2010.3.5 : 平成21年第 回定例会(第 号)  議事録が出来るまでではなく質問原稿を掲載しています

日本共産党の安藤晴美です。 
 通告に従い、一般質問を行います。

最初の質問は、
 雇用の創出・拡大と労働者問題に対する県の対応についてです。
 日本の大企業は、正社員の非正規労働者への置き換えと「使い捨て」労働の横行、リストラと賃下げ、中小企業への下請け単価切り下げなどをつづけて、巨額な内部留保を蓄積してきました。この10年間に企業の内部留保は200兆円から二倍の約400兆円に急増する一方で、雇用者報酬は1997年280兆円から2009年には253兆円と、27兆円もへっています。
 1月の有効求人倍率は、全国が0.46倍に対し青森県は46位の0.30倍、この春卒業予定の県内高校生の1月末現在の就職内定率は、過去3年間で最低の73.6%で、992人が未内定という厳しさです。そこで
 雇用情勢が厳しい中、県内企業における雇用の場の創出・拡大に向け、県はどのように取り組んでいくのか伺います。

 健常者の雇用も厳しい中、障害者の雇用はさらなる困難に直面しています。昨年9月に、障害者の雇用を支援する3団体が県に対し「多くの障害者を雇用する企業に対して地方税の減額、公的機関が発注した入札に参加しやすくするなどの優遇措置を」求め、それに対し蝦名副知事が「県も積極的に対応していきたい」と応じたと、報じられていました。そこで
 県内民間企業における障害者雇用を促進するために、県はどのような取組を行っているのか。また、今後どのように取り組んでいく方針か伺います。

 非正規労働者の雇い止め状況は昨年の11月青森県で3309人という深刻な事態です。労働者派遣法の改正がうちだされましたが、二つの抜け穴があることを指摘したいと思います。一つは、「製造業派遣の原則禁止」といいながら、「常用雇用」(常用型派遣)が「禁止の例外」とされている問題です。
 厚労省の調査では、派遣先が派遣会社との派遣契約を解除すれば 「常用型派遣」でも76・7%もの労働者が解雇されています。「常用型派遣」を例外とすれば、労働者は今の低賃金・不安定雇用から抜け出すことができません。製造業派遣の全面禁止が必要です。
 もう一つの“抜け穴”は、「登録型派遣の原則禁止」としながら、現行の「専門26業務」を例外としていることです。
「専門26業務」で働く100万人の半数近くがパソコンなどを扱う「事務用機器操作」であり、「専門」業務を抜本的に絞り込む必要があります。
 そこで
 労働者派遣法の改正案については、登録型派遣の原則禁止や製造業派遣の原則禁止などの方向で検討されているが、労働者派遣法の改正についての県の認識を伺います。

 増え続ける失業者の支援は、切実かつ緊急の課題です。多くの失業者にとっては「就ける仕事がまったくない」という状況です。厚労省の調査でも、この1年間に「派遣切り」などで失職した非正規労働者の半数が再就職できていません。新しい就職先も見つからないまま、雇用保険の失業給付が「期限切れ」で打ち切られる失業者が次々に生まれています。
 私どものもとにも、先が全く見えなくなったこうした方々の相談が相次いでいます。そこで
 生活・就労支援事業の目的と概要について伺います。

人事院が実施した国家公務員の苦情相談においては、パワー・ハラスメントに関する相談が全体の10%を占めるほか、他の地方公共団体においても、職場で部下に暴言を繰り返したとして懲戒処分が行われた事例があるなど、公務部門でもパワー・ハラスメントの問題が顕在化しています。
 「パワー・ハラスメント」(パワハラ)とは、「職権などのパワーを背景にして、本来の業務の範疇(はんちゅう)を越えて継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就業者の働く関係を悪化させる、あるいは雇用不安を与えること」とされています。
 青森県の事例でも1月21日付東奧日報の報道によれば、青森地裁が県職員の自殺を公務災害と認定した判決を下したことが報じられ、「休日出勤や時間外勤務によって身体的疲労や精神的ストレスを蓄積させていたのに加え、上司との関係等によって多大なストレスを日常的に受けていた」と、いわゆるパワハラが原因で自殺した事を認めた判決としています。県内の学校現場においても、パワハラが原因でうつ病を発症した事例や、怒鳴る・暴言を吐くなど、教職員組合には頻繁に告発や相談が寄せられているといいます。 そこで
 県職員に対する職場でのパワー・ハラスメントを防止するための指針を策定すべきと考えるが、県の考えを伺います。
 知事部局所管分、病院局所管分、教育委員会所管分それぞれの答弁を求めます。 
 
