2016年10月6日平成28年商工労働観光エネルギー委員会

「保安行政費、鉱害防止対策費について」

◯安藤委員

議案第1号「平成28年度青森県一般会計補正予算(第2号)案」、歳出7款1項9目、保安行政費、鉱害防止対策費について伺います。
1点目は、保安行政費鉱害防止対策費を増額する理由についてお伺いします。

◯相馬商工政策課長

今回の増額については、主に鉱害防止工事に係る工事請負費等の労務単価や諸経費率のアップによるものです。
これは、平成28年度当初予算編成後に、県の工事費等の設計積算で使用する平成28年度の労務単価と諸経費率が改定されたことに伴い、工事費や委託費が約1,100万円程度増加し、その後の国への補助金交付申請にも、その額を反映させています。
その後、国からの交付決定では、工事や委託等の一部業務で約900万円の減額があったものの、当初予算を上回る額が交付されることとなったことから、今回、9月補正により206万3,000円の増額補正を行っています。
県としては、工事や委託業務の計画的な実施に向けた予算確保に努めながら、鉱害防止事業を着実に実施していきます。


◯安藤委員

労務単価の変更ということが1つあるようですが、その具体的な変動額について、おわかりであれば伺います。

◯相馬商工政策課長

この労務単価は、農林水産省及び国土交通省が所管する公共工事に従事した建設労働者の賃金等の実態を調査した結果をもとに決定しました「公共工事設計労務単価」です。これについては、平成27年10月に実施した調査に基づき、平成28年2月からの公共工事の工事費の積算に用いるための公共工事設計労務単価が新たに決定されており、これは県土整備部の設計単価となっていますが、商工労働部においても、公共工事等においてこの単価を準用しています。結果としては、おおむね7%程度上昇しているということで、特殊作業員については、1万9,700円から2万1,200円に、普通作業員についても、1万4,600円から1万5,600円に上昇していますので、この部分を上昇分を見込んで積算し直したということです。


◯安藤委員

作業員の労務単価が引き上げられたということですが、木戸ヶ沢の今、行われている工事等についても、環境が非常に大変な場所だということで、作業員の方たちの御苦労は大変大きなものもあったろうし、事故など起こさないための御苦労もあるかと思うのですが、これまでこの保安行政費の鉱害防止対策における作業の中で、作業員の方たちの事故などの発生というのはどういうものでしょうか。

◯相馬商工政策課長

現在、これまで行われた事業については、事故等はないと聞いています。


◯安藤委員

引き続き無事故で、大変な作業だと思いますけれども、十分に配慮されて行われるように要望します。
2点目の質問ですが、今年度の鉱害防止工事の進捗状況について伺います。

◯相馬商工政策課長

今年度の進捗状況ですが、旧尾太鉱山、旧大揚鉱山においては、先ほども答弁したとおり、従来からの坑廃水処理事業を1年を通して実施しています。また、旧尾太鉱山では、8月から11月までの予定で鉄塔解体工事を実施しており、また、木戸ヶ沢堆積場左岸山腹水路改修工事及び、右岸の山腹水路法面復旧工事については、6月から11月までの予定で実施しているところです。
また、委託業務については、旧尾太鉱山の坑廃水処理に必要な「消石灰供給用橋梁点検調査委託」と、来年度の工事に必要となる「鉄塔・送電線搬出支障木調査委託」を、旧畑鉱山では、堆積場の「護岸工事仮設道路測量設計委託」を8月から来年2月までの予定で実施しているところです。進捗状況ですが、今年度予定している事業は、年度内に完了するべく計画的に現在進められています。


◯安藤委員

今の説明の中に、尾太鉱山鉄塔解体工事というのが含まれていたのですが、この鉄塔はどういう目的で設置されていたもので、今回、どういう理由で解体されるのか伺います。

◯相馬商工政策課長

この鉄塔については、旧尾太鉱山が稼働していたときに、送電線を尾太鉱山専用線として鉄塔を立てて引いたということがあります。その後、休廃止鉱山になったときにそれが不要となったということで、大分老朽化しており、電線は撤去していますが、まだ鉄塔が残っており、来年度以降、それを解体し撤去する事業計画になっています。


◯安藤委員

鉄塔については了解しました。
そして、木戸ヶ沢堆積場左岸山腹水路改修工事と山腹水路法面復旧工事がことし11月25日で完了という予定のようですけれども、前にも工事が翌年に延びるということもあったかと思うのですが、また、雪が降る季節になりますと、さまざま心配なことも起きますので、予定どおり工事が完了されることを望むものですけれども、予定どおりいくという感触でよろしいでしょうか。

