20117.21: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑2)
それでは、通告していた質問に入ります。
 最初は、予防接種について伺います。
 日本は予防接種後進国と言われています。ポリオのワクチンは、先進国では既に10年以上前から副作用のない、より安全な不活化ワクチンに切りかわっておりまして、日本ではようやく早ければ来年度には導入との意向が厚生労働省から示されております。そこで質問いたしますが、国では不活化ポリオワクチン導入を検討していると聞いているが、県において、その状況を把握しているのか伺います。
◯葛西保健衛生課長
 現在、定期の予防接種に用いられる生ポリオワクチンは、ウイルスの病原性を弱めたものを使っているため、極めてまれではありますが、ワクチンからポリオに感染するワクチン関連ポリオ麻痺の発生や、ワクチンを飲んだ子供から家族等へ感染する二次感染例が報告されております。
 このため、国では生ポリオワクチン由来による麻痺を防止する方策として、ウイルスの感染性や病原性をなくした不活化ワクチンの導入を検討しています。ことし5月に開催された厚生科学審議会感染症分科会の予防接種部会において、ジフテリア、百日せき、破傷風に不活化ポリオワクチンを加えた4種混合ワクチンを早ければ平成24年度中に国内で導入できるとの見通しが示され、これにあわせて4種混合ワクチンによらない単抗原不活化ポリオワクチンの開発も進めていく方針が確認されました。
 今後の国の検討作業ですが、国では、生ポリオワクチンから不活化ポリオワクチンへの迅速かつ円滑な移行や、移行時における課題に対応するため、専門家や接種現場の関係者等による検討を進めていくと聞いております。
◯安藤委員
 今の答弁にもありましたように、ポリオの生ワクチンは生きたウイルスの毒性を弱めたもので、まれにお腹の中で増殖しているうちに変容し、毒性が強まってしまうことがあり、WHOによると、実際のポリオと同じような麻痺が100万人に約2人発症されているとしています。そこで、青森県においては、これまでそのような発症事例というのがあるのかどうか伺います。
◯葛西保健衛生課長
 そのことについては、これまで報告はされておりません。
◯安藤委員
 それはよかったです。生ワクチンから不活化ワクチンに切りかわるという方向性が国から示されているわけですが、切りかわるまでの間、県としてはどのような措置をとることになるのか伺いたいと思います。
◯葛西保健衛生課長
 現在、予防接種法に基づき使用できるワクチンは生ポリオワクチンに限られており、海外から輸入される不活化ポリオワクチンも存在しておりますが、国内での効果と安全性の確認が行われていない未承認であることから、県といたしましては当該ワクチンを勧めることは考えておりません。現在の生ポリオワクチンを接種する方向でございます。
◯安藤委員
 全国の医師たちの間で、国内の不活化ワクチンの生産が整うまで国の責任で輸入をと、厚労省に要請もされています。また、最近の地元紙では、藤崎町のせきばクリニックで、昨年10月より、フランスから不活化ワクチンを輸入する任意の予防接種を実施し、県内外から来院する親子が絶えず、約500人が接種していると報じられていました。こうしたことから見ても、一日も早い不活化ワクチンの接種を望む声が大きいわけですが、国の制度が確立するまで、国として輸入することを県からも政府に声を上げていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
◯葛西保健衛生課長
 現在、不活化のポリオワクチンにつきましては、国内4社で開発が進められ、ことしの年末ごろから順次、薬事承認申請がされる予定と聞いております。このため、国では承認されるまでの間は生ポリオワクチンの接種を継続していくということでございますので、県といたしましては、国の方針を注視してまいりたいと考えております。
◯安藤委員
 先ほど紹介したように、既に輸入している、そういう医者にはこのように殺到していることも事実あるわけなので、そういう状況も踏まえながら、ぜひ県としても、一日も早く実施できるよう、国に声を上げていただきたいと、これは要望しておきたいと思います。
 ヒブや小児用肺炎球菌ワクチンは、乳幼児にとって最も重い病気である髄膜炎のほとんどを防ぐことができるとされています。また、子宮頸がんは予防接種によって防ぐことができる唯一のがんと言われているもので、国のワクチン接種への助成が長い間待たれてきたものです。そこで、小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン及び子宮頸がん予防ワクチンの3ワクチンについては、平成24年3月まで県が市町村に助成することになっていますが、平成24年4月以降の取り組みについて伺います。
◯葛西保健衛生課長
 お答えします。
