発生状況はどうなのかと思うのです。いただいた黒星病の発生状況の資料の中に、津軽では障害果率が4.2%で、そのうち黒星病は1.1%と、障害果率がちょっと高目だなという感じがするのですが、直接、黒星病の発生が高いということではないのでしょうけれども、品種によって黒星病の発生の頻度というのは何か関係があるのでしょうか。

◯舘田りんご果樹課長

黒星病の発生による品質というのは、要は斑点などがついて品質が落ちるということで、あと、障害果と見ているのは、例えば奇形果であったりとかというところを確認して調査しているもので、直接関係はございません。


◯安藤委員

あと、防除暦に沿って丁寧に防除を行ったところは、ある程度、発生を抑えることができたと思うのですが、中には発生を余り抑えられなかったという地域もあるのではないかと思います。地域別に見て、そうした傾向というのはどう評価されているでしょうか。

◯舘田りんご果樹課長

園地によってばらつきがあるので、地域別という形では調査しておりませんけれども、ことしの傾向としましては、例えば昨年は黒星病が出ていない園地でも、飛散によって若干また発生が出たりというところもありますし、それから昨年出たところでも同様にまた出ているところがあるという情報をとっております。


◯安藤委員

それと、一番気になるのは薬剤散布の回数がふえたということでありまして、また、薬剤も変わったということもあって、生産者の方の負担というのは前年度に比べると重くなったと思います。その園地の広さなどにもよるかとは思うのですけれども、全体的に生産者にかかる費用というのはどの程度なのか、黒星病の影響で高まっているなど、詳しい数字でなくても構いません、何%ということでもいいのですが、もしお手元にありましたら伺いたいと思います。

◯舘田りんご果樹課長

4月の委員会でも答弁させていただいておりますけれども、薬剤の散布回数が1回ふえているということで答弁させていただいており、10アール当たり最大で3,800円ということで認識しております。

「防除暦による薬剤散布の防除効果について」

◯安藤委員

わかりました。こうした負担をある程度、覚悟した上で、防除暦に沿ってきちんと防除を行ったところはある程度、抑えられたかなと思いますが、園地によってはなかなか適切な対応をし切れなかったというところもあったのではないかなと感じています。前も申し上げていますけれども、薬剤散布の支援の体制が構築できればいいなと思っていますので、その辺については、ぜひ今後検討していただきたいと思います。
次の質問ですが、本年度改正した防除暦による薬剤散布の防除効果について、どのように評価しているのか伺います。

◯舘田りんご果樹課長

県では、昨年度における黒星病の発生原因を踏まえ、今年度のリンゴ病害虫防除暦において、新しい薬剤や散布間隔と回数の見直し、春先の特別散布などの改正を行ったところです。
今年度の黒星病の発生状況を見ると、先ほどお答えしましたように、被害果率が大幅に減少していること、また、地域によって多発している場合は、防除暦の改正とともに指導を行ってきた被害落葉の処理、いわゆる耕種的防除が不十分であることが原因と考えられることから、防除効果自体は発揮されたものと評価しております。


◯安藤委員

この薬剤散布の回数や時期などについて、新しい防除暦をどの程度周知し切れたかということについては、どのように評価していますでしょうか。

◯舘田りんご果樹課長

防除暦につきましては、りんご協会が防除暦を発行して希望者に配布しているほかに、昨年度におきましては各農協がまた独自に防除暦をつくっているところでございますけれども、県が中心にまとめた防除暦を中心に活用して、防除暦を作成して組合員に周知しているということもあります。それから、その防除暦に従って時期ごとに、生産情報においてその時期の防除ということで詳しく載せて発行しておりますので、かなり周知はできたのかなと考えております。