◯相馬商工政策課長

平成27年度から平成28年度に工事を繰り越したということもあるのですが、そのときは大雨等により、工事現場に行く途中の道路が通れない状況になり、それによって工事期間が確保できないということで、予定していた事業を変更したものです。今年度については、少なくともそういうこともありませんので、予定どおり完了するものと認識しています。


◯安藤委員

雪が降る前にぜひ完了させて、そして、未処理廃水の漏えいが起きないように、万全な工事を完了していただきたいと思います。

「青森県・函館デスティネーションキャンペーンの実施について」

◯安藤委員

先ほどの山谷委員の質問と重なるところはあるのですけれども、私も青森県・函館デスティネーションキャンペーンの実施について伺います。実施期間が7月1日から9月30日ということで終了したわけですけれども、今回、エリアを青森県全域、そして、北海道道南地域ということで実施されましたが、今回のDCの実施目的について伺います。

◯堀誘客交流課長

今回の青函DCは、本県や北海道道南地域の観光関係者、自治体などがJR6社の協力のもと、全国からの集中的な誘客により、地域経済の活性化を図るとともに、DC以降も継続して観光振興を推進する体制を確立することを目的として実施したものです。
具体的には、観光コンテンツの磨き上げ、全国からの誘客、そして、青函周遊観光の知名度向上の3点に主眼を置いて実施したものです。


◯安藤委員

その目的に対してなのですけれども、DCは終了しましたが、目的は達成されたと考えてよいかどうか伺います。

◯堀誘客交流課長

DCの実施に当たっては、それぞれの地域から2,600を超える観光コンテンツについての素材の掘り起こしや磨き上げが行われてきました。また、JR6社の協力を得ながら観光宣伝やPRを実施したところ、誘客が促進され、県が実施する月例観光統計の速報値では、7月の宿泊者数が前年比104%、8月の宿泊者数が前年比102%と、いずれも前年を上回る数字となりました。
青函周遊観光についても、全国の旅行エージェントから50を超える青函をめぐる旅行商品が新たに造成され、認知度も大きく高まったところです。
これらの結果を踏まえて、青函事業者、関係者などが一丸となって取り組んだ努力が結実し、一定の効果を得たものと考えています。


◯安藤委員

50の商品の開発をされたということなのですが、そのうちの利用されたコンテンツを幾つか紹介していただければと思うのですが。

◯堀誘客交流課長

今回の取り組みを通して、これまでどちらかというと、青森と道南の商品というのは、それぞれのエリアで完結するものが多かったわけですが、今回、さまざまな取り組みをした結果、この10月以降も継続して残る商品が幾つかありますので、それを簡単に御説明いたしますと、これは今、JR北海道で取り扱っている商品ですが、浅虫温泉と古牧温泉を組み合わせた温泉をテーマにした商品、あるいは、弘前城菊と紅葉まつりの旅、あるいは、北東北をめぐる旅ということで、平泉と北東北紅葉めぐり、こういった新しい商品が出てきているところです。


◯安藤委員

北海道新幹線が開通して、そして、青森が通過地点にならないように、新幹線効果を継続させるということが大変重要だと思います。そういう意味では、新しい商品が生み出されて、誘客を促進できたということはよかったなと思います。ぜひその効果を継続させるように、県としても取り組みを強化していただきたいと思います。
それで、今回のDCの実施主体となったデスティネーションキャンペーン推進委員会というのがあったかと思うのですが、この推進委員会というのは、期間が終了したということで解散になるのでしょうか。

◯堀誘客交流課長

DC推進委員会は、平成26年11月10日に社団法人青森県観光連盟内に設置したもので、県、市町村、観光関係団体、そして、観光事業者などが一体となって取り組んだ組織です。この組織については、今後、どういった形で存続するのか、あるいは、廃止となるのか、今後の青森県の誘客の戦略とも絡めた大事なことですので、関係機関と調整をとって機関別に対応していきたいと思います。


◯安藤委員

私はぜひ、効果を上げたというキャンペーンでしたので、継続をさせて今後も第2次、第3次のキャンペーンとしてつなげていけたらいいのではないかなと思います。いずれにしても、青森県全体の観光が盛り上がるように、引き続き、今回得た効果を継続させるように取り組んでいただきたいと思います。

「十和田湖周辺地域の活性化について」

◯安藤委員

次の質問に移ります。十和田湖周辺地域の活性化について伺います。
青森県の観光で古くから認知度が高い地域が十和田湖周辺の観光だと思います。それが最近、十和田湖に行きますと、前のようなにぎわいを感じないというのがあります。これからは紅葉の季節に入りまして、観光客の方もふえる時期にはあると思うのですけれども、通年でこの十和田湖の活性化をぜひ図っていただきたいという思いに至っています。
そこで、1点目の質問ですけれども、十和田湖周辺地域の観光入り込み客数の推移について伺います。