 2項目めの質問は 農林水産業の振興についてです。
 民主党が総選挙で掲げた日米FTAの「交渉促進」は、農業の輸出大国アメリカとの間で、関税撤廃など全面自由化を進めることになり、農業条件は規模も生産コストも、アメリカが圧倒的に優位で、焦点の米は経営規模で100〜150倍の差があります。そのため、日米FTAで関税が撤廃された場合、日本の米生産は82%、穀類生産は48%減少するとの試算があるように、日本農業は壊滅します。
 そこで
 日米FTA路線など貿易自由化を推進することで本県農業に壊滅的な影響を与えると考えられるが、県はどのように考えているのか伺います。
 
 政府は、「米戸別所得補償モデル事業」「水田利活用自給力向上事業」を打ち出しました。この中で、補てん内容の標準的な生産費とした1万3703円は、農水省の米生産費統計による08年度の全国平均1万6497円より2800円も低い水準であり、農家の期待にこたえ、稲作経営の危機を打開できる水準になっているかが問題です。さらに、補てん単価が全国一律というのも、平均より生産費の高い地方や販売価格の低い米を生産する地域では、赤字の一部が補てんされるにすぎず、水田農業の衰退を防ぐことはできません。また、米価暴落に何の対策もないままでは、米の買いたたきの横行、さらなる暴落を招くのは必至です。そうなれば「変動部分」の支払いが増大し、財政的に持続可能なのか、問われる事態になりかねません。
「水田利活用自給力向上事業」は、水田における主食米以外の増産を促し、食糧自給率の向上をめざすとしています。作物別の単価を全国統一単価にしており、その是正を求める声が政府に集中し、都道府県ごとに一定の柔軟性を認め、さらに作物ごとの交付単価が現状より下回らないよう「激変緩和」措置が盛りこまれました。しかし、県内一律の基準で配分など、地域性を考慮した対策を求める声が出ています。そこで
 戸別所得補償モデル対策に対する課題について、具体的に 国へ要望するべきと考えるが、県の見解を伺います。

  次に りんごの販売・加工対策についてお聞きします。
りんご生産者の方々から「21年産りんごは、つる割れが多かったことや早稲種や中生種が安かったことで、非常に経営が苦しい状態だ。」「加工用りんごが安く、加工りんごの回収業者も農家も苦しんでいる」などの声が寄せられています。そこで
 21年産りんごの価格が低迷しているが、最近の価格動向と、今後、価格浮揚に向けてどのように取り組むのか伺います。

りんごの付加価値を高める取組の一つとして、青森県産りんごによる発泡酒やブランデー等、アルコール飲料の開発に対する期待の声が、寄せられています。すでに、シードルなどの商品化は一部の企業でも進められていますが、県としてもこの分野で生産者や地元企業・NPOのみなさんと連携し、りんごの需要を高める努力が必要と思います。そこで、
 リンゴを原料としたアルコール飲料の製品開発のこれまでの取組と今後の対応について伺います。
 
 1990年から始まったリンゴ果汁の輸入自由化によって、輸入量はこの20年で倍増する一方、県産リンゴ果汁の利用実績は激減しています。こうした中で、一昨年、青森県弘前市のリンゴ加工品製造・販売会社による、産地の偽装表示事件が起きました。食品の信頼性に応えるべく外国産に対する県産りんごの原料としての優位性をアピールさせるために、国及び、県独自のとりくみが急がれます。そこで
りんご果汁製品の原料原産地表示義務化に向けての国の動きと、原産地の表示に関する県の取組について伺います。

 林業を、地域経済と低炭素社会実現に不可欠な産業として県政に位置づけ、間伐の実施による森林の整備と外材依存政策の転換、県産材の利用拡大を進める必要があります。そこで
 県産材の地産地消を進める上での課題と今後の取組について伺います。

 次に、水産資源の確保と漁業者の経営安定についてお聞きします。
 漁業が、食料の供給とともに、海洋・国土・環境保全の役割を果たすよう、水産資源の維持・回復、水産物価格の安定・省エネ対策など漁業経営の支援を行い、漁業・漁村の振興をはかる必要があると考えます。そこで
 水産資源の維持・増大にどのように取り組んでいるのか伺います。
 
 漁業者の高齢化が進む中での漁業経営の安定化は、大きな課題であり、漁業共済に対するの県の補助の継続と補助率アップを求める声が寄せられています。そこで
 漁業者の経営安定のため、県は、どのように取り組んでいるのか伺います。

