2011.9.21: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑1)
◯安藤委員
 最初の質問は特定健康診査について伺います。2008年4月1日より導入され、この年、メタボリックシンドロームという耳なれない言葉が飛び交ったこの健診について伺います。特定健康診査の制度内容と現状について伺います。
◯伊藤高齢福祉保険課長
 お答えします。
 特定健康診査は平成20年度から、生活習慣病の予防に着目した健康診査として、高齢者の医療の確保に関する法律の規定に基づき、40歳から74歳までの方を対象に、すべての医療保険者に実施が義務づけられました。
 その健診項目には、対象者の全員が受ける基本的な健診と、医師が必要と判断した方が受ける詳細な健診とがあり、医療保険者の中には、生活習慣病の予防のために、必要に応じて追加の健診項目を設定して実施している場合がございます。
 基本的な健診項目は血圧測定、血液化学検査、肝機能検査及び血糖検査などとなっており、詳細な健診項目は心電図検査、眼底検査及び貧血検査となっております。
 特定健康診査の健診判定値は共通なものとなっており、健診実施機関が異なっても、医療保険者が、被保険者の健診結果に基づいて、生活習慣病にかかるリスクの高い被保険者から優先的に保健指導ができるようになっています。
 平成20年度の特定健康診査の実施率は、県全体で33.5%となっております。主な医療保険者ごとの内訳といたしましては、市町村国民健康保険が26%、全国健康保険協会が32%、健康保険組合が75.5%、共済組合が83.5%などとなっています。
 以上でございます。
◯安藤委員
 生活習慣病対策の一貫として、この特定健康診査が導入されたわけですが、今、答弁にありましたように、その実施率は、義務化と言われていても、県全体で33.5%、実施率が最も低い国民健康保険組合は11.1%、次に低いのは市町村国民健康保険の26%という実施率なわけですが、この低い実施率について、県はどのように分析しておられるでしょうか。
◯伊藤高齢福祉保険課長
 県で作成いたしました医療費適正計画におきまして、この計画の最終年度である平成24年度の本県の特定健康診査の実施率が68%となることを目指しております。
 平成20年度の本県の特定健康診査の実施率は、先ほど申し上げましたとおり33.5%となっていまして、平成24年度の目標値の達成のためには、これまで以上に、実施率の向上に向けた取り組みが必要と考えております。
 県といたしましては、医療保険者とともに、特定健康診査の実施率が良好な医療保険者の取り組みも参考にしながら、がん検診との同時実施の推進や、市町村国民健康保険の特定健康診査と被用者保険の被扶養者の特定健康診査の同時実施の推進など、実施率の向上に有効な取り組みを推進していきたいと考えております。
 以上です。
◯安藤委員
 県のそうした目標に向けた取り組みということが、実際にこの健診を実施している側との連携といいますか、協議等が必要かと思いますが、そのような定期的な実施率向上に向けた協議等は行われているのでしょうか。
◯伊藤高齢福祉保険課長
 各医療保険者で構成されております県保険者協議会がございまして、県はその席にオブザーバーとして出席しまして、ともに健診の受診に向けた取り組みの助言、あるいはアドバイスなどを行って、協力して推進していくこととしております。
 以上です。
◯安藤委員
 生活習慣病の発症の重症化を予防するためのメタボリックシンドロームに対する特定保健指導というものが、どの程度、効果を上げてきたと理解しておられるでしょうか。
◯伊藤高齢福祉保険課長
 受診率が、先ほど申し上げましたとおり、平成20年度段階で33.5%と、まだ低いものとなっております。その後、まだ正式な数値は出ておらないんですが、21年度、22年度、また今年度と、徐々に周知されてきておりまして、少しずつ伸びているものと考えております。
 この健診を受けることによって、特定健康診査後の特定保健指導という医師あるいは保健師等の指導を受けることによって、病気の早期発見あるいは早期治療に結びついているものと考えておりますが、まだ受診率が低いということもありまして、今後さらに伸ばしていく必要があるものと考えております。
◯安藤委員
 ぜひ実施率の向上と、そして生活習慣病対策にどの程度の効果を上げているのかということも、ぜひ数値として明らかにしていただきたいと思います。
