2012.02.21: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑1)
○開 会  午前11時00分

◯越前委員長
 ただいまから環境厚生委員会を開きます。
 慣例により会議の記録署名委員を指名いたします。中村委員、長尾委員にお願いいたします。
 本日の審査案件は、特定付託案件であります。
 なお、審査の順序は、健康福祉部・病院局関係、環境生活部関係の順に行いますので、御了承願います。
 健康福祉部・病院局関係の審査を行います。
 特定付託案件について質疑を行います。
 質疑は、所管外にわたらないように願います。
 なお、答弁者は、挙手の上、「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。
 質疑はありませんか。──安藤委員。
◯安藤委員
 それでは、質問させていただきます。
 最初の質問は、弘前市の生活保護費に係る不祥事や不適切な事務処理に対する県の対応について伺います。
 2010年3月に発覚しました弘前市生活福祉課職員が生活保護受給者からの預かり金を持ち帰った事件は、その後550万円の着服を認めるという事態になりました。懲役3年、執行猶予5年の判決を受けるという事態です。その後、別の職員による被保護者の返還金を自宅に保管するなどで停職3カ月の懲戒処分を受けるという事件がまた発生しました。
 昨年12月の新聞報道では、弘前市は、07年から09年までの生活保護全ケースの点検結果から、189件の事務処理ミスが発見されたとされています。私のもとにも、この件にかかわり、生活保護受給者から、余りにもずさんな保護費にかかわる扱いを受けたと、精神的苦痛を受けたという訴えがありました。こうした事件が二度と起こらないことを心から願っている一人です。
 そこで伺います。
 弘前市における生活保護費の預かり金に係る不祥事や不適切な事務処理について、県ではどのように把握し、指導したのかお伺いします。
◯馬場健康福祉政策課長
 弘前市における生活保護費の預かり金に係る不祥事は、平成22年3月初旬に発覚し、県では、弘前市からの報告により把握したものでございます。その内容は、平成19年4月から平成22年3月まで同市福祉事務所に所属していた元課長補佐が、生活保護受給者から生活保護法第63条等の規定に基づく返還金に充てるための現金を預かり、市の預かり金規定に基づき所内の金庫に保管すべきところ、自宅に保管または着服をしていたものでございます。
 県では、生活保護費の預かり金は、地方自治法235条の4第2項の規定、債権の担保として徴するもののほか、普通地方公共団体の所有に属しない預金または有価証券は、法律または政令の規定によるものでなければこれを保管することができないという規定でございますけれども、これに抵触すると認識しており、不祥事発覚後に、県内の他福祉事務所に対して、会議及び通知により、生活保護に係る現金の適正管理の徹底について周知を図ったほか、県内の各福祉事務所から、預かり金制度を実施していないことを確認したところでございます。
 弘前市福祉事務所に対しましては、発覚後の平成22年4月26日から4月30日までの4日間、生活保護法に基づく特別監査を実施し、平成22年6月9日付で、1つとして、内部牽制体制の確立と経理事務の適正化、2つとして、業務執行体制の適正化、3つとして、公金の取り扱いに対する職員の意識改革の大枠3項目について是正・改善を求めたところでございます。
 弘前市からは、平成22年7月8日付で具体的な改善方策について報告があり、その後の指導監査において継続的に取り組み状況を確認し、指導しているところでございます。
 次に、弘前市における生活保護費に係る不適切な事務処理でございます。平成23年3月に弘前市のケースワーカーがケース記録の改ざんなど10項目の不適切な事務処理をしていたことが弘前市からの報告により確認されたものでございます。
 県では、生活保護費に係る不適切な事務処理が確認されたことを踏まえ、弘前市に対して、不適切な事務処理の詳細と発生要因、是正改善に向けた具体的な方策等について詳細な報告を求めたほか、当該職員が担当した全ケース並びに弘前市の全ケースについて速やかに内部調査を実施し、不適切な事務処理等の有無を調査するよう指導したところでございます。この結果、事務所全体で、先ほど安藤委員からお話しありましたけれども、144ケース、189件の事務処理の誤りやおくれ等が確認されたものでございます。
 県では、平成23年度は、生活保護法に基づく特別指導監査を計3回実施しております。延べ17日間実施し、運営体制やケースの個別検討のほか、弘前による全ケース点検の実施方法及び進捗状況等について確認したところでございます。
◯安藤委員
 今の答弁にもありましたように、平成22年3月と平成23年3月の2回にわたって問題が発覚したわけですが、率直に疑問に感じるのは、22年3月に発覚したこの事件のときに、青森県も特別監査に入って、いろいろな監査結果を受けた指導をしているわけです。内部牽制体制の確立と経理事務の適正化、業務執行体制の適正化などを指導しているわけです。そのときに、後半発覚したこれらの件について、監査の段階で全く指摘されることがなかったのか、この点についてはいかがでしょうか。
◯馬場健康福祉政策課長
