2011.11.21: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑6)
 次の質問に移ります。
 福島第一原子力発電所の事故を踏まえた対応についてです。
 先般、弘前で京都大学の原子炉研究所の研究者である小出氏を招いての講演会を行ったんですが、その中でも、原発をみずから選択したのではない子供たち、この子供たちをどう放射線から守るのかというのが今、最重要課題だと。そのためにも、子供への放射線による健康被害を極力防ぐために、食べ物等の放射線の状況をしっかりとつかみ、そして少しでも放射線の量の少ないものを与えること、食べさせることが重要だというお話をされていました。そういうことを踏まえた上での質問です。
 福島第一原子力発電所の事故以降、県が実施している環境放射線モニタリング及び環境放射能水準調査において、放射性ヨウ素及び放射性セシウムが検出された環境試料にはどのようなものがあるのか、また、試料ごとの最大値についてお伺いします。
◯工藤原子力安全対策課長
 福島第一原子力発電所事故以降に放射性ヨウ素及び放射性セシウムが検出された環境試料と試料ごとの最大値についてでございます。
 10月までに取りまとめた結果におきましては、放射性ヨウ素につきましては、大気が1立方メートル当たり2.0ミリベクレル、毎日採取している定時降下物が1平方メートル当たり45ベクレル、1カ月ごとに採取している月間降下物が1平方メートル当たり150ベクレル、アブラナが1キログラム当たり0.7ベクレル、松葉が1キログラム当たり1.8ベクレル、海藻の一種でありますチガイソが1キログラム当たり3.1ベクレルでございました。
 また、放射性セシウムにつきましては、大気浮遊じんが1立方メートル当たり2.1ミリベクレル、毎日採取している定時降下物が1平方メートル当たり74ベクレル、1カ月ごとに採取している月間降下物が1平方メートル当たり300ベクレル、湖沼水が1リットル当たり0.030ベクレル、河底土が1キログラム当たり4ベクレル、土壌が1キログラム当たり42ベクレル、アブラナが1キログラム当たり4.0ベクレル、牛乳が1リットル当たり1.4ベクレル、牧草が1キログラム当たり11.1ベクレル、松葉が1キログラム当たり70ベクレル、海水が1リットル当たり0.007ベクレル、海底土が1キログラム当たり2.8ベクレル、ヒラメが1キログラム当たり25ベクレル、カレイが1キログラム当たり0.40ベクレル、アイナメが1キログラム当たり3.1ベクレル、ムラサキイガイが1キログラム当たり0.05ベクレルと、いずれも微量でありまして、健康への影響がない状況でございます。
◯安藤委員
 今、まとめてくださったその数値について、後で資料として提出いただきたいということをお願いしたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 私どものほうで毎月取りまとめた結果を公表しておりますので、その公表資料でよければ提供させていただきます。
◯安藤委員
 すべて微量であるので、健康には影響がないというお話でありますが、しかし、微量であっても、数値的には45ベクレルとか、11.1ベクレルとか、そういう値が出ているわけですね。確かにホームページ上で公開はされていることは知っているんですが、皆さんがそういうものを介して見ることはなかなか難しい状況もありますので、何らかの方法で県民の皆さんに今の数値を定期的にホームページ上でない形で知らせるという方法もぜひ考えていただきたいと思いますが、この点はいかがでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 私ども、確かに毎月取りまとめた結果をホームページ上で公表させていただいております。そのほかに、監視評価会議という四半期に1回、原子力施設周辺の放射性物質濃度についての評価をする委員会でも検討していただいて、そこの場でも公表していただいております。さらに、マスコミのほうにも取りまとめた段階で投げ込みさせていただいて、報道していただくようにお願いしているところでございます。これからもどのような情報の公開がよいのか、またさらに詰めていきたいと思います。
◯安藤委員
 ぜひ多くの方たちに実態がどうであるのかということが、情報が隅々まで行くように配慮いただきたいと思います。
 県内で採取された原乳や魚類の環境試料に事故に起因すると考えられる放射性核種が検出されていますが、そのようなものを摂取しても健康に影響がないと言えるのか見解を伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 環境試料中に放射性核種が検出されたものを摂取しても健康に影響がないかということでございますが、これまでに調査した農畜水産物において検出された放射性ヨウ素、それから放射性セシウムにつきましては、原子力安全委員会が食品の摂取による人体への影響に関する国際基準をもとに定めた飲食物の摂取制限に関する指標値を参考として厚生労働省が設定いたしました暫定規制値、これを十分に下回っております。摂取したとしても、健康への影響はないということで認識しております。
◯安藤委員
 確かに暫定基準値の随分下にあるということは、実際、青森県ではそういう状況でありますけれども、あくまでも暫定がついている食品の基準であって、本来、日本の法的に定められていた1ミリシーベルトの放射線を浴びてはいけない、浴びさせてはいけないという、その法律に照らし合わせるなら、暫定がとれれば、基準値はもっと下がっていくと考えます。影響はないというものの、低線量被曝の危険性というのは、まだ未知の世界であり、例えば青森県の今の数値の中で、将来的にどのような影響が出るかというのは、影響が出ないと断定はできないと思います。それで、今後、健康調査だとか、健康に対する相談だとか、そういう点では、十分体制を整えていくべきだし、配慮していくべきだと思いますが、この点についてはどのような連携などをされているのか伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 まず、食品の暫定規制値でございますけれども、これは福島の事故以降、先ほども答弁いたしましたとおり、厚生労働省が原子力安全委員会の示した飲食物の摂取制限、この指標値をもとに暫定規制値というものを設定しております。これに関して、その後、食品の健康影響評価について、食品安全委員会のほうで諮問を受けまして、3月29日には暫定規制値の設定をされている線量値は緊急時の対応としては十分な安全性を見込んだものとする緊急取りまとめを行っております。また、さらに10月27日には、生涯における追加の累積の実効線量でおよそ100ミリシーベルト以上で健康影響の可能性があるなどの評価を取りまとめたということでございます。一般の人から、例えば県民からの問い合わせに関しては、我々もそうですし、それから健康福祉部保健衛生課とも連携して、丁寧な説明をしていきたいと思っております。
◯安藤委員
 ぜひ県民の不安にこたえるべく体制を整えていただきたいと思います。国も10月27日に検討された、今、お話がありましたが、ぜひ本当に、本来、国が定めていた法的な基準に近づけるような対応を強く求めていきたいと思っております。