2017年1月20日平成28年商工労働観光エネルギー委員会

「日本原燃株式会社の品質保証体制について」

◯安藤委員

最初に、日本原燃株式会社の品質保証体制について伺います。
日本原燃株式会社はこれまで22回の竣工延期を繰り返してきたわけで、そのことに対しての信頼は薄らいでいるという実態があります。そうした中で、現在、規制基準の適合審査が行われており、昨年11月、施設の大規模損壊時の対応などについて、日本原燃株式会社の資料作成が間に合わず、補正申請書の提出時期を12月中に先送りしたり、12月には日本原燃株式会社の安全管理を束ねる安全品質本部が未実施の対策を対応済みとする事実と異なる社内文書をまとめていたことが発覚しました。原子力規制委員会の田中委員長は、組織全体に相当問題があると厳しく指摘し、ことし1月末までに原因と是正措置を報告するよう命令したとされています。
そこで、品質保証体制の問題やさまざまなトラブルを起こしてきた日本原燃株式会社は、再処理等を行う事業者としての資格がないと考えますが、県の見解を伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

本件に関しては、危機管理局が主担であることをお断り申し上げた上でお答えしたいと思います。
昨年12月14日に日本原燃株式会社が原子力規制委員会から品質保証体制の是正に関して、原子炉等規制法に基づく報告徴収命令を受けたことは極めて遺憾であります。
県としては、日本原燃株式会社に対し、国に対する報告については県に対しても報告するとともに、その際にはわかりやすい説明に心がけること、本件について重く受けとめ、全社保安活動の強化に万全を期し、実効性のある体制を構築すること、再発防止に努め、県民の信頼回復を図ることを強く求めたところであり、今後の国、事業者の対応を厳しく見極めていきます。


◯安藤委員

1月中に報告が提出されるという、そのような計画になっていますが、1月も半ばを過ぎたわけですけれども、その辺の情報といいますか、県に対して何か情報がありましたら伺いたいと思います。

◯笹山原子力立地対策課長

今、日本原燃株式会社では、報告徴収命令を受けたことについての対応を検討されているものと受けとめており、情報については入っていません。


◯安藤委員

冒頭申し上げましたように、このような事態が起きているということに対して、やはり県は厳しく見極めていくとおっしゃいますけれども、この会社の姿勢ということをしっかりと批判もしていくべきだと思います。県は事業者に対してどのような対応をされたのか、どういう意見を述べたのか伺います。

◯八戸エネルギー総合対策局長

先ほど原子力立地対策課長から答弁申し上げたように、今回の件に関して、日本原燃株式会社から青山副知事が報告を受けまして、その際に先ほど申し上げました3つの事項について、強く求めたところです。
今後、日本原燃株式会社では1月中に報告を取りまとめ、国に報告するということになると思います。現在、日本原燃株式会社によりますと、社外の第三者を含む是正措置委員会なるものを設けて、徹底的に、原因究明、是正措置の取りまとめを行っていると聞いています。これは国に報告した後、国でしっかりとそれを評価し、対応していくことになると思うのですが、県としては、まず、事業者が国に報告し、国がそれをどのように評価していくか、この対応を十分に見極めていく必要があると考えています。その上で適切に対応していきたいと考えています。


◯安藤委員

やはりこのような事態というものを見るにつけ、国に対してもそうですけれども、県に対しても、また、県民に対しても、非常にばかにされたような思いを持ちます。しっかりとその対応策を見ながら、こういう事態を繰り返してはならないということをしっかりと事業者に求めていただきたいと思います。そして、これまでもいろいろなトラブルが起きたわけですので、本当にこの事業者が適切なのかという立場で見ていただきたい、そしてまた国に対してもそういう立場で物を言っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

「高レベル放射性廃棄物の最終処分について」

◯安藤委員

次の質問は、高レベル放射性廃棄物の最終処分について、先ほど川村委員からも質問がありましたけれども、私からも伺いたいと思います。
最初のガラス固化体の受け入れから20年以上が過ぎた現在でも搬出先の見通しが全く立っていない。国が最終処分地選定にそのプロセスの改善を図り、政府は責任を持つとしてきており、平成28年中に科学的有望地について提示をするとされてきたにもかかわらず、それが履行されなかったという事態となっています。その現状において質問したいと思うのですが、高レベル放射性廃棄物の最終処分地選定に向けた国の取組状況とそのことに対する県の見解を伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

現在、国においては、高レベル放射性廃棄物の最終処分について、科学的有望地の提示に向けた検討を行うとともに、その重要性等について、全国各地で国民との対話活動を進めているところです。
県としては、最終処分地の早期選定に向け、国が前面に立って、科学的有望地を速やかに示し、国民の理解促進に不退転の決意で取り組んでいただきたいと考えています。


◯安藤委員

国が前面に立って責任を持つと言っておいて、そして平成28年中には科学的有望地を示すとしてきた、この約束がもう既に守られない、国の本気度はどうなのかということを疑わざるを得ない事態だと思います。やはりこういう事態を県は抗議もすべきだし、しっかりと国に声を上げていただきたいと思います。それで平成28年中とされていた科学的有望地の提示については、それではいつぐらいになるのか、そういう説明というのはあるのでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

