20117.21: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑3)
◯安藤委員
 2問目、安定ヨウ素剤の配布について伺います。
 福島第一原発事故で避難や警戒区域の住民に対して、ヨウ素剤服用についての取り扱いは混乱の中で大変だったようです。南相馬市の日本共産党の議員に聞いたところ、3月12日、10キロから20キロ圏内にある南相馬市の区役所に福島県がヨウ素剤を段ボールに入れたまま、指示もせず置いていったのだそうです。同日午後、オフサイトセンターからも同じように届けられたそうです。ただ置かれているだけだったようです。そうした状況の中で、多くの方たちが市長に服用させるよう声を上げたそうです。やっと市長が服用の許可を出し、服用の仕方の説明書をコピーして配布している最中に、さらにほかの場所に移動命令が発令されて、結局、だれ一人服用されずに違う場所に移動したとのことです。
 このように、事故が発生すれば、大混乱の中で、多分、指示書などもあったかと思いますが、そのとおりには行かなかったというのが実態のようです。そこで、青森県が現在計画している点について伺います。安定ヨウ素剤の配備状況及び予防服用の決定と配布の方法について伺いたいと思います。
◯藤本医療薬務課長
 お答えいたします。
 まず、安定ヨウ素剤の配備でございますけれども、青森県地域防災計画原子力編において定めてございます六ヶ所村、東通村、むつ市及び横浜町の特に被ばくの低減のための防護措置を講じるべき地域、いわゆるEPZを対象にし、当該対象地域の人口分を備蓄することとしております。また、その配備場所につきましては、EPZ外で適切に保管管理できる場所として、六ヶ所村の青森県原子力センター、東通オフサイトセンター及びむつ保健所としているところでございます。
 次に、安定ヨウ素剤の予防的な服用につきましては、原子力安全委員会の専門的な助言を受け、原子力災害現地対策本部の判断によりまして、退避等の防護対策の状況を考慮しながら行うこととなります。
 本県としては、安定ヨウ素剤は副作用等の発生を防止する必要性の高い劇薬であり、必要量等を正確に管理する必要があること、また、投与の際にはヨウ素アレルギーと甲状腺疾患に気をつける必要があることから、原子力災害現地災害対策本部の指示を受けて、避難所等に設置される救護所において、医師が確実・迅速に服用させることとしております。
 以上でございます。
◯安藤委員
 今のお話によりますと、EPZ内での人口分ということでの準備がされているようですが、直接服用する段階においては、今、お話にあったような場所において、住民の方たちがその場所に来てから、医師が服用を許可するというか、そういう形だと思うのですが、どういう形の事故が起きるか、いろいろなことを想定しなくてはいけないのだけれども、住民がその場所に来た段階で服用をさせる方法でいいのかどうかも、ぜひ検討していただきたいと思うのです。
 例えば、スイスでは、半径4キロ範囲内に住んでいる人には予防手段として、各戸ごとに配布されているそうです。半径約4キロから20キロの範囲内に住んでいる人には、あらかじめ決められた保管場所に取りに行くことを求めているそうです。そして、錠剤の準備及び服用の指示はラジオで流すことになっているようです。こういう段取りをとっている国もあることから、やはり今回の福島原発の事故を受けて、このヨウ素剤の服用についても、さまざまな事故の想定に立って、とにかく40歳以下の服用の対象になる方たちにきちんと適切なときに服用できるような、このスイスで行っているような家庭に保管させておくことも一つの手だてとして講じる必要があるのかと思うのですが、そのためには十分な住民への説明も同時にしておかなくてはいけないわけですけれども、こういうことも含めて、再度、ヨウ素剤の服用のあり方について検討がなされるべきと思うのですが、この点についていかがでしょうか。
◯藤本医療薬務課長
 今、委員のお話にありました、例えば各家庭に置いておくというお話は、確かに外国で行われているのは承知してございます。ただ、現在、県で考えていますのが、安定ヨウ素剤の成分がヨウ化カリウムということで、薬事法で劇薬に指定されているわけでございます。当然、それは保管が厳重になされる必要があると、まず1点ございます。また、加えてヨウ素剤服用は副作用がある場合もあります。ヨウ素や造影剤の過敏症既往症がある方とか、その他、特定の疾患の方については重い副作用が発生するおそれがありますので、服用に当たっては的確な問診が必要になることから、安定ヨウ素剤については医学的対応が必要と判断することから、現在の配備場所、または配布の仕方ということがあります。
 ただ、委員御指摘のとおり、今回の事故を受けまして、原子力安全委員会の原子力施設等防災専門部会におきまして、ここでは安定ヨウ素剤の予防服用に係る防護対策、指標を示しております、防災指針、この改定に向けた検討を行ってございます。これを年度中に中間取りまとめを行うこととしております。また、県の環境生活部におきましても、青森県原子力防災対策検討委員会、仮称でございますが、これを設置して、今回の事故を踏まえた原子力防災対策上の課題について検討すると聞いております。これらの検討結果を踏まえて、安定ヨウ素剤の備蓄数量とか保管場所等については検討していきたいと考えております。
◯安藤委員
 副作用があることは承知の上で服用するわけですけれども、副作用がある方は、もちろん、配慮しなくてはいけないのですけれども、住民全員の分を保管しているということですから、きちんと住民の方たちのヨウ素剤服用に当たって、この人は服用はまずいとか、どういうふうな病気を持っているとか、そういうことも踏まえて、ヨウ素剤をどのようにこの村というか、この町内では服用させなくてはいけないということは、もうあらかじめそういうところまで十分情報を得た上で準備をしていく必要があるのではないかと考えます。
