2011.11.21: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑5)
◯越前委員長
 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 環境生活部関係の審査を行います。
 特定付託案件について質疑を行います。
 質疑は所管外にわたらないように願います。
 なお、答弁者は、挙手の上、「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。
◯安藤委員
 最初の質問は、十三湖周辺の風力発電施設の建設計画について伺います。
 今回の福島原発事故を受けて、だれもが自然エネルギーの普及に力を尽くす必要があるという認識があると思います。しかし、それと同時に、十分な環境への配慮というのも必要だと考えています。新聞報道によれば、くろしお風力発電が十三湖周辺に新たな風力発電施設の建設を計画しており、2014年度着工、2015年度冬の運転開始を目指す。総出力は3万4,500キロワットで、計画中の風力発電所を含め、県内では4番目の規模となる。これに対し、この計画地域が天然記念物、絶滅危惧種でもあるオオワシ、オジロワシやマガン、ヒシクイ、オオヒシクイが生息し、渡り鳥の飛行ルートにもなっていることから、野鳥の会や自然保護団体から設置場所の移動を求める声が起きております。
 そこで、その自然保護団体の方たちが撮った写真をちょっとお見せしたいのですが、委員長の許可をいただけますでしょうか。
◯越前委員長
 ただいま安藤委員から写真の掲示について申し出がございましたので、これを許可いたします。
◯安藤委員
 これは2011年2月20日に写しましたオオヒシクイの写真です。岩木川河口、つがる市の車力で撮られたものです。
 同じく車力の田の上で写されました。
 これがオオワシで、2011年2月20日、岩木川の河口、つがる市車力で撮られています。
 これも同じく2011年2月20日、つがる市車力の田で写されました。オオワシです。
 これが2010年2月、岩木川河口、つがる市で写されましたオオワシの写真です。
 もう一つ、これはオジロワシ、2008年3月7日、中泊町で写されています。
 このように、天然記念物である鳥類が大変たくさん生息している地域に風力発電が今、建設されようとしています。そこで、質問をいたします。十三湖周辺に立地計画のある風力発電施設について、渡り鳥の飛行ルートになっていると聞いていますが、鳥獣保護の観点から、県の見解を伺います。
◯前澤自然保護課長
 くろしお風力発電株式会社によりますと、(仮称)津軽十三湖風力発電として、定格出力2,300キロワットの風力発電機15基を建設し、平成27年12月から運転を開始する計画があり、環境影響評価を実施する予定であるとのことです。
 本年1月7日、環境省では、風力発電施設への鳥類の衝突、いわゆるバードストライクにつきまして、施設の計画段階から鳥類等に与える影響を軽減できるよう配慮すべき各種知見、防止策等を鳥類等に関する風力発電施設立地適正化のための手引きとして取りまとめております。
 手引きでは、風力発電施設の計画段階の立地選定時に把握すべき情報を示すとともに、衝突リスクの解析や衝突リスク評価のための鳥類調査手法、保全措置等について取りまとめられております。
 同社の環境影響評価方法書においては、この手引きに準拠し、事業計画区域内において、鳥獣保護、保全の観点から重要と考えられる渡り鳥の経路や希少猛禽類の生息状況に関する調査を実施するとしています。
 県としては、風力発電施設の計画段階において、渡り鳥に対する影響も含め、鳥獣保護の観点から十分な配慮が必要と考えております。
◯安藤委員
 今、答弁にありましたように環境影響評価が行われていますが、この環境評価が導入されたいきさつは、本当に自然保護の運動をされている方たちを初め、多くの方たちがこれまで運動してきた、その成果であるようです。風力発電施設で猛禽類や渡り鳥のバードストライクが問題視され、風力発電の先進国であるデンマーク、オランダ、イギリス、アメリカなどでも長期にわたる詳細かつ定量的な調査報告がなされてきたそうです。日本では、これまで風力発電事業は環境影響評価法の対象から外されてきましたことから、野鳥保護の観点で、日本野鳥の会が環境省に対して、野鳥への影響がありそうな立地を避けること、風力発電の野鳥の生態に対する影響を調査研究すること、さらに事前の環境影響評価と自己の調査を事業者に義務づけるよう要望してきました。その結果、環境影響評価法の改正が行われ、お話にあったような環境影響評価が今、されているという状況になっております。これは大変喜ばしいことだと思います。それで、この環境影響評価を今行っているわけですが、今後のスケジュールについて、どのような予定で最終的な結論が出されると見ておられるでしょうか。
◯前澤自然保護課長
 事業者の計画概要によりますと、環境影響評価を平成23年度から24年度にかけて実施する。それにあわせまして、地元説明、あるいは地権者説明を23年度から25年度にかけて実施。その後、実際の造成、基礎工事、電気工事は平成26年度、そして据えつけ工事、試運転を平成27年度に実施したい、そういう計画になっております。
◯安藤委員
 環境影響評価の結果、鳥獣保護の観点から、予定されている場所は適当でないという判断もされる可能性もあると見てよろしいでしょうか。
◯前澤自然保護課長
 まずは、事業者のほうでは、最終的な風車の配置、これにつきましては、各種法規制、環境影響調査結果、それとただいま申し上げましたけれども、地域の皆様の御意見を伺いながら決めてまいりたいとしております。
◯安藤委員
 地域の皆さんの意見もということですが、私はぜひ青森県としても、青森県の鳥獣保護という立場から、事業者に対して意見を伝えていただきたいと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
◯前澤自然保護課長
 再生可能エネルギーの重要性はある一方、やはり鳥獣というものは自然環境を構成する非常に重要な要素でございますので、私どもとしては鳥獣保護ということに十分配慮していただきたいと、そのように考えております。
◯安藤委員
 ぜひその点を事業者と直接協議するなり、そういう場をつくって伝えていただきたいと思います。風力発電を絶対つくってはいけないと皆さん言っているのではなくて、適切な場所に移動してほしいという要請でありますので、その辺をぜひ酌んでいただいて、今予定されている場所への設置は断念していただきたいという声をぜひ県としても伝えていただくように要望させていただきますので、よろしくお願いします。
 ちょっとつけ加えさせていただきますと、天然記念物の野鳥を殺傷すると100万円の罰金や懲罰刑が下されるんだそうです。それに値する事態が起きてはならないということで、天然記念物の野鳥をしっかりと守ってほしいという強い声があるということをぜひ心にとめていただきたいと思います。
 また、風車はいろいろと今、研究されているそうで、風レンズ風車というのも開発されていて、これが鳥には優しい、風車を認識できるという、そういう調査も出されているかと聞いておりますので、そういうことも含めて、野鳥に影響のない風車の研究というのも強力に進めていただきたいということもあわせて要望したいと思います。