◯戸沼観光企画課長

県では、平成21年12月に策定された国の「観光入込客統計に関する共通基準」に基づきまして、平成22年以降、本県への観光入り込み客数等について、青森県観光入込客統計として取りまとめています。
青森県観光入込客統計では、十和田八幡平国立公園の十和田地区内において、奥入瀬・十和田湖、石ヶ戸休憩所などを調査対象地点として入込客数を調査しており、平成22年から直近の調査結果である平成26年までの入込客数を申しますと、平成22年は約215万5,000人、平成23年は約161万2,000人、平成24年は約198万1,000人、平成25年は約181万9,000人、平成26年は、約192万人となっています。
全体的には、震災による落ち込みから回復傾向にありますけれども、震災前の水準までには達していないという状況にあります。


◯安藤委員

震災の影響もこの入り込み数には影響していたかと思いますが、しかし、先ほども質問したDCにかかわっても、やはり効果を生み出していかなければならない観光地だと思います。それで、この十和田湖に行きますと、宿泊施設、あるいはホテル等が休止状態になっているところだとか、廃屋のような状況になっているようなところも見受けられまして、そういうのがイメージダウンにつながるのではないかという危惧があります。
そこで、十和田湖休屋地区における宿泊施設の状況について伺います。

◯戸沼観光企画課長

休屋地区における宿泊施設の状況ですが、十和田市役所からの聞き取りによると、十和田湖休屋地区で現在営業している宿泊施設、民宿も含めまして10施設となっています。


◯安藤委員

10というのは、何か随分少ないなと思うのですけれども、一番多かったときはどのくらいの宿泊施設になるのでしょうか。

◯戸沼観光企画課長

申しわけございません。手持ちの資料で一番多いときという数字は持っていないのですが、同様に十和田市役所に聞いたところ、平成20年の数字というのがあるということで、その際は、ホテル、旅館、民宿合わせて17の施設があったと聞いています。


◯安藤委員

平成20年が17ということは、8年間で7施設がなくなったということなのですが、ひところは民宿もかなりたくさんあって、選ぶのに迷うほどだったと記憶しています。そういう中で、10の施設の数というのはちょっと寂しいなと思いますけれども、営業しているホテル等宿泊施設がぜひ頑張っていただいて、活性化の力になっていただきたいと思います。
それで、先ほどもちょっと申し上げたのですけれども、見た感じ、廃屋的な状況にあるところも見受けられたのですが、そういうところの対策というのは何かありましたら伺います。

◯戸沼観光企画課長

廃屋対策を含めて十和田湖をこれからどう生かしていこうかという御質問の趣旨で回答させていただきます。
十和田湖・奥入瀬渓流地域については、これまでも体験型のプログラムの開発支援でありますとか、十和田湖の魅力を伝える動画の作成などを含めまして、これまでも新たな魅力の発掘や磨き上げ、情報発信に取り組んできたところです。
また、今年度は、国の東北観光復興対策交付金を活用し、海外における認知度やブランド力の向上を図る「十和田・八幡平観光ブラッシュアップ事業」に秋田県、岩手県とともに取り組んでいるところです。
さらに、去る7月には、世界水準の「ナショナルパーク」としてブランド化を図るということで、「国立公園満喫プロジェクト」の実施箇所に十和田八幡平国立公園が選定され、国ではプロジェクト推進のための「ステップアッププログラム2020」を年内に策定するということにしているところでもあります。
県としては、今回のプロジェクト選定を契機として、多言語化やWi-Fi環境の整備、トイレのユニバーサルデザイン化などの受け入れ環境を整備するなど、より実効性のあるプログラムの策定・実施に向けまして、国、関係自治体等とともに取り組み、十和田湖周辺地域の活性化に結びつけていきたいと考えています。


◯安藤委員

こだわるようで恐縮ですが、廃屋対策というのはどのようになっているのか伺います。

◯戸沼観光企画課長

7月に満喫プロジェクトに選定されたということを申し上げました。この「国立公園満喫プロジェクト」では、ナショナルパークにふさわしい街並み等の景観改善にも取り組むこととされています。年内に策定する「ステップアッププログラム2020」に休屋地区の環境改善が盛り込まれ、早期に計画的かつ集中的な対策がなされるよう、国や十和田市などと連携して取り組んでいきたいと考えています。


