2011.11.21: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑1)
◯越前委員長
 ただいまから環境厚生委員会を開きます。
 慣例により会議の記録署名委員を指名いたします。相馬委員、寺田委員にお願いいたします。
 本日の審査案件は、特定付託案件であります。
 なお、審査の順序は、健康福祉部・病院局関係、環境生活部関係の順に行いますので、御了承願います。
 健康福祉部・病院局関係の審査を行います。
 次に、執行部より青森県地域医療再生計画(三次医療圏)について、報告事項がございます。──江浪健康福祉部長。
◯江浪健康福祉部長
 それでは、お手元の資料に基づきまして御報告をさせていただきます。
 青森県地域医療再生計画(三次医療圏)についてでございます。
 まず、この経過につきましては、6月28日にこの委員会にも御報告申し上げておりますけれども、概要について、一番下の参考のところをごらんください。これは、都道府県単位(三次医療圏)の地域医療提供体制の課題解決のために、都道府県が策定します地域医療再生計画に基づく事業を支援することとしまして、これが平成22年度の補正予算において措置をしたものということでございます。平成23年から25年度を計画期間として、地域の実情に応じて、都道府県が対象事業を決定していくものでございまして、もともと交付基準額は1計画当たり15億円。ただし、一定の条件を満たす場合には、加算が認められるということでございました。
 一番上の経緯のところをごらんください。こういったことを踏まえまして、6月16日に国に加算計画案と基本計画案の2つの案を提出しております。その内容に関しまして、6月28日に本委員会に対しまして、計画案の内容など御報告を申し上げております。その後、国におきまして有識者会議が行われ、各都道府県から提出されました計画案が評価された結果、10月14日に国から23億6,650万円の交付内示が県に対しましてあったということでございます。この金額は、加算計画案の交付要望額に対しまして約3分の2の額でございます。県におきましては、この内示額などを踏まえ、計画の見直しを進めまして、10月27日には青森県地域医療再生計画(三次医療圏)に係る有識者会議におきまして、この計画の見直しの方針及び見直しの案を検討いただきました。この検討を経まして、県といたしましては最終的に計画を確定いたしまして、11月4日に国に計画を再提出したということでございます。
 次に、計画の見直しの内容についてでございますけれども、まず、基本計画案に記載した事業につきましては、県といたしまして、最優先に実施すべき事業として基本計画案に盛り込んだというものでございますことから、見直しの対象外としておりまして、計画にそのまま盛り込んでおります。また、加算計画案のみに記載した事業等につきましては、県といたしましては必要な事業ということで加算計画案に盛り込んだものということでございますので、原則実施とするということでございますけれども、国の有識者会議のコメントなどを参考にしながら、内示額を踏まえまして、経費(基金充当額)を調整するということでございます。
 次のページの参考としてつけておりますA3の大きい紙をごらんいただきますと、一番右のところにもともと提出いたしました加算計画案、それと今回見直しをいたしました内容、これを赤字のところで額を対比させたものを掲載をさせていただいております。
 また、1枚紙のほうに戻っていただきまして、最後に今後の見込み等についてでございますけれども、今回、国へ再提出いたしました計画については、11月下旬もしくは12月上旬に交付決定がされる見込みでございます。また、平成23年度の事業に要します経費につきましては、基本計画案に盛り込んだ事業分に関しましては9月補正予算で対応しているということでございますけれども、加算計画案のみに盛り込んだ事業分につきましては、11月の補正予算で対応する予定としております。
 以上で報告を終わります。よろしくお願いいたします。
◯安藤委員
 最初に、子ども・子育て新システム、幼保一元化について伺います。
 この新システムの目的は、すべての子供に良質な生育環境を保障すること、出産、子育て、就労の希望がかなう社会をつくることとなっています。そのため、既存の保育所、幼稚園を一体化し、全く新しいシステムにつくり変えるとされています。しかし、新しくつくるシステムは、その目的を達成するどころか、成育環境を悪化させ、子育てをますます困難にしかねないという問題点も浮上しています。そこで、新システムに係る国の検討状況及び中間取りまとめの概要について伺います。
◯鈴木こどもみらい課長
 お答えします。
