20117.21: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑7)
 それでは、次の質問に移ります。
 東京電力福島原発の事故後、政府は各電力会社に緊急安全対策とシビアアクシデント対策を求めてきました。それが実行されたからということで、海江田経済産業相は安全を宣言して、6月18日には定期点検を終えた原発などが立地する自治体に再稼働を要請したわけです。安全宣言をした上で再稼働を要請したという後に菅首相がストレステストを実施する運びになったわけですが、やはりこの背景には九州電力の玄海原発を初め、全国で運転再開への反対の大きな声が上がっていることがあり、このため菅首相がストレステストの実施を言わざるを得なかったのではないかとも思います。そこで、国が検討している発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価、いわゆるストレステストの内容について伺いたいと思います。
◯名古屋環境生活部長
 7月11日、枝野内閣官房長官、海江田経済産業大臣、細野内閣府特命担当大臣の3者連名によりまして、我が国原子力発電所の安全性の確認についての発表がございました。
 それによりますと、我が国の原子力発電所については、福島原発事故を受け、緊急安全対策等の実施について原子力安全・保安院による確認がなされており、従来以上に慎重に安全性の確認が行われているものの、定期検査後の原子力発電所の再起動に関しては、原子力安全・保安院による安全性の確認について、国民・住民の方々に十分な理解が得られているとは言い難い状況にあるとの現状認識、問題点を示した上で、政府において、原子力発電所の更なる安全性の向上と、安全性についての国民・住民の方々の安心・信頼の確保のため、新たな手続き、ルールに基づく安全評価を実施するとしてございます。
 具体的には、定期検査で起動準備の整った原子力発電所について、順次、安全上重要な施設・機器等が設計上の想定を超える事象に対し、どの程度の安全裕度を有するかを評価する一次評価と、稼働中の原子力発電所を含めたすべての原子力発電所を対象に総合的な安全評価を行う二次評価を実施し、原子力安全・保安院の確認に加え、さらに原子力安全委員会がその妥当性を確認するとしてございます。
 この当該評価につきましては、原子力安全・保安院が評価手法及び実施計画を取りまとめ、7月15日に原子力安全委員会に報告し、同委員会において現在審議が行われているところでございます。
 以上でございます。
◯安藤委員
 今の答弁にあったように、このストレステストの方法として国が示しているのは、保安院が作成した実施計画案に事業者が評価を行って保安院に提出し、保安院がそれを評価し、原子力安全委員会の確認を求める方法ですが、福島第一原発の事故で破綻が明らかになった従来の原発の安全審査のやり方と結局は変わりないものになるのではないかと思います。
 それで、国がヨーロッパのストレステストを参考にするというように当初は述べていました。しかし、EUが行っているストレステストについては、包括的で透明性のあるリスク評価、ストレステストと述べています。その文章の中で、ピアレビュー、査読という言葉が繰り返し出てくるそうです。査読とは、研究者が作成した論文を同じ分野の研究者が検証して、学術誌などに掲載する価値があるか判断することのようです。この場合、EU内のある国の原子力規制機関がまとめた報告書を7人のメンバーから成る査読委員会が検証します。査読委員会には、当事国のメンバーは入らないこと、さらに、透明性を保障する点でも、二重、三重に配慮がなされているのが特徴で、査読の結果について、原子力とは直接関係ない立場の人や非政府組織、NGOのメンバーが加わった公開のセミナーを開くことなどがうたわれているそうです。こうしたEUのストレステストの実施とは対照的に、今、国がやろうとしている体制は非常に不十分と考えます。せっかくやるストレステストですから、十分、テストの客観性が図れる、これまでとは違う検査が行われるようにするべきと思いますが、この点については、県はどのように評価しているのでしょうか。
◯名古屋環境生活部長
 その点も含めまして、安全委員会において現在検討が行われているものと考えておりまして、その結果について注視していきたいと考えております。
◯安藤委員
 青森県は当事者でもありますので、ぜひ県からも発信していただきたいと思います。
 それで、東通原発については、このストレステストの結果を見た上で、国が再稼働の要請という運びになるのだろうと思っておりますが、県としても、そういうとらえ方をしているということでしょうか。
◯名古屋環境生活部長
 県が今現在行っております検証委員会での検討、あるいは各界、各層から意見聴取、それを踏まえての総合的な判断という中で、今回のストレステストが全く無関係かと言われると、多分、そうならないのかとは思うのですが、まだ詳細について、保安院の計画が安全委員会で審議されている状況でございますので、その結果が出た段階で、県としての対応が決まってくるものと考えておりまして、検証委員会で取り上げるのかも含めて、現在は未定だと思っております。
◯安藤委員
 ぜひ検証委員会の中に、新たに発生した国の指示なわけですので、ぜひこの点についても検証委員会、専門家の方たちの集団ですので、十分検討していただくように要望をしたいと思います。
 以上で終わります。