 あと、質問を予定していました県のかかわりと、それから目標と達成に向けた県の取り組みについては、今のやりとりの中で御答弁ありましたので、省きたいと思います。
 受診率が上がらなければ、目的は達せられないわけですので、受診率向上に向けて、ぜひ具体的な県のアドバイス等を強化していただきたいと思います。
 次の質問ですが、腎機能障害を早期に発見し、最近多くなっているという透析患者を減少させるのに効果があるというクレアチニン検査が注目されています。先日もテレビで報じられまして、私も改めてこの検査の有効性を確認させていただきました。
 そこで質問いたします。特定健康診査におけるクレアチニン検査の実施状況と検査の効果について伺います。
◯伊藤高齢福祉保険課長
 クレアチニン検査は、委員おっしゃるとおり、腎臓機能の状態を判定するための検査でございまして、特定健康診査におきましては、基本的な健診の項目や詳細な健診の項目には含まれておりませんが、追加の健診項目として実施している市町村は、平成22年度で10市町村、平成23年度では13市町村となっております。
 クレアチニン検査につきましては、国において、制度創設時に腎機能障害の発生リスクは、尿たんぱく検査、血糖検査、血圧測定などにより把握可能であるということから、必要に応じて実施する項目として整理されたところです。
 なお、国では、実施すべき健診項目について、さらに知見を集積し、必要に応じて見直しを行う必要があるとしていることから、今後、国の検討を注視してまいりたいと考えております。
◯安藤委員
 この検査によって、腎疾患を早期に発見することで、透析患者を減らすということに有効だということですが、今の答弁だと、平成23年度に実施しているのは13市町村ということで、広がりを見せているわけですが、クレアチニン検査にかかる費用については、どのようになっているでしょうか。
◯伊藤高齢福祉保険課長
 特定健康診査の実施に要する費用につきましては、国、県、市町村はそれぞれ3分の1の負担となっております。ただし、国、県の負担の対象となっている費用につきましては、先ほど申し上げました基本的な健診項目や詳細な健診の項目、これに限られておりまして、市町村が必要と認めた追加の健診項目についての費用の負担というのは、市町村の負担となっております。
 以上です。
◯安藤委員
 ということは、クレアチニン検査がどんなに効果を上げたとしても、市町村の持ち出しだということで、一気に広がらないということにもなっているのかなと思います。自治体の持ち出しであっても、13市町村に広がっているということは、やはり全体の医療費にかかる費用を考えれば、この検査に費用がかかってもということもあるのだと思いますが、ちなみに透析にかかる費用というのは、1人の患者につき、どのくらいの経費がかかるか、もしおわかりであれば。
◯伊藤高齢福祉保険課長
 透析にかかる費用につきましては、今、資料を持ち合わせておりませんので、ここでお答えすることができないことを御了承願いたいと思います。
◯安藤委員
 幾つかの文献を見せていただきましたら、ある本によれば、1人につき400万円かかると言われていますし、ある方は600万円と言っていた方もありますが、そのように非常に高い医療費がかかるということですので、早いうちに患者を減らしていくという取り組みが全国に広がっているということを、ぜひとも青森県でも周知等をしてもらえたらと思います。
 それで、市町村はクレアチニン検査を実施しやすいよう、県が支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。
◯伊藤高齢福祉保険課長
 県といたしましては、法令に定められた役割を着実に行うことにより、市町村を支援していくこととしておりますが、健診内容につきましては、健診の受診者にとって魅力的なものとなるよう、国に対して、科学的な根拠を踏まえつつ、健診項目を見直すよう、全国衛生部長会を通じて要望しているところであり、今後も機会をとらえて要望していきたいと考えております。
◯安藤委員
 国に対してのそうした意見を上げていくのと同時に、できましたら、国の制度が確立するまでの間、市町村に対してのクレアチニン検査にかかる費用の一部を県も負担するという、そうしたこともぜひ検討していただきたいと要望しておきたいと思います。