2011.5.20: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑5)
◯越前委員長
 ほかに質疑はありませんか。──安藤委員。
◯安藤委員
 福島第一原発の事故が、改めて原発の技術的に未確実な面があるということを示した事件だったと思います。一たん事故が起きると、先ほど来出ている風評被害も含めて、多大な影響があり、地元の人たちが住むこともできなくなる大変な事態になることを示しました。やはりこのことを今、私たち日本国民一人一人が今後、原発をどう見ていくのかということを突きつけられていると思います。
 マスコミや科学者の方がいろいろなことを発表していますけれども、私の手元にある新聞に書いてある東北大学大学院教授の長谷川公一さんという方も、政府も電力会社も報道機関も、原発の危険性を過小評価してきた。地震列島日本での原発震災の危険性を認めた上で、なお原発を選ぶのか。エネルギー政策を論じる際にはそこを意識する必要があると述べられています。まさしく私もそうだと思います。
 多少の汚染は直ちに健康に影響を与えないような言い方がされていますけれども、それは決して正しくないことであり、特に乳幼児の子供さんたちについては、本当に微量の放射性物質でも大きな影響を及ぼすわけです。
 きのうも原発、今回の事故についての学習会が弘前市で、市民団体を中心に行われたのですけれども、その際に弘前大学の先生は、放射能によっての影響というのは、広島、長崎、チェルノブイリ、このようなケースの中で、人的にどういう影響があるのかということが実証されているのであって、明確な答えは出ていないということです。ですから安易に、健康に影響を与えないなどとは言うべきではないと思います。微量だから大丈夫だなどというような観点に立つべきではないと思います。
 そこで、質問ですけれども、先ほど来、出ていたことですが、これだけ福島第一原発で放射能汚染が拡大している中で、世界から見れば、東北の中の青森であって、福島と青森県がどれだけ離れているかなどというような見方はしません。東北は1つと見ています。そういう中で、福島第一原発の事故を踏まえ、青森県の影響はどうなのかということをきちんと科学的に調べることは重要だと思います。
 そこで、福島第一原子力発電所の事故に伴う本県への放射性物質の影響について、環境生活部ではどのような調査を実施しているのか。また、調査結果はどうなっているのか、伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 福島第一原子力発電所の事故に伴う調査結果についてでございますが、県では、空間放射線量率、飲料水、野菜、海水、魚介類などを対象として、モニタリング計画に基づき、県内の原子力施設周辺地域において、環境放射線モニタリングを継続的に実施しております。四半期ごとに評価・確認を行うとともに、国の委託により、県内の環境放射能水準調査を実施しております。県では、県民の安全・安心を確保する等の観点から、環境放射線モニタリングで実施している空間放射線量率の測定地点20カ所に弘前市、八戸市を加え、22カ所とするとともに、水準調査として、青森市における降下物(雨水・ちり)及び水道水中の放射性物質の測定を毎日実施するなど、県内の環境放射線の監視を強化しております。
 これらの測定結果については、県庁のホームページ及び携帯電話で見られるモバイル県庁のサイトで毎日公表するとともに、報道機関へ情報提供しています。
 これまでの測定結果ですが、一部の試料(降下物、大気、アブラナ及び海藻類のチガイソ)に、ごく微量の放射性物質が検出されておりますが、いずれも健康への影響はございません。
 以上です。
◯安藤委員
 今、結果のところで示されたのは、アブラナとチガイソの結果でしたけれども、そのほかに青森市で採取した降下物中にヨウ素131が検出されたとも聞いておりますが、この件についてはいかがでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 これまでの調査結果で、アブラナ、それから海藻類のチガイソのほかには、降下物とか大気から検出されております。降下物につきましては毎日、採取測定していますけれども、これまで最大値が、ヨウ素131で1平方キロメートル当たり45メガベクレル、セシウム134が1平方キロメートル当たり38メガベクレル、セシウム137が1平方キロメートル当たり36メガベクレルでございました。
 これは福島近辺で最大で数万メガベクレル検出されておりますので、それから見ると、2けた、3けたは低い数値でございます。
 それから、大気中のヨウ素131についても検出されておりますが、これは3月22日から5月9日まで1週間ごとに採取測定している試料でございます。最大値は1立方メートル当たり2.0ミリベクレルで、法令に定める周辺監視区域外の空気中ヨウ素131の濃縮限度に比べますと、濃度限度が1立方メートル当たり5,000ミリベクレルですので、これの約2,000分の1程度のものでございます。
 以上でございます。
◯安藤委員
 健康には影響ない値ということですけれども、検出されている事実は事実でありますので、十分注意する必要はあるのではないかと思います。
 あと、モニタリングステーションの箇所をふやしていくことも必要ではないかと思うのですが、この件についてはいかがでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 モニタリングのほうについては、福島の状況も見ながら、これからも注意深く監視を続けていきたいと思っています。
 それからモニタリングポストの増設でございましたけれども、私ども、原子力施設周辺にモニタリングポストを20カ所持っております。そのほかに今回は弘前市と八戸市に可搬型のモニタリングポストを設置しています。これからも必要があれば、そういうような対応をとっていきたいと思います。
◯安藤委員
 やはり安心をするためには、しっかりとした現状を把握することが必要と思いますので、原子力施設周辺だけでなく、弘前、八戸でもやっているということなので、それをぜひもう少し広げて、調査をしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 現状の福島の状況は、今、幾らか落ちついていると考えておりますので、その状況を見ながら、必要があれば、それなりに適切に検討してまいりたいと思っています。
◯安藤委員
 ぜひよろしくお願いします。