2012.03.21: 平成23年度環境厚生委員会 抜粋 本文(質疑5)
◯越前委員長
 それでは、休憩前に引き続き会議を開きます。
 健康福祉部並びに病院局関係の所管事項について、質疑を続行いたします。
 質疑はございませんか。──安藤委員。
◯安藤委員
 先般、こういう記事が目にとまりまして、「障害者支援施設運営法人で、利用者に暴行、暴言か」という記事が載りました。障害者の方たちが生き生きと暮らし、日々生きがいのある毎日を送ることのできるようにするための支援施設において、障害者の方が悲しい思いをするような事態が、この報道記事が本当であれば、大変残念なことだと強く思っています。そこで、きょうは委員会において、この問題についても伺いたいと思っています。
 そこで、質問いたします。3月15日の河北新報で、指定障害福祉サービス事業所において暴行があったと報じられた件について、これまでの経緯と今後の対応について伺いたいと思います。
◯工藤障害福祉課長
 ただいまの質問にお答えする前に、委員長のお許しをいただいて、先ほど安藤委員から議案の関係で御質問いただいて、各医療療育センターの入所者についてお答えしてよろしいですか。
◯越前委員長
 はい、よろしいです。どうぞ、許可いたします。
◯工藤障害福祉課長
 各センターにおける平成23年12月1日現在の18歳以上の入所者の方の状況についてでございます。まず、重症心身障害児施設のほうですが、あすなろが27人中23人、さわらびが23人中21人、はまなすが30人中18人。また、肢体不自由児施設のほうでございますが、あすなろは18歳以上の入所者はいらっしゃいません。はまなすは37人中3人となっています。
 それでは、先ほどの御質問にお答えいたします。
 県は、関係者から情報提供を受け、利用者に係る不適切な処遇に係る対応があったことから、別途情報提供を受けた青森市とともに調査を行っているものでございます。
 調査は、県と市が合同で実施しており、利用者、職員及び代表者への個別への聞き取りを中心に実施しております。
 現在、調査を継続しておりますが、調査が終わり次第、内容を精査した上で、何らかの問題があると認められれば、指導等を行っていくことになります。
◯安藤委員
 たまたま19日の夕方のニュースを見ていましたら、ATVのニュースでこの問題が報じられまして、男性専務理事と男性利用者のこのたびの一部始終がビデオにおさめられておりまして、その内容がテレビで放映されました。
 県と市の調査では、話を聞いているということなんですが、実際に暴力であったかと言われるこの事象のビデオについても入手をして、調査の一環としているのかどうか伺いたいと思います。
◯工藤障害福祉課長
 ただいま、安藤委員からお話しのありましたとおり、調査の中の一環として、そのビデオを入手してございます。
◯安藤委員
 テレビの画像で見る限りですが、男性利用者が興奮しておられるような模様がありました。しかし、その方はあくまでも障害者だと思います。それを指導するという対応ではなく、見る限りではまるで容疑者を取り押さえるような格好に見えました。
 新聞報道の福祉問題に詳しい弁護士のコメントが載っていましたが、この方のコメントによっても、「必要以上の暴力で、施設職員としてあるまじき行為」とコメントを述べています。
 今、調査中だということですが、このような事態について、県はどのように受けとめているのか伺います。
◯工藤障害福祉課長
 お答えします。
 やはり、ビデオを視聴者の方がごらんになれば、やはり一般的には問題があると受けとめられるのではないかと思います。いずれにしましても、今回の事案につきましては、県として厳正に対応してまいりたいと考えております。
◯安藤委員
 この暴力を振るったのではないかと言われている方が、専務理事というのは新聞報道から私は知ったわけですけれども、専務理事ということは、やはり管理者の立場にある方だと思うんです。ここがまた、すごく重要な問題だと思います。この方がそういう立場の方であって、そして利用者の方に今回のような事象が起きたということが発覚したわけですが、これまでの調査の中で、この方によって、これまでも日常的に不適切な言動だとか行為があったのではないかと、私は疑うのですが、この辺については、どのように認識されておられるのでしょうか。
◯工藤障害福祉課長
 今回の今御指摘のありました点につきましても、そういうことを含めまして県として合同で調査を行っている調査の過程ということでございますので、この場では御答弁できないことを御理解願いたいと思います。
◯安藤委員
 冒頭の答弁で、問題があれば指導するというお話でしたが、問題があったという認識には変わりないということで、よろしいですか。
◯工藤障害福祉課長
 今の件につきましても、調査の過程ということで、お答えするのが難しい状況にございます。
 報道にもありますように、働いている当事者が、報道されているような疑いを否定しているということとか、関係者間でも証言が食い違う発言があるなど、事実関係を明確にすることは難しい状況にありまして、引き続き慎重に調査を進めたいと考えております。
◯安藤委員
 いろいろ食い違いがあるというお話でしたが、しかしビデオも入手されているということですので、あれは隠しようのない事実なわけですので、その事実に基づいた判断と指導をするべきだと思います。
