2012.02.21: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑5)
◯安藤委員
 最初の質問は、ガラス溶融炉について質問します。
 日本原燃株式会社は、ガラス溶融炉B系列の事前確認試験に向け、1月10日に熱上げを開始しました。このことに対して多くの県民の批判を受け、日本原燃が強行したことがあるわけですけれども、その熱上げをした中で、流下速度が低下するという事象が発生したわけです。
 そこで伺います。ガラス溶融炉B系列における流下性回復に向けた作業の状況について伺います。
◯工藤原子力安全対策課長
 ガラス溶融炉における流下性回復に向けた作業の状況でございますが、日本原燃株式会社によりますと、ガラス溶融炉B系列において、1月24日から、模擬ビーズを炉内に入れ、ガラスを流下させていたが、流下速度が遅くなったことから、攪拌棒や炉内の温度調整による回復操作を行ってきたが、流下性の回復には至らなかった。
 流下速度が低下した原因については、流下ノズル部に炉内のれんがの剥離片、それから間接加熱装置などからの酸化皮膜、それから結晶化したガラスなどがスムーズな流下を妨げているものと推定されるとしております。
 このため、先端がドリルとなっている異物除去装置を用いて流下を妨げているものを取り除く作業を行い、2月15日に終了したと。現在、取り除いたものを分析していると。
 今後、溶融炉を熱上げし、流下の確認を実施する予定であり、現在、熱上げに向けた作業を実施しているとのことでございます。
◯安藤委員
 今の答弁で、異物と言われるものについては3つの想定がされるということですが、その異物について、どういうものかということを今調査しているかと思うんですが、どういうものが原因であったかということについて、大体どのくらいの期間を要してそれが判明することになるのか、状況がわかれば伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 原因を究明する時期でございますが、日本原燃株式会社によりますと、異物除去装置による作業で採取したガラス片の分析の結果、それから、今後の熱上げした後に実施するガラスの流下状況、これらを踏まえて原因を究明していくということで、その時期についてはまだ明確にはなってございません。
◯安藤委員
 時期がまだわからないということですが、その原因がはっきりした折に次の過程の試験、熱上げ、そして試験再開ということになっていくかと思うのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 日本原燃株式会社によりますと、流下性を妨げている原因を踏まえて次のステップに入っていくようになると伺っています。
◯安藤委員
 そうしますと、その異物が何であるのかを今検証しているということだと思うので、それが明確にならない限り次のステップには行けないと理解しました。
 そこで伺いたいんですが、今回はB系列から始めたわけですが、既にA系列の試験は以前やられたわけですけれども、模擬廃液による事前確認試験前の段階で今回のような流下が妨げられるような事象は発生したことがあるんでしょうか。それとも全くそういうことはなく、スムーズに熱上げができたのでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 日本原燃株式会社によりますと、A系列におきまして模擬廃液での流下速度の低下は特にあったとは聞いておりませんが、例えばKMOCとかで試験を行った際、酸化皮膜等により流下、流速の低下はあったように伺ってはおります。
◯安藤委員
 事前確認試験の前に流下性回復に向けた作業が必要になったという事態について、県はどのように考えているか、見解を伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 事前確認試験の前に流下性回復に向けて作業が必要となったことについてでございますが、日本原燃株式会社によりますと、れんがの剥離片や酸化皮膜が流路を閉塞する場合を想定して、直棒、攪拌棒ですけれども、異物除去装置等を準備し、その閉塞を解除する手順をあらかじめ定めておりまして、今回の事象もこれらの装置や手順で対応したものであるとのことでございます。
 県としては、事業者において、起こり得る想定事象に対する準備に万全を期して、安全確保を第一に慎重に対応していただきたいと考えているところです。
◯安藤委員
 流下性回復に向けた作業が今後の竣工までのスケジュールに与える影響についてはどのように考えているか伺います。
◯工藤原子力安全対策課長
 竣工までのスケジュールに与える影響でございますけれども、日本原燃株式会社によりますと、その流下性回復に向けた作業によりまして、工程的には厳しくなると考えている。ただ、現時点では、10月竣工という目標を変えることなく、最大限の努力をしていきたいということでございます。
◯安藤委員
 最大限の努力をしていくという答弁がいつまで続くのかと思います。青森県としても、そういう日本原燃の姿勢をいつまで受け入れていくのかと考えます。やはり県としては、目標のところで物理的に無理だという判断をするのであれば、きちんとした日本原燃との話し合いも必要ではないかということを提言しておきたいと思います。
 もう一点お聞きしたいんですが、B系列の模擬廃液試験、実廃液試験が終わったならば次の段階でA系列の試験が始まるかと思うんですが、A系列の試験はどういう作業から始められるものなのか確認をさせていただきます。
◯工藤原子力安全対策課長
 B系列の試験が終わった後A系列に入るということでございますが、まずB系列におきましては、KMOCで得られました知見を確認することと、あと実廃液での試験ということになります。その後、A系列におきましては、やはりKMOCでの試験とA系列の実機との比較ということで、模擬廃液で試験を実施すると聞いています。
◯安藤委員
 いずれにしても、先ほどの答弁の中にあったように、KMOCでの試験で起きた事象であったことも先ほど触れられましたが、そういう試験をクリアして今があるかと思うんだけれども、同じような事象がまた発生しているということを見るにつけ、技術的に大変難しいものだということを改めて感じざるを得ません。このガラス溶融炉の試験について、やはり多くの県民が注視している中ですので、こういう事態になっていることをさらに受けて、やはり試験の中止を求めるべきではないかと考えます。