2011.9.21: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑7)
 それでは、次の質問に移ります。県内原子力施設の耐震設計上、考慮すべき断層についてです。東北電力株式会社及び日本原燃株式会社が、8月30日に国に報告した平成23年東北地方太平洋沖地震を踏まえた耐震安全性評価に関する報告の内容について、伺います。
◯工藤原子力安全対策課長
 東北電力株式会社及び日本原燃株式会社が、8月30日に国に報告した内容についてでございますが、原子力安全・保安院では、今回の東北地方太平洋沖地震を踏まえ、原子炉施設等の耐震設計上、考慮する必要がある断層に該当する可能性の検討に当たっての必要な情報について、原子力事業者に対し、4月28日に報告を求めたところ、3月11日以降に発生した地震によって、実際に地表に断層が出現した事例が1件あったことから、各事業者に対し、6月6日に追加の指示を行い、3月11日以降に発生した地震に伴って生じた地殻変動量及び地震の発生状況の調査を実施し、耐震設計上、考慮すべき断層に該当する可能性が否定できない場合には、地表踏査等を行い、その結果を8月31日までに報告することを求めたところでございます。
 東北電力株式会社及び日本原燃株式会社は、地殻変動量等を調査した結果、地殻変動に伴うひずみが生じている可能性が否定できないと考えられることから、既往の調査・評価の有効性の検討を行ったところ、今回の地震を踏まえても評価は有効であり、耐震設計上、考慮しないとしている断層の評価に影響を与えるものではないと判断されるとし、8月30日に原子力安全・保安院に報告したところでございます。
 今後、原子力安全・保安院では、報告された内容を厳格に確認するとともに、これらの結果を取りまとめ、原子力安全委員会に報告することとしており、県としては、国及び事業者の対応状況を注視してまいりたいと思っております。
◯安藤委員
 結論としては、県内の事業者からの報告では、考慮する新たな断層はないということですが、それを今度は、国がその結果を受けて、どう評価するかということが、今後求められるわけです。原子力安全・保安院及び、その原子力安全・保安院が、今度は原子力安全委員会に報告していくという、そうしたことになるわけですが、そもそも原子力安全・保安院の信頼性というものは、実は今、信頼を失うという状況にあって、そして原子力施設の推進機関の経済産業省から独立させた形での規制機関をつくるという方向性が打ち出されているわけです。そういうことも踏まえれば、今回の事業者が出した結果について、国がどういうふうにそれを評価するかということについては、新しい信頼のおける規制機関となった上で、それをどう評価するのかということを県は見据えなくてはいけないのではないかと思うわけです。その辺について、今後のスケジュールも踏まえて、県としてはどのように考えているのか、伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 原子力施設の安全規制についての原子力安全・保安院、それから原子力安全委員会の組織の見直しについては、来年の4月を目途にとされておりますが、実際の安全行政、規制行政につきましては、それまで、とまるということはないわけでございまして、それまでにつきましては、既存の原子力安全・保安院、それから原子力安全委員会において、法令に基づいて、責任を持って、安全確認の徹底を図るというのが、本来の姿と思っております。
◯安藤委員
 そうしますと、今回出された事業者の結論をどう評価するのかということについての国の結論が出されるスケジュールといいますか、そういうことについては、県のほうに何らかの形で報告があるんでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 特に県に報告があるというわけでなくて、国が求めておりますので、国がこれから厳格に審査し、それから原子力安全委員会にまた送られて、そこで審査を受けると考えております。
◯安藤委員
 議論が堂々めぐりになってはいけないので、これで終わりますが、青森県民のしっかりした信頼性の持てる評価、結論が出るように、ぜひ県としても、その辺の信頼のおける国の機関によって、結論、評価が出されるように声を上げていただきたいと思いますので、そのことを要望しておきます。
 次の質問ですが、同じく断層にかかわることですが、東洋大学の渡辺教授の六ヶ所再処理工場周辺の断層に関する知見について、平成23年東北地方太平洋沖地震を踏まえ、県としても独自に検討すべきと考えますが、見解を伺います。
◯工藤原子力安全対策課長
 渡辺教授の知見について、今回の東北地方太平洋沖地震を踏まえて、県としても独自に検討すべきであるということですが、東洋大学の渡辺教授の六ヶ所再処理工場周辺の断層に関する知見につきましては、原子力安全・保安院の審議会、それから原子力安全委員会で、耐震安全性評価に影響を与えるものではないことが確認されております。
 また、その後の平成22年度の新たな科学的・技術的知見等についての事業者からの報告、別途報告された平成23年東北地方太平洋沖地震に係る新たな知見においても、渡辺教授の知見に関する報告はないところでございます。
 国は、事業者に対し、今回の地震に関して、引き続き積極的な知見の収集を求めていくとしておりまして、県としては、今後とも、国及び事業者の対応状況を注視してまいりたいと思っております。
◯安藤委員
 原子力安全・保安院が、この渡辺教授の知見に対しては、評価するものではないと表明をしているわけですが、そのことに対して、渡辺教授はさらに反論しているわけです。そういう状況下にある中で、盛んに知事は何度も、安全なくして原子力なしと繰り返しているわけですから、それこそ、県が独自の検証を行うことが必要だと思います。
 渡辺教授が主張しているのは、再処理工場直下にマグニチュード8級の地震が起きる可能性があると指摘しているわけですから、そういうことを踏まえれば、県民が納得する方向性を見出していただきたいと思うわけです。
 ですから、県は客観的な立場に立って、両者の公開討論会や合同調査を行うなどして、県民の不安を取り除く必要があると思います。この点について、見解を伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 県内の原子力施設の耐震安全性評価につきましては、第一義的には事業者が責任を持って取り組むとともに、法令に基づいて、一元的に安全規制を行っている国が、その役割を果たしていくことが基本であると考えております。
 また、それにつきまして、国が責任を持って説明責任を果たしていくということが求められると思っております。
 県としては、国及び事業者の対応状況を今後も厳しく注視してまいりたいと思っております。
◯安藤委員
 そうは言いつつも、県民への信頼性を高めるために、原子力安全対策検証委員会というものを立ち上げ、国の機関とはまた別の、科学者の方たちの知見を得るための検証委員会を立ち上げたという経緯もありますので、この問題についても、客観的な議論を行う必要があると思います。
 福島第一原発事故にかかわってですが、これまで示されていたのは、福島第一原発でマグニチュード7.1という予想がされていました。しかし、実際に起きたのはマグニチュード9という大変大きな地震になったわけですので、国の言い分、事業者の言い分が本当に正当かどうかというのは、事が起きてみないとわからないと、耐震性あるいは断層というものはまだ、はかり知れない部分もあると、今回の事例で明らかになったわけですので、十分納得のいく議論をし尽くしていただきたいということを述べさせていただきまして、この問題は一応終わりにしたいと思います。