◯安藤委員

ぜひ魅力アップを図って、昔のようなにぎわいのある十和田湖観光に発展させていただきたいということを要望しまして、終わります。

「石油貯蔵施設立地対策費について」

◯安藤委員

議案第1号「平成28年度青森県一般会計補正予算(第2号)案」、歳出7款3項大規模開発費、石油貯蔵施設立地対策費について伺います。
県内石油貯蔵施設について、その設置、運営主体及び石油貯蔵量の推移について伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

先ほども答弁しましたけれども、石油貯蔵施設立地対策等交付金の対象となる県内の市町村としては、所在が八戸市、青森市及び六ヶ所村ということです。このうち、青森市及び八戸市に立地する石油貯蔵施設については、石油製品の製造事業を行う石油精製業者、石油の販売事業を行う特定石油販売業者、石油の輸入事業を行う石油輸入業者等が設置、運営をしています。また、六ヶ所村に立地するむつ小川原国家石油備蓄基地、これが対象施設ですけれども、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、通称JOGMEC、そこから委託を受けて、むつ小川原石油備蓄株式会社が管理運営を行っているところです。
また、同交付金の算定基礎となる県内の石油貯蔵量についてですが、過去5カ年で見ますと、県内全体の対象施設に関して、約670万キロリットルから約680万キロリットルで推移しており、今年度では、約686万キロリットルとなっています。


◯安藤委員

今回の補正で、備蓄量の変動に伴っての交付金の増額ということなのですけれども、今、答弁された3カ所の施設の中のどこが貯蔵量がふえたのか伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

先ほど申し上げましたとおり、青森市、八戸市、それから、六ヶ所村に対象施設があります。六ヶ所村は国家石油備蓄基地ということで、これは一定量変わらず、これまで貯蔵量がそのままの数値で来ています。逆に、青森市と八戸市、ここは先ほど申し上げましたとおり、民間の事業者がそのときの状況に応じて備蓄量、あるいは、取扱量を変動させるものですから、その関係で、青森市の施設、それから、八戸市の施設に数値の変動が出てきています。これはやはり、毎年度一定というわけにはいかないところです。そういったことで増減ということが出ています。


◯安藤委員

そうしますと、今回は、青森市と八戸市にある民間の施設の貯蔵量が両方ふえたという理解でよろしいですか。

◯笹山原子力立地対策課長

詳しく申し上げますと、青森市の貯蔵量も前年度に比べて若干ふえていますし、八戸市もふえています。合計で約5万キロリットル程度ふえています。


◯安藤委員

八戸市の施設が5万キロリットルふえたということですか。

◯笹山原子力立地対策課長

両地点の合計としてふえています。
具体的な数値で申し上げますと、青森市の分は1万9,000キロリットル弱、それから、八戸市の分については、2万7,000キロリットル強ということで、約5万キロリットル程度ということです。


◯安藤委員

そうしますと、このたびの補正の交付金増というのは、青森市、八戸市、そして隣接市町村の交付金が引き上げられるという理解でよろしいですか。

◯笹山原子力立地対策課長

先ほど申し上げましたとおり、対象になる3市町村での対象施設の貯蔵量のトータルというのが数字として出ます。それに計算式の係数をかけて、県全体の交付金というものを算定します。それを立地と隣接の市町村に配分して、それぞれの事業で活用していただいているということです。


◯安藤委員

そうしますと、このたびは貯蔵量は変化のない六ヶ所村も増額されるという理解でよろしいわけですね。

◯笹山原子力立地対策課長

対象市町村ということで見ますと、六ヶ所村の分につきましては、先ほど申し上げましたとおり、その施設の貯蔵量自体は変動しておりませんので、六ヶ所村のエリアで見ますと、対象市町村に対する交付金の額というのは変わっていません。


◯安藤委員

交付金の配分については、一定理解しました。
それで、交付金の性質が防災や安全対策ということにかかわる交付金ということなのですけれども、これまでこの3つの地域の施設において、火災などの事故が発生した経緯というのはあるのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

具体的に、火災ということになりますと、私どもの所管外です。


◯安藤委員

所管外ということで、どういう状況かということはつかんでいないということですが、どこも海の近くにある施設なわけですし、地震や津波等の対策についても十分考慮されるべきかと思いますが、その辺についても、やはり所管外で特につかんではいないですか。

◯笹山原子力立地対策課長

各施設、これは国の備蓄基地もありますし、それから、民間の備蓄基地もあります。それぞれの事業主体において、さまざまな調査等をされて判断した上で立地がなされたものと理解しています。