 小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン及び子宮頸がん予防ワクチンの3ワクチン接種事業は、平成22年11月から国の緊急総合経済対策の一環として実施しております。事業の形態は、国からの交付金を財源に、国に基金を設置し(後刻「県に基金を設置し」と訂正)、市町村が実施する3ワクチンの接種事業に対して助成するもので、事業の実施期間は平成24年3月までとされております。
 平成24年4月以降の取り組みについては、国は本事業の実施状況を踏まえ、3ワクチンを予防接種法上の定期接種の中に位置づけられないか検討しているとのことであり、県といたしましては、今後の国の動向を注視してまいりたいと考えております。
◯安藤委員
 ぜひその方向性が実現できるよう、県からも国へ要請していただきたいと思います。
 小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン、これらが一時期、接種の見合わせがされていたわけですが、現在の状況はどのようになっているか伺います。
◯葛西保健衛生課長
 子宮頸がんワクチンにつきましては、ワクチンメーカーからの供給量が十分でないという理由で、本年3月から6月上旬まで、初回の接種者への接種を差し控える方針を示していました。その後、ワクチンメーカーが十分な供給量を確保したことに伴い、7月20日から順次、すべての対象者に対する接種が再開されております。
 その他のヒブワクチンと小児用の肺炎球菌ワクチンにつきましては、4月から順調に接種しております。
◯安藤委員
 3つのワクチンの接種状況ですけれども、どのような接種状況でしょうか。
◯葛西保健衛生課長
 本県における平成22年11月から平成23年5月末までの3ワクチンの接種状況でございますが、子宮頸がん予防ワクチンにつきましては、被接種者数が3,529人で延べ接種回数は6,753、ヒブワクチンにつきましては、被接種者が7,868人で延べ接種回数は1万32、小児用肺炎球菌ワクチンにつきましては、被接種者が7,408人で延べ接種回数は9,313になっております。
◯安藤委員
 そうしますと、対象者の方たちは、ほぼ受けているという理解でよろしいでしょうか。
◯葛西保健衛生課長
 接種されている方は、対象になっている方の約1割と把握しております。
◯安藤委員
 せっかく無料で受けられるようになったワクチンが1割というのは、残念な数だと思います。ぜひ対象者を持つ保護者の方たちに理解を深めていただくような周知をしていただきたいと思います。
 日本では国が責任を持って進める定期接種のほかに、本人や保護者が自分の責任で費用を負担して受ける任意接種があるわけですが、他の国にはないやり方で医療関係者からも批判されています。WHOでは、日本が定期接種している予防接種のほか、B型肝炎、小児用肺炎球菌、ヒブ、子宮頸がん、ロタウイルス、水疱瘡の6種を推奨しています。小児用肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン、子宮頸がんワクチンは補助がついて、先ほどの答弁でも定期接種の方向にあるようですが、今の時点ではまだ定期接種にはなっていません。そこで質問ですが、任意の接種ワクチンについて、定期接種する方向での見直しは検討されているのか、その状況について伺います。
◯葛西保健衛生課長
 定期接種につきましては、予防接種法上、まず、一類疾病といたしまして、その発生及び蔓延を予防する必要があるものとしてジフテリア、百日せき等の9疾病、それから二類疾病といたしまして、個人の発病または重症化を防止し、あわせてこれにより、その蔓延を予防する必要があるものとしてインフルエンザの1疾病、合計で10の疾病を指定し、これを予防する上で有効であることが確認されているワクチンを接種するものであるとされております。
 この定期接種の対象となるかどうかにつきましては、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会において検討することとされておりまして、現在、任意接種とされている疾病・ワクチンについて、予防接種法上の一類疾病、二類疾病に該当させ、定期接種にできないかどうかについて検討がなされています。
 具体的な検討状況といたしましては、任意接種である成人用肺炎球菌ワクチン、水痘ワクチン、おたふく風邪ワクチン、B型肝炎ワクチンに、先ほどの3ワクチンを加えた計7種類のワクチンが任意接種から定期接種にできないかどうか検討の対象となっていると聞いております。
◯安藤委員
 こういう問題も、ぜひ地方から、県からも声を上げて、一日も早い定期接種の方向に向かうよう努力していただきたいと思います。
(午後の質疑で以下の訂正有り)
◯葛西保健衛生課長
 午前の安藤委員の御質問に対する答弁の中で、小児用肺炎球菌ワクチンと3ワクチンの事業について、国からの交付金を財源に県に基金を設置しとすべきところ、国に基金を設置しと答弁いたしました。改めて県に基金を設置しと訂正させていただきます。