2011.8.19: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑1)
◯安藤委員
 最初に、市町村国民健康保険の広域化について伺います。
 この広域化に対して、多くの県民の間から保険料が広域化になるとますます高くなるのではないかという危惧の声が上がりました。そういう中で、この間の広域化の状況について伺いたいと思っています。そこで、市町村国民健康保険の広域化に対する県の考えを最初に伺います。
◯伊藤高齢福祉保険課長
 お答えします。
 市町村国民健康保険の広域化については、昨年12月に、国の有識者会議である高齢者医療制度改革会議が将来的に市町村国民健康保険の都道府県単位化を図る趣旨の提言を行っています。
 県では、現在の国民健康保険の運営を単に都道府県単位にしたとしても、被保険者の年齢構成が高く、また、所得水準が低いなどの構造的な問題の解決にはつながらないと考えておりまして、国に対して、構造的な問題に対する抜本的な解決を図り、持続可能な制度を構築することや、すべての医療保険制度の全国レベルでの一元化に向けた具体的な道筋を示すよう、全国知事会を通じて要望しているところです。
 国民健康保険の都道府県単位化については、現在、国において、社会保障・税の一体改革の中で検討が進められており、その動向を注視しているところですが、制度が県民初め地方にとってよい制度となるよう、必要に応じて地方の意見を国に伝えていきたいと考えております。
 以上です。
◯安藤委員
 そうしますと、広域化に対する具体的な動きというのは、今は見られていないというとらえ方でよろしいでしょうか。
◯伊藤高齢福祉保険課長
 お答えします。
 現在、国において法律案の作成に向けて検討が進められているところでございます。国は、地方の意見を聞くために、国と地方の協議の場を設置し、国と全国知事会などの地方関係団体が協議を進めているところです。国では、来年の通常国会に関連法案を提出したい意向のようでございますが、法案の提出時期や内容については、現段階では把握してない、はっきりしてないところでございます。
 以上です。
◯安藤委員
 先ほどの答弁にもありましたように、県としては、この国民健康保険の構造的な問題にやはりきちんとしたメスを入れていくことが必要だと認識されていると理解いたしました。そのことをきちんと解決しない限り、広域化という方向にもっていくことで、ますます市町村というか、国民健康保険の加入者たちの痛みは強化されるのではないかと思っています。それで、これから協議の場、あるいは県知事会などでの意見を働きかける場があるかと思いますので、その辺は県民の立場に立った意向をぜひ示していただきたいと思っています。
 次ですけれども、市町村国民健康保険に対する県の支援について伺います。
◯伊藤高齢福祉保険課長
 お答えします。
 県は法令の規定に基づきまして、市町村国民健康保険の財政力に応じた財政調整を行う財政調整交付金や低所得者の保険料の軽減分を負担する保険基盤安定負担金などを市町村に交付しており、今後も県が果たすべき役割を着実に行うことにより、市町村国民健康保険の安定的な運営に寄与していきたいと考えております。
 また、市町村の国民健康保険財政の安定化に向けた取り組みをさらに進めていく必要があることから、今年度は、市町村に対する国民健康保険事業の運営に関する助言を行うほか、市町村職員を対象とした実務検討会や保険料収納率の向上に向けた研修会を開催することとしています。
 県といたしましては、市町村の国民健康保険財政の安定に向けた取り組みがより効果的なものとなるよう、引き続き、市町村を支援してまいりたいと考えております。
 以上です。
◯安藤委員
 どこの自治体も、滞納者がふえているということは、イコール、大変厳しい状況があるわけなのですけれども、そういう中で、その構造的な問題がある中で、収納率向上を強調しても、例えば差し押さえの増加が図られるというようなことにのみ走るというのは、やはり問題だと思っております。国民健康保険料を、みずから滞納せずに払えるような保険料にすることがまず重要であるので、そういう点で、市町村に対する助言を行っていただきたいし、あるいは県としても市町村国保の保険料の引き下げが少しでも行えるような、県としての支援も行うべきだと思いますが、その辺についてのお考えはいかがでしょうか。
◯伊藤高齢福祉保険課長
 県といたしまして、先ほど申し上げた支援のほかに、例えば広域化支援方針を作成しているわけですが、この広域化支援方針については、医療費の増加や保険料収納率の低下などから財政運営が不安定な状況にあることから、国民健康保険の健全な運営を目指す一つの方策として財政運営の安定化を図るための取り組みを一層進めることを目的として策定しております。この広域化支援方針を策定することによって、国の調整交付金の算定に当たって、収納率が一定の水準に達しない場合、ペナルティーとして国からの金額が減額されておりましたが、こういった支援方針を作成することによって、減額措置の適用を受けなくなり、収納率が低い市町村がメリットを受けているところでございます。仮に県がこの方針を策定しなかったとすれば、市町村が平成22年度に減額される額は、合計で約80億2,000万円となっているところでございました。このように、先ほど申し上げました法の規定によるほかにも、こういった支援方針を作成することによって、市町村の財政の安定化を図る取り組みもしたいと考えております。
◯安藤委員
 広域化支援方針をつくればペナルティーがかからないという、それは国がつくった広域化に向けての一つの方針であって、それに乗ることでペナルティーをかからないようにということでの助言かと思うのだけれども、それが最初の議論の中であったような県が広域化方針を進めていく立場に対しては慎重にしなければならないことと相反する指導だと思うわけです。この広域化の問題も含めて、市町村国民健康保険の根本問題をきちんと解決しなければならないと思いますので、ぜひ国に対して、国の国庫補助金の率を高くすることも、大いに要望していただきたいし、それから要望として県の独自支援をぜひ行っていくこと、特に国のペナルティー分を県が独自支援するということを他の県ではやっているところもありますので、ぜひその方向を検討していただきたいと思っております。これは強く要望しておきたいと思います。
 それで、国民健康保険のことで、特に滞納者がふえる中で、保険証も取り上げられ、そして医者にかかれないという事態があるわけで、そういう事態を少しでもなくすための最大限の努力、検討をしていただきたいと思っております。