2012.6.27: 平成24年度農林水産委員会 抜粋 本文(質疑5)
 次の質問、本県のグリーン・ツーリズムの推進についてということで伺いたいと思います。私の知り合いの農家の方もこのグリーン・ツーリズムに参加されていて、「いや、これはとってもいい制度で、自分たちの所得の向上につながる」というお話を伺いました。グリーン・ツーリズムの内容は私自身よく把握できていなかったものですから、所得向上につながる事業なんだということを改めてその方のお話で認識した次第です。それで、改めてきょうの委員会でこのグリーン・ツーリズムについての質問をしたいと思いました。
 最初の質問で、このグリーン・ツーリズムとはどのようなものなのか、基本的なことですが、伺いたいと思います。
◯成田構造政策課長
 グリーン・ツーリズムですが、これは、本県のように緑豊かな農山漁村地域において、自然、文化、人々の交流を楽しむ滞在型の余暇活動のことです。平成7年に国は、農山漁村で滞在して余暇活動をするための基盤整備、こういったものを促進するための法律を施行して、グリーン・ツーリズムを全国的に推進しています。
 具体的には、農林水産業に関する作業体験であるとか、農山漁村の自然環境、食文化、伝統芸能との触れ合い、こういったものを通じて滞在者に余暇活動を楽しんでもらいます。そういうことによって農林水産業や農山漁村のよさ、すばらしさを理解してもらうことができますが、その農作業体験などをすることによって料金が農林漁家に支払われますので、農林漁家の所得の向上にもつながります。
◯安藤委員
 料金の支払いがあるということで収益につながるということですが、私自身最初に思っていたのは、ボランティア的な要素があるのかなと思っていたものですから、グリーン・ツーリズムの基本的なところで、農漁村の方たちの収益につながると。そしてまた、それを利用する方が農漁村のよさを味わうことができるということで、両方によい効果があるということで、とても大切な事業だというふうに理解しました。
 それで、本県のグリーン・ツーリズムの現状について伺います。
◯成田構造政策課長
 本県の状況ですが、県内各地には、グリーン・ツーリズムを実践する農林漁家の人たちで組織化された団体があります。それで、それぞれの地域の特徴を生かした農林漁業体験などを提供しています。また、グリーン・ツーリズムを体験する修学旅行生を受け入れている団体では、国内だけでなく、アジアからの修学旅行生も受け入れています。
 こういった団体の取り組みと、それから県では観光団体と連携して、修学旅行の誘致を強力に推進してきました。この結果、県外からのグリーン・ツーリズム客の大部分は修学旅行生となっています。その数値を御紹介いたしますと、平成17年には国内から来る人は2,000人、海外は0でありましたが、平成22年度には、国内からは6,000人、海外からは160人が本県を訪れてグリーン・ツーリズムを楽しんでいます。
 ただ、昨年は東日本大震災の影響によって大幅に落ち込みましたが、旅行会社、それから学校関係者へ、本県が安心して滞在できるということを情報発信してきたこともあり、修学旅行の生徒数は回復して、今年度は国内外合わせて約4,100人の受け入れが予定されていると団体から聞いております。
◯安藤委員
 修学旅行生が中心だということなんですが、国内の修学旅行生はどこかの県に偏っている状況なのか、あるいは全国いろいろなところから来ているのか、国内の修学旅行生は、どの辺の子供さんたちが来ているのかということと、それから、海外からも160人が22年度来ていたということですが、これもどこの国が中心なのか伺います。
◯成田構造政策課長
 まず国内の修学旅行生ですが、最も多いのは北海道です。海外からは、台湾の修学旅行生がメーンとなっています。
◯安藤委員
 北海道だと、地元でもすぐれた環境があるだろうなと思いますが、修学旅行ということで、北海道を離れて近いところということなのかなというふうにちょっと感じました。そこで、本県のグリーン・ツーリズムを推進するための県の取り組みについて伺います。
 ◯成田構造政策課長
 県の取り組みですが、やはり東北新幹線が全線開業したこともありますので、その効果を維持していくためにもグリーン・ツーリズムをさらに推進することとして、平成22年10月に、青森県グリーン・ツーリズム新戦略を取りまとめています。
