2009.11.20 : 平成21年第260回定例会(第1号)  抜粋
◯十一番(安藤晴美) 日本共産党の安藤晴美です。
 議案第二十三号「決算の認定を求めるの件」と議案第二十四号「青森県工業用水道事業会計の決算の認定を求めるの件」について反対いたします。
 平成二十年度の個人県民税の収入未済額は二十二億六千九百万余、前年度より四億二千七百万程度の増額となりました。これは、十九年度から三位一体改革の名のもとに進められてきた税源移譲によって課税額が大幅にふえたことに比例して滞納額がふえるという皮肉な結果によるものであり、さらに、これまで給料から特別徴収されていた労働者が、企業の倒産、リストラなどにより普通徴収に変わり、実質税金を納められない状況によるものです。加えて、経済不況の中、法人事業税が四千百十六万八千九十六円の減額となりました。
 この結果、一般会計の歳入に占める県税等の自主財源の割合は三六・九%と前年度より一・六%下がり、地方交付税、県債等の依存財源の割合が六三・一%と依然高い比率になっています。
 財政構造の弾力性を判断するための指標となっている経常収支比率は九九・七%であり、道府県の指標八〇%を大きく上回っています。また、公債費比率は二〇・九%と高い水準にあり、依然として財政構造の硬直化が進んでいます。
 一般会計の県債残高は一兆二千七百九十八億余円、うち臨時財政対策債は前年度比百七十四億円増の千七百四十億円と膨らんでいます。これは、国が地方交付税を増額し、地方自治体を守る姿勢に転換しない限り、抜本対策となり得ません。県知事を先頭に、新政権に対し、地方交付税増額を強く要請することを求めるものです。
 さて、このたび発覚した県社会福祉協議会元職員による生活福祉資金貸付金七百四十一万二千三百二十五円の横領事件は、低所得・障害者・高齢世帯の方々がやっとの思いで返還したお金を、ずさんな管理のもとで横領された許しがたい事件であります。平成二十年度の生活福祉資金関係事業に対し、千九百七十九万七千円の補助金が出されております。また、この生活福祉資金の原資は、平成二十年度予算に含まれていないものの、生活福祉資金一般分は七億七千三百五十一万九千円、離職者及び要保護分は二億五千万円が県から支出されていたことが判明しました。
 全容は明らかにされていませんが、県の指導監査が年に一回行われていたにもかかわらず発見できなかったこと、青森県社会福祉協議会の内部監査について、義務規定になっていなかったことや、監事から内部監査の必要性を指摘されていたにもかかわらず実施されなかったこと、会計責任者は金銭、預貯金の確認が義務づけられていたにもかかわらずその確認がなされてこなかった可能性が高いこと。
 二〇〇一年に起きた青森県住宅供給公社の十四億五千万余円巨額横領事件の際、県議会からその原因と指摘された公社組織の緩みと公金を扱っていることへの緊張感の欠如、公社及び県の監査体制の不備が、組織は違っていても繰り返されたことは重大です。
 また、天下り人事によるチェック機能麻痺、加えて、県OBの常勤役員三人へ支給した期末手当に給与規定にはない二〇%の加算をしていた問題も発覚し、信頼をさらに損ねる事態となっています。厳重な調査と指導を行い、二度と同様な事件が繰り返されることのないよう強く求めます。
 二十年度において発生した品種登録取り消し問題については、県民の信頼を大きく損ねる事態となりました。再発防止の観点に立ったチェック体制、公印の不適正使用防止体制がしっかり構築されるよう求めます。
 また、不適正な経理による国への返還金七千百三十七万円が二十年度補正予算に組まれたことについても厳しく指摘しておきます。
 平成二十年度における核燃サイクル事業は、前年度十一月から始まった六ヶ所再処理工場のガラス固化体の製造試験が、前処理建屋における剪断機油漏れ、ガラス溶融炉内における攪拌棒の曲がり、高レベル廃液の漏えいなどの相次ぐトラブルにより十六回目の延期がなされた年でした。その後もトラブルはやむことがなく、十七回目の延期が決まりました。日本原燃の副社長は、同規模の施設で実廃液による試験をすべきとの問いに、おっしゃるとおり。我々もしてみたいが、今からそれをつくると十数年、数千億円かかると答えました。六ヶ所を時間とお金の問題から再処理工場の実験場にしようとしていることが明らかになりました。現状が示している技術的に未確立な状態でアクティブ試験を再開することは断じて認められません。
 六ヶ所核燃施設直下に活断層の存在を主張している東洋大の渡辺教授が、同断層が繰り返し活動したことを裏づける露頭を確認したという研究成果を発表したことを受け、県は毅然と事業者に意見を述べ、万全な耐震設計を求めるべきであると考えます。
 以上、反対討論といたします。