2012.7.20: 平成24年度農林水産委員会 抜粋 本文(質疑3)
◯安藤委員
 米についてですけれども、農水省が6月26日に炊飯協会やコンビニ弁当業界などの求めに応じて備蓄米の売却を行ったとされています。4万トンの販売に対して全国の106業者から17万7,000トン余りの申し込みがあったとされています。それで、価格も、2007年から2009年産の超古米にもかかわらず、平均で60キロ当たり1万3,845円の値をつけたと報じられています。
 こうした備蓄米が高値で売られるという背景には、米不足という状況も発生しているのではないかと思われます。
 そして、先ほども少し触れましたけれども、一方で、牛丼店かつやでは、7割の店でオーストラリア産米と国産米をブレンドして使用したり、回転寿司チェーンのかっぱ寿司では4月から埼玉県内の数店舗でアメリカ産米を使っていると、そういう報道がされています。
 そうした状況の中で日本の国産米、今後どうなるのだろうかという不安がよぎるわけですが、そこで質問をさせていただきます。
 最近の米の流通をめぐる情勢はどうなっているのか伺いたいと思います。
◯黒滝農産園芸課長
 お答えいたします。
 平成23年産は、東日本大震災に伴う原発事故等により国産米が不足するとの懸念があることから、卸業者や一部生産者が在庫を積み増ししたことなどにより市場全体の出回り量が減少し、価格上昇を招いています。
 このような状況の中、国は、ことし6月ですけれども、津波被害と原発事故の出荷制限により減少した数量分を補うため4万トンの政府備蓄米の中から放出しました。
 また、米の価格上昇を受けて、国内の大手スーパーや外食事業者の一部には、低価格米を確保するため、我が国に輸入されるミニマムアクセス輸入米のうち、主食用向けの米を購入・販売するなどの動きが見られています。この主食用米の米は、毎年、上限10万トンと数量が限定されておりまして、近年は約10万トン輸入されております。
 今すぐ県産米の流通に影響が出るとは考えていませんが、県としても、引き続き国産米の流通や輸入米の消費・輸入動向を注視していきたいと考えております。
◯安藤委員
 確かに原発事故が起きたり、米をめぐる状況は国内でも幾つか不利な条件が発生したわけですけれども、それにしても、農水省は100万トンの備蓄が目標であるにもかかわらず、ことしの秋以降は5年以内のまともに食べられる備蓄米は五十数万トン、国民の消費量の二十数日分しかないという状況に陥っているとされています。
 こうした状況を見るにつけ、市場任せの米政策を改めて、ゆとりある需給計画と国が需給と価格の安定に責任を持つ米政策へ早急に転換すべきではないか、こうした声も上がっていますが、このことに対する県の、国のその方向性ということに対して一言御見解をお聞かせ願えればと思います。
◯黒滝農産園芸課長
 米の歴史につきまして、過去は政府管理でいろいろそういう統制をしてきたのですけれども、今はそういう在庫とかを余してしまって大変な問題も発生して今のような状況、自由競争の部分は自由競争で取り扱おうということですので、県としてもそのような方向を受けとめて、そういう方向を支持してまいりたいと思います。
 ◯安藤委員
 米をめぐる情勢のもう一つは、TPP参加がどうなるのだろうかということが大変懸念されるわけですが、青森県としてもTPPに関して、農業分野、特に米分野についてどのような影響がもたらされるかというさまざまな検討もされているのではないかと思うんですが、このTPPに参加した場合の米に対する影響をどのように見ているのか伺いたいと思います。
 ◯黒滝農産園芸課長
 TPP協定の内容は依然として不明であることから、影響について予測することは非常に難しいのですが、米については、現在、778%という高い関税が課せられております。これが仮に撤廃されることになると、本県は当然ですけれども、国内の稲作に深刻な影響が出るものとは考えられます。
 ただ、TPP交渉については不透明な部分が多いことから、県では、今後とも国の動向を注視しながら国に対し反対の働きかけをしていくこととしています。
 ◯安藤委員
 今でさえ、778%の関税がかかっている条件下でも、先ほど言ったように外国産米が市場に出回るという状況にあるわけで、TPP参加ということになれば、関税が撤廃され、安い米が市場を動き回れば、日本の米は壊滅的打撃を受けるということはもう予想されるわけで、今政府の方向性というのは不透明なわけですけれども、ぜひさらに県としても強力にTPPに参加するなという声を一層高めていただきたいと思っていますので、強く要望したいと思います。