 通常の指導監査では、全ケースを確認するということは困難でございます。国の指導でも、1割を目安にして個別のケースについては確認していくということでございます。それで、今回の場合は、まず、預かり金の問題、これが発覚した時点では、その預かり金のケース、これについて全ケース点検しています。こういった形で、預かり金に着目した形では全ケースをやってございますけれども、ことし3月に発覚したケースにつきましては確認できなかったということでございます。
◯安藤委員
 それでは、その預かり金についてなんですけれども、地方自治法235条にも抵触するというこの預かり金について、弘前市はこの事件が発覚するまでずっと法に触れるという形で預かり金を受けるということをしてきたわけですけれども、この点については青森県としては全く関知していなかったか、その事実を知らなかったものなのか伺います。
◯馬場健康福祉政策課長
 県では、通常の監査におきましては、国から示された主眼事項及び着眼事項を参考に、生活保護法に基づく指導監査を年1回以上実施しており、運営体制や経理処理の監査において、生活保護費の支給及び債権の徴収方法等を確認するとともに、特に現業員は現金を取り扱うことのないよう指導してきたところでございます。
 しかしながら、不祥事が発覚した平成22年3月当初、監査項目に預かり金に関するものはなく、個別のケース記録にも預かり金に関する記載は皆無であったという状況から発見できなかったものでございます。弘前市が地方自治法に抵触する生活保護費の預かり金を日常的に扱っていたことは、想定していなかったところでございます。
◯安藤委員
 弘前市からすれば大変生ぬるい県の監査だったのではないかと思います。この預かり金について、弘前市以外の市においては全くやられていないものなのかどうか、この点についてはいかがですか。
◯馬場健康福祉政策課長
 弘前市の事案が発覚した時点で、他の福祉事務所に確認してございますけれども、実施している例はございません。
◯安藤委員
 今回、後半の事務処理の問題で、調査の中で189件の事務処理ミスが発覚したわけですが、それだけのケースがあったということは、被保護者の方たちにしてみれば、過不足分の保護費を後から請求されたり支払ったりとか、そういうことが発生したわけで、生活保護を受けておられる方たちは大変苦痛を味わったということなわけですが、被保護者の方たちへのこの過不足分保護費の扱いなどについて、弘前市に丁寧な扱い、対応を指示する必要があると思いますが、この点については、県としての対応はどのようにされているのか伺いたいと思います。
◯馬場健康福祉政策課長
 県では、今回の不適正な事務処理の市からの報告を受けて、今年度、生活保護法に基づく特別指導監査を実施しています。内容的には、一般指導監査、それから特別指導、それから確認監査という3点から成っている制度に基づくものでございますけれども、この一連の指導監査の中で、その全ケースの点検、それから取り組み状況、進め方、その後の処理の仕方等を適正に行うよう指導しているところでございます。
◯安藤委員
 冒頭話しましたように、この件にかかわった保護受給者の方たちは大変苦痛を味わっているという訴えもありますので、そうした方たちへの対応も十分考慮していただきたいと思います。
 先ほどの質問とちょっと重複するところもありますが、県では、これら弘前市の問題点について、指導監査などを通じて長い間発見できなかったということについての県の見解を伺いたいと思います。
◯馬場健康福祉政策課長
 弘前市の事例を見て、やはり問題点が大きいというのは、査察指導機能が不足しているということ、それから、組織的な執行体制が十分でないといったところが結果的にはこういう処理を見逃してしまっているという結果になっていると考えております。
 そのため、指導監査におきましては、福祉事務所の組織的な対応、進行管理、それからチェック、そういった部分に重点を置いて指導を行ってきたところでございますし、今後も進めてまいりたいと考えます。

◯安藤委員
 本県の生活保護行政が適正に運営されるために、県では各福祉事務所に対する指導をどのように行っていくのか、伺いたいと思います。
◯馬場健康福祉政策課長
 県といたしましては、このような不祥事あるいは不適切な事務処理が立て続けに起こったということは、単に弘前市だけの問題でなく、本県の生活保護行政並びに生活保護制度に対する県民の信頼を失墜しかねない重大な案件であると認識してございます。
 このため、弘前市以外の各福祉事務所に対しましても、幹部職員を初め各職員に対して、指導監査及び各種会議等の機会をとらえ、二度とこうした不祥事が発生することのないよう、現金の取り扱い並びに組織的な進行管理及びチェック体制の確保ということで周知徹底を図っているところでございます。
 また、県が毎年実施しております指導監査において、平成22年度から、預かり金の有無及び現金の適正な取り扱いを監査項目の重点項目に追加したほか、幹部職員からのヒアリングをより充実し、内部牽制体制及び業務執行体制の確立等、業務の進行管理の徹底に重点を置いて指導しているところでございます。
◯安藤委員
 御承知のように保護を受ける方が年々ふえているという状況の中で、職員の方たちの御苦労も大きいかと思います。職員の方たちは対応する件数をなるだけ抑える形で、煩雑な保護行政にならないように、そうした条件をもしっかりと県としても目配せをしていっていただきたいということを要望して、この案件については終わります。