2012.03.21: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑3)
 次に、請願受理番号第1号「公的年金の改悪に反対する意見書提出を求める請願」を審査いたします。
 本請願について、執行部の説明を求めます。──江浪健康福祉部長。
◯江浪健康福祉部長
 それでは、青森市中央2丁目6−6、全日本年金者組合青森県本部執行委員長千代谷邦弘氏から提出されております受理番号第1号「公的年金の改悪に反対する意見書提出を求める請願」に関しまして、御説明を申し上げます。
 請願内容につきましては、「公的年金の『特例水準解消・2.5%削減』は行わないこと」の意見書を、県議会として、国に提出するよう願い出ているものでございます。
 公的年金につきまして、国から権限を委任された日本年金機構が運営・実施するものでございます。いわゆる2階建て方式と呼ばれまして、すべての国民が加入する1階部分の国民年金、基礎年金という部分と会社員、公務員などの2階部分であります厚生年金または共済年金から成っているというものでございます。
 この公的年金に関しましては、年金額の実質価値を維持するために、物価の変動に応じて年金額を改定する物価スライド制によっているものでございます。
 この特例水準というものは、過去の物価下落時に年金額を据え置いた経緯から、特例的に本来よりも高い水準で支払われている年金の水準ということでございまして、現在支給されております年金は、平成12年度から14年度にかけての物価下落時に、特例法によりましてマイナスの物価スライドを行わず年金額を据え置いたことなどによりまして、本来の年金額より2.5%高い水準、特例水準で支払われているというものでございます。
 国におきましては、平成23年度に実施されました提言型政策仕分けによります議論を踏まえて、この特例水準について、現役世代、これは将来年金を受け取る人でございますが、その年金額の確保につなげるために、平成24年度から26年度までの3年間で解消するということを検討いたしまして、平成24年2月10日に、特例水準の解消を含みます「国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案」が第180回通常国会に提出をされたところでございます。
 このように、年金制度につきましては国の専管事項でございまして、国が責任を持って制度を管理し、検討すべきものであって、県といたしましては、国の動向を注視しているところでございます。
◯越前委員長
 ただいま江浪健康福祉部長から説明を求めましたが、本請願について御意見等はありませんか。──安藤委員。
◯安藤委員
 受理番号第1号の「公的年金の改悪に反対する意見書提出を求める請願」に賛成の立場で意見を申し上げます。
 政府は物価スライド特例分の解消を口実とした年金2.5%の引き下げを含む国民年金等一部改正法案を閣議決定し、国会に提出しました。これは高齢者の生活実態を無視したものだと言わざるを得ません。
 特例措置は2004年、年金法に位置づけられ、物価指数上昇により解消することを見込んだものです。それが解消されていないのは、歴代政府が非正規労働者をふやし、賃金を引き下げるデフレ経済を続けてきたためです。その責任を棚に上げ、適法に受給している年金をもらい過ぎなどというのは許されません。
 そもそも特例措置は、高齢者の生活や景気への配慮から行われたものです。年金への課税は重くなるばかりで、医療・介護保険料も改定のたびに値上げされ、高齢者の生活は厳しさを増しています。
 国内経済は長期にわたる低迷が続いています。年金の2.5%もの引き下げは高齢者の生活を直撃し、景気にも大きな打撃を与えます。
 日本銀行青森支店は2月28日、高齢化社会における本県経済の現状と課題をテーマにした特別リポートを公表し、人口減少により県内総生産は減少する中、高齢者所得の中心となる年金が県民所得の約15%を占め、県内経済を下支えしていると指摘しています。
 よって、年金の特例水準解消・2.5%削減はやめるよう、国に意見を上げることは必要と考えます。
◯越前委員長
 ほかに御意見等はありませんか。
 [「なし」と呼ぶ者あり]
 ないようであります。
 請願受理番号第1号につきましては、採択と不採択の意見がありますので、起立により採択いたします。
 本件を採択とすることに賛成の方は御起立願います。
 [賛成者起立]
 起立少数であります。
 よって、本件は不採択とすることに決定いたしました。