 3項目目の質問は 子育て支援に係る課題と取組についてです。
子育てのための現金給付、手当の充実は、子育ての土台を抜本的に強化することとあわせて、いわば車の両輪で進めることが必要だと考えます。
 鳩山内閣は、子ども手当の財源にするため、所得税と住民税の年少扶養控除(16才未満)の廃止を合わせて決めてしまいました。所得税は11年1月から、住民税は12年6月から増税になります。所得税・住民税の増税が保育料などに連動し“雪だるま式”の負担増を招く恐れもあります。 そこで
 平成22年度の子ども手当制度の概要と、実施するに当たっての問題点について伺います。

 次に 県立高等学校の授業料無償化及び私立高等学校の就学支援についてお聞きします。
 高校教育の授業料無償化が打ち出されたことは、これまでの国民の粘り強い運動の成果であり、憲法26条の「等しく教育を受ける権利」に沿った当然の流れであると考えます。しかし、財源として所得税と住民税の特定扶養者控除のうち、16才〜18才の分の縮減が決められたことは重大です。
 これまで授業料免除されていたり、特別支援学校の高等部や定時制・通信制高校の場合も、授業料が元々安いために、無償化の恩恵はわずかしかなく、特定扶養者控除の縮減によって一方的に増税になったり、授業料の軽減額より増税額の方が大きかったりする場合が出てきます。以下4点についておききします。
 一つ 県立高等学校の授業料無償化が実施された後にも、なお残る保護者負担経費の内容について、伺います。

一つ 私立高等学校において就学支援の新制度を導入した後、授業料等の個人負担はどのようになるのか伺います。

一つ 生徒の保護者がリストラによって離職を余儀なくされ、家計が急変した場合、どのように対応するのか伺います。

一つ 私立高等学校の現行の授業料軽減補助制度の水準は維持されるのか伺います。

 次に、共働き世帯などの子どもが急病又は、病気の回復期に登園・登校できない際に預かる病児・病後時保育は、共働き世帯にとっては、貴重な保育サービスの一つです。しかし、全国にある1164箇所の病児保育施設のうち、昨年度は6割以上が赤字で、今年度は8割前後に増える見通しと言われています。08年度までは、定員に応じて額が決まるしくみから、09年度から定員に関係なく、各施設に150万円を補助し利用者数に応じて加算する方式に変更したからです。そこで
 病児・病後児保育の現状と県の支援について伺います。

 4項目めの質問は、原子力行政についてです。
 初めに、核燃料サイクルに対する県の認識について
 核燃料サイクルの要である再処理工場は、着工してから16年、現在まですでに建設費に2兆1900億円も投入され、3度の高レベル放射性廃液漏れ、、攪拌棒の曲がり、レンガの落下など相次ぐトラブルで本格操業17回の延期に見舞われています。 そこで
 六ケ所再処理工場のしゅん工までの工程について、昨年9月に示されたスケジュール通りに進まずに、ガラス溶融炉からのレンガ回収など遅れているが、県はこの事態をどう受けとめているか伺います。

 動燃在職時にガラス固化の開発をしたという京大教授の山名元氏は、「東奥日報」の取材に応えて「今回の工程の不調は安全上の問題ではなく、装置の処理性能が十分でないため稼働率が下がるという経済性の問題である」「白金属元素の沈降や炉運転の制御に難しさがあり、実際の運転でこれらが顕在化したが、工学的改良や改善で解決できると思う」と述べたといいます。
 まさしく六ヶ所のガラス固化は試験施設の段階であり実用化技術に至っていないことを自ら示したと言えます。
 そこで
再処理工場で採用しているガラス固化の技術は、まだ実用化できるレベルに至っていないと思うが、県の見解を伺います。

 1997年11月25日、仏ブザンソン大学医学部生物統計学疫学科教授J.Fウ”ィエル氏から青森県知事(当時)宛に公開書簡が届き、ウ”ィエル教授らの行った疫学調査により仏コジェマ社ラ・アーグ再処理工場から35`以内で小児白血病の相対リスクが2.9倍、5歳〜9歳では6.38倍であることがわかり、2005年稼働予定の六ヶ所再処理工場が、仏コジェマ社再処理工場をモデルにしているため、六ヶ所が工場運転を開始する前に、青森県での医学的かつ疫学的調査を強く望んだものだったといいます。
そこで
 再処理工場から放出される放射性物質により長期間被ばくすることで、人体に影響を及ぼすことはないのか見解を伺います。
 
