2010.7.21: 平成22年度建設委員会 抜粋 本文(質疑2)
 次の質問に移ります。大和沢ダムについて伺います。
 大和沢ダムは287億円の事業とされていたものなんですが、それを県としては中止の方向を打ち出しております。というふうに理解しているんですが、この大和沢ダム建設事業の今後の方向性についてお伺いしたいと思います。
◯加藤河川砂防課長
 大和沢ダム建設事業は、岩木川水系大和沢川の洪水調節と、土淵川及び腰巻川への環境用水の補給を目的として、平成5年度より実施計画調査中の事業でございます。
 これまでの調査結果から、弘前市街地等の下水道整備が急速に進み、土淵川及び腰巻川の水質が大幅に改善されたことから、両河川への環境用水の補給の必要性がなくなったと判断し、今年度の青森県公共事業再評価等審議委員会に中止の方向で提案して、御審議いただいているところでございます。
 今後とも、大和沢川の治水対策は必要でありますので、河川改修を進め、県内の同規模河川並みの治水安全度を確保することとしてございます。
◯安藤委員
 青森県公共事業再評価等審議委員会にその旨を伝えたということなわけですが、その審議内容についてはどのようになっているか。そして、再評価審議委員会での最終的な結論はいつごろ出ることになるんでしょうか。
◯加藤河川砂防課長
 再評価委員会が今までに2回行われてございます。第1回目の会議で、県の中止の意向及び事業の概要、それから環境等の現状につきましての御説明をさせていただいてございます。第2回目の審議では、詳細審議をする箇所としまして大和沢川が計上されてございまして、次回、現地調査をして審議をすることとなってございます。そして、結論でございますけれども、その答申は今年度11月ごろと聞いてございます。
◯安藤委員
 この委員会の議事録、1回目の議事録をちょっと読ませていただきましたが、この審議の中で、今、最初に答弁していただいた目的の中にちょっと触れられてはいなかったんですけれども、治水の問題についても委員の方から質問が出されていました。この治水の問題については、ダムの中止でどう対応していこうと考えているのか伺いたいと思います。
◯加藤河川砂防課長
 大和沢川の治水対策についてどう考えているかということでございます。大和沢川では、昭和50年8月20日や昭和52年8月5日の大雨で洪水被害をこうむってございます。このことから、昭和57年度から平成8年度にかけて、平川合流点から上流2.2キロ区間で河川改修事業を行っていましたが、平成9年度以降は休止してございます。
 県では、ダム事業を中止した場合でも大和沢川の治水対策は必要であると考えており、河川改修事業を復活させ、昭和50年や昭和52年の洪水が起こってもあふれることがないよう河川改修を進め、県内の同規模河川並みの治水安全度を確保することとしてございます。
◯安藤委員
 そうしますと、河川改修事業で、ダムをつくらなくても洪水を起こすことはないような対策が講じられるということでよろしいわけですか。
◯加藤河川砂防課長
 ダムを中止する方針でございましたけれども、当然、ダムを計画するときに、河川改修とセットで計画してございましたので、河川改修を進めることによって周辺と同規模の河川の治水効果は上げられると考えてございます。
◯安藤委員
 その前の答弁で復活をするというお話でしたが、平成9年まで改修工事されていたのを復活するというお話でしたので、ちょっと私の理解の仕方が間違えていたんでしょうか。要するに、河川改修事業を一時取りやめていたけれども、ダムを中止することで復活をするというふうな理解でよろしいですか。
◯加藤河川砂防課長
 委員御指摘のとおりでございます。
◯安藤委員
 川の周辺に住んでいる方たちにとってはやはり洪水の問題が一番心配なことだというふうに思いますが、住民への説明については今後どのようになされていくのか伺います。
◯加藤河川砂防課長
 大和沢ダム中止についての地元住民への説明ということでございます。去る5月27、28日の2日間にわたりまして、大和沢川沿線の12町会、約4,000世帯の方々にお知らせし、住民説明会を開催してございます。2回の住民説明会に参加いただいた方は、町内会長など地域住民を代表する方々を含めて総数で17名でございました。住民の方々からは、今後も突発的な災害はあり得るため、治水対策をしっかりとお願いしたいという要望はありましたが、ダムを中止することに対しての反対意見はありませんでした。
