2012.02.21: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑7)
 次の質問です。第3次特定鳥獣保護管理計画、下北半島のニホンザルについてですが、先般新聞報道にもありましたので伺いたいと思います。この計画の概要について伺います。
◯前澤自然保護課長
 計画期間を平成24年4月から平成29年3月までの5年間とする第3次特定鳥獣保護管理計画については、北限の猿の保護及び地元住民との共存に向け、生息状況のモニタリング調査を実施し、被害防止対策、個体群管理及び生息環境管理などの対策を進めることを内容としています。
 具体的には、農作物などに被害を及ぼす群れの個体数調整などの基準や土地管理区分ごとの対策を設定し、電気さくの設置や計画的な捕獲、モンキードッグによる追い払い、追い上げなどの取り組みを進めることとしています。
 このため、毎年度実施する県のモニタリング調査の結果を踏まえ、むつ市、大間町、風間浦村、佐井村の関係4市町村は、ニホンザル保護管理事業実施計画書を作成し、学識経験者などで構成される下北半島ニホンザル対策評価科学委員会で評価・検討することとしております。
◯安藤委員
 北限の猿ということで、大事にしていきたいことと、反面、住民の方たちの被害も深刻だということで、両側面を視野に入れた計画が策定されているかと思うんですが、今のお話にもありましたように、計画的捕獲が今度の第3次の計画の中でも触れられているわけですが、猿の頭数は残念ながらふえる傾向を食いとめられないでいると思います。今後、捕獲頭数についてどのような基準で決めていくのか伺いたいと思います。
◯前澤自然保護課長
 それでは、捕獲頭数でございますが、次期計画における捕獲許可頭数は、関係市町村であるむつ市、大間町、風間浦村、佐井村からの捕獲申請について、先ほど御説明をしていました下北半島ニホンザル対策評価科学委員会の意見を踏まえ設定することとなります。
◯安藤委員
 具体的な数というのはその委員会で決められていくわけですが、各市町村からその希望数が出されることになるんでしょうか。
◯前澤自然保護課長
 市町村のほうからは、毎年度、モニタリング調査を受けて実施計画書を作成して出すことになっておりますが、その中で捕獲頭数が設定されることとなっております。
◯安藤委員
 具体的に、第3次の計画の中でどのくらいの頭数を捕獲するということは、数字的に出されているんでしょうか。
◯前澤自然保護課長
 次の具体的な捕獲頭数はまだ決まっておりません。これからということでございます。
◯安藤委員
 被害状況に、最近では内陸部でも分布域が拡大しており、農業を基幹産業としている地域に迫っていることから早急な対策が求められていると書かれていますが、農業を基幹産業としている地域とはどういうところを指しているんでしょうか。
◯前澤自然保護課長
 下北半島、今申し上げた関係市町村、むつ市、大間町、風間浦村、佐井村、それぞれ、もともと農業を基本として、野菜、果実が基幹産業となっている地域です。
◯安藤委員
 そうすると、今までよりもより畑作などをやっている地域にどんどん迫っているというか、そういう状況にあると理解してよろしいですか。
◯前澤自然保護課長
 まず、今現在というか平成22年度現在で猿の生息状況というのは1,900頭余りになっておりまして、約10年前、平成14年度でございますけれども、そのときは約1,000頭、ですから、単純に考えますと10年間で2倍近くふえていると、そういう傾向は現在も続いている。したがいまして、農作物被害など人間生活と猿との間にあつれきが生じてきましたので、今回の特定鳥獣保護管理計画を策定して適切な対応をしてまいりたいと考えております。
◯安藤委員
 今度の計画の中に、県及び市町村が専門的知識や技術を有する人材育成を推進という記述があるんですが、これは具体的にどういう人材を育成することが想定されているんでしょうか。
◯前澤自然保護課長
 今現在も猿対策に関しては、下北半島ニホンザル対策評価科学委員会、そこには野生の動物に関して知識を持っている方がいらっしゃいますので、その方々とよく相談して対策については検討してまいりたいと考えております。
◯安藤委員
 人材育成ということでは、もう少ししっかりした、今がしっかりしていないというんではないんですけれども、今の状況をよりよい方向に持っていけるような、いろいろな科学的な分析だとかモニタリング調査の状況を踏まえた議論ができるような、その専門的知識や技術を有する人材育成をもう少し具体的に県がリーダーシップをとってもいいのではないかと思うんですが、もう少し明解なお答えをいただければありがたいと思うんですが。
◯前澤自然保護課長
 今でも、実際その猿の調査であるとか捕獲に従事している猿調査会の方々が、現地を見まして、その方々は現在でもそれ相当の知識、技術を有しておりますから、その方々をさらにスキルアップするというのも一つの方法ではないかと考えております。
◯安藤委員
 猿の関係をもう一つ。これまでの防除対策の成果について伺います。
◯前澤自然保護課長
 下北半島のニホンザルによる農作物被害は、平成8年に約900万円とピークを迎え、また、多数発生した人的被害、人家侵入被害が、電気さくの設置やモンキードッグによる追い払い・追い上げなどの防除対策や個体数調整などの捕獲を実施したことにより、平成22年に農作物被害は約550万円と4割減少している。人的被害は、平成20年5月以降発生していない。そして、人家侵入被害は平成20年度以降激減しています。特に、モンキードッグによる追い上げにより、猿の行動域が山側にシフトしているなどの効果があらわれています。
 しかしながら、近年、群れの分裂が進み、また、行動域が拡大し、新たな地域で農作物被害を引き起こすおそれが出てきたことや、依然として被害が減少していない地域があることから、第3次特定鳥獣保護管理計画に基づき、引き続き取り組みを進めてまいります。
◯安藤委員
 モンキードッグの追い上げの成果も出ているということですが、現在、そのモンキードッグの活用状況と、それから、今後さらに広げていく計画があるのかどうか伺います。
◯前澤自然保護課長
 モンキードッグですが、まず、平成20年度にむつ市脇野沢で2頭導入されまして、現在は、むつ市に3頭、大間町、風間浦村、佐井村に各1頭、計6頭でございまして、今後の導入については、さまざま対応をとりながら検討していきたいと思います。
◯安藤委員
 多角的な対策が功を奏して、よい方向に行くことを念じております。