2012.5.21: 平成24年度農林水産委員会 抜粋 本文(質疑2)
 次の質問です。前回の委員会でも質問しました今冬のリンゴの雪害対策についてです。
 りんご等果樹雪害合同調査がなされておりますが、その結果について、最初にこの委員会の席上でも伺いたいと思います。
◯西谷りんご果樹課長
 今冬のリンゴの雪害対策についてでございます。
 りんご等果樹雪害合同調査は、去る4月16日から25日にかけて、県内16市町村で実施しました。そのうち、リンゴは15市町村で、普通台223園地、わい性台210園地を抽出し、枝折れの程度や野ネズミ等の食害について調査しました。
 この結果、収量が減少すると見込まれる面積は1,824ヘクタール、減収量では9,193トン、これを被害額に換算しますと14億8,000万円となります。豪雪による被害が大きかった平成17年の64%に相当いたします。
 また、被害樹のうち、今後の修復作業や栽培管理により減収には至らない樹体損傷の部分まで含めますと、被害面積は5,620ヘクタールで、この樹体被害と減収被害と合わせた被害総額は94億4,900万円となっております。
◯安藤委員
 この被害額などは、平成17年度に比べれば、それよりは低いという結果だと思うんですが、過去の被害実態、この雪害による被害の状況は17年度に次ぐものであるという理解でよろしいでしょうか。
◯西谷りんご果樹課長
 豪雪による被害では、過去、たしか昭和63年の豪雪被害が一番多くて150億円でございまして、過去の例からいたしますと、今回は3番目になります。150億円につきましては、今回と同様に減収被害と樹体損傷被害を合計したものです。
◯安藤委員
 先日いただいた資料を見てみますと、最高積雪深も消雪日も1973年以来、ことしは最高という数字を見ました。それらの数字を見ますと、平成17年度に比べて被害が少なかったというのは、やはり県などが行ってきた樹体からの雪下ろしとか融雪促進剤の散布など、雪害防止策がある程度、功を奏したと理解してよろしいでしょうか。
◯西谷りんご果樹課長
 委員御指摘のとおり、平成17年豪雪を教訓にいたしまして、枝の雪下ろしや融雪剤の散布、懸命に生産者が防雪をした雪害防止対策に取り組んだ結果と思っております。また、市町村におきまして、早期の農道除排雪設備、的確な技術指導を御尽力いただいたことで、そちらの効果もあったと認識しております。
◯安藤委員
 市町村別に見ますと、東青地域の被害割合が最も高かったと報告に書いてありましたけれども、東青地域、浪岡地域だと思うんですが、その原因といいますか、雪が深かったことが主な原因なのか、あるいはほかにも、例えば他の市町村に比べて農道の除雪など行き届かなかった面などがあったのか、その原因についてはどのように認識しておられるでしょうか。
◯西谷りんご果樹課長
 今回、調査に当たった調査員の話によりますと、地域によって被害の程度が非常にばらつきがあると。また、先ほど申し上げましたように、対策をしている園地とそうでない園地でばらつきがあるということでした。東青地域におきましては、山間部のわい果を中心に被害が大きかったと考えております。
◯安藤委員
 青森県りんご等果樹雪害対策連絡会議における県の今後の対応策について、その内容を伺います。
◯西谷りんご果樹課長
 5月8日に市町村、関係団体等が出席し、開催いたしました青森県りんご等果樹雪害対策連絡会議においては、補植用の苗木不足の状況を踏まえ、早期に農家の生産力を回復するため、関係者が一体となって、被害樹の修復や適正な栽培管理に向けた指導等に取り組むこととし、そのための役割分担について確認を行ったところでございます。
 当日、農林水産省本省の担当者も出席しましたが、リンゴ園の改植に補助する果樹経営支援対策事業や、この事業を活用した場合に改植後の4年間に10アール当たり20万円の管理経費を補助する果樹未収益期間支援事業の有効活用の方法についてアドバイスもございました。県では、被害程度の大きい園地では平成25年春植えを基本に、これらの事業の積極的な活用を推進することとしております。
