2012.02.21: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑6)
 次の質問に移ります。青森県地域防災計画原子力編の見直しで、県原子力防災対策検討委員会の第4回会合が開かれ、提言内容の協議がなされたという報道がありました。
 そこで伺いたいと思います。原子力防災について、まずは、市町村が避難計画を作成するに当たって、県はどのように支援していくのか、伺いたいと思います。
◯工藤原子力安全対策課長
 市町村が避難計画を作成するに当たって、県の支援でございますが、今回の福島第一原子力発電所の事故を踏まえた防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲としては、これまでのEPZにかえて、おおむね施設から5キロのPAZ、それからおおむね30キロのUPZを設けるとする国の考え方が示されたところでございます。今後は、原子力発電所については、発電所から30キロ圏内の外への広域避難を念頭に避難対策をする必要があると考えてございます。
 このため、万一の際に、住民等に対する避難指示の伝達、それから、避難誘導等の主体となる市町村が、災害の初動時に的確かつ迅速に避難対策が実施できるよう、市町村が避難計画を作成するに当たっての手引きとなる避難計画作成要領を作成し、提示するとともに、市町村の行政区域を超える30キロ圏外への広域的な避難に対応するため、具体的な避難先の指定に向け、避難元市町村と避難先市町村の調整を進めることとしてございます。
◯安藤委員
 避難先と避難元の調整ということですが、現状で県がさまざまな情報をそれぞれの市町村に対して提供して、どの程度の計画が練られているんでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 避難元と避難先の市町村の調整でございますけれども、現在、各市町村の避難施設の状況を把握しているところでございまして、今後、具体的に市町村に示して、市町村との調整をこれから始めるという段階に今ございます。
◯安藤委員
 そうしますと、避難先の自治体の了解は、もうそこまで進んでいるんでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 具体的にどの市町村がどの市町村に行くかというのはこれからの調整になります。まだ、県内全体の施設の状況を把握した上で、それを検討しながら、どこの市町村がどこに行くという調整を始める段階でございます。
◯安藤委員
 EPZが見直しされていない原子燃料サイクル施設周辺地域の避難計画について、県はどのように対応するのか伺います。今回の見直しの中ではこの核燃サイクルの計画は全く触れられていないことを受けてこの質問をさせていただきます。
◯工藤原子力安全対策課長
 原子燃料サイクル施設周辺地域の避難計画でございますけれども、原子力発電所以外の原子力施設に係る防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲につきましては、今後国で検討するとされていることから、原子燃料サイクル施設については、現時点では、現行の半径約5キロを目安とした避難対策が想定されているところでございます。
 県としては、今後とも国の検討状況を注視しつつ適切に対応していきたいと考えてございます。
◯安藤委員
 国の動きを見ていくということですが、半径5キロでは絶対足りないことがもう明らかになっているわけで、一方の原発の避難については30キロ圏内を視野に入れた計画が始まっているので、国の動向を見つつ、やはり先行的に計画案を練っていくべきではないかと思うんですが、その辺についてどのような考えをお持ちでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 サイクル施設周辺の防災対策を重点的に充実すべき地域につきましては、国において今後検討するとされているところでございますけれども、県といたしまして、施設周辺の市町村に対しましては、まず避難計画を作成する際に必要となる人口とかそういう基礎的なデータの収集・整理につきまして把握しておくようにという助言をしているところでございます。
◯安藤委員
 基礎的データを集めることからまず始まるんでしょうけれども、やはり少し速度を上げて、計画を事前に国の動きが見えるまで待つのではなくて、やはり計画をつくるというところまで速度を上げてやる必要があると思いますので、これは要望をしたいと思います。
 次の質問ですが、住民避難に当たり、陸路以外の避難手段をどのように考慮していくのか伺います。
◯工藤原子力安全対策課長
 陸路以外の避難手段でございますけれども、総務部において取りまとめられました原子力災害時における避難のあり方検討プロジェクトチームの報告によりますと、原子力発電所事故による避難経路につきましては、陸路による避難を基本とする一方で、地震・津波等により陸路が寸断されるなど孤立化するような場合については、空路や海路による避難についても考慮するとされ、航空自衛隊のヘリコプター、海上自衛隊の護衛艦、それから民間事業者の船舶などによる避難手段が検討されたところでございます。
 県としては、万が一の避難に際して、陸路による避難が困難になった場合は、空路や海路を活用した迅速な避難が実施されるよう、自衛隊、海上保安部、それから民間事業者などと平時から連携強化に努めてまいりたいと考えております。
◯安藤委員
 今回の県原子力防災対策検討委員会の議事録も読ませていただきましたが、やはり、この辺についての委員の方たちのさまざまな意見も見せていただいたんですが、空路、海路での避難は、天候に左右されることや、ヘリポートや漁港、港湾までの交通手段などについての心配の声、津波が発生したようなときには、空路、海路を利用するまでの手段もなかなか難しいことなども危惧する声が出されていましたが、そういうことも踏まえて、住民を安全な場所に誘導していくというのは非常に困難があるかと思うんですが、そういうさまざまな要因を踏まえての避難誘導、空路、海路なども含めた検討を必要とすると思うんですが、こういう委員の方たちの意見を踏まえた計画のまとめはどのようになっているのか伺います。
◯工藤原子力安全対策課長
 先ほどの原子力災害時における避難のあり方検討プロジェクトチームにおきまして、地震や津波などを想定して、孤立化した場合ということで、道路整備の必要性も一応提言しておりますので、それも踏まえながら地元市町村と調整して整備されていくものと考えてございます。
◯安藤委員
 防災対策検討委員会の取りまとめ案において、SPEEDIが使えない場合に、みずからも拡散状況を評価できる仕組みも備えておくことが必要との記載がありますが、この点について県の見解を伺います。
◯安藤委員
 福島の事例も今出ましたが、まずはSPEEDIを有効活用できる体制と十分情報が伝達できる体制が必要だと思います。その点について、やはり各県から国にその声を上げていく必要があると思いますが、SPEEDIの有効活用の件について県として声を上げているのかどうか、その点についてはいかがでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 SPEEDIのあり方につきましては、国のほうで検討なされるということですが、自治体、いわゆる全国の立地県の協議会などで、青森県知事がその協議会の会長ということで、代表して取りまとめて、国に対して要望してございますが、その中にはSPEEDIの有効活用も含まれているということでございます。
◯安藤委員
 それから、これも検討委員の方たちから出されている意見だったかと思いますが、放射線モニタリングを、避難誘導する市町村職員がその放射線モニタリングをしっかりと活用できる体制が必要ではないかと意見が出されておりましたが、私も本当にもっともだと思います。こうした、県が市町村に対してのこういったきめ細かな体制の構築についても意見を出していくべきだと思いますが、こういう点についてはどのようにお考えでしょうか。
◯工藤原子力安全対策課長
 避難に際して市町村の職員がモニタリングできるような体制の構築につきましては、委員会で委員の方々から御意見がございました。確かにそれも必要だということで、我々、避難計画の作成要領を作成した時点で、その作成要領の中に、市町村の職員が避難誘導中のモニタリングを実施できる体制をつくる検討をするようにということで記載してございます。また、国に対しても、必要があればやはり同じように要請していきたいと考えてございます。
◯安藤委員
 ぜひ、核燃再処理工場も含めてきめ細かな防災対策を作成していただき、もしものときの住民の方たちの避難誘導がスムーズにできるような体制を確立していただきたいと思います。