 再処理工場は原発の250倍もの放射性物質を放出すると言われており、中でも除去装置の技術があるにもかかわらずトリチウムとクリプトン85を海や空に放出し続ける事は、許されません。そこで
 再処理工場から全量が放出されるトリチウムとクリプトン85について、除去装置を取り付けるよう事業者に要求するべきと考えるが、県の見解を伺います。

 プルサーマルについて、日本科学者会議エネルギー・原子力問題研究委員会は「プルサーマルは、プルトニウムという危険な放射性物質を大量に社会に流通させる一方、資源の有効利用の点からもそのメリットはきわめて小さく、その上処分に困る、劣悪なプルトニウム(高次化プルトニウム)を大量に生み出すという、きわめて拙劣(せつれつ)なプルトニウムの利用技術であるとして、原子力発電所へのプルサーマル導入に反対しています。そこで
 プルサーマルに伴って発生する使用済MOX燃料の再処理は困難であるとの指摘があることについて、県の見解を伺います。

 市民団体が、2008年7月7日付けで知事あてに提出した「再処理工場本格稼働中止を求める署名」にかかわって作成された一切の文書の開示請求に際して提出された文書で、県から国や事業者側にすべて報告がされていたことが分かりました。その際提出者の住所や個人名が伏せられずにそのまま流されていたことは、個人情報保護の観点から大きな問題であり、県が事業者側と癒着しているのではないかと思われても仕方ありません。
 そこで
 六ケ所再処理工場の操業中止を求める市民団体からの申し入れについて、県が、個人情報を伏せずに申し入れに係る情報を国や事業者に提供していることは、青森県個人情報保護条例に違反するのではないかと考えますが、県の見解を伺います。
 
 5項目目の質問は 本県における軍事機能強化と県の対応についてです。
 2010年度の軍事費は、4兆7903億円が計上され、「米軍再編関係経費」全体で481億円増の1320億円、「思いやり予算」は、1881億円、ミサイル防衛関連予算の総額は、45億円増の1157億円などとなっています。
 1998年8月北朝鮮が中距離弾道ミサイル「テポドン1号」発射を契機に、この脅威を監視するため、米軍が2006年6月米陸軍車力通信所に移動式早期警戒システム「Xバンドレーダー」を、その翌年には三沢基地に、移動式情報処理装置「JTAGS」を配備しました。そして、国が弾道ミサイル防衛(BMD)の一環としてむつ市の航空自衛隊大湊分屯基地に今年度中の完成をめざし、新型レーダー「FPS−5」が建設されています。将来は米軍のレーダー網とも結び、イージス艦や地対空ミサイル部隊で迎撃するシステムの要とされています。そこで
 本県が日米ミサイル防衛システムの最前線になっていることについて、県の見解を伺います。

 警戒管制レーダー(FPS−5)は、新潟県、鹿児島県、沖縄県とともに本県むつ市釜臥山山頂に建設されていますが、山頂は下北半島国定公園で高層建築は規制されています。管理する青森県は、「レーダーは建築物ではない」として黙認しました。市民団体は、「景観や自然を守るための法律が骨抜きになっている」と訴えています。
 電磁波が、鳥類の繁殖に悪影響を及ぼすという実験結果や事例報告があり、沖縄では、ラジオやテレビへの難視難聴問題が起きているといいます。そこで
 航空自衛隊大湊分屯基地に配備される警戒管制レーダー(FPS−5)の電磁波により周辺環境に影響が生じた場合の対応について伺います。

今年の1月22日07年と同じようにF16戦闘機が燃料タンクを三沢市沖洋上に投棄するという事件がまた、発生しました。89年度以降14回目といいます。米軍人等による事件・事故の多さにも驚くばかりです。この3年間だけでも、窃盗、ひき逃げ、住居侵入、酒気帯び運転など15件も発生しています。
 日米地位協定が、在日米軍に数々の特権をあたえ、米軍の横暴を許し、米軍の事件・事故・米兵犯罪の温床ともなっています。日米地位協定は、ドイツの「NATO軍・地位補足協定」と比べても、基地立ち入りと警察権、基地外での演習・訓練、米軍の出入りと移動、環境アセスメントなど、あらゆる面で主権国家といえない、治外法権的な全く異常な特質を持っています。
異常な従属的関係はすみやかにただすべきと考えます。そこで
 米軍人等による事件や演習中の事故など、度重なる米軍の不祥事に対しての県の対応と、日米地位協定の見直しに対する県の取組について伺います。
以上壇上からの一般質問を終わります。