 国では、子ども・子育てを社会全体で支援する一元的な制度を構築することを目指した子ども・子育て新システムの導入を検討しており、本年7月29日に開催された国の少子化社会対策会議において、子ども・子育て新システムに関する中間取りまとめが正式決定されたところでございます。
 このうち、幼保一体化につきましては、給付システムの一体化のための仕組みづくりとして、具体的には3点、1つは仮称でございますが、市町村新システム事業計画の策定、2つとして事業者の指定制度の導入、3つとして仮称でございますが、こども園給付の創設を掲げてございます。また、施設の一体化のための仕組みとして、仮称でございますが、総合施設の創設を掲げております。
 国では、今後、費用負担のあり方など残された検討課題について、ワーキングチームによる検討を進め、地方公共団体を初めとする関係者の理解を得た上で、年内に新システムの成案を取りまとめる予定としております。また、平成23年度中に必要な法制度上の措置を講じることとされている税制抜本改革とともに、早急に所要の法律案を国会に提出することとしております。
 以上です。
◯安藤委員
 中間取りまとめの中で、都道府県の役割というところがありまして、子ども・子育て支援対策のうち、広域的な対応が必要な事業等を行うというふうにありますが、県が担う事業について、どのような事業が想定されるか伺います。
◯鈴木こどもみらい課長
 お答えします。
 都道府県の役割といたしまして、都道府県を広域自治体として、この新システムの給付事業が健全かつ円滑に運営されるよう、必要な助言、援助等を行うとともに、子ども・子育て支援施策のうち、保育的な対応が必要な事業等を行うということでございまして、これによりますと、県が広域調整が必要な場合に助言、指導を行うことになっております。
◯安藤委員
 広域的な調整ということですけれども、具体的にどのような調整、どういうものの広域的な調整が想定されるんでしょうか。
◯鈴木こどもみらい課長
 中間取りまとめにおいて、詳しい記述は余りないんですけれども、想定されるものとして、単一の市町村では限られるような社会資源の場合、広域的に見て活動をしていくなどが想定されるものと考えます。
◯安藤委員
 あと、個人の現金給付ということも触れられておりますが、この現金給付と保育料との関係について、どのようになる見込みなのか伺います。
◯鈴木こどもみらい課長
 来年度の子ども手当については、国のほうから厚生労働省案が示されてございますけれども、それとまた新システムにおける保育料につきましては、また別立ての制度でございますので、それの関連というのは、今のところ、不明であると考えております。
◯安藤委員
 現金給付がそういうものだということがよくわかりませんでした。それとは別個に、新システムにおいての保育料の算定の仕方はどのようになるんでしょうか。今現在は、一応、応能負担というのが原則になっていると思いますが、新システムに移行することで、この保育料のとらえ方はどうなるのか伺います。
◯鈴木こどもみらい課長
 新システムの保育料の制度につきましては、中間取りまとめによりますと、市町村が保育を決定する制度から、保護者みずから施設を選択し事業者との事業計画を締結できる制度に変更することになってございまして、保育料の保護者負担分につきましては、契約制度により直接施設に対して利用者が支払うことになりますけれども、市町村が負担区分の認定を行うこととしております。現在、国が保育料、保護者負担分の基準を示して、それを踏まえて、各市町村がそれぞれ保護者負担分を決定しているところでございまして、それが市町村ではなく、各施設において保護者負担分を決定することにはなりますけれども、市町村が負担区分の認定を行うというところで市町村が関与していくこととされておりますけれども、負担の払い方については、今後の検討課題とされているところでございます。
◯安藤委員
 この保育料の考え方で、公定価格というものが示されるようですけれども、そういうものがあったとしても、施設ごとに基準や条件が違いますので、施設によって保育料のばらつきが随分出てくることが想定されるわけです。今後の保育料の考え方の大きな違いというものを想定されるんですが、そういう認識でよろしいでしょうか。
◯鈴木こどもみらい課長
 先ほど御説明申し上げたとおり、市町村にかわって施設が保護者負担を決めていくということにはなりますけれども、繰り返しになりますが、負担区分の認定を行うのは市町村であるということで予定されておりますし、制服代などを国の基準に基づいて実費徴収する際に、施設が基本分に上乗せ徴収することも可能となってございますが、この上限が設定されることになっております。また、基本分とあわせて低所得者の減免が検討されておりますので、利用者の負担に対する一定の配慮がなされているところでございます。そのような形で、保育サービスが低下しないよう、市町村が管理していくものと考えております。
