2011.8.19: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑5)
◯安藤委員
 最初の質問は、原子力施設の基準地震動について伺います。
 県内原子力施設において、基準地震動は450ガルと設定していますが、どのような設備を基準地震動450ガルに基づく耐震設計の対象としているのか、その他の設備はどのような基準となっているのか伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 御質問の基準地震動に基づく耐震設計の対象の設備についてお答えいたします。
 発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針において、耐震設計上、施設をその重要度に応じて分類しております。地震による機能喪失の際に、放射性物質による影響が大きいものをSクラスとし、基準地震動による地震力に対して安全機能が保持できる設計とすることとしております。
 その他、影響が小さいBクラスの設備については、建築基準法の1.5倍の地震力に耐える設計としており、一般産業施設と同等の安全性を保持すればよいCクラスの設備については、建築基準法と同等の地震力に耐える設計としております。
 なお、B、Cクラスの設備のうち、機器・配管系については、設定地震力を20%増しとした地震力に耐える設計としております。
 以上です。
◯安藤委員
 そうしますと、450ガルというのは、放射性物質の漏えいという危険が発生したときに重要な影響があるSクラスということですが、そうしますと、Sクラス、Bクラス、Cクラスの箇所数をお答えいただければお願いしたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 それぞれの箇所数ということですが、申しわけございませんが、詳細な数値は把握しておりません。ただ、再処理工場においては、かなり数が大きいものと承知しております。あと、施設ごとに、やはりSクラス、Bクラス、Cクラスといった施設がありますので、それぞれの施設ごとに分かれているかと思います。
◯安藤委員
 前の委員会のときにもお聞きしたかと思うんですが、特に地震の際に、再処理工場の場合は配管が非常に長いということで、その配管が地震によって外れるようなことも想定されるのではないかと思うのですが、この配管などについても、この450ガルという耐震設計で施工されているのかどうか伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 配管につきましても、耐震設計の重要度に応じましてSクラス、それからBクラス、Cクラスと分類されております。Sクラスに分類されております配管につきましては、基準地震動、県内で言いますと、450ガルを用いて耐震安全性評価が実施されております。
◯安藤委員
 福島第一原子力発電所における基準地震動は何ガルであったか、また、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震において、福島第一原子力発電所で得られた揺れの最大値はどのくらいであったか伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 福島第一原子力発電所における基準地震動、それから3月11日に発生した実際の揺れの最大値についてお答えします。
 東京電力株式会社によりますと、福島第一原子力発電所の基準地震動は600ガルと評価しているということでございます。
 また、東京電力株式会社の公表によれば、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震において、福島第一原子力発電所原子炉建屋で観測された最大加速度値は、2号機の東西方向における観測記録でありまして、550ガルとなっております。この値は、福島第一原子力発電所における基準地震動600ガルを用いて計算した同じ場所の最大応答加速度値が438ガルになりますが、これを上回るものとなっております。
 以上です。
◯安藤委員
 すべての箇所ではなかったようでありますけれども、最大加速度が予測を上回った地点もあったわけです。そうした状況の中で津波も発生したわけですが、この地震の揺れによって、そもそもいろいろと影響が大きかったのではないかとも考えられるわけです。そうした状況の中で、東北地方太平洋沖地震を踏まえれば、青森県内の原子力施設の基準地震動についても見直す必要があるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 基準地震動を見直す必要があるのではないかということですが、国におきましては、新耐震指針に照らしまして、既設発電用原子炉施設等の安全性評価、いわゆる耐震バックチェックを進めておりまして、日本原燃の六ヶ所再処理施設に係る最終報告書については、昨年、平成22年の12月9日に原子力安全委員会から妥当である旨、評価されております。また、東北電力東通原子力発電所に係る中間報告書については、現在、原子力安全・保安院で確認しているところでございます。
 原子力安全委員会におきましては、今回の東北地方太平洋沖地震及び余震並びに誘発されたと考えられる地震活動等の発生を踏まえ、4月28日に原子力安全・保安院に対して、耐震バックチェックの確認を行うに当たり、東北地方太平洋沖地震に伴って、大きな地殻変動が観測され、広域にわたって応力場に影響を受けた状況を踏まえて、これまで事業者等が調査を行っている断層等について、耐震設計上考慮する活断層に該当する可能性の検討を行うこと。それから、東北地方太平洋沖地震に伴って敷地周辺で、従来、地震活動が活発でなかった場所等において地震が発生している場合には、その地震の評価を行うこと。これらの検討を踏まえて、敷地に影響を与えると考えられる断層がある場合は、地震動評価を行うことについて対応を求めているところでございます。
 これを受けまして、原子力安全・保安院では、各事業者に対して、原子炉施設等の耐震設計上考慮する必要がある断層について該当する可能性の検討に当たって必要な情報について報告を求めたところ、3月11日以降に発生した地震によって、実際に地表に断層が出現した事例が1件あったことから、改めて各事業者に対し、3月11日以降に発生した地震に伴って生じた地殻変動量及び地震の発生状況の調査を実施し、耐震設計上考慮すべき断層に該当する可能性が否定できない場合は、地表踏査等を行い、その結果を8月31日までに報告することを求めたところでございます。県といたしましては、今後とも国及び事業者の対応状況を注視してまいりたいと思っております。
◯安藤委員
 8月31日までの報告が指示されているということですが、もう近くなってきているわけですので、その報告の状況というのは、県に情報が入っているのでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 事業者からは、今のところ、情報はございません。8月31日が期限ですので、事業者のほうで鋭意、取りまとめ中と考えております。
◯安藤委員
 基準地震動を検証する際に、今度の事業者の報告は重要なことでありますし、その状況を、情報をしっかりと得て、適切な基準地震動に対しても検討がなされるように、県としても注視していただきたいと思います。やはり今回の東日本大震災の地震の大きな揺れによって、さまざまな施設に対する影響があったわけですので、基準地震動をもう一度見直すことが今、求められていることですので、しっかりと対応されるように求めていただきたいと思います。