 また、5月の説明会に来ていただけなかった方々に、より一層理解を深めていただくため、来月になりますが、大和沢川沿線の全世帯にチラシを配付し、御意見や御要望をいただきたいと考えております。
◯安藤委員
 十分住民の方たちの納得いく説明と、そして意見を十分組み入れていただきたいというふうには思います。
 次の質問ですが、大和沢ダム建設事業を中止した場合の土淵川の環境改善について、どのようにするのか伺いたいと思います。
◯加藤河川砂防課長
 大和沢ダム建設事業を中止した場合の土淵川の環境改善についてお答えします。
 地元の方々からは、土淵川の水質が改善されたことは理解しておりますが、夏場の渇水の時期には土淵川の水量が不足し、水深が浅くなる時期があることから、川らしい流れを望む声がございます。
 土淵川では、平成7年度から平成17年度にかけて、第1期工事として、人家連檐部の野田橋から徒橋までの1,060メートル区間におきまして、河岸や瀬、ふちなど変化のある自然的な河道を創出し、かつてのように人々に親しんでいただけるような川にするための整備を完成しております。
 そして、平成21年度からは、第2期工事として、上流の土手町を含む中心市街地である徒橋から寺沢川合流点までの1,120メートル区間に着手しており、低低水路の整備を行うなど川の水量感を感じていただけるように、また、低低水路のわきには散策を楽しんでいただけるよう遊歩道を整備するなど、環境改善を図っていくこととしております。
◯安藤委員
 環境改善の整備について、すぐ周辺に住んでいる方はもしかしてそう言うかもしれないんですが、弘前市民の方たちが、その整備はどういう意味があるのか、余りよく理解されていないのが実情です。確かに川に親しむということはもちろん有効だなというふうに思いますが、それが水の水量が少なくなることにかかわった工事であるんだということや、それから生物などにいい影響をもたらすというふうなことなど、余り十分な理解がされていない。こういうふうな工事は本当に必要なんだろうかという思いを持っておられる方もいるんですね。ぜひ、その環境改善というその整備事業がどういう意味があるのかということをぜひ地元の方たちに周知していただきたいなというふうに思っています。
 それから、弘前市が県に対する重点要望事項の中に大和沢ダムの建設を求める事項が1つ入っているわけですが、先日も弘前市のその説明会に臨んできたわけですが、弘前市長がおっしゃっていたのは、もし中止をするのであれば、その代替案を明確にしてほしいんだというふうなお話をされていましたが、その代替案というのが、今お話にあった土淵川の環境改善というのもその一つになるのかなというふうに思いますが、弘前市長の言うその代替案ということに対して県はどのようなお考えを持っておられるか伺いたいと思います。
◯加藤河川砂防課長
 まず、弘前市が重点要望していることに関しての件はどのように対応するのかでございますけれども、弘前市には、土淵川や腰巻川の水質が改善され、両川への環境用水を補給する必要性がなくなったと判断し、大和沢ダム建設の中止の方針を青森県公共事業再評価等審議委員会に諮っていることをお伝えしてございます。
 そして、ダムを中止した場合でも、土淵川の徒橋から寺沢川合流点までの区間については、低低水路や遊歩道を整備して環境改善を図っていくなどして説明し、理解を求めていくこととしてございます。
 そして、低低水路と申し上げますのは、水量は減少するんではなくて、要するに従来と同じ水量でございます。ですが、広い川幅で水が流れますと薄い水になる、それから流速も落ちます。ということで、水が滞留することによっていろんな環境に対する悪さをするということでございますので、その水を、真ん中のほうに、1つ断面をつくりまして、そちらを流すことによって水量感は出ますし、それなりの流速、それから、水が少ないときにでもそこの水路できれいに流れるという状況ができますので、そういうものをまずやりまして、状況を見ながら、その環境の変化の状況等ですけれども、昔のようにユスリカが発生するとか、そういうことも含めて今後も見ていくということで、その後、課題があれば再度検討するということにしてございます。
◯安藤委員
 ぜひ、その低低水路という手法で改善していくというお話があるわけですので、弘前市側とも十分意見交換をしながら納得のいく形で事業を進めていっていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いします。