2012.01.20: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑6)
◯安藤委員
 それでは最初に、原子力防災について伺います。
 今回、福島原発事故で、原発から5キロにあるオフサイトセンターは機能せず、政府が設置した事故調査・検証委員会は、問題があったと指摘しています。そこで、東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえたオフサイトセンターのあり方について、国の検討状況を伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 オフサイトセンターのあり方について、国の検討状況でございますけれども、今回の福島第一原子力発電所の事故においては、オフサイトセンター周辺が高線量となり、移転を余儀なくされたこと、また、通信設備が使用できなくなるなど、オフサイトセンターが十分機能しなかったことから、原子力安全委員会の防災指針検討ワーキンググループでは、今回の事故対応の教訓を踏まえ、オフサイトセンターの機能等のあり方について検討を行うとしております。
 防災指針検討ワーキンググループでは、原子力発電所に係る防災対策を重点的に充実すべき地域に関する考え方に引き続きまして、防護対策の実施に係る判断基準を検討しているところでございますが、オフサイトセンターの機能等のあり方についても、年度末をめどに検討されるものと認識しており、県としては、引き続き、国の動向を注視してまいりたいと考えております。
◯安藤委員
 すべてにわたって、政府の対策が後手後手になっているという状況もあります。今現在では、今の答弁によりますと、年度末、ことしの3月ころまでには、検討結果、判断基準などが示されるだろうということですが、その辺についてのやりとりというのは、今、国との間で、県はどういう状況下で、国からそういう意向を聞いているのでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 原子力安全委員会の第1回防災指針検討ワーキングにおきまして、今後の予定ということで、主な検討項目、課題を上げております。そのスケジュールによりますと、年度末までにオフサイトセンターのあり方についても検討されるというようなスケジュールであると思っております。
◯安藤委員
 県としては、その結果が出てから、県の対応を考えるという体制にとどまっているのでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 もちろん、国のワーキングの検討もありますけれども、県でも防災対策の委員会を設けていますので、そちらの検討委員会でも、あわせてオフサイトセンターのあり方についても検討していきたいと思っております。
◯安藤委員
 それでは、県の検討委員会の中で、オフサイトセンターの件については、どの程度の協議がされているんでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 県の委員会では今、避難対策をまず優先的にやろうということで、避難対策を重点的にやっておりますが、オフサイトセンターにつきましても、今回の福島の事故において、福島のオフサイトセンターの状況がどうであったのかというような状況を調査したり、把握して、意見交換しております。
◯安藤委員
 県内のオフサイトセンターは、設置者がいろいろ異なるという状況も聞いておりますので、改めて確認をしたいんですが、県内の原子力施設のオフサイトセンターの設置者と、それから施設からの距離について、伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 オフサイトセンターの設置主体と、その距離でございますけれども、まず六ヶ所オフサイトセンターにつきましては、財団法人原子力安全技術センターが設置主体で、施設から約3キロメートルのところに設置しております。東通オフサイトセンターにつきましては、東通村が設置主体で、施設から約12キロメートルのところに設置しております。
 現在設置されているその2カ所については、そのような状況でございます。
◯安藤委員
 今設置されているのが、その2つで、あと2カ所予定されている大間とむつ中間貯蔵施設にかかわってのセンターについても伺います。
◯工藤原子力安全対策課長
 今計画中のものでございますが、むつ市中間貯蔵施設に係るオフサイトセンターということで、むつ市が設置主体として、施設から約8キロのところに、むつ市が防災拠点と併設して設置する予定としております。また、大間のオフサイトセンターにつきましては現在、県が設置主体ということで進めておりますが、候補地として町からは、施設から約2キロのところを推薦してもらってございますが、これにつきましても、オフサイトセンターのあり方の検討に基づきまして、今後も検討していきたいと考えております。
◯安藤委員
 今ありました答弁によると、県が設置主体というのは大間だけなんですよね。ですから、他の、例えば東通村とかむつ市、あるいは六ヶ所のオフサイトセンターについて、県が今後、防災計画を立てる上でのかかわりといいますか、大間については県が主体ですから、当然ですけれども、県が設置主体でないオフサイトセンターについて、今後場所を変更するに当たって県がどのような役割を果たすことになるのか、伺います。
◯工藤原子力安全対策課長
 オフサイトセンターにつきましては、国がオフサイトセンターの要件に合う施設を指定することとなっておりますが、現在、オフサイトセンターのあり方について、国の防災指針検討ワーキンググループで検討されることとなっています。これらの検討状況を見ながら、県では対処していきたいと考えております。
◯安藤委員
 オフサイトセンターがその役割を担えなければ、何の意味もないわけで、今回の福島原発事故のオフサイトセンターのあり方を受けて、しっかりとした対策、あるいは条件を考えた上での変更をスムーズに進めていただくように要望したいと思います。
 次の質問ですが、福島原発周辺で、牛舎の牛や、飼われていた犬が、つながれたまま餓死するとか野生化するなど、テレビなどでも時々報じられておりますが、こうした家庭動物や産業動物などについて、しっかりとその防災計画の中で方針を示していくということが、いかに重要かということも、改めて認識しているところです。
 それで伺いたいんですが、原子力災害に伴う避難の際の家庭動物や産業動物などの対応について、県地域防災計画(原子力編)に位置づけるべきと考えますが、県の見解を伺います。