 指導ということなんですが、具体的に例えば今後障害者就労支援施設としての認定取り消しなどという措置も、場合によってはあり得るのか伺います。
◯工藤障害福祉課長
 お答えします。
 現在、調査中であり、結果について予測で申し上げることはできません。ただ、一般論として、事業者に何らかの問題がある場合に指導等を行い、それらを繰り返しても改善が見込まれない場合は、制度上指定の取り消し等の行政処分を見据えた対応をとっていくことは考えられます。いずれにしましても、県として厳正に対応してまいりたいと思います。
◯安藤委員
 それでは、今回のこのNPO法人がこのような指摘をされたということは、今回が初めてなのかどうか伺います。
◯工藤障害福祉課長
 県は、これまでも指定障害福祉サービス事業所を対象とした集団指導及び実地指導において、法令順守の徹底と不祥事及び事故防止に努めるよう指導してきたところでございます。
 なお、当面、この事業者に対しましては、毎年集団指導による指導を行っております。なお、これまでの実地指導の実績は後で提示します。
◯安藤委員
 ぜひ、県としては、あくまでも利用者、今回暴力を振るわれたであろうと言われる方の立場に立って、ぜひ厳密な調査をして、適切な指導をしていただきたいと思います。
 こういう事例の場合、特に今回相手方の職員は管理職と思われる立場の方です。そういう中で、証言をされている方たちに不利益になるようなことがないように、この辺についても、しっかり県として指導していただきたいと思います。
 これに関連して、もう1点ですが、今回の事案のように、NPO法人が指定障害福祉サービス事業所として指定を受ける要件を伺いたいと思います。
◯工藤障害福祉課長
 お答えします。
 指定障害福祉サービス事業所の指定の要件としまして、障害者自立支援法により法人格を有する必要がある旨まず規定されております。そのほか、具体的な内容は、厚生労働省令により規定されており、人員基準としまして、管理者、サービス管理責任者、職業指導員及び生活支援員等事業所ごとに置くべき従業者の基準及び員数。設備基準としまして、訓練・作業室、相談室等サービス提供に必要な設備の設置基準。運営基準としまして、内容及び手続の説明及び同意、サービス提供拒否の禁止、秘密保持等、事故発生時の対応などがあり、これらの基準を満たしている場合に、指定を行うものでございます。
◯安藤委員
 そうしますと、例えばこのNPO法人の場合、このようなサービス提供をする場合に、直接障害者の方と指導に当たる方たちがふさわしい資格といいますか、障害者の方たちの指導に適切な人事が配置されているのか。あるいは全くそういう資格がなくても、そういう立場で働くことができるのか、そこの確認をさせていただきたいと思います。
 それで、今回の事例の管理職と言われる方は、どういう資格を有している方なのか伺います。
◯工藤障害福祉課長
 お答えします。
 今回の事業所につきましては、障害者就労支援施設ということで、職業指導員や生活支援員の配置が求められてございますが、この職業指導員や生活支援員というのは、障害者が利用施設で職業上の技術を習得させるという面とか指導を行い、あるいは指導や生活支援を通じて、障害者の方たちの社会復帰のお手伝いをしますが、特別な資格は必要とされておりません。
 さらに、報道されている当事者の方でございますが、職種としましては職業指導員ということになってございます。
◯安藤委員
 そうすると、職業指導員ということですが、先ほどその前に答弁があったように、特に資格はなくてもということなわけですが、今回の方も障害者の方たちの指導に当たるための特別な資格は有していない方という理解でよろしいでしょうか。
◯工藤障害福祉課長
 まず、基準上、職業指導員というのは、特別な資格が必要ないということでございまして、当事者の方が資格を有しているかどうかについては把握してございません。
◯安藤委員
 まだ調査中だということでその辺は調べられていないということかと思うんですが、ぜひその辺もしっかりと調査の1つにしていただきたいと思います。
 私の周りにもNPO法人にかかわって、障害者の方たちの就労支援活動をされている方、多数存じ上げています。皆さん、とても頑張って障害者の方たちの支援を、本当にボランティアの精神で頑張っておられる方たちをたくさん見ています。今回のような事件があると、そういう方たちの努力を台なしにしてしまう行為だというふうに思います。
 ぜひ、あいまいにせず、厳重な態度で調査の最終結論を出して、適切な指導、そして、こういうことが繰り返されるようであれば、資格というか、認定の取り消しということも、場合によってはあり得るという強い立場で臨んでいただきたいと思います。
 この件について、とても社会的に大きな関心を呼んでいることですので、もしよろしければ、部長さんからも一言コメントをいただければと思います。
◯江浪健康福祉部長
 障害者の方に対します虐待というものに関しましては、先に国会で障害者虐待防止に関する法律も成立しているところでございまして、障害者の尊厳を害するものであって、障害者の方の自立及び社会参加にとって、虐待防止法というのは非常に大事なものというふうに我々も考えてございます。
 今回の件に関しましては、まだ調査中ということでございますけれども、そこはしっかり調査して、しっかり対応していきたいというふうに考えてございます。