◯安藤委員

県は黒星病発生防止に向けて、どのように防除対策を進めていくのかお伺いします。

◯舘田りんご果樹課長

本年の黒星病防除対策は効果があったものの、地域によっては被害落葉の処分など耕種的防除が不十分だったため、菌密度が高くなったことや、連続した降雨などによって適期防除ができなかったこと、散布量不足・散布むらなどにより、発生が抑えられなかったことが課題となっています。
このため、来年産リンゴの黒星病の発生防止に向けた防除対策としては、病害虫防除暦に被害落葉処理等の耕種的防除とともに、薬剤散布の間隔を遵守することを追加し、先般、11月28日の生産技術研修会において、耕種的防除の取り組み強化や散布予定日が降雨の予報の場合は散布日を前倒しして行うことを周知したほか、散布量不足・散布むらの解消に向けて、スピードスプレーヤによる効果的な防除について研修したところです。
特に、耕種的防除である被害落葉の処理については、労力がかかるとの現場の声があることから、発生の多い中南地域県民局では労力軽減を図るための被害落葉収集機械の実演会を開催する予定であり、黒星病の発生防止に向けた総合的な防除対策の強化に取り組んでいきます。


◯安藤委員

そうしますと、基本的な方針は今年度と同じということでよろしいでしょうか。薬剤散布の時期、量、それから薬剤の種類というのは、基本的に29年度のものを徹底させるという理解でよろしいですか。

◯舘田りんご果樹課長

基本的には、今年度の防除暦と内容はほぼ同じということで、先ほど言ったように間隔、それから耕種的防除をきちんとやっていただくという内容となっています。


◯安藤委員

私たちも一緒に参加して、国に対して出している要望書の中で、黒星病の点については、国、県の試験研究機関が連携し、リンゴ黒星病の薬剤耐性菌に対応した新規薬剤による防除体系及び作業効率の高い耕種的防除の研究を強化するために必要な予算を十分確保することという要望を出しているのですが、新規薬剤による防除体系というところがしっかりのみ込めてないところがあり、県として国とともに新規薬剤の研究についても進めていくということは、さらに耐性菌に対応する新しい薬というものを新たに探っていくという研究をしているということでよろしいでしょうか。

◯舘田りんご果樹課長

基本的には県も国の研究機関も、黒星病を含め病害虫の薬剤の開発というのは行っておりません。要は、民間、または輸入会社──最近は輸入して農薬を活用する場合が多いのですけれども、この新しい薬剤をどのように効果的に使うかというようなことで試験研究する場合、それから国においては──要するに使用してもいいという登録というのがあって、その登録に関する試験を行わなくてはいけないということで、もし予算が足りなければ、年数がかかるというようなことも想定されておりますので、予算が足りなくならないように、速やかにそういう薬剤があれば効果検証の研究をしていただいて登録していただきたいというような趣旨で要望させていただいております。


◯安藤委員

そうしますと、国や県の研究機関で新しい薬を開発するということではなく、現在ある薬剤の中で検証していくと、さらにいいものをということだと思うのですが、そういう意味では、今散布している薬剤よりもさらに効果のあるものが発見できればよりいいと思うのですが、その見通しといいますか、どのような研究機関がどのような方針で臨んでいるのか、数年後にはそういう研究結果が出ると見ていいのか、その辺の見通しなども伺えればと思うのですが。

◯舘田りんご果樹課長

りんご研究所、あるいは当課で農薬メーカーに伺っておりますけれども、現在、黒星病の新薬剤の開発ということでは、聞き取りした段階ですので、全部が全部ではないかもしれませんが、農薬メーカー2社が今、取り組んでいるところだと伺っておりまして、通常であれば、登録及び市販までに、先ほど言ったように国の審査というのがありまして、食品安全に係る農薬の摂取許容量や残留基準値の設定など、そういうさまざまな手続が必要でございますので、それを含めますと、市販まではあと七、八年ぐらいかかる見通しだと伺っております。


◯安藤委員

わかりました。そうしますと、七、八年までの間は、やはり今の新しい方針に基づいて徹底していくということかと思いますので、ぜひ農家の方たちと連携して発生をさらに低めていただくようにお願いいたします。
もう1点の質問は、加工食品の原料原産地表示制度についてです。
私もこの原料原産地表示を早く国が実施することを願っていましたし、声を上げてきた一人ですので、今回の決定は大変うれしく思っています。
最初の質問として、加工食品の新たな原料原産地表示制度の概要と県の受けとめ方についてお伺いします。

