2012.7.20: 平成24年度農林水産委員会 抜粋 本文(質疑1)
◯小桧山委員長
 ただいまから農林水産委員会を開きます。
 慣例により、会議の記録署名委員を指名いたします。神山委員、安藤委員にお願いいたします。
 本日の審査案件は、特定付託案件であります。
 初めに、執行部より報告事項があります。──渋谷農林水産部長。
◯渋谷農林水産部長
 それでは、私から報告事項5件について御説明いたします。
 最初に、平成24年7月5日に発生いたしました竜巻及び降ひょう並びに7月16日の大雨による農林水産関係被害についてでございます。平成24年7月19日、昨日現在のものでございます。
 初めに竜巻被害、(1)、発生日時、24年7月5日17時ころ、発生場所、弘前市楢木・鬼沢地内、被害状況、リンゴ、普通樹、それから矮化樹がありますけれども、計の欄をごらんいただきたいと思います。完全倒伏が70本、半倒伏34本、折損64本、合計168本に被害が出ております。
 (4)、これまでの動き。弘前市やJAつがる弘前と連携して、倒伏樹の立て直し等の復旧に向けた情報提供や摘果等の技術指導を行ったところです。
 (5)、今後の対応。1)、被害樹に対する適正な栽培管理などについて巡回指導を行う。2)、市やJAと連携して被害が甚大な園地での果樹経営支援対策事業、国庫事業でございますけれども、この活用を推進する。3)、農林漁業セーフティネット資金など災害関係資金等の活用を図る。4)、果樹共済への加入を促進する。
 2、次に降ひょう被害であります。発生日時、同じく7月5日16時30分ころ、発生場所、青森市浪岡高屋敷・藤株・王余魚沢・五本松・下石川地内。
 (3)、被害状況、リンゴ、甚の8.6ヘクタールから小の15ヘクタールまで合計63.1ヘクタールに被害が見られております。
 (4)、これまでの動き。7月9日に青森市やJA青森と連携して、被災園地で摘果や病害虫防除などの留意点について講習会を行った。
 (5)、今後の対応。1)、被害程度に応じた栽培管理について、講習会や巡回指導を行う。2)、農林漁業セーフティネット資金など災害関係資金等の活用を図る。3)、果樹共済への加入を促進する。
 続きまして3、大雨被害についてであります。発生期日、7月16日、(2)、被害状況。
 1)、リンゴ。弘前市を初め4市町で樹冠浸水が10.5ヘクタール、園地浸水が32.3ヘクタールでございます。
 2)、水稲。青森市の孫内地区で土砂流入、これについては現在調査中でございます。あと水稲に関して、冠水は青森市を初め3市町村で、冠水が合計で46.2ヘクタールとなっております。
 3)、畑作・野菜関係では、青森市を初め4市町村で、トマト、スイートコーンなどに浸水、それから冠水の被害が出ております。具体的なものは現在調査中でございます。
 4)、農地・農業用施設関係。青森市初め6市町村の合計63カ所で見られております。
 5)、林地関係は、黒石市、平川市でそれぞれ1カ所ずつの2カ所、6)、水産関係では、深浦町の9カ統で網に被害が出ている模様でございますけれども、これも具体的なものは現在調査中でございます。
 (3)、これまでの動きでございます。1)、リンゴ。ア、園地に停滞している水は一刻も早く排除することや、樹冠浸水した樹では、できる限り早目に絡みついたごみを取り除き、付着している泥を清水で洗い落とすよう巡回指導を行った。イ、7月17日付で各農業共済組合に対して共済金の早期支払い等を文書で要請した。
 2)、水稲。ア、畦畔や田に流入したごみや土砂を早目に撤去することと、泥の付着した稲は清水で洗い流すよう指導を行った。イは、リンゴと同様でございます。
 3)、トマト。ア、排水や土砂除去等の指導を行った。
 (4)、今後の対応です。1)、リンゴ。浸水園において土砂の堆積が激しい場合は根元の土砂を取り除くことや、土が乾いたらできるだけ耕うんすることなどの事後対策を徹底する。
 2)、水稲。減収等の被害がある圃場では、戸別所得補償の交付金が確実に支払われるよう、市町村等を通じて被災者へ助言・指導する。
 3)、畑作・野菜につきましては、排水と、それから土砂の排出、それと病害虫の防除を徹底するよう指導してまいります。
 4)、農地・農業用施設関係では、被災した農地、農業用施設で災害復旧事業の基準に達している箇所については、被災農家の意向を確認した上で、事業主体である市町村と連携し、災害復旧事業による速やかな復旧を支援することとしております。
