2011.8.19: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑6)
 次の質問ですが、高レベル放射性廃棄物についてです。
 今、イギリスから返還されて、こちらに向かっているということですけれども、海外から返還される高レベル放射性廃棄物について、返還の現状及び今後の予定についてお伺いします。
◯工藤原子力安全対策課長
 海外から返還される高レベル放射性廃棄物についての現状及び今後の予定でございますが、フランスからの返還ガラス固化体につきましては、平成7年から18年度にかけまして計1,310本を受け入れておりまして、フランスからの分としては返還は終了してございます。
 あと、イギリスからの返還につきましては、平成21年度に28本を受け入れております。電気事業連合会によりますと、イギリスからの返還で10年間で計約900本の返還を予定しているということです。なお、今年度は76本を受け入れる予定としております。
◯安藤委員
 返還についてですけれども、返還時の高レベル放射性廃棄物の熱の状況についてお尋ねしたいのですが、返還される時点での熱量と表面温度などについて伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 返還されるガラス固化体の表面の温度は、現在、承知しておりませんけれども、一般的に言われますのは、ガラス固化体製造時には表面のガラス温度は二百数十度はあると言われております。中心は400度ぐらいということが言われております。それが今回、返ってくるときには、大体、表面温度で250度以下のものが返ってくると考えております。
◯安藤委員
 返還時には表面温度は250度ということですが、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターにおけるガラス固化体の冷却方法について伺います。
◯工藤原子力安全対策課長
 ガラス固化体の冷却方法でございますが、日本原燃株式会社によりますと、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターに貯蔵されたガラス固化体は、ガラス固化体みずからが発生する熱によって生ずる自然通風力で冷却される。貯蔵設備は、ガラス固化体を冷却する空気がガラス固化体収納管の外側を通り、ガラス固化体に直接接触しない構造となっているということでございます。
◯安藤委員
 そうしますと、建物内に保管されている間に空気によっての冷却ということだと思いますが、冷却空気によって外部への放射線の影響はないものなのか伺います。
◯工藤原子力安全対策課長
 冷却空気による外部への放射性の影響についてでございますが、日本原燃株式会社によりますと、ガラス固化体を冷却する空気はガラス固化体収納管の外側を通るため、ガラス固化体に直接接触せず、また、収納管内は負圧となっているため、放射性物質が冷却空気へ混入することはない。また、冷却空気は冷却空気出口シャフトの排気モニタリング設備で放射性物質の濃度を監視しておりまして、これまでガラス固化体に起因する放射性物質が検出されたことはないということでございます。
◯安藤委員
 保管されている時点では放射線の影響はないということですけれども、何らかの事故、あるいは今後、大きな地震だとか高レベル放射性廃棄物に関して何らかの影響があって、中の放射線が漏れるような想定はなされているのでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 もしものときに何かのことが考えられているのかということでございますが、ガラス固化体につきましては、国の安全審査におきまして、ガラス固化体の落下による損傷事象での放射性物質の吸入による線量が評価されております。その線量といたしましては、約0.0014ミリシーベルトという非常に少ない値になっております。
◯安藤委員
 海外から返還され、そしてまた、国内、六ヶ所でも何本かの高レベル放射性廃棄物が製造されているわけですけれども、国内でつくられているガラス固化体の本数と、それから保管方法については、海外からの返還放射性廃棄物と同じような環境の中で保管されているものなのか伺います。
◯工藤原子力安全対策課長
 日本原燃の再処理工場で製造されたガラス固化体についてお答えいたします。
 六ヶ所再処理工場で発生したガラス固化体は、日本原燃株式会社によりますと、23年7月末でございますが、その時点で119本でございます。現在、同工場内の貯蔵施設、これは第一ガラス固化体貯蔵建屋等でございますが、これに貯蔵されていると。この貯蔵建屋自体は、海外から返還されるガラス固化体を貯蔵している建屋と同じような構造となっております。
 以上です。
◯安藤委員
 国内及び海外からの返還されたガラス固化体の貯蔵の能力といいますか、海外のほうについては、返還されてきたものがすべて貯蔵されても、なおかつ貯蔵できる余力があるのか、そして、国内においては、今、119本保管されているということですが、最終的には何本まで保管されるような施設になっているのかを伺います。
◯工藤原子力安全対策課長
 高レベル放射性廃棄物、ガラス固化体の貯蔵建屋等についてお答えいたします。
 貯蔵建屋につきましては、1,440本入るようなモジュールが、例えば1つとか2つとかというようになりますので、海外から来る返還ガラス固化体につきましては、2,880本入るような建屋になってございます。それから、現在も再処理工場側で出てくるガラス固化体を保管する建屋といたしましても同じような1,440本のモジュールのものが建てられる。これは再処理工場の処理の状況によりまして、その都度、適切な時期に増設されていくと考えてございます。
◯安藤委員
 国内の分については増設があってはならないというか、私たちの思いとしては、その119本以上の高レベル放射性廃棄物が製造されることがないよう、ぜひ再処理工場の再処理に対しての方針を変えていけるように、今、国の転換期とも思いますので、そういう環境も県として検討の対象にぜひしていただきたいと思っています。その意見を申し上げて、この質問は終わります。