2011.12.06: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑8)
◯安藤委員
 私からは防災対策を重点的に充実すべき地域の見直しについて、前回の委員会で函館市にかかわっての質問をしましたが、今回は県内の問題で質問したいと思います。
 原子力発電所に係る防災対策を重点的に充実すべき地域が10キロメートルから30キロメートルに拡大するのに伴う災害時要援護者の避難について、地域防災計画(原子力編)にどのように反映させるのか伺います。
◯工藤原子力安全対策課長
 防災対策を重点的に重視すべき地域の拡大に伴う地域防災計画への反映でございますが、原子力発電所に係る防災対策を重点的に充実すべき地域について、これまでのEPZ、これはおおむね8キロから10キロ圏内でございますが、これにかえまして、PAZ、予防的防護措置を準備する区域、おおむね5キロ圏内です。これやUPZ、緊急時防護措置を準備する区域、これはおおむね30キロ圏内でございますが、これが示されたことから、防護対策の対象となる住民、それから災害時要援護者の人数は増加するものと考えております。
 高齢者、それから障害者、乳幼児等の災害時要援護者の避難につきましては、県原子力防災対策検討委員会におきましても、今回の事故を踏まえた原子力防災対策上の課題として意見が出されているところでございまして、県といたしましては、地域防災計画(原子力編)の見直しに当たっては、原子力災害の特殊性を踏まえた災害時要援護者への配慮や地域全体での支援体制の確立など、避難の実効性を高めるような方策を適切に反映してまいりたいと考えております。
◯安藤委員
 10キロから30キロメートルに拡大されることでの対象人口の変化についてはどのように把握されているでしょうか。
 それから、災害時要援護者ということでは、今もお話にありました高齢者や障害者、乳幼児などということになるわけですが、保育所、老人施設、障害児施設、学校などの設置数の変化などについても把握されているかどうか伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 まず、人口の把握でございますけれども、東北電力東通原子力発電所につきましては、本年3月末の時点でこれまでのEPZ、これは10キロ圏内でございますが、この人口が約8,500人でございました。今回示されましたPAZ、これは5キロ圏内でございますが、この人口が約3,200人、それからUPZ、これは30キロ圏内でございますが、この人口が約7万3,000人となっております。
 なお、再処理工場につきましては、原子力安全委員会のほうで防災対策を重点的に重視すべき地域の検討がまだ行われておりませんが、原子力発電所の区分に従いますと、EPZ、これは5キロ圏内でございますが、この人口は約3,500人。今回のPAZ、これが5キロ圏内ですので、EPZと同じ人数、3,500人になりますけれども、あと、UPZ、これは30キロ圏内といたしますと、約7万7,000人となってございます。
 次に、人口のほかに、要援護者の把握のための保育所、学校などについて把握しているのかということでございますが、福祉施設とかの入所者数、それから学校の児童・生徒の数、事業所の数、この辺につきましては、原子力災害時に避難の実施主体となる市町村が避難計画を立てる際に基礎的なデータになると考えてございますが、人口につきましては把握したものの、まだこれにつきましては途中でございます。県といたしましては、年度末を目途に、災害時に的確かつ迅速に避難対策を実施できるよう、市町村が避難計画を作成する際の手引きとなります避難実施要領を作成することとしておりまして、災害時要援護者の把握、それから保育所とか学校、施設の数、事業所、昼間の人口の数、基礎的データの調査、整備が進むよう、市町村に対して助言、協力してまいりたいと考えております。
◯安藤委員
 それらの基礎的なデータは市町村がまず把握するということで、まだ、そのデータが出ていないと理解しました。ぜひいち早くそれぞれの自治体がこうした調査を行って、地域防災計画にきちんと反映されるように指導を徹底していただきたいし、県としても十分把握していただきたいと思います。その情報をぜひ私たちにも伝えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それから、福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、広域的避難について、県は現在どのように考えているのか伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 県原子力防災対策検討委員会では、福島第一原子力発電所の事故で、これまでのEPZ、防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲ですが、これを超えまして広域的な避難が行われている状況、それから国が防災対策を重点的に充実すべき地域の考え方として示しましたPAZ及びUPZを踏まえまして、広域的な避難のあり方等について検討を行っているところでございます。
 具体的には、町内会、それから集落ごとの地域コミュニティーに配慮した避難のあり方とか、30キロ圏内の広域避難を前提とした避難先市町村との連携体制などについて検討しているところでございまして、年度末を目途に、災害時に的確かつ迅速に避難対策を実施できるよう、市町村が避難計画を作成する際の手引となる避難実施要領を作成することとしてございます。
◯安藤委員
 検討中ということではありますが、例えば広域的に地域ごと避難していくというようなことも想定していかなければいけないと思うのですが、そういう意味で、避難先として考えている市町村などについて、もしあれば伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 避難先の市町村、それから避難元となる市町村、これらの連携が必要だということで、それぞれの市町村の連携を深めるために市町村に集まっていただきまして、防災対策を御説明しながら、協力体制を構築できるよう県が調整したいと考えております。
◯安藤委員
 適切に地域防災計画にそうした広域的避難の内容がスムーズに反映されていくように、市町村との協議も的確に行われるようにお願いしたいと思います。
 もう一点、放射性ヨウ素防疫防護地域、PPAについてなんですが、これは正確に言うとプルーム通過時の被曝を避けるための防護措置を実施する地域、PPAというそうですが、この概要について伺います。
◯工藤原子力安全対策課長
 いわゆるPPAでございますが、プルーム通過時の被曝を避けるための防護措置を実施する区域でございます。これは防災対策を重点的に充実すべき地域ではございませんが、福島第一原子力発電所の事故における安定ヨウ素剤服用の判断基準等を踏まえ、参考値として原子力発電所からおおむね50キロメートルとして示されたところでございます。
 PPA内では、プルーム通過時の放射性ヨウ素の吸入による甲状腺被曝への影響が想定されることから、この場合の防護措置は自宅への屋内退避等を中心にしたものとなり、必要に応じて安定ヨウ素剤服用も考慮する必要があるとされております。PPAの考え方につきましては、今後、また国のほうにおいて具体的な検討が必要とされておりますことから、引き続き原子力安全委員会で検討が行われるものと考えております。
 先ほどPPAにつきましてはプルーム通過時の被曝を避けるための防護措置を実施する区域と申し上げましたが、実施する地域でございます。
◯安藤委員
 今回、50キロメートルという広範囲が示されたわけですが、例えば東通原発の事故を想定した場合、50キロメートルにした際の人口の想定などがもしありましたら伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 50キロ圏内の人口につきましては、まだ把握してございません。
◯安藤委員
 以前にも原発事故が起きた後、安定ヨウ素剤の配布等について質問させていただきましたが、国が今、50キロ圏内ということも含めて検討されているわけですので、その辺の国の検討状況も見据えるということが必要ですが、ぜひ青森県としても適切な対応がされるように検討を重ねていただきたいということを要望して終わります。