2011.5.20: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑2)
◯安藤委員
 2問目の質問は介護保険についてです。介護給付費削減のために、軽度者を介護保険給付から締め出すということが、政府・厚生労働省の一貫した方針だと聞いております。今回、要支援者の受け皿として、規制の緩い安上がりなサービスを総合事業として創設し、要支援者を保険給付の対象外にする仕組みをつくろうとしています。
 要支援者は、現行の介護保険制度のもとでは、専門家による要介護認定によって保険給付の対象とされ、全国一律の基準に基づく保険給付を受ける権利を持つ人たちです。これらの人を市町村の判断で保険給付の対象外とするような仕組みをつくることは、許されないと思います。
 そこで、国は要支援と認定された高齢者のサービスについて、新たな制度を創設すると聞いていますが、その内容について、県の把握状況を伺います。
◯伊藤高齢福祉保険課長
 お答えします。
 国では今国会に、介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案を提出しているところでございます。その中の一つとして、介護予防、日常生活支援総合事業を創設することになっています。
 このことについて国からは、ことし2月に厚生労働省主催の担当課長会議において、簡易な資料が示されておりますが、それによると内容は、1つとして、市町村の判断により、要支援者・介護予防事業対象者向けの介護予防・日常生活支援のためのサービスを総合的に実施できる制度であること。2つとして、市町村・地域包括支援センターが、利用者の状態像や意向に応じて、予防給付で対応するのか、新たな総合サービスを利用するのか判断すること。3つとして、利用者の状態像に合わせ、見守り・配食等も含めて、生活を支えるための総合的で多様なサービスを提供することが可能になることとなっております。
 なお、現時点においては、具体的な運用方法など詳細については、県として把握していないところでございまして、今後、国からの情報に留意してまいりたいと考えております。
 以上です。
◯安藤委員
 この国の動きに対して、今、全国で、これをやめさせようという大きな動きがあります。一番重要なことは、市町村に任せることになると、市町村によってサービスの内容や質に差が生まれることや、利用者の負担は、1割負担の保険給付より高くなる可能性があるという心配がなされているからです。ぜひとも、県としても、利用者の方たちのサービスが後退する動きに対しては、厳重に声を上げていただきたいと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
◯伊藤高齢福祉保険課長
 この介護予防・日常生活支援総合事業における利用者のサービス選定方法は、利用者の状態や意向を踏まえ、市町村・地域包括支援センターが適切なサービスを判断すると聞いているところです。
 したがって、市町村がサービス内容を決めるものの、その過程において、利用者の意向をも踏まえておりますので、適切なサービスが提供されるのではないかと考えております。
 以上です。
◯安藤委員
 それでは、現在の状況について伺いたいと思うのですが、県内の要支援者の現状把握及びサービス受給状況について伺います。
◯伊藤高齢福祉保険課長
 お答えします。
 県内で要支援の認定を受けている方は、平成23年3月末時点で、要支援1が約6,700人、要支援2が約7,500人の合わせて約1万4,200人となっています。これは、介護認定を受けた方全体の約21%となっているところです。
 次に、サービスの受給状況につきましては、要支援1で約4,900人、要支援2で約5,900人の合わせて約1万800人の方が何らかのサービスを利用しており、要支援認定者全体の約75%の方がサービスを利用していることになります。
 なお、1カ月当たりの支給限度額は、要支援1が4万9,700円、要支援2が10万4,000円までのサービスを利用することができます。
 この受給しているサービスの内容は、主に訪問介護、デイサービス、ショートステイなどの介護予防サービスとなっています。
 以上です。
◯安藤委員
 訪問介護サービスなどを実際にやっている方々のお話を聞きますと、要支援の方たちの状況は、サービスを受けて、やっと自立が維持されていると見られる方たちがたくさんいるといいます。今のお話にもあったように、それでも上限負担が4万9,700円、要支援2が10万4,000円ということでしたので、今でも自己負担は4,000円とか1万円、1割負担がかかっているわけですが、そうした現状の中で、サービスを受けることで高齢者の方たちが生活を維持できている実情があります。
 要支援のうち75%の方たちがサービスを利用しているということですけれども、利用料の負担が重くて受けられない方たちが実際に、すべて、先ほどの話だと、75%が利用しているということですので、25%の方たちは使っていないということですので、その方たちがすべて、利用料の要因で受けてないとは言えないけれども、負担が重くて受けられない方たちがいるのも、実態であります。
 先ほど、利用者の意向も十分加味されるので、心配ないということも話されていましたけれども、市町村によってサービスの差異が生まれることや、それから、重い負担がさらに加えられていく心配もあるわけですので、現行の水準を後退させることのないように、県としてはぜひとも十分配慮していただきたいと、そこはそういう姿勢を堅持していただきたいと思います。
 今後、法の改正がされてしまったとするなら、ぜひ、市町村との連携を強めていただいて、後退がないようにしていただきたいと思います。それよりも、まず法の改正が行われないよう、ぜひ県としても声を上げていただきたいということを要望したいと思います。