◯安藤委員

もちろんその辺の考慮をした上での立地ということでしょうけれども、現実どのようになっているのか、安全な対策が講じられているのかということも、やはり立地及び周辺市町村にとっては気になるところですので、その辺も十分、県としてはつかんだ上で、きちんとした対策が講じられているか確認をぜひとっていただきたいと思います。こちらが担当でないということであれば、そうなんですけれども、そういうことも県民の立場に立てば、関心の高いところですので、ぜひとも十分な対応をとっていただきたいということを申し上げて、終わります。

◯丸井委員長

ほかに質疑はありませんか。
[「なし」と呼ぶ者あり]
ないようでありますから、これをもって議案に対する質疑を終わります。
これより議案の採決をいたします。
議案第1号中所管分の原案に賛成の方は、御起立を願います。
[賛成者起立]
起立多数であります。
よって、原案は可決されました。
次に、所管事項について質疑を行います。
質疑は所管外にわたらないように願います。
質疑はありませんか。──安藤委員。

「地中熱利用について」

◯安藤委員

2問伺います。
1点目は、地中熱利用についてです。新たなエネルギー産業振興戦略における地中熱利用の基本的な考え方について伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

県ではこれまで、地中熱利用の普及に当たっての課題である「イニシャルコストの低減」、「認知度の向上」、「県内事業者の連携強化」を図るための方策について調査研究を進めながら、県民への普及啓発事業や事業者向けの研修事業等に取り組んできたところです。
地中熱は、どこでも利用できる身近なエネルギー熱源であり、特に積雪寒冷地である本県にとって、融雪、冷暖房、給湯に効果的であると考えています。
昨年度策定した新たなエネルギー産業振興戦略においても、地中熱利用に当たっての課題や導入効果、先進事例等を十分踏まえながら、公共施設における地中熱の活用を一層促進するとともに、住宅やビルなどへの地中熱ヒートポンプシステムの導入を一層拡大していきたいと考えています。


◯安藤委員

県としては、一層拡大をしていきたいという方向にあるわけですけれども、それでは現状がどうかということについて伺いたいと思います。
地中熱利用の県内での普及状況について伺います。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

地中熱の県内の普及状況ですが、環境省が調査した結果があります。2013年ですので3年ぐらい前の調査結果で、ちょっと古いのですが、唯一その調査結果があります。これによると、地中熱ヒートポンプシステムの本県における導入件数は、2013年12月末現在で77件となっています。これは全国では第5位の導入状況となっています。県内の公共施設においては、弘前市まちなか情報センター、あるいは、五所川原消防署、七戸町城北児童センター、今年度開校した横浜町立横浜小学校で冷暖房として活用されています。また、弘前市役所の庁舎やつがる総合病院等で融雪に活用されているほか、民間でも、一般住宅の冷暖房、融雪利用、事務所やマンション駐車場への融雪利用等にも使われています。


◯安藤委員

今、県内の事例を幾つか紹介していただいたのですが、公共施設は少しずつ伸びているのかなという感じがするのですけれども、一般住宅等での活用については、どのように理解しているでしょうか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

先ほどお答えしましたように、環境省の調査でしか数値の把握がありません。77件ということで、その件数自体はそんなに多いということではないかと思います。それでも全国では5位ということで、北海道が一番進んでいて、北東北3県が、積雪寒冷地域が多いという状況です。とはいいながらも、冒頭申し上げたとおり、地中熱を導入するためには、一般住宅で考えると、まず一旦ボーリングをして、それにヒートポンプという機械をつけるという設備導入が必要になります。住宅の規模によって、どれくらいの熱が必要かによってボーリングの深さとかヒートポンプの大きさとかさまざまありますので、一概に言えないのですが、普通の四、五十坪ぐらいの住宅であれば、大体、全部合わせて300万円ぐらいの費用がかかると言われています。
それが導入時に初期投資でかかりますので、イニシャルコストがかかるということになるのですが、それを通常の光熱水費の削減等で、20年ぐらいかけてそれを削減した分と見合いでどうかというような長いスキームで300万円の投資を回収していくという考え方になりますので、なかなか一気に初期投資300万円というのが、一般の家庭ではつらいというところが導入のネックになっていると考えます。まして、最近、灯油が安いとかそういうことがありますので、なかなか導入しづらいということがあります。国等でもさまざまな補助制度を活用しながら推進を図っているのですが、いかんせん、77件程度ということで、なかなか進んでいないというのが現状だと思います。


◯安藤委員

今のお話の中で若干出てきましたが、補助体制というのはどのような体制になっているのでしょうか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