 また、不足している苗木を確保するため、県内7社の果樹苗木業者に出向き、平成24年秋から出回る苗木の養成・確保を要請するとともに、今後の苗木の生育や予約状況などに関する情報提供を依頼したところでございます。
◯安藤委員
 果樹経営支援対策事業の活用を積極的に行うように支援していただきたいと思うんですが、農家の方たちがこの事業の活用を希望した場合、ほぼ希望する農家の方たちが全員対応していただけるものなのか、その環境はどうなっているのか伺いたいと思います。
◯西谷りんご果樹課長
 国の果樹経営安定支援対策事業につきましては、本来、4月と10月の2回の申し込み期間となっておりますけれども、先ほど申し上げました会議の席上、4月以降、随時受け付けていただくという国の弾力的な運用が示されたところでございまして、生産者の皆様方がこの事業を活用できるように関係機関にも周知してまいりたいと考えております。
◯安藤委員
 申し込みをしやすい条件ということは理解できたんですが、予算的に枠がないのかどうか、希望者が皆さん受けられる予算が組まれているのかどうかということについてはどうでしょうか。
◯西谷りんご果樹課長
 先ほど委員長からも御報告がありましたように、5月11日に農林水産省のほうにもお伺いして要望したところでございますけれども、予算についての十分な手当てということで、それについても要望してきたところでございます。
◯安藤委員
 それから、最初の答弁のところで、苗木の不足に対して、県内7社の苗木業者に依頼をしたということですが、県内に限るということには何か理由があるんでしょうか。
◯西谷りんご果樹課長
 青森県はリンゴの苗木の大生産地でございまして、他県に供給しているというような立場にございますので、県内の苗木業者の供給システムの中で対応したいと考えているところでございます。
◯安藤委員
 この苗木の件で、弘前市が今回、苗木不足により業者の対応だけでは不足するだろうということで、個人の栽培した苗木をほかの園地に利用できるようなシステムをつくろうという提案がなされたという報道を見ましたが、この辺については、県との協議といいますか、どのような受け方をされているんでしょうか。
◯西谷りんご果樹課長
 現在、春植え用の苗木はほぼ売約済みになっておりまして、入手困難となっております。県としては、その対応として、先ほどの会議の席上、被害樹の修復について、技術指導、情報提供を行う方針を示したところでございます。また、ことしの秋植え、それから来年の春植え用の苗木は、現在、種苗業者において生産しているところでございます。県が各事業所を訪問し、聞き取りしたところでは、これらの苗木の購入の申し込みについてはまだこれからということで、現時点で例年より申し込みが多いという状況にはございません。申し込みのピークについても、例年どおり6月から7月になる見込みとのことでございます。県としましては、今後も種苗業者と情報交換を図り、苗木の需給状況を把握しながら対応していく方針でございます。
◯安藤委員
 新たに果樹経営支援対策事業を活用して改植する場合は新たな手段があるということですが、既に果樹経営支援対策事業を受けて改植された園地の補植について、これから必要になってくるかと思うんですが、補植に対する対応策というか、支援策は何か考えているんでしょうか。
◯西谷りんご果樹課長
 果樹経営支援対策事業を活用された方には、平成23年度から始まりました果樹未収益期間支援事業もあわせて活用しておりまして、この事業では改植初年度を除いた4年間の育成経費の一部を定額で支援しておりまして、10アール当たり20万円が一括交付されると、非常に有利な事業となっております。こちらの4年間の育成経費につきましては、経営の実態を継続していることが重要でございまして、この経費の中で補植用の苗木を見ることで経営の実態があると判断されるという国の判断が示されたところでございます。
◯安藤委員
 あと、そのほかに薬剤に対する助成や、それから支柱などの資材に対する助成も求めていく声が聞かれますけれども、この辺の対応についてはどのように考えておられるのでしょうか。
◯西谷りんご果樹課長