 この戦略に基づいて、北海道、首都圏、さらには関西のほうの大手旅行社に訪問してPR活動をしてきています。
 このほか、農林漁家の所得向上ということもありますので、ビジネス感覚のある実践者としての農林漁家を育成するということで、勉強会、セミナーを開催したり、また、結局、県外からお客さんに来てもらうことになりますので、魅力ある旅行商品の開発というものを地元の旅行会社と連携して、それを情報発信していくことなどに取り組んでいます。
 特に本年度は、昨年、東日本大震災の影響で落ち込みましたので、修学旅行生が安心して滞在できるよう、受け入れる農家を集めて災害時の緊急的な対応の研修会とかを開催していくこととしています。
 ◯安藤委員
 受け入れる農家の条件なんですが、どういう条件となるんでしょうか。
 ◯成田構造政策課長
 例えば、修学旅行生を受け入れて宿泊するということになれば、農林漁家民宿ということで、簡易宿泊所の許可を保健所に申請して、営業許可を得ることが必要となります。
 ◯安藤委員
 営業許可が必要だということですが、これまで何かトラブルとか問題が発生するということはなかったでしょうか。
 ◯成田構造政策課長
 一番気にかかるのは、食べ物を扱いますので、そういった食中毒が一番心配なんですが、これまではそういう大きなことでの報告というのは聞いてはおりません。
 ◯安藤委員
 国のグリーン・ツーリズム支援の交付金制度である食と地域の交流促進対策交付金の県内における取り組み状況について伺いたいと思います。
 それとあわせて、食と地域の交流促進対策交付金が行政事業レビューで廃止の判定になったと聞いていますが、県の今後の対応についても伺います。
 ◯成田構造政策課長
 食と地域の交流促進対策交付金ですが、これは、農林漁家の所得の向上と集落の維持・再生を図るため、グリーン・ツーリズムであるとか子供の交流促進、それから都市のいろんな人材を活用していく、そういった取り組みについて国が直接支援する事業です。平成23年度から5カ年実施する予定となっていました。
 本県では、昨年度、12団体が採択され、うち6団体がグリーン・ツーリズムの関連事業に取り組んでいます。今年度は、13団体が採択されました。そのうち、グリーン・ツーリズム関連では5団体となっています。
 この交付金ですが、去る6月14日、農林水産省での事業仕分けにおいて、「期限を決めて廃止する」と判定されたところです。
 国からの情報によると、7月に今回の事業仕分けに対して意見を受け付けるということになっていますので、県としては、この機会を活用して、本県のグリーン・ツーリズム関係者にお知らせして、意見を提出するように働きかけていくこととしています。
 また、国は、昨年10月に「我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」を策定しています。その中では、消費者とのきずなを強化していくということで、このグリーン・ツーリズムを活用していくこととなっています。そういうふうに位置づけていますので、県としては、国がこれから組み立てる予算要求の動向を注視して、グリーン・ツーリズムを引き続き推進していくよう国に要望していきたいと考えています。
 ◯安藤委員
 国がグリーン・ツーリズムの支援の一つとして行ってきたこういう事業を簡単に事業仕分けされては困るなというふうに思います。今、農山漁業の活性化ということが必要なときなわけで、このグリーン・ツーリズムの果たす役割というのは大きいと思いますので、ぜひ国からの支援が引き続き行われるように声を上げていただきたいと思います。
 それで、今現在、6団体、そして新たに5団体が、この交付金を受けて事業を行っているということなんですが、今行われているその団体に絡んで何か問題が発生するというようなことはないんでしょうか。
 ◯成田構造政策課長
 国では期限を定めて廃止するということになっていますが、24年度に廃止するのか25年度に廃止するのかというのはこれからの検討になるかと思いますので、今年度この交付金を活用している団体等については、今すぐ何か影響が出るということにはならないと考えています。
 ◯安藤委員
 グリーン・ツーリズムについて、農家の若い方たちにもぜひ参加していただけるような取り組みとなるよう県が十分力を尽くしていただきたいということを申し上げまして、この質問を終わります。