20117.21: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑5)
 最後の質問ですが、ドクターヘリの導入について伺います。
 私は弘前に住んでおりますが、ドクターヘリというと、八戸、青森の問題かのように議論がされていたように思うのですが、やはりドクターヘリの存在が県内すべての方たちの命をつなぐための活用であってほしいという願いから、今回、質問をさせていただきます。
 ドクターヘリの共同・分担運航後の地域別要請について伺いたいと思います。
◯藤本医療薬務課長
 お答えいたします。
 ドクターヘリは、この4月から県立中央病院と八戸市立市民病院との共同・分担運航を行っております。
 4月、5月は八戸市立市民病院を基地病院として運航しておりまして、その際の出動の要請件数は58件でした。その内訳でございますが、それを要請元の消防本部別に見ますと、三八上北地方が52件で全体の90%、津軽地方は2件で3%、下北地方が3件で5%、県外1件、2%となっております。
 次に、6月、7月は県立中央病院が基地病院となっていますが、6月から昨日、7月20日までの出動要請件数は95件ございまして、このうち、三八上北地方が49件で52%、津軽地方が41件で43%、下北地方が5件で5%となっております。
 以上です。
◯安藤委員
 共同・分担運航となって、6月から県立中央病院が基地となる月が出てきて、そして、その中で八戸に基地があったときと比較して、活用の仕方が変わったと思うのですが、その特徴点についてはどのように総括しているんですか。
◯藤本医療薬務課長
 ドクターヘリを運航開始いたしました平成20年度末から22年度までは八戸市立市民病院が暫定的に基地病院として運航していました。そのときの運航の要請件数が全部で656件ございまして、これを先ほどと同じように要請元の消防本部別で見ますと、三八上北地方が572件で87%、津軽地方は30件で4.5%、下北地方は48件で7.3%、県外は6件で約1%となっております。先ほど答弁したように、この6月から県立中央病院が基地病院になったということで、この件数を見ますと、やはりこれまで八戸市立市民病院の要請件数がトータルでも30件、それがこの2カ月間で、まだ2カ月足らずですが、既に41件を超えております。全体を見ましても、かなり全県的に要請が来ているということで、やはり県の中央である県立中央病院に基地病院がなったことによって、各消防本部、例えば津軽方面であれば、これまでよりも距離感がなくなったことで、また一方で要請のほうも要請しやすくなったというのがあって、要請件数も全県的にふえたと考えております。
 以上です。
◯安藤委員
 今、複数機を配備するかどうかも議論に上っているかと思うのですが、1機を配備するという前提に立つのであれば、その1機によって、全般的にいかに活用しやすい場所に基地が置かれる必要があると考えております。そういう意味では、まだ共同・分担方式は始まったばかりで、全体的な総括はできないかと思いますが、しっかりと検証した上で、ドクターヘリを活用して、県内すべての救急医療に貢献をするような体制をぜひとっていただきたいと思います。
 そこで、ドクターヘリ事後検証部会における検証内容について、具体的に伺いたいと思います。
◯藤本医療薬務課長
 お答えいたします。
 ドクターヘリの事後検証につきましては、ドクターヘリによる搬送事例を分析いたしまして、その有効性、また、課題を明らかにして、本県ドクターヘリの効果的かつ効率的な運用を図ることを目的としています。検証を行う組織としては、青森県ドクターヘリ運航調整委員会の下部組織として、事後検証部会を設置しているところでございます。
 このドクターヘリの事後検証部会では、まず、2つの検証を行います。1つは、運航状況全体に関する検証、もう1つは、医学的検証でございます。
 まず、運航状況全体の検証でございますけれども、これにつきましては、月別の出動の件数や消防本部ごとの要請件数などに加えまして、消防本部が救急患者を確認してからドクターヘリを要請し、出動し、現場到着する、そして、医師による接触、これに至るまでの時間の経過、それから出動内容の区分ごとの件数などについて集計し、分析を行います。この出動区分につきましては3つございまして、1つは救急現場へ出動する現場出動、もう1つは救急隊が最寄りの医療機関へ救急車搬送した後に高次の医療機関へ配送する救急外来搬送、それから入院中の患者を高次の医療機関へ転院させるための施設間搬送の3つに区分されます。
 次に、医学的検証でございますけれども、これは医師が行うもので、現場出動で救急外来搬送を行ったすべての事例につきまして、救急車で搬送したと仮定した場合に推定される結果と比較します。それを比較した結果、救命または後遺障害を軽減できた、医学効果があったかどうか、まず、効果があったということが1つ、もう1つは変わりがない、そしてもう1つは判定できない、こういう3種類の判定を行います。
 このような検証によりまして、ドクターヘリの効果的かつ効率的な運用において、どのような課題があるのか、また、医学的にはどのような場合により多くの効果を上げているのかを明らかにして、ドクターヘリ運航調整委員会における検討を行いまして、基地病院、消防本部、医療機関などの関係機関の認識の統一や連携を深めて、本県ドクターヘリの効果的かつ効率的な運用を図っていきたいと考えております。
 以上です。
◯安藤委員
 ドクターヘリが複数あれば、より救急患者の搬送に役立つかとも思いますが、財政ということも考えていくことになれば、そういう面から考えて、1機となった場合には、やはり今、出された検証部会での検証を十分吟味した上で、基地のあり方を検討していただきたいと思います。
 いずれにしても、事故や病気の方がドクターヘリによって命が助かるというケースが全県的に広がっていくように意を酌んで進めていただきたいと思います。