国において、再生可能エネルギー関連ということで、環境省と経済産業省に補助制度があります。環境省のほうは、再生可能エネルギー電気・熱自立的普及促進事業ということで、さまざまな省エネを進めるための再生可能エネルギーを導入しましょうというメニューの中に地中熱ヒートポンプというメニューがありまして、一般の家庭であれば、上限300万円で補助金をいただけるという制度になっていますが、これはモデル事業となっていますので、皆さんが誰でももらえるのかどうかというところは、少し内容を見ながら検討していく必要があるのかと思います。一概に誰でも300万円もらえるということでもなさそうな補助制度ですので、そんなにハードルの低い補助制度ではないのではないかと思います。


◯安藤委員

今紹介していただいたのは、環境省が出している補助だということなのですけれども、ほかのところでは全くないのですか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

もう一つ、経済産業省の補助です。こちらは民間事業者に対して行うもので、一般の家庭とは違い、再生可能エネルギー事業者支援事業で、補助率3分の1ということなのですが、経済産業省ですから、事業者が行う、いわゆる機器開発、研究開発的な部分の要素も含めたヒートポンプ等に助成するという性格になっているようです。補助制度は、国においては、この2つになっています。


◯安藤委員

この2つの補助制度に、例えば公共施設などで進める場合については、この補助制度を利用できるということになるのですか。

◯櫻庭エネルギー開発振興課長

公共施設の場合は、先ほど申し上げました、環境省のモデル的なヒートポンプ等の中で読めますので、導入の補助金が採択される可能性があると思います。


◯安藤委員

もっと家庭でも利用できるような補助制度が国においても、そして、できれば青森県などでもそういう体制をつくって、もう少し気軽に使えるような状況になることを希望します。また、公共施設などでも、先ほど紹介されたように、弘前市や五所川原市、七戸町等々で使われているようですが、やはりどこにもある地中熱ですので、それを大いに活用できる条件をぜひとも広げていただいて、県が掲げているエネルギー産業振興戦略の展開をしっかりと進めていただくように要望したいと思います。

「中間貯蔵施設について」

◯安藤委員

2点目の質問は、中間貯蔵施設についてです。
先般、リサイクル燃料貯蔵株式会社が事業開始時期を平成28年10月から平成30年後半に延期するということを公表しました。この件について、最初に伺います。
リサイクル燃料貯蔵株式会社では、去る9月14日、県に対し、中間貯蔵施設の事業開始時期の見直しの報告を行っていますが、県の見解を伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

去る9月14日、リサイクル燃料貯蔵株式会社から県に対し、使用済燃料中間貯蔵施設の事業開始時期について、新規制基準への適合性審査等の状況を踏まえ、平成28年10月から平成30年後半に変更する旨、報告がなされたところです。
使用済燃料中間貯蔵施設については、何よりも原子力規制委員会による安全性の確認が前提であり、リサイクル燃料貯蔵株式会社においては、新規制基準適合性審査の対応に万全を期すとともに、安全性向上のための対策について、一層の責任と使命感を持って取り組むよう、また、県民や関係自治体の理解が得られるよう最大限の努力をしていただきたいと考えています。


◯安藤委員

この公表を受けて、それぞれの関係自治体からいろいろな声が上がっているようですが、中間貯蔵施設の事業開始時期の延期に伴う立地地域への経済的影響について伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

本年2月、むつ市を初めとする県内原子力施設の立地4市町村長から知事に対し要請があった際、原子力施設の運転・建設の停止等によって、立地市町村が原子力施設の稼働を見込んで計画していたさまざまな事業が延期、廃止を余儀なくされていることなどについて説明があったところです。
また、同じく立地市町村の商工関係団体からも、県に対する要望の中で、下北半島地域では、建設関連業はもとより、宿泊・飲食・小売・観光サービス業等の関連産業が大きな影響を受け、雇用の喪失や地元企業の倒産など、地域の産業・経済活動の停滞が深刻化している旨の説明がありました。
県としては、このような状況を重く受けとめ、地域振興対策の一層の充実・強化が図られるよう知事から経済産業大臣に対して、本年5月及び先月9月に要請を行ったところであり、国の具体的な取り組みを注視しつつ、立地地域の実情に即した地域振興対策の一層の充実・強化を引き続き国に求めていきたいと考えています。


◯安藤委員

4市町村から知事に対して要請があったということですが、こうした原子力関連施設の建設に伴う経済効果をあてにしてといいますか、そういうものを主眼にして立地を進めてきたという経緯の中で、予定どおり進まないことが大きな影響を及ぼしているという実態なんだと思います。ぜひともこのような事業開始時期の延期で、即予定していた事業が思うように進まないという現実はあるでしょうけれども、こういうことに左右されない強い地域の活力といいますか、そういうものを持てるようなさまざまな支援が必要だなと考えています。
そして、今回の事業開始時期の延期というのは、原子力規制委員会の審査の中でも、地震対策、基準地震動等にかかわっての検査のおくれというのが一つの原因になっているとい考えていますが、そこで、中間貯蔵施設に係る基準地震動の検討状況について伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