 次に、県産農林水産物における放射性物質の調査状況でございます。昨日現在でございます。
 1、県産農林水産物の放射性物質モニタリング調査。(1)、県が主体の調査につきましては、7月19日現在で67品目、267件を実施した結果、これまでに岩手県境地域の牧草2件、それから回遊魚のマダラ11件、十和田湖のヒメマス1件の計14件から放射性セシウムが検出されておりますが、基準値を超えたものはマダラの1件のみであります。
 (2)、国が主体の調査につきましては、7月18日までに37品目、137件を実施した結果、10品目、35件から基準値を下回る放射性セシウムが検出されております。
 2ページに参りまして(3)、マダラの出荷自粛解除に向けた調査に関してでございます。6月19日に八戸港に水揚げされたマダラの放射性セシウムが基準値を超過したことから現在出荷を自粛しているところであるが、この解除に向けた調査が第4週目に入っております。これまで実施した12件の調査結果では、第1週目の1件が70ベクレルとやや高目でありましたが、それ以外は基準値を大きく下回っております。出荷自粛解除の時期については、本県の7月第4週目までの調査結果と隣県等の調査状況から総合的に検討し、判断してまいります。
 参考といたしまして、国が行う場合の出荷制限解除の条件といたしましては、解除しようとする区域から原則としておおむね1週間に1回、複数の場所で、少なくとも1カ月以上、計3回以上の検査を実施し、その結果が安定して基準値を下回っているという条件があります。
 2、牛肉の放射性物質については、7月17日までに6,566件を実施した結果、すべての検体から放射性物質は検出されておりません。
 3の上記調査以外の農林水産物関連の調査については、前回の報告と同じでございますので、説明を省略させていただきます。
 次に、農作物の生育と農作業の進捗状況について。
 1、これまでの気象経過と今後の見通し。
 気象経過でございます。6月下旬から7月上旬までの青森市における経過でございます。1)、平均気温は平年と比べ、6月下旬は1.1度下回り、7月上旬は1.2度上回った。2)、日照時間は平年と比べ6月下旬は144%、7月上旬は108%と上回った。3)、降水量は平年と比べ6月下旬は10%と大幅に下回り、7月上旬は169%と上回っております。4)、7月16日は、青森市で125ミリの1日当たりの雨量を観測するなど、津軽地域を中心に大雨となりました。5)、7月18日現在の貯水状況は、平年と比べ、農業用ダムでは114%、ため池では108%となっております。
 (2)、今後の見通し。仙台管区気象台が7月13日に発表した東北地方の1カ月予報に基づきますと、向こう1カ月の平均気温は平年並みか高く、降水量と日照時間は平年並みと予想されております。ただし、青森地方気象台が昨日7月19日発表の低温に関する青森県気象情報によりますと、7月19日から22日ころにかけて平年をかなり下回る気温が予想されております。このため、県では、昨日、7月19日に臨時農業生産情報を発行して関係者に注意を呼びかけているところでございます。
 2、農作物の生育と農作業の進捗状況と今後の対策であります。
 水稲。生育状況。7月13日現在の生育は、草丈、葉数が平年を下回り、茎数は平年並みからやや上回っております。
 (2)、今後の対策。1)、幼穂形成期以降10日間は10センチ程度の深水かんがいを行う。2)、穂ばらみ期は、低温の日は深水、高温の日は浅水とする。
 次に、畑作・野菜、花卉でございます。生育状況。1)の大豆と、それから2)のナガイモにつきましては、ともに6月の低温の影響から生育が平年を下回っております。3)、メロンは平年を上回り、果実の肥大も良好でございます。
 (2)、今後の対策。1)の大豆、それから2)のナガイモは適期に追肥するよう指導してまいります。メロンは、糖度等を確認し、適期に収穫するよう指導してまいります。
 リンゴ等果樹でございます。生育と農作業の状況でございますが、1)、果実の肥大は、リンゴが平年並み、モモがやや平年を下回り、西洋ナシは平年を下回っております。2)、リンゴの着果率は、園地によりばらつきがあるものの、いずれの品種も平均を上回り、ならせ過ぎの傾向があります。後ほど別紙について少々詳しく御説明いたします。