◯工藤原子力安全対策課長
 避難の際の家庭動物や産業動物などの対応についてでございますが、地域防災計画(原子力編)は、国の防災基本計画に基づきまして作成しなければならないとされております。また、専門的・技術的事項については、原子力安全委員会が定めた防災指針等を十分尊重するものとされております。
 動物の保護等に関する項目を地域防災計画(原子力編)に位置づけることについても、国の防災基本計画にどのように定められることになるのかなどを見きわめる必要があると考えておりまして、国の対応状況を注視してまいりたいと思っております。
◯安藤委員
 国の対応を注視していく、国からどういう指針が出るかということに基づいて決めていくということですが、実際に今現在の県の地域防災計画(原子力編)には、全くこれらの問題が触れられておりません。地域防災計画の中では、被災動物対策という項目はありますが、不十分なものだと思います。防災対策の中に示されていないと、地域の行政の方や、それから民間の方たちも、なかなか動けないということもありますし、しっかりとした防災対策上の位置づけをつけていただきたいと思っています。
 これについても、国の方針が示されるのを待つだけではなく、積極的に県としての独自性も踏まえた計画を練ることも必要ではないかと思います。全国的に見ると、新潟県などの取り組みが進んでいるとも聞いております。
 ぜひ進んでいるところの経験なども十分研究した上で、県の独自性ということでの防災計画の位置づけを、国からの指針が出るのを待つばかりでなく、こういう部分でも検討を進めていただきたいと思っています。この点について、見解を伺います。
◯工藤原子力安全対策課長
 防災基本計画の中で位置づけられると、我々の地域防災計画に取り込みやすいんでございますが、実は昨年末に修正されました防災基本計画の中でも、地震災害対策編とか風水害対策編におきましては、避難場所の運営管理の項目に、新たに家庭動物に関して、必要に応じ、避難場所における家庭動物のためのスペースの確保に努めるものとするということが明記されております。
 また、新たに設けられた応急仮設住宅の運営管理の項目においても、必要に応じて、応急仮設住宅における家庭動物の受け入れに配慮するものとするの一文が明記されております。
 ただ、原子力災害対策編につきましては、これまで、福島第一原子力発電所の事故を踏まえた抜本的な見直しがなされていない、まだ途中段階ということでございますので、いずれ原子力災害対策編につきましても見直された時点で、そのようなものが反映されるのではないかと考えています。
◯安藤委員
 ぜひ原子力編においても、十分、その辺との連携をとりながら、きちんと位置づけていただきたいと思いますので、これは要望させていただきます。
 次の質問ですが、東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会から、中間報告が示されましたが、これを原子力防災対策の観点から、県の見解を伺いたいと思います。
 今回出された中間報告では、地元紙の社説でも、大変リアルに今回の中間報告が、どのようなものだったかが示されています。
 政府の事故調査・検証委員会が発表した中間報告から浮かび上がるのは、意思疎通を欠き、機能不全に陥った首相官邸、監督官庁でありながら、満足な指示が下せなかった経産省原子力安全・保安院、そして、判断ミスを重ねた末に事態を深刻化させた東電の姿である。
 東電が繰り返す「適切に対応した」との説明に、真っ向から反する内容で、政官民一体の複合人災とも呼べる実態を明らかにしたと言える。事故の最大の原因は、巨大津波とそれに伴う全電源喪失という複合事故に対して、備えを欠いていたことに尽きる。
 中間報告は、2008年の段階で、東電は最大15.7メートルの津波を試算していながら、防潮堤設置などの対策を見送った事実に注目、想定外の津波という弁明では済まないと、厳しく指摘している。
 あわせて、報告を受けながら、対策を指示しなかった原子力安全・保安院についても、安全確認に消極的な態度が見られると、職務怠慢ぶりを強く批判しています。
 一方、経済性を追究する余り、津波に……
◯越前委員長
 安藤委員、済みません。新聞読んでいると晩までかかるから、自分の意見を言ってください。
◯安藤委員
 はい。この社説にも述べられているように、今回の中間報告ですけれども、最終報告ではないわけですが、この中間報告でも、東電や国が繰り返してきた人災でないということは否定されると。検証の結果、そういう事実が示されているということをしっかりと見きわめなければいけないと思います。
 こういう観点から、県の原子力防災対策とのかかわりで、どのようにこの中間報告を受けとめたのかということについて、伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 昨年の12月26日に、国の事故調査・検証委員会の中間報告が取りまとめられておりますが、この中では、オフサイトセンターの機能不全、それから環境放射線モニタリングの状況、SPEEDIの活用や避難の問題点などが指摘されております。原子力防災対策上のさまざまな課題につきましては、原子力安全委員会においても検討されているところでございますが、県の原子力防災対策検討委員会においても、県地域防災計画(原子力編)等に反映させるべき事項について、検討していきたいと考えております。
◯安藤委員
 県の原子力防災対策上、今回の中間報告のどういうところを反映させようと考えているんでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 今回の中間取りまとめにつきましては、結論というものは出てなく、今までの事実関係を洗い出しているというような状況でございますので、最終的な取りまとめはことしの夏ごろということになりますので、国に対しては、さらに徹底して調査・検証等を行っていただきたいと考えております。
◯安藤委員
 ぜひ、そういう声を国に強調していただきたいと思います。防災対策を充実させるということはもちろんですけれども、今回の福島原発事故の原因が何であったのかということを十分見きわめさせることが重要であり、そうした事故原因を踏まえた防災対策上の、あるいは新耐震設計指針も、バックチェックの検証などについても、十分行われなければならないと思います。そしてまた、活断層についての検証についても十分やった上で、新たな防災対策に反映させるということが重要ですので、そういう観点で、ぜひ県としては、十分な検証結果が出されるように国に強く求めていただきたいと思います。