リサイクル燃料貯蔵株式会社によりますと、「平成26年1月に新規制基準の適合性確認のため、原子力規制委員会に提出した事業変更許可申請においては、基準地震動を600ガルとしている。具体的な地震動の大きさは、今後の審査会合で確認されていくことになるが、これまでの審査状況を踏まえると、基準地震動は600ガルを上回るものと考えている。」とのことです。


◯安藤委員

事業者からは、上回ると考えているというお話になっているということなのですが、六ヶ所再処理工場が600ガルから700ガルに引き上げているという経緯もありますので、同じような地域ということも考えれば、規制委員会においても同等の基準地震動、あるいは、それを上回る基準地震動を求めることになるのではないかと推測します。
それで、リサイクル燃料貯蔵株式会社が基準地震動を決めていくということになると思うのですが、どれくらいに引き上げていくということについては、そういう情報は県はつかんでいないのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

県としては、そういった基準地震動の評価も含めて具体的な審査の内容というのは把握していないところです。今後、事業者において、そのような検討がなされた上で審査に対応していくと受けとめています。


◯安藤委員

使用済燃料を中間貯蔵する目的、必要性について、そもそもということになりますけれども、県はどのように認識しているのか伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

我が国においては、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本方針としています。
使用済燃料の中間貯蔵を含む貯蔵能力の拡大については、使用済燃料が再処理されるまでの間の対応の柔軟性を高め、中長期的なエネルギー安全保障に資するものとされているところです。


◯安藤委員

そもそも六ヶ所再処理工場の本格稼働がおくれているわけですが、六ヶ所再処理工場がもっと早く本格稼働していれば、むつ市につくられている中間貯蔵施設というのはつくられなかったであろうと思うのですが、その辺については、どのような認識でしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

基本的に原子力事業者が使用済燃料を発生させて、それをサイト内で安全に貯蔵管理するということになりますけれども、使用済燃料対策の柔軟性を高めていくという考え方のもとに、むつ市の中間貯蔵施設も立地されてきたと理解をしています。


◯安藤委員

このたび核燃サイクルの本丸だった「もんじゅ」が動かなくなる、廃止されるということも含めた大きな変化が生まれてくることで、核燃サイクルという事業が当初の予定から大きくずれていくという状況にあるわけですが、そういう中で、むつ市の中間貯蔵施設の稼働に影響はないと見ているのか、その辺についてはどうでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

先ほどお答えしたところと重なると思いますけれども、あくまでも使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用するという核燃料サイクルの推進は、我が国の一貫した基本方針であります。国においては、当面する課題を一つ一つ解決しながら、中長期的に責任を持って取り組んでいただきたいと考えています。


◯安藤委員

この中間貯蔵施設にかかわって、県知事とむつ市長と東京電力ホールディングス株式会社、日本原子力発電株式会社の4者によって協定書が結ばれております。その協定書の中で、貯蔵建屋の使用期間は、建屋の供用開始の日から50年、貯蔵期間は、建屋に搬入してから50年とされていますが、建屋の使用期間が来れば、貯蔵期間が50年に満たない使用済燃料も搬出されるという理解でよろしいでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

そのように取り決めされています。


◯安藤委員

中間貯蔵施設の操業に向けた使用済燃料の搬入計画について伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

リサイクル燃料貯蔵株式会社によると、中間貯蔵施設の操業に当たっての使用前検査というのがありまして、この検査の受検のために、平成30年後半に貯蔵容器1基、燃料体数としてはBWR燃料69体の受け入れを計画しているとのことです。


◯安藤委員

済みません、最後の量のところ、ちょっと聞き取れなかったのですが、もう一度お願いします。

◯笹山原子力立地対策課長

貯蔵容器、いわゆるキャスクが1基です。その中に燃料体としては、四角く長い燃料集合体がありますけれども、それを69体受け入れるという計画です。


◯安藤委員

いろいろ資料を読ませていただきましたら、貯蔵量は5,000トンと書かれていたのですが、この69体というのが5,000トンを意味するのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

5,000トンと申しますのは、第1期建設の建屋が3,000トン、それから、その後に2棟目ということで2,000トン、合計5,000トン、これはウラン重量です。5,000トンの受け入れを予定しているということです。今申し上げた、最初に検査のための貯蔵容器1基、これは69体と申し上げましたが、これはウランの重量でいきますと12トンということになります。