◯秋本食の安全・安心推進課長

国は消費者が食品を購入する際に、商品を選びやすくすることを目的に、一部の加工食品のみ義務づけておりました原材料の産地表示を全ての加工食品に拡大する新たな原料原産地表示制度を本年9月1日に施行したところです。
新制度は、国内で製造された全ての加工食品を対象とし、製品に占める重量割合が最も大きい原材料について、産地を原則として国名で表記することなどとなっており、平成34年3月31日まで経過措置期間が設定されております。
県としましては、新制度によって本県産の優良な農林水産物を使用した商品が消費者に選択されやすくなるなど、県産品の優位性を打ち出せるメリットがあると考えておりますが、一方で例外規定として、3カ国以上の輸入原材料を使用する場合、輸入とまとめて記載できるため、表示上では原産国が特定できないなど、消費者にとってわかりにくい点もあると考えております。


◯安藤委員

ずっと国民的な要求であったこの原産地表示がうまく進まなかった理由の一つに、企業がラベルに原産地を書くと、またすぐに原料が変わると、その都度、変えなくてはいけないという、その辺の大変さが一つの前に進まない理由になっていたのですけれども、今回、その問題はどのようにクリアできたということになるのでしょうか。

◯秋本食の安全・安心推進課長

先ほど御説明しましたとおり、今は複数の国から、4カ国以上とかから、原材料を購入して国内で製造する形になっており、時期によって国の名前が変わったりしますので、そういうことが頻繁に行われるということで、その都度、表示、ラベルを変えると相当な金額がかかるということがありますので、今回の制度の中では、例外規定というのを設けまして、3カ国以上の輸入原材料を使用する場合には輸入ということでくくって表示することが可能になったということでございます。


◯安藤委員

やはり国産、あるいは青森県産というものを優位に販売するためには、今度の表示を見て、国産のものだとか、国産のものを一番多く使っていることがわかるということでは、消費者にとっては大きな前進だとは思います。国産という表示の中で、特に青森県産とかというような表示はできないのでしょうか。

◯秋本食の安全・安心推進課長

一般に原産地表示する場合は、一般的によく知られた名称までとなっておりますので、通常は市町村名、弘前のリンゴだったら、青森県弘前市という表示までは可能かと思います。


◯安藤委員

県は食品表示の適正化に向けてどのように取り組んでいくのかお伺いします。

◯秋本食の安全・安心推進課長

県では、新制度の運用に当たっては、県内の事業者や消費者が混乱を生じないよう、新たな表示制度などについてわかりやすく周知していくことが重要であると考えております。
このため、去る11月7日、県内製造業者等を対象とする説明会を開催したところですが、参加者からは、さらに詳細な制度説明を求める声も多かったことから、今後とも国など関係機関と連携して、研修会の開催や各地域県民局の食品表示適正化指導チームによる事業者の巡回指導などにより、表示方法の相談等にきめ細かく対応しながら、食品表示の適正化に向けて取り組んでまいります。


◯安藤委員

県の役割の中に、食品メーカーやスーパー等への立入検査等を行い、食品表示の確認をするという項目があるのですが、青森県として、この仕事をどのように行っていくのか伺いたいと思います。

◯秋本食の安全・安心推進課長

現状におきましても、各地域県民局において、地域健康福祉部との合同で食品表示適正化指導チームというものがありますので、定期的に年間の業者数を前もって計画しまして、定期的に指導に入るという形になっております。


◯安藤委員

そういう指導をした結果、適正な表示でない場合は、何か罰則というか、そういうものがあるのですか。

◯秋本食の安全・安心推進課長

指導に入りまして、口頭で指導する程度で済むものから、なかなか指導しても直らない場合は指示、業者名を公表するということがあります。あと、悪質な場合は罰則が適用されるという形になります。


◯安藤委員

先ほどの質問で、市町村名まで書けるということなので、ぜひこの原料原産地表示をうまく活用して、青森県産の品物がより消費者の手に届くように業者の方と連携しながら頑張っていただきたいと思います。
以上で終わります。