2011.12.06: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑4)
◯安藤委員
 最初に、議案第10号「平成23年度青森県一般会計補正予算(第6号)案」、歳出4款2項5目、廃棄物対策費、県外産業廃棄物広域移動影響調査事業費について伺います。
 県外から搬入される産業廃棄物の事前協議制度の概要を伺います。
◯濱谷環境政策課長
 産業廃棄物の事前協議制度の概要でございます。
 この制度は、県外から搬入される産業廃棄物の適正処理を推進するため、青森県県外産業廃棄物の搬入に係る事前協議等に関する条例に基づきまして、平成16年1月から実施しているものであります。県外から産業廃棄物を搬入しようとする排出事業者に対して、事前協議を義務づけ、その種類、性状、量、処理方法等を把握するとともに、排出事業者と県が産業廃棄物の適正処理や環境保全協力金の納付等に関する協定を締結することなどを内容としております。
 なお、搬入する産業廃棄物の量等に応じて排出事業者から納付される環境保全協力金は、県内における産業廃棄物の適正処理の推進のための監視・指導などに要する経費の一部に充てております。
◯安藤委員
 そうしますと、これまで事前協議を行った中で、何か不適切な状況が指摘されて改善を求められるような事項はあったのでしょうか。
◯濱谷環境政策課長
 事前協議を経て搬入された産業廃棄物について、特に不適正な問題があったことはございません。一部、事前協議の量を著しく超えて搬入した場合について、排出事業者に対して厳しく勧告するなどの取り扱いをした例はございますが、不適正処理ということは確認しておりません。
◯安藤委員
 今回提案されています本事業の目的と調査内容について伺います。
◯濱谷環境政策課長
 本事業は、放射性物質汚染対処特措法の1月1日からの全面施行に伴いまして、福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性物質に汚染されたおそれのある産業廃棄物が今後、県外から本格的に搬入され、県内の産業廃棄物処理施設での処理が想定されることから、あらかじめ県において当該施設における放射性セシウム濃度等の測定を実施し、現状を把握するものであります。
 調査内容といたしましては、処理に伴い周辺環境に排出するもので、放射性物質による影響が懸念されている排ガス、排水が発生する焼却等の中間処理施設11施設を対象に、燃え殻、ばいじん、排ガス、排水及び排水汚泥の放射性セシウム濃度、敷地境界等での空間線量率の測定を行います。
 また、中間処理後の残渣は埋め立て処分されることから、県内のすべての管理型最終処分場7施設におきまして、放流水、排水汚泥、地下水の放射性セシウム濃度、敷地境界等での空間線量率の測定を行うこととしております。
◯安藤委員
 11施設、また、最終処分場7施設の調査を行うということですが、特措法は来年1月1日から施行ということですけれども、今回の調査の結果はいつごろ出ると想定されているのでしょうか。
◯濱谷環境政策課長
 本補正予算が議会で御承認いただきますと、1月から調査を始めまして、3月までにはすべての調査結果をまとめることにしております。
◯安藤委員
 そうしますと、その調査結果が出るまでは一切の産業廃棄物の搬入はとめておくという理解でよろしいんでしょうか。
◯濱谷環境政策課長
 まず、事前協議のスケジュールでございますけれども、県外から産業廃棄物を搬入しようとする排出事業者は、先ほど申し上げました青森県県外産業廃棄物の搬入に係る事前協議等に関する条例に基づき事前協議を行うことになっておりまして、翌年度分、想定される24年度分につきましては、前年度の1月ですから、24年1月以降、県と事前協議を行い、協議が調った排出事業者は県と県外産業廃棄物の適正処理、協力金等に関する協定を締結し、搬入を行うこととなります。したがいまして、現在のところは昨年度事前協議で締結した協定に基づき搬入されているものでありまして、福島県の第一原発の事故に伴う放射性物質に汚染されたものにつきましては、これから来年度以降、本格的に搬入されるものと考えております。
 それと、もう一つ、県外搬入をストップさせるということにつきましては、まず、国では放射性セシウムの濃度が1キログラム当たり8,000ベクレル以下であれば埋め立て処分が可能であるとしているほか、処理に伴う放射性物質による影響が懸念される可燃物の焼却について、受け入れに当たり、焼却施設の形式を踏まえた適切な廃棄物の放射性物質濃度を把握すれば安全に処理が可能であるとしています。また、廃棄物処理法上、産業廃棄物は広域処理が前提とされているほか、放射性物質汚染対処特措法においても、放射性物質に汚染された産業廃棄物に関する移動禁止等の措置が設けられているわけではありません。このようなことから、放射性物質への汚染のおそれをもって、県外からの産業廃棄物の搬入をすべて停止させることは法的根拠を欠くため、困難であると考えております。このため、県としては、必要に応じて放射性物質濃度の測定を求めるなどして、県の生活環境に支障が生じないよう、適切に監視を続けていきます。
◯安藤委員
 そうしますと、1キロ当たり8,000ベクレルを超える廃棄物についても、場合によっては搬入されるということはあり得るわけですか。
◯濱谷環境政策課長
 1キログラム当たり8,000ベクレルを超える廃棄物につきましては、先ほど申し上げました放射性物質汚染対処特措法によりまして、国が責任を持って処理するということになってございますので、県内には搬入されないことになっております。
◯安藤委員
 それから、福島原発によって汚染の可能性があるものも搬入されるということになるかと思うのですが、具体的にはどの範囲のどういうものを大体想定されるのでしょうか。
◯濱谷環境政策課長
 具体的にどういうものが想定されるかということでございますけれども、県外産業廃棄物の搬入に係る事前協議のこれまでの実績によりますと、例えば平成22年度の県内への搬入量は約27万3,000トンとなっております。これはすべて中間処理、またはリサイクル目的、例えばセメントへのリサイクルというような目的のものであります。搬出元を地域別に見ますと、福島県が約8万8,000トンで最も多く、次いで秋田県が約6万5,000トン、岩手県が約3万7,000トン、宮城県が約3万2,000トンとなっておりまして、この4県で全体の約81%を占めております。また、産業廃棄物の種類別に見ますと、ばいじんが15万9,000トンと最も多く、次いでシュレッダーダストが3万7,000トン、廃プラスチック類が約2万6,000トン、汚泥が約2万4,000トンとなっております。このような状況と放射性物質によって汚染されたものを焼却した場合、放射性物質がばいじんや燃え殻に移行するとの知見を勘案すれば、福島県から搬入されるばいじんが最も放射性物質による汚染の可能性が高いものと推察されます。県としても、県外からばいじんの処理を委託している産業廃棄物処理業者については厳重な監視指導を行っていくこととしております。
◯安藤委員
 県民の不安というのは、やはりこういう点でも大きいかと思いますので、現状の把握と、そして、その情報公開というのもきちんと行っていただいて、特措法に基づいたしっかりとした対応をしていただくことを求めたいと思います。