先ほど御答弁申し上げたとおり、議論を継続していくというところになっていまして、その結果等については今後のことであると受けとめています。


◯安藤委員

何かすごく優し過ぎるなと思います。やはり青森県に一時貯蔵されているわけであり、また、どんどん延びていけば、確約事項も守られないという、そうした心配もされるわけで。これこそ厳しく国に対して声を上げていってほしいと思いますし、平成28年中に提示できなかったわけですから、それでは、いつまでを目指すのかと、その辺のことくらいはしっかりと回答を求めていくべきだと思いますが、この辺について、もう一度、考え方を伺います。

◯八戸エネルギー総合対策局長

国では平成28年中の科学的有望地の提示に向け取り組んできたと受けとめていますが、その議論の過程で、先ほど少し申し上げましたが、原子力委員会からは要件・基準の設定、設定の際の説明、表現、これをもう少し丁寧にやるべきではないかというような意見がありました。国では科学的有望地、これはマッピングという形になると思いますけれども、そのマップを示した後に国民、それから自治体のそういった受け手側の目線に立った検討がもう少し必要だと、そういうことで平成28年中の提示には至らなかったのかなと、県としてはそのように受けとめているところです。もう少し丁寧な議論を尽くして、マッピングを提示した影響もしっかりと検討した上で、やはり提示するほうがいいと考えているところです。


◯安藤委員

やはり提示の仕方も含めて、それぞれの提示された自治体がどのような思いに至るかということも含めて、今、考慮しようということについては最初からわかっていたことで、原子力委員会から言われるまでもなく、やはりそういうことも含めた計画にすべきだったと思います。県としても対応を見極めていきたいと、見ていきたいというだけでなく、積極的に選定に向けての努力を強めていくよう声を上げていただきたいと思います。
次ですが、六ヶ所村に30年から50年、一時貯蔵するという、そしてその期間が過ぎれば搬出するという政府との確約があるわけですが、既に最初に貯蔵されたものは30年近くたっているわけで、処分地の選定手続は、文献、概要、精密の調査だけで20年程度見込まれるとされています。このことを考えれば、最長50年間に最終処分地への搬出が間に合わなくなる可能性が非常に高くなっていると言わざるを得ません。
そこで、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定が進んでいない状況を踏まえれば、一時貯蔵の期限内に処分場へ搬出することは困難と考えるが、県の見解を伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

今、最終処分地の選定に向けての御指摘がありましたが、六ヶ所高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターで一時貯蔵されているガラス固化体については、それぞれ貯蔵管理期間終了時点までに確実に青森県外へ搬出されるものと考えています。


◯安藤委員

確実に搬出するものと信じているということなのでしょうけれども、客観的に見て、それが難しいという条件が見えてきているわけですよね。なので、30年から50年経過したら搬出されると信じていると、確約どおり進んでいくと言っても、現実はそうならないという見通しが見えてきているわけで、そうは言ってられないのではないかと思います。そうなっていくと、確約の変更ということや、あるいは最終処分地以外のところへの搬出という対応がなされていくのかなと思うのですが、やはり30年から50年以内に最終処分地に搬出できなかった場合のことについても、それを想定した県の考え方ということもわきまえていく必要があるのではないかと思いますが、もう一度、その点について伺います。

◯笹山原子力立地対策課長

重なる答弁になるかもしれませんが、最終処分地というところでの御指摘なのですが、原子力事業者は本県に対して、廃棄物発生者の責任において、六ヶ所村に貯蔵される高レベル放射性廃棄物については、貯蔵管理終了時点までに確実に青森県外に搬出するということを確約しています。そのような理解でいます。


◯安藤委員

やはり県民もその確約のもとに見詰めているわけですから、そのことがしっかりと履行されるよう、今の進みぐあいで行けば、最終処分地への搬出というのは非常に難しいという状況もあるわけで、青森県外への搬出というのはしっかりと守らせる、その毅然とした対応をしていくべきだと思いますし、そのことをまた県民にも県は説明をしていくべきだと思います。その辺の県民に対する説明ということについても丁寧に行っていく必要があるかと思いますが、そういう考えはいかがでしょうか。

◯笹山原子力立地対策課長

最終処分地の問題というのは、県民を含めて国民全体の問題であると認識しています。現世代の責任として、これは解決すべき重要な課題であると思っており、県としては引き続き国の取り組み強化を厳しく求めていきたいと考えています。

「非正規雇用の状況等について」

◯安藤委員

私からは非正規雇用の状況等について伺います。
この委員会でも既に議論されていますし、一般質問などでも取り上げられていますが、大変重要な課題ですので、私からも質問させていただきます。
非正規雇用は、仕事も契約も一時的なもので、人件費コストを抑制できることが企業にとっての最大のメリットとなり、非正規が4割にもなると、今度は正規をいつでも非正規と交代させるという圧力がかかって、正社員の雇用の賃金低下や労働時間の延長などが行われ、それが常態化しているというふうにも言われています。
平成元年のときは19.1%だった非正規雇用は、平成27年には37.5%ということで、大幅な非正規雇用の拡大がなされているという、こうした厳しい状況下にあるわけです。そこで、私から今回、産業別で見た正規雇用者と非正規雇用者の割合の状況について伺います。