◯安藤委員
 こども園給付は、基準を満たした施設として指定を受けたこども園というように、そういう記述があるんですけれども、この中間取りまとめの中にありますが、このこども園というとらえ方なんですが、現在は保育所、幼稚園、認定こども園というものがありますが、この新しいこども園というものが、この3つの園からどう変わっていくのか、現在の保育所や幼稚園、認定こども園はどうなっていくのか伺いたいと思います。
◯鈴木こどもみらい課長
 こども園につきましては、施設と給付の一体化を図っていくことにより、学校教育と保育を一体的に提供する施設というイメージでございますけれども、3歳以下の保育のみを行う場合は保育園として残りますし、また、3歳以上の子供に短時間、幼児教育のみを行う場合などにつきましては幼稚園として残るものでございます。
◯安藤委員
 そうしますと、3歳以上の子供は保育園ではみないということになるんですか。
◯鈴木こどもみらい課長
 こども園では、当然、未就学の子供、3歳児も含めて、保育と教育を並行していくということになってございます。
◯安藤委員
 そうしますと、現行の幼稚園や保育所、認定こども園は、すべてこども園という名称になっていくということでしょうか。
◯鈴木こどもみらい課長
 繰り返しになりますけれども、一部、3歳未満の子供に保育のみを提供する場合は、こども園ではなくて保育園、それからブランド幼稚園というのがあるかと思うのですけれども、そのようなところのイメージだと認識しておりますが、3歳以上のお子さんに保育ではなく幼児教育のみを提供するようなところは幼稚園として残るところもあるのではないかと考えております。
◯安藤委員
 多分、今の中間取りまとめについて、それぞれの自治体などからの意見や関係者の意見もよく聞いた上で検討されていくという段階であると思いますので、ぜひいろいろな問題点について、また、保育の質の低下などは招かれないように、よく県としても関係者の声を聞いて、この中間取りまとめに対する意見を反映させていただきたいと思っております。
 それで、新システムの中間取りまとめに対する県の見解について伺いたいと思います。
◯鈴木こどもみらい課長
 お答えします。
 国の子ども・子育て新システム検討会議の各ワーキングチームには、有識者のほか、全国の保育園、幼稚園の関係団体の代表者、全国知事会、全国市長会、全国町村会などの関係者が参加し、さまざまな視点から議論を交わしながら、制度のあり方について検討しているところでございます。
 県といたしましては、これまでも全国知事会等を通じて、国と地方の役割分担を明確にした上での地方の裁量と創意工夫が可能な仕組みづくりにすること、地方公共団体と協議を行った上で成案とすることなどを国に対して要望しております。
 今般、中間取りまとめが示されましたが、国が具体的な制度設計を構築するに当たっては、現場が混乱しないよう、関係者の合意形成を図ることとともに、国と地方の役割分担を踏まえた財政スキームを示すことが重要であると考えており、県といたしましては、今後のワーキングチームの検討状況を注視しながら、必要に応じて国に要望してまいりたいと考えております。
◯安藤委員
 これは大阪保育運動連絡会がまとめた冊子ですが、これを見て、本当にびっくりする事例がたくさん載っておりました。それで、一番最初のところに、公的保育制度のないアメリカの保育事情ということで示されているのですが、アメリカでは保育料が3万円から5万円のところでは、一番安い保育料の施設では、企業立て、全米でチェーン展開しているところが多く、本部にロイヤリティーを払っている。人件費率は40%くらいで、利用者は黒人やヒスパニック系など有色人種がほとんどということで、保育料の安いところはそういう方たちが利用し、最高額の保育料10万円以上となると、非常に質の高いというか、サービスが整った保育がやられるそうです。人件費率も80%で、保育料だけでは賄い切れないので、保護者は寄附金プラス施設整備のための労働提供、1人当たり約10時間行うそうです。年2回、親との懇談、半年の子供の目標を決める、クラス担任制で卒園まで担任するという、日本では当たり前のようなことが、保育料の高いところに限って、このような保育を行うというふうに、とにかくお金、保育の内容も金次第というような実態がアメリカにはあるようです。そういう状況になることを、とても恐ろしさを感じますし、そうならないように、本当に一番最初に言ったように、このシステムがすべての子供に良質な生育環境を保障するという、この目標がしっかりと名実ともに実現できるような制度にするために、ぜひ県から適切な声を上げていただくことを求めたいと思います。