◯安藤委員

第1期が3,000トンということで、第2期が2,000トンというお話でしたけれども、第2期の建設予定というのはどのようになっているでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

事業者からは、トータルで5,000トンという説明を受けて、今は3,000トン、最初の1棟目というのが原子力規制委員会の新規制基準の適合性の審査を受けているという状況です。その後については、事業者が判断されることだと思っています。


◯安藤委員

今回、ここに搬入される使用済核燃料は、東京電力ホールディングス株式会社と日本原子力発電株式会社から搬入されてくると考えていますが、具体的に、どこの原子力発電所の使用済核燃料が運び込まれると理解しているのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

先ほどお答え申し上げました、検査受検のための貯蔵容器1基、これについては、東京電力ホールディングス株式会社によりますと、現時点においては、柏崎刈羽原子力発電所から搬出することを想定しているとのことです。


◯安藤委員

使用済核燃料というのは、今現在は各原子力発電所のプール及び六ヶ所再処理工場のプールで貯蔵され、水で冷やしているのですけれども、今回、むつ市の中間貯蔵施設は空冷ということです。空冷によって、これまで水で冷やすということを行ってきた使用済核燃料を、熱をある程度空冷で抑えていくことが可能なのかどうか、そこのところを確認したいと思います。

◯笹山原子力立地対策課長

使用済燃料の保管、管理につきましては、各サイトで現在もプールで、水で冷却をしているところです。先ほど申し上げましたとおり、対応の柔軟性を高めていくという観点で、乾式での貯蔵管理、これが、むつ市の中間貯蔵施設ということです。その安全性等についても、国においてきちんと審査をされた上で事業の許可が一度おりている。今はバックフィットということで新規制基準への対応をしているという状況です。空冷のキャスクそのものについての安全性というのは、これまでも確かめられてきていて、今後、使用済燃料対策は、国においても大事な解決すべき課題ということがあり、そのためには空冷、つまり、乾式の貯蔵というものも進めていくという方針が示されています。


◯安藤委員

多分、日本では初めての貯蔵スタイルだと理解しているのですが、そうではないのですか。

◯笹山原子力立地対策課長

初めてではありません。日本原子力発電株式会社が東海発電所、もう廃炉措置をしており、そこで取り出した使用済燃料を空冷、乾式で今、貯蔵管理している事例があります。


◯安藤委員

中間貯蔵施設で貯蔵された使用済燃料は、今後、どのように処理されるのか伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

リサイクル燃料備蓄センターにおいては、東京電力ホールディングス株式会社及び日本原子力発電株式会社の使用済燃料が中間貯蔵されることとなっており、貯蔵期間終了後は、両者に使用済燃料が引き渡され、その後、再処理されていくものと考えています。


◯安藤委員

両者に戻していくということで、その両者が再処理をしていくということですけれども、現在建設されている六ヶ所再処理工場が視野に入っているものなのか、あるいは、その再処理施設ではない別の再処理施設をつくるという計画が前提なのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

貯蔵期間後の使用済燃料の再処理については、今後、国及び事業者において、六ヶ所再処理工場の運転状況等を踏まえ、具体的に検討されていくものと考えています。


◯安藤委員

ということは、現在の六ヶ所再処理工場以外ということでいいのですか。それとも、六ヶ所再処理工場も、本格稼働されていけばの話ですけれども、そこも視野に入っているということなのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

繰り返しになりますけれども、今後、具体的に検討されていくと受けとめています。


◯安藤委員

事業者が決めていくということなのでしょうけれども、こういう施設がある青森県としては、もう少しきちんとその辺の将来的な方向性というものをしっかりとつかんでおく必要があると思うのですが、最終的には事業者が決めていくとはいえ、どのような協議がなされているのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

また繰り返しになって恐縮なのですが、先ほども申し上げましたとおり、国、事業者において、今後、六ヶ所再処理工場の運転状況等々を踏まえて、具体的に検討されていくものと考えていますので、その先のことについては控えさせていただきます。


◯安藤委員

50年後の再処理の方向性というのが、結局はよくつかめない、展望も明らかにできないというのが実態なのだと私は思います。核燃サイクル政策というそのものが、自信を持って進めていけるという状況にはない。そして、世界的には核燃サイクルという使用済核燃料からプルトニウムを取り出して、そして、再利用していくという核燃サイクル事業というのが見通しのない事業だと思いますし、やはり原発から手を切っていくという方向性を多くの国民が願っているということを考えますと、この使用済燃料中間貯蔵施設というのも、結局は貯蔵施設、行き場のない使用済燃料を貯蔵しておく施設にならざるを得ないのではないかという感触を私は感じています。
そのことを申し上げまして、終わります。