2012.8.21: 平成24年度農林水産委員会 抜粋 本文(質疑3)
 もう一点あります。水産物における放射性物質の対応状況について伺います。冒頭の報告にもありましたが、マダラから基準値以上のセシウムが検出されました。前回の6月19日に検出されて、その後1カ月経過して、7月25日をもって出荷自粛の要請を解除したばかりでした。2週間あけただけで、また8月9日に基準値以上の132.7ベクレルというセシウムが検出されたということで、大変私たちとしても残念な思いでいっぱいです。なによりも、関係者の方々の負担は非常に大きいものがあるかと思います。
 そこで、青森県として、県が出荷自粛を要請した青森県太平洋海域のマダラについて、今後どのように対応していくのか伺います。
◯相馬食の安全・安心推進課長
 今後の対応についてお答えいたします。
 8月9日付のマダラの出荷自粛要請はこれで2回目であり、県産農林水産物全体への信頼確保の観点からも、その解除に当たっては、県のモニタリング調査や水産庁が主体で実施している精密検査の活用によって、前回以上に調査データを積み上げ安全性を確認し、慎重に対処しなければならないと考えております。
 なお、本県太平洋海域以外の海域、日本海や陸奥湾、津軽海峡におけるマダラについては、回遊経路が全く異なるため、現状では心配される状況ではありませんが、消費者の不安を払拭するため、それらについても漁獲期にあわせてしっかり調査していくことにしております。 
◯安藤委員
 セシウムの検査をより慎重にという対応をしていきたいということなんですが、今回2度目の出荷自粛ということで、今回は特に出荷後の検出だということで、その回収についても大きな負担があったと思いますし、また、せっかく漁獲したマダラを廃棄しなければならないという、こういう労力と財政的な負担もかなり大きいものと思います。それで、こうしたことが繰り返されたことによっての消費者の安全性に関する不安と、また、買い入れ、仲買業者の方たちの大きな負担も想像を絶するものではないかと思います。
 そしてまた、東京電力への損害賠償手続なども、前回の分もどういう状況になっているのかわからないんですが、また、今回の出荷自粛ということで、賠償手続もされていくかと思うんですが、前回の賠償手続はもう既に終わっているのか、まだそれも終了していないのか、その辺のこと。
 それから、こうしてさまざまな負担を伴う関係者の方たちの思いといいますか、そういうことに対して、県はどのように考えているのか伺いたいと思います。
◯山内水産振興課長
 前回の県の補償交渉ということで、県漁連が現在窓口になってさまざまな対策を講じておりますが、聞くところによりますと、今月の末までには前回の補償請求の書類を整えて東電に提出することになっていると伺っております。
 また、今回の仲買の人たちの負担につきましては、回収等、さまざまな経費も発生するということで、非常な困難を伴っております。県といたしましても、青森県放射能対策協議会に参画いたしまして、関係者の皆様と連携しながら、そのような対応について最善の策を講ずるべく参画しているところでございます。
◯安藤委員
 青森県の農林水産業の信頼を損ねる事態なわけです。それで、県も放射能対策協議会に参画しているということで、もう少しリーダー的な役割を発揮しながら、この問題にきちんとした対応というのか、こういうことを繰り返さなくて済む体制もとっていくべきだと思うんですが、次の質問と重なるので次の質問に移ります。
 現在、国が太平洋海域のマダラの出荷制限指示を行っていると聞いていますが、それはどのようになっているのか伺います。
◯山内水産振興課長
 お答えいたします。
 国の出荷制限は、基準値を超える放射性物質が検出された水産物について、状況に応じて、原子力災害対策本部長であります野田総理大臣が指示するものでございます。
 マダラにつきましては、宮城県沖で平成24年5月2日から、また、福島県沖で平成24年6月22日から、出荷制限が指示されており、現在この制限はまだ解除されておりません。
◯安藤委員
 宮城県と福島県で出荷制限されているわけですが、宮城県と福島県のマダラが青森に来ないとは限らないわけです。太平洋を回遊しているということですので、セシウムの影響を受けたマダラが北上してくることが十分考えられるわけで、そういうことから、青森で漁獲されたマダラから基準値以上のセシウムが検出されるという事態にあるわけで、海は県によって区切りがつけられているわけではありませんので、太平洋という大きなスパンの中でマダラが回遊しているということを考えれば、国からの出荷制限は、福島県と宮城県に限らず、青森や岩手県にも国の責任で制限をするべきじゃないかと思うんです。
 それで、そういうことにきちんと対応をした上で、漁業補償というものを東京電力に行っていく。そうしなければ、しょっちゅう、出るたびに補償の手続もしなければいけない、本当にさまざまな困難をその都度行わなくてはならないことからすると、やはりセシウムの影響が大変高いというマダラについては、この青森県についても、国の指示を求めるといいますか、そういうことも必要ではないかと思うんですが、県としてのその点についての考え方はいかがでしょうか。
◯相馬食の安全・安心推進課長
 マダラの基準値超過は、青森県が2度目となることから、現在国では出荷制限の指示について検討しているとの情報がございます。県といたしましても、その辺について注視していきたいと考えておりますけれども、指示を求めることは考えておりません。
◯安藤委員
 たとえ基準値以上でなくても、基準値以下のセシウムを含んだマダラは、多分、食卓に上っている可能性は高いかと思います。そういうことも考え、消費者の安全、特に子供さんたちへの影響というのを考えれば、出荷制限をしていただくことが、消費者に対する安全・安心を構築することになるのではないかと思いますので、今の答弁によれば、国が検討しているということですので、1日も早くそういう結論を国が出していただけるように私は望みたいと思います。これがまたずっと半年、1年と、国が検討だけをすることになるようであれば、ぜひ、県としても動いていただきたいと思いますので、その辺の検討をお願いしたいと思います。
 それから次の質問ですが、これからいよいよサバの水揚げの季節となるわけですけれども、このサバについて、モニタリング調査体制はどのようになっているのか伺います。
◯山内水産振興課長
 サバは八戸港の主要魚種でありまして、八戸前沖サバとしてブランド化も進めていることから、八戸市では、県からのマダラ出荷自粛の要請を機に、サバの出荷前のモニタリング調査を実施することとし、国の補助事業を活用して測定機器を導入する手続を進めているところです。
 しかし、測定機器の導入まで一定の期間を要することから、八戸市の調査体制が整うまでの間は県が暫定的にモニタリング調査を行い、可能な限り支援することとし、現在具体的な進め方について検討しています。
 なお、サバ類については、これまでの調査結果で、放射性セシウムの検出事例はあるものの基準値を大きく下回っており、全国的にも数値の減少傾向が見られているところでございます。
◯安藤委員
 八戸市が機器を導入するまでの間、暫定的に県が対応するということですが、具体的には、どこがどういうふうに調査することになるんでしょうか。
◯山内水産振興課長
 具体的には、これから9月にサバの漁期が盛漁期を迎えますので、サバが水揚げする前に、本県の食品総合研究所において、サバの定期的な検査を行う体制を整えるということでございます。
◯安藤委員
 八戸のサバというのはやはり大きなブランドでもありますし、このサバの安全性は十分図っていただいて、数値の上でも安全だということをきちんと証明できる体制をしっかりとる必要があると思いますので、八戸市が機器を導入するまでの間ということですが、ぜひ、県としても、主体的に安全性確保のためにこれからも力を入れていただきたいと思っています。このことを要望して終わります。