2011.12.06: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑3)
◯安藤委員
 2つの項目で質問します。
 1つ目は、青森県小児がん等がん調査事業についてです。
 福島第一原発事故を受けて、子供たちのがんの発症を大変心配する声が上がっています。そういう中で、青森県が子供たちのがんの調査をしてきたというのは大変注目されることだと思っています。
 そこで、最初に青森県小児がん等がん調査事業の概要を伺います。
◯齋藤がん・生活習慣病対策課長
 青森県小児がん等がん調査事業は、六ヶ所村の再処理施設に対する県民の健康に対する不安を解消するため、国と県が連携し、再処理施設が操業を開始する前から県内の医療機関の協力を得まして、放射線の影響があらわれやすいと言われている小児がん等に関するデータを継続的に収集、蓄積し、その結果を県民に公表することを目的として、平成11年度、平成12年1月からですけれども、実施しております。
 具体的な事業の内容といたしましては、調査事業を円滑に実施するため、小児がんや疫学等の専門家などで構成される調査委員会を設置し、調査の具体的な内容の選定・評価、収集データの分析、総合的な評価及び報告書の作成等を行うこととしております。
 調査は、調査委員会において作成した調査票を県内の医療機関に配付・回収するとともに、調査票を提出した医療機関に対しまして、記入内容に関する照会等の詳細な調査、調査結果の集計及び解析作業を弘前大学大学院医学研究科に委託して実施しております。
◯安藤委員
 今の説明によりますと、子供たちの健康面の調査ということで、六ヶ所の再処理工場に対する県民の不安にこたえようということが背景にあったということなわけで、国と県が共同してということなんですが、財政面においても国、県がお金を出し合っているということでよろしいでしょうか。
◯齋藤がん・生活習慣病対策課長
 国10分の10の事業として実施しております。
◯安藤委員
 また、全国でこのような調査を行っているところはほかにあるんでしょうか。
◯齋藤がん・生活習慣病対策課長
 このような施設の稼働前と稼働後ということで調査を実施しているところはほかにはございません。
◯安藤委員
 そういう意味でも、大変貴重な調査だと思います。
 これまでの調査結果を踏まえ、県内における小児がんの状況をどのように認識しているのか伺います。
◯齋藤がん・生活習慣病対策課長
 平成12年1月から平成22年12月までの調査結果をまとめました青森県小児がん等がん調査事業報告書によりますと、その年に小児がんと診断された患者の登録数は、調査の初年である平成12年が32人、平成17年が28人、平成22年が12人と、おおむね30人から20人程度の範囲で推移してきております。
◯安藤委員
 私たち県議のところにも報告書を送っていただいておりますので、中をちょっと見せていただいてはいるんですが、今、答弁にありましたように、平成12年度、最初の年だと思うんですが、リンパ組織、造血組織及び関連組織(白血病)などが17件、そして、甲状腺及びその他の内分泌腺(甲状腺、副腎)などが5件などで32件あるんですね。今現在、平成22年はリンパ組織の白血病関連が9件で、そして甲状腺及びその他の内分泌腺(甲状腺)などはゼロです。合計12件となっているんですが、私はこの表を見て、ちょっとおかしいんじゃないんですが、重大だなと思ったことがあるんですが、今から11年前が平成12年となりまして32件あるんですが、その前、25年前になるわけですが、1986年にチェルノブイリ事故が起きています。そのチェルノブイリ事故が起きてから大体十数年のところで、このように白血病だとか甲状腺のがんなどが今から比べると非常に多い発症が起きているというこの事実は、やはり原発の事故、放射線の放出ということがかかわりがあるのではないかなと推測をするわけなんですが、この辺について、何か御見解があったら伺いたいと思います。
◯齋藤がん・生活習慣病対策課長
 その点につきましては、小児がんというものは、大人のがんと比べて発生が非常に少ないものですから、1年ごとに見ますと非常にばらつきが多くなります。圧倒的にリンパ組織、造血組織の関連の白血病が多いというのは、日本全国、放射線の影響に関係なく、これが通常の割合です。ここに5例あります甲状腺及びその他の内分泌腺というところなんですが、実際には、この5例の中に甲状腺がんの方は含まれておりません。この11年間で2例だけ、甲状腺がんの方がいらっしゃいまして、これまでのチェルノブイリの20年の経過報告等を見ますと、チェルノブイリ原発の周辺に暮らしていた方の子供の小児甲状腺がんが四、五年後からふえた、それ以外に全世界には特別影響は認められていないとなっていますので、この数値はそういうものではないと思っております。
◯安藤委員
 そういう意味では安心はするわけですが、しかし、今回、福島原発事故というのは、福島や、その周辺に比べれば、青森県の影響というのは、そこに比較すれば少ないかとは思いますが、しかし、子供たちへのがんの影響というのが全くなくはないのではないかと思いますし、この調査そのものは六ヶ所再処理工場が本格稼働した後に、その以前とどういうふうに変化があるかという比較で始まった調査ではありますが、ぜひ未曾有の原発大事故があったということも踏まえながら、調査の中にそういう検討も含んでいただければいいなと思っております。この辺で、もし御見解をいただければお願いします。
◯齋藤がん・生活習慣病対策課長
 現在継続して行っております小児がん等がん調査事業は、この数の変化を注意深く見ながら、どのような影響があるかということを全体の空間放射線量等の客観的データ等も比較いたしまして、検討を続けていくということで、仮に事故が起きた場合に必ず検討が行われます。今現在の福島県の放射線量自体もチェルノブイリに比べましてヨウ素135が極めて少ないので、検討調査はいたしておりますけれども、不安を解消することが第一の目的で現在実施いたしております。これからも注意深く調査は続けてまいります。
◯安藤委員
 今の件については、ぜひ意義のある調査として続行していただくようによろしくお願いします。