◯金子労政・能力開発課長

総務省統計局の調査において、本県の平成24年における産業大分類、雇用形態別の割合を見ますと、正規の職員・従業員の割合の高い産業は、まず、電気・ガス・熱供給・水道業が92.3%、続いて他に分類されない公務が87.2%、さらに鉱業、採石業、砂利採取業が83.3%、続けて情報通信業が77.4%などとなっています。一方、低いものは、宿泊業、飲食サービス業が28.6%と最も低くなっています。


◯安藤委員

低いところが28.6%ということで、こうした産業分野においてのこのような状況の中で、非正規雇用という状況で働いている人たちが多くなればなるほど賃金も影響があって、その地域の消費にも大きな影響が及ぼされると考えるわけですが、賃金の比較について、正規雇用者と非正規雇用者を比較した賃金の状況について伺います。

◯金子労政・能力開発課長

正規雇用者と非正規雇用者を比較した賃金の状況について、厚生労働省の調査になりますが、これによると、平成27年の全国平均で正社員・正職員について月額32万1,100円、それ以外については同じく月額で20万5,100円となっています。


◯安藤委員

平成27年の賃金の状況を伺ったのですが、この間の推移といいますか、比較をしたときにどのように今の現状があるかということももしお答えいただけたら伺いたいと思いますが。

◯金子労政・能力開発課長

年度別の推移ということですが、平成26年の数値と比較したものについて紹介させていただきます。
正社員・正職員については、平成26年と比較して1.1%の上昇となっています。一方、正社員・正職員以外の方については、平成26年と比較してプラス2.4%と、いずれも上昇になっていました。


◯安藤委員

前年度から比較すると、両方とも上昇されているということですが、私が調べた資料を見ますと、1997年の給与の水準が37万1,670円で2014年は31万3,757円と、17年間で約5万8,000円下がっているんですよね。やはり非正規雇用が多くなっているということが労働者全体の賃金の実質引き下げになっているということが言えるかと思います。先ほども申しましたけれども、そのことがやはり労働者の生活の安定という視点から見ると、非常に厳しい状況になっているということとあわせて、消費力の低下で地域の経済にも大きな影響が及ぼされているということが言えるかと思います。やはり非正規の率を下げて正規雇用にしていくということが労働者の生活の安定という、その視点に立ったときにもとても重要な課題だと思います。
政府がこれまで3年間、非正規雇用をしていた場合、3年たてば正規雇用に切りかえていくという法律があったかと思うのですが、この法律が今、どのようになっているか、もし現状がわかれば伺いたいと思いますが。

◯金子労政・能力開発課長

手元に資料がございません。申しわけございません。


◯安藤委員

やはり政府が正規雇用をふやしていくという、非正規雇用だった人を正規雇用に引き上げるという、そうした取り組みをなし崩しにしているという実態が一方であるんだということをしっかり見極めながら、政府にも非正規から正規に変えていくという、そういう流れをつくるべきだということをぜひとも県としても国に声を上げていただきたいと思います。
非正規がふえると、正規労働者の仕事も非常にふえていくということで、それがいわゆる長時間労働にもつながっていくということで、今、長時間労働の過労死などが社会問題となっているとも言えると思います。残業代についても、残業代ゼロ法案という、労働時間規制をなくす、そうした動きもあるわけで、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションというのが導入されようとしておりますし、こういうことも踏まえて、やはり労働者の働く環境が本当に大変になっている、そういう流れの中で、どう労働者の働く権利を守っていくか、健康を守っていくか、賃金を守っていくかということが非常に重要だと思います。
そこで、3点目、伺いますが、非正規雇用者の正規雇用化に向けた県の取り組みについて伺います。

◯金子労政・能力開発課長

県では、正規雇用を希望しているにもかかわらず、非正規労働者として働いている方々、こういった方々について、正規雇用化するということは大きな課題であると認識し、さまざまな取り組みを進めています。
具体的には、まず、正規雇用をふやすための取り組みとしまして、製造業におきまして安定的かつ良質な雇用を戦略的に創造していくためのプロジェクトを推進しています。また、正規雇用への転換を促すといった取り組みとしましては、一昨年12月に地域の関係機関や労使団体とともに青森県働き方改革推進協議会を設置しまして、非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善に向けてそれぞれ取り組んでいくということに合意をしています。現在もその趣旨にのっとって、県内の各地域の商工団体等を訪問しての要請などを行っています。
県としては、今後ともそういった関係機関とも連携しながら、非正規労働を余儀なくされている方々の正規雇用化に取り組んでまいります。


◯安藤委員

そうした県の取り組みがしっかりと実を結んで、正規雇用がふえていくと、非正規雇用が少なくなっていくという、そういうしっかりとした実績が生まれていくように、県としても十分、意を決して取り組んでいただきたいと思います。
以上で終わります。