 (2)、今後の対策といたしましては、1)、高品質リンゴ生産のための見直し摘果を徹底する。3)、モモシンクイガの防除対策を徹底するよう指導してまいります。
 飼料作物。生育状況は、牧草は2番草の収量はやや少なく、サイレージ用トウモロコシは草丈は平年並み、葉数は平年を下回っております。
 今後の対策といたしましては、牧草は天候の推移を見きわめながら収穫作業を行い、降雨が予想される場合は早目にサイレージに仕向ける。サイレージ用トウモロコシは、雑草の目立つ圃場の防除を徹底するとともに、病害虫の発生に注意するということを指導してまいります。
 次に、24年産りんご着果状況調査の結果についてでございます。2の調査月日は7月12日から13日の2日間、県内の72地点で、ふじ、ジョナゴールド、つがる、王林の4品種について調査いたしました。
 7番、調査結果でございます。先ほども申し上げましたとおり、園地によりばらつきがあるものの、いずれの品種も平年を上回り、ならせ過ぎの傾向となっております。なお、一部園地でつがるのさび果が見られている状況にございます。
 8、今後の対応、これは先ほど申し上げましたとおり、(1)の着果状況を必ず点検して、できるだけ早く適正な着果量にする、それから(2)、有袋栽培の場合は樹上選果を行い、良品果生産に努めるということを指導してまいります。
 続きまして、県産農産物の販売動向についてでございます。野菜とリンゴにつきましては、表1に記載しているとおり、表1の一番右側、過去5カ年平均の欄をごらんいただきたいと思います。ナガイモは、市場全体に入荷量が少ないことから123%と高値安定となっております。ニンニクは、本県産の入荷が多いことから68%となっております。大根は、本県産の入荷量がやや少ないものの、他県産の入荷が多目であることから96%、ニンジンは本県及び北海道産の入荷がおくれていることから156%、トマトは、本県産の入荷がおくれていることなどから115%となっております。
 また、リンゴにつきましては、市場への入荷量が少ないことから依然として価格高が続いており、142%となっております。
 子牛でございます。黒毛和種の子牛価格は、取引頭数が少ないことから98%となっております。
 最後に、最近の漁模様等についてでございます。
 1、6月の主要魚種の動向。(1)、スルメイカは日本海、津軽海峡及び太平洋で低調に推移した。(2)、ブリは日本海、津軽海峡及び太平洋で高調に推移した。(3)、ウスメバルは、日本海と太平洋で低調、津軽海峡で高調に推移しております。
 2、沿岸水温。7月11日から15日までの半旬平均水温は、日本海、津軽海峡、陸奥湾はそれぞれそこに記しているとおりでございまして、日本海と津軽海峡及び陸奥湾で平年並み、太平洋でやや高目となっております。全地点での平年差は平均プラス0.4度、平年並みとなっております。
 3、その他。(2)、陸奥湾のホタテ養殖。7月9日に実施した第2回全湾付着稚貝調査の結果、全湾平均の付着稚貝数は1袋当たり約7万個と昨年の約2.7倍で、生育も順調であり、稚貝採取は西湾で7月下旬、東湾では8月上旬から開始できる見込みとなっております。
◯小桧山委員長
 ほかに質疑ありませんか。──安藤委員。
◯安藤委員
 今の報告について幾つか質問させていただきます。
 竜巻・降ひょう被害についてですが、私も現場に行きまして、本当にそれぞれの農家の方の苦悩を目の当たりにしてきました。それで、竜巻被害の(4)のこれまでの動きというところで、倒伏樹の立て直しを行ってきたということですが、この立て直しによって、今後そのリンゴの木が十分うまく、今後実の成熟に支障がなく成長していくかどうかというのはどのくらい状況を見る必要があるのかというふうなことを1つ伺いたいと思います。
 それから、(5)の今後の対応の2)のところなんですが、被害が甚大な園地での果樹経営支援対策事業の活用を推進するということですが、この甚大な園地というのはどのくらいが対象になるのか。そして、既に果樹経営支援対策事業に対しての申請などがあるのかどうかということを伺いたいと思います。
 それから、大雨被害のところで、(4)の今後の対応というところのリンゴについてですが、土が乾いたらできるだけ耕うんすることなどの事後対策を徹底ということですが、耕うんする必要性といいますか、どういう意味合いがあるのかということをお聞きしたいと思います。
