2012.4.20: 平成24年度農林水産委員会 抜粋 本文(質疑5)
 最後の質問ですけれども、2008年8月、弘前北部土地改良区が事務職員として働いていた高杉正子さんという方を懲戒解雇したという事件がありました。高杉さんが懲戒解雇撤回を求め、裁判が行われてきました。昨年の2011年9月に地裁弘前支部は懲戒解雇無効と判決したわけです。これを改良区は不服として控訴し、その判決がことしの3月14日にあり、高裁秋田支部は改良区の控訴を棄却したと聞いています。土地改良区というのは私たちの身近にある農業にかかわる団体であり、そこでこのような事件が起きたということは非常に残念だというふうに見ています。
 そこで伺いたいと思います。職員の懲戒解雇に係る裁判で弘前北部土地改良区が敗訴しましたが、現在の状況と、今後県がどのように指導していくのか伺いたいと思います。
◯北林農村整備課長
 弘前北部土地改良区は、ことし3月14日に仙台高等裁判所から、「職員の懲戒解雇は無効であり、給与等を支払うこと」という内容の判決を受けたところです。
 土地改良区では、この判決を受けて、ことしの4月までに職員に免職中の給与等を全額支払っており、また、4月3日には職員との間で職場復帰に関する合意書を締結し、職員は翌日から通常どおり勤務していると聞いています。
 県としては、円滑な土地改良区の運営に向けて、今後とも、法令や定款などの諸規定や総代会の決議を遵守し、組合員のために忠実にその職務を遂行するよう土地改良区を指導していくこととしています。
◯安藤委員
 結果的に職場復帰ということになって、もとの職場で働くことができるようになったということを非常にうれしく思います。
 それで、今の答弁にもありました合意書というものが交わされたと聞いていますが、この合意書の遵守について、県はどのような立場で指導をされていくのか伺いたいと思います。
 この合意書の中に、業務の引き継ぎを行うという、当然ですけれども、こういう内容もございます。しかし、現実的には、職場復帰したものの、そして事務局長という大役で職場復帰したわけですけれども、一切の事務の引き継ぎがなされていないと聞いています。これは合意書に違反することであり、また、社会的に見ても、大切な団体の事務をこれから担っていく上で前任者との引き継ぎがなされないということは異常な事態だなと思うわけです。この合意書の中にそういうことも触れられていますので、こうした内容について県はどのように指導をされていくのか、伺いたいと思います。
◯北林農村整備課長
 4月3日に土地改良区と職員及び労働組合の3者の間で今後の職場復帰に関する合意書が締結されたと聞いております。
 県としては、円滑な土地改良区運営を確保するため、今後とも、法律、定款などの諸規定や総代会の決議を遵守し、組合員のために忠実にその職務を遂行するよう指導してまいりたいと考えております。
◯安藤委員
 円滑に職務が遂行できるような指導をぜひ県としても取り組んでいただきたいと思います。
 そして、もう一つですけれども、裁判となったわけで、4年弱、3年半の裁判が行われてきたわけですが、その裁判費用というのはかなり膨大な額になるのではないかと推定されるわけですが、こうした裁判費用──先ほどの答弁にあったように、これまでの給与についても補償することになったわけですから、それに加えて裁判費用も発生するわけですけれども、この裁判費用というのがどういう費用から捻出されると県はとらえているのか伺いたいと思います。
◯北林農村整備課長
 裁判費用につきましては、土地改良区内部の案件であり、その金額等については把握しておりませんが、裁判費用については総代会の承認を経て予算計上されたと聞いております。
◯安藤委員
 総代会で承認されて支出されるということは、結局は組合員さんたちの出す組合費というんですか、出されるお金でそうした費用も土地改良区の予算の中から捻出されるということなわけですから、お一人お一人の組合員さんが十分納得されないと不満も出てくると思います。既に組合員さんの中には、一体どうなっているのか、何が起きたのか十分説明がないままに今日まで来ているので、自分たちが払うお金を払いたくないという方たちもいると聞いています。
 それで、先ほど出された合意書の中に、判決に従って解雇を撤回することと、遺憾の意を表明するというものがあるんですけれども、やはり土地改良区側がこうした立場で今後しっかりとした対応をしていかなければいけないと思うんですが、土地改良区の理事長名で各組合員さんに出された報告書というのがあります。これは、ある組合員さんが見てほしいと言って、見させていただいたものですけれども、4月1日に郵送されてきたものらしいんですけれども、これには、職員、高杉正子氏からの差し押さえについての報告という文書になっているんです。
 それで、この文書の中には、高杉氏に20年9月から今年3月末まで改良区で勤務することなく支払われる給料の金額は何々という説明があり、組合員の皆様には、一連の改良区に対して高杉正子氏から行われた差し押さえに関しての現状と裁判後の状況をお知らせするとともに、なお一層の御支援を承りますようお願い申し上げたいという文章になっています。どういう裁判があってどういう判決があったのかということについて十分組合員さんが理解できるような文章では決してないと私は思いました。
 総代の方にはある程度の説明がなされたと思いますけれども、組合員さんに土地改良区側から十分な説明がなされていないと思いますので、今後の土地改良区の正常な運営がこれからしっかりと行っていけるようにするためにも、組合員さんへの説明義務というのも果たす必要があると思うんですけれども、この辺についての県の指導について伺いたいと思います。
◯北林農村整備課長
 県としては、総代会で総代に判決内容等を説明するように指導してきました。今後も、総代を通じて一般の組合員に対しても周知するよう要請していきます。
◯安藤委員
 総代を通してということで、それが定款上のやり方ということであればいたし方ないのかなとも思いますが、いずれにしても、組合員さんたちが納得できるような情報がしっかりと伝わるように県としても適切なアドバイスをしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上で終わります。