 地域の実情に応じて単独事業を実施している市町村がございますけれども、県といたしましては、りんご等果樹雪害合同調査の結果を踏まえまして、5月8日に開催いたしました青森県りんご等果樹雪害対策連絡会議で示したリンゴ等果樹被害に係る今後の対応に基づきまして、春植え用の苗木不足に対応した被害樹の修復、年間を通じた適正な栽培管理の徹底と栄養の指導の強化、これまでにない生産者にとって有意義な内容となっている果樹経営支援対策事業や果樹未収益期間支援事業の活用について、市町村、関係団体と一体となって取り組んでいく方針でございます。
◯安藤委員
 そうしますと、薬剤に対する支援だとか、支柱など資材にかかわる費用への助成を求める市町村からの声も上がっています。これらに対して、国にもそういう助成の声を上げていく必要もあるかと思うんですが、この果樹経営支援対策事業から、これとはまた別個の支援のあり方というか、その体制も考えていく必要があるかと思うんですが、その辺についての動向はいかがでしょうか。
◯西谷りんご果樹課長
 5月8日に開催いたしました青森県りんご等果樹雪害対策連絡会議で示したリンゴ等果樹被害に係る今後の対応に基づき、来年4月まで、工程表に基づきまして、今年産リンゴの良品生産、被災園地の改植など、関係機関、団体が役割分担をしながら一体となって生産者を支援していくということでございます。
◯安藤委員
 前回の雪害もあって、17年度については、これら薬剤に対する助成などもたしか行われたと認識しているんですが、いかがでしょうか。
◯西谷りんご果樹課長
 御質問につきましては、先ほど申し上げました春植え用の苗木不足に対応した被害樹の修復、それから年間を通じた工程表による栽培管理の徹底のための指導の強化、それから国が今、大変、生産者にとって資材費等を対象にしている有利な事業がございますので、そちらの事業の積極的な活用を図っていくことで対応してまいりたいと思っております。
◯安藤委員
 ぜひ実質的な支援が行われるように、県としてもぜひ具体化や指導を行っていただきたいと思います。
 それから、もう1点、果樹共済についても、この連絡会議で今後の対策の中に盛り込まれているんですけれども、果樹共済の実績と、それから今後の加入促進に向けた取り組みについてお答えいただければと思うんですが。
◯田澤団体経営改善課長
 果樹共済の加入状況についてお答えいたします。
 県の農業共済連合会の取りまとめによりますと、24年産リンゴに係る果樹共済の加入率は県合計では39.6%となっております。内訳で見ますと、リンゴの主産地である、ひろさき広域農業共済組合では40.5%、津軽広域農業共済組合では42.5%、南部地域農業共済組合では23%となっております。この24年産加入率39.6%は、平成に入ってから最も高かった23年産の38.3%から1.3ポイント増加しており、加入率は年々上昇している状況にあります。ただ、目標としております50%にはまだ届かない状況でございますので、県では、今後とも農業共済組合や農業共済連合会はもちろん、市町村や農協などの関係機関と連携し、これまで以上にリンゴ生産者がみずからの手で守るという意識の浸透を図り、加入率の向上に努めてまいりたいと思っております。
◯安藤委員
 やはり果樹共済の加入率を引き上げていくことも一方の側面で大変大事なことだと思うんですが、今回のリンゴにかかわって、最も果樹共済の加入率の高いところはどこでしょうか。
◯田澤団体経営改善課長
 果樹共済の24年産の市町村別加入率につきましては、個別に申しますと、例えば南部地域、階上町が90%でございますが、そこは1戸とかということでございますので、中南管内とか津軽管内で最も高いところは板柳町の60%でございます。
◯安藤委員
 一番低いところはどこですか。
◯田澤団体経営改善課長
 同じく中南、津軽管内で申しますと、西目屋村が15.8%でございます。ここが一番低いということでございます。
◯安藤委員
 やはり災害に強い農業という意味からも、この果樹共済の加入率促進のために、ぜひ県としても力を入れていただきたいと思います。できれば、前にも声を上げたことがありますが、果樹共済に対する実質補助などを県としても取り組んでいただきたいということを要望として出させていただきます。