 それから、4)の農地・農業用施設関係について、災害復旧事業の基準に達している箇所については云々という記載があるんですが、この災害復旧事業の基準に達している箇所は今どのくらいあると把握しているのか伺いたいと思います。
◯西谷りんご果樹課長
 まず、倒伏したリンゴ樹の立て直しについてですけれども、数日のうちに大部分の葉が褐変した木はほとんど回復の見込みはないという判断ができると思います。
 それから、竜巻被害での国の果樹経営支援対策事業についてですけれども、これについては、補植ではなくて改植面積が2アールという基準となっております。そちらのほうから、2アールから利用が可能ということで、弘前市の情報では、今1戸の生産者の方が利用を検討しているという状況でございます。
 それから、浸水園の土を耕うんすることについての理由ですけれども、泥をかぶった園地が固まりますとかたくなります。それで、根の働きが悪くなりますので、耕うんすることによって土をやわらかくして根の働きをよくするというための対策でございます。
◯北林農村整備課長
 被災した農地・農業施設で災害復旧事業の基準に達している箇所、この災害復旧事業の基準の内容でございますけれども、国庫補助による農地・農業用施設災害復旧事業の基準は、降雨が24時間当たり80ミリメートル以上、または1時間当たり20ミリメートル以上の区域であることがまず1つ条件としてございます。ちなみに、7月19日13時現在、報告の中にもありましたけれども、被災した農地・農業施設につきましては、各地域のアメダスでこの基準を満たしていることが確認できております。
 それ以外に、1カ所の復旧工事費用が40万円以上というのが国庫補助による農地・農業用施設災害復旧事業の基準としてございます。さらに、1カ所の復旧工事費用が13万円以上40万円未満の農業用施設の被災箇所にあっては、交付税措置のある市町村単独事業での災害復旧事業が活用できるという形になっております。
◯安藤委員
 そうしますと、まず竜巻のところですが、倒伏樹については、立て直しをいち早く行ったわけですが、その後、数日の間に褐変をして倒伏をしても残念ながらうまくいっていないというふうな木はどのくらいあるのか、もし把握しているのであれば伺いたいと思います。
 それから、果樹経営支援対策事業については、今1戸が検討ということですが、余り甚大な園地が多くないほうがいいわけですけれども、そのほかにも対象になるような園地があるのかどうか、もし把握していれば伺いたいと思います。
 それから、水害の災害復旧事業の基準に達している箇所については、その基準については今伺いましたが、現時点でこの基準に達している箇所がどのくらいあるのか、わかっていたら伺いたいと思います。
◯西谷りんご果樹課長
 御質問の本数については、今のところまだまとまっておりません。
 それから、果樹経営支援対策以外の対象になる農家については、補植という形で苗木を確保して、各自対応するというように考えております。
◯北林農村整備課長
 7月19日13時現在の津軽地方の6市町村で被災した農地は、20カ所でございます。農業用施設では43カ所被災したことが判明しているのですが、これらの地域については、先ほどの降雨が24時間当たり80ミリメートル以上、または1時間当たり20ミリメートル以上の区域であるということは確認できておりますが、それぞれの復興工事費用等については、現在引き続き状況の把握に努めているということでございますので、市町村からの被害状況報告を受けた後、速やかに現地を確認した上で、災害復旧事業の基準に達している箇所については、農家の意向も確認しつつ、事業主体である市町村と連携して災害復旧事業による速やかな復旧を支援してまいりたいと考えております。
◯安藤委員
 竜巻被害の甚大な園地の件ですけれども、補植を各自で行うというのは、ある程度限られた本数の場合、そういうふうな対応はなされるんだと思うんですが、先ほど伺ったのは、今、果樹経営支援対策事業について1戸が検討しているということですが、そのほかにも検討の余地のある甚大な園地というものがほかにもあるのかどうかということについて伺いたいと思います。
◯西谷りんご果樹課長
 先ほど申し上げました1戸の農家については現段階での情報でございまして、市町村、JAとも連携しながら、それぞれの生産農家の今後の立て直しの方法について相談に乗っておりますので、その事業の活用についてはその都度対応してまいりたいと思っております。