 それで、安定ヨウ素剤の服用量ですけれども、これは年齢ごとにもちろん違うかと思いますが、その辺についてはどのような指針となっているのでしょうか。
◯藤本医療薬務課長
 お答えいたします。
 まず、安定ヨウ素剤の予防的な服用につきましては、原子力安全委員会が取りまとめました原子力災害時における安定ヨウ素剤予防服用の考え方、これに基づきまして、青森県緊急時被ばく医療マニュアルに定めてございます。
 その内容ですが、安定ヨウ素剤はヨウ化カリウムを成分とし、まず、新生児から7歳未満は内服液に調製した上で服用させます。7歳から40歳未満は丸薬で服用させることとしております。また、40歳以上は妊婦の方を除きまして、放射線被曝により誘発される甲状腺がんのリスクが認められないことから、服用対象者とはしておりません。
 年齢ごとの服用量でございますが、ヨウ化カリウム量でいきますと、新生児が16.3ミリグラム、生後1カ月以上3歳未満は32.5ミリグラム、3歳以上13歳未満は50ミリグラム、13歳以上40歳未満は100ミリグラムでございます。
 なお、安定ヨウ素剤の効果は1日は持続することが認められているため、1日1回の服用を原則としているところでございます。
 以上です。
◯安藤委員
 そうしますと、新生児から小さな子供たちは、小学生や大人まで飲むものと、形というか、薬のあり方が違っているという理解でよろしいわけですね。
 それで、1日1回の服用ということですけれども、最長何日間飲むことになるんでしょうか。
◯藤本医療薬務課長
 先ほど申し上げましたが、1日1回の服用を原則とする、これは安定ヨウ素剤の効果が1日は持続することが認められることによるのですが、同じような方が2日目に安定ヨウ素剤の服用を考慮しなければならない状況では、県の緊急時被ばく医療マニュアルでは、避難を優先することとしております。
 以上です。
◯安藤委員
 では、2回も飲まなくて済むような状況をつくっていくということですね。
 次の質問ですが、今回の東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の事故を受けて、安定ヨウ素剤の配備や配布の方法について見直すべきと考えます。先ほどの答弁と重複するところもあると思いますが、県の考え方を伺いたいと思います。
◯藤本医療薬務課長
 先ほどの委員の御質問に回答したとおりでございますが、今般の事故を受けまして、原子力安全委員会原子力施設等防災専門部会におきまして、安定ヨウ素剤の予防服用に係る防護対策の指標等を定めています防災指針の改定に向けて検討を行って、年度内に中間取りまとめを行うこととしております。また、県の環境生活部におきましても、青森県原子力防災対策検討委員会、仮称でございますが、これを設置して、今回の事故を踏まえた原子力防災対策上の課題について検討するということです。これらの検討結果等を踏まえて、安定ヨウ素剤の備蓄数量なり保管場所等について検討していきたいと考えております。
 以上です。
◯安藤委員
 今回の福島県南相馬市の事例にもあるように、苛酷事故が発生した際に、マニュアルどおりに行かない事態も想定されます。十分な、どんな事態が起きても、正確な体制がとれるような体制をとっていただきたいと思います。そうしたどのような状況下でもきちんと服用の過程が指示できるような体制は人的な面だとか、情報を、どのように服用させるのかということなどについてのシステムについては万全であるとお考えでしょうか。
◯藤本医療薬務課長
 先ほどの御答弁で申し上げたとおり、現在、県の考え方は国の考え方に基づいて、県の緊急時被ばく医療マニュアルに定めてございますので、現状ではこれで行っていけると考えておりますが、ただ、今回の事故を踏まえては、やはり委員御指摘の福島県のことについては報道について承知してございます。ですので、繰り返しますけれども、今後、国の検討、県の検討を踏まえて、検討していきたいと考えております。
 以上です。
◯安藤委員
 住民の方たちに配布することとなるオフサイトセンターなどについて、事故が発生する場所からの距離を考えますと、六ヶ所は約3キロ、東通村は約12キロという地点になりますので、本当に住民が安全を確保できる場所なのかということは今回の事故をきちんと教訓にしながら、考え直していく必要があるのではないかと思っています。そういうものを考えるのは、こちらの部署ではないかとも思いますが、ヨウ素剤の服用ということも含めて、住民に対して安全に提供できるような体制をとることをぜひこちらからも声を上げていただきたいと思いますが、その辺の検討というか、声はこちらでも上げていくことになるでしょうか。
◯藤岡健康福祉部次長
 ただいまの御質問でございますけれども、安定ヨウ素剤の保管場所に限らず、今回の福島県の事故を見ますと、現在、初期被曝医療機関、あるいは二次被曝医療機関、さまざまな被曝医療体制をとっております。それについても、今回の事故を踏まえますと、全般的な見直しが必要と認識してございます。また、安定ヨウ素剤の保管場所につきましても、先ほど来、課長が申し上げていますとおり、オフサイトセンターに必ず置かなければいけないということではございません。住民の方々に避難していただき、そこで、なおかつ住民の方々に届けやすい場所ということで、現在、オフサイトセンターに配備しているものでございまして、要はEPZ、その他防護対策がどういった見直しになるか、これに合わせて適切に対応していくというのが当部の考え方でございます。
 以上でございます。
◯安藤委員
 ぜひともしっかりとした見直しを行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。