2012.9.19: 平成24年度農林水産委員会 抜粋 本文(質疑1)
○開 会  午前11時

◯小桧山委員長
 ただいまから農林水産委員会を開きます。
 慣例により、会議の記録署名委員を指名いたします。工藤(義)委員、菊池委員にお願いいたします。
 本日の審査案件は、特定付託案件であります。
 初めに、執行部より報告事項があります。──渋谷農林水産部長。
◯渋谷農林水産部長
 それでは、報告事項5件について御説明いたします。
 最初に、社団法人青森県肉用牛開発公社の清算結了についてであります。
 社団法人青森県肉用牛開発公社(現清算法人)は、平成15年3月の解散後、横浜町にある公社有地約250ヘクタール(内訳、農地約174ヘクタール、林地約76ヘクタール)を売却し、県からの長期借入金、下のほうにあります3億4,500万円になりますけれども、この長期借入金を返済することとしており、借入金の返済期限が平成25年3月31日となっていることから、公社有地の売却手続を進め、平成24年度中に清算結了することとした。
 県としては、今後、公社の清算結了に向けた必要な手続を進めることといたします。
 1、公社の設立目的と果たした役割。(1)公社は、昭和44年に下北地域──これは横浜町を含みますけれども──の肉用牛の生産拡大・定着を目的に設立され、当初はヘレフォード種、平成6年からは黒毛和種の繁殖用雌牛などを地域の農家へ供給してきたところであり、その結果、(2)下北地域の肉用牛飼育頭数が増加したほか、県基幹種雄牛「第1花国」の知名度向上に貢献し、県内の肉用牛生産基盤が強化されたところであります。
 2、経緯。(1)公社解散までの経緯。1)ヘレフォード種の市場価格の低迷や平成3年の牛肉輸入自由化に伴い、公社経営が悪化。2)平成11年3月に青森県公社等経営委員会が、今後の採算性の観点から平成16年度までに肉用牛部門から撤退すべきと提言し、公社は2年前倒しして平成14年度末に解散。
 公社解散時の公社有地の状況。土地約250ヘクタール、4億2,410万円、これは15年2月に評価した額でございます。内訳は、下のほうに書いておりますとおり、農地約174ヘクタールで3億8,100万円、林地約76ヘクタールで4,310万円となっております。
 (2)公社解散後の経緯。1)県からの借入金(当初は短期)について公社は、平成15年度から毎年度、県へ返済するため、年度末に市中銀行から借り入れし、年度当初に県の短期貸付金をその返済に充当することを繰り返していたが、平成20年度には市中銀行からの借り入れができなくなり、県の長期貸付金(貸付期限平成25年3月31日まで)に切りかえております。2)公社は、県からの貸付金返済のため、土地評価額に見合う金額で売却することを基本にこれまで活動してまいりました。3)このうち、林地約76ヘクタールについては、平成15年度に県へ4,310万円で売却し、同額を県に返済し、また4)農地の一部(約4ヘクタール)については、平成23年度に国道(下北縦貫道)建設のため県へ約3,100万円で売却しております。5)残りの土地170ヘクタールは、購入希望者と価格面での折り合いがつかなかったことや、全面積の一括購入でなかったことにより、売却には至りませんでした。
 (3)公社が土地売却手続を決定した理由。1)県への貸付金の返済期限が平成24年度末と迫っている中で、複数の購入希望があること。2)公社有地が売却に至らなかったのは、価格面の折り合いがつかなかったことが大きな要因であり、土地の再鑑定評価が必要となったことから、公社が本年7月に土地の再鑑定評価を行った結果、公社解散当時の評価額を相当程度下回り、今後さらに低下する可能性があること。3)土地の再鑑定評価額から想定される売買価格は、公社が県に返済すべき金額を下回り、県は債権の一部を放棄する必要があると考えられるが、県の負担を最大限軽減するためには、早期の売却が必要であることなどによるものであります。
 3、県の対応。県としては、これまでの公社の土地売却活動の経緯も踏まえ、公社解散当時の土地評価額を超える金額での売却は今後とも困難と判断し、公社からの土地売却及び一部債権放棄についての協議文書を受けた上で、農地としての利用計画を有する者に、公平公正な方法(公募型プロポーザル方式)で、可能な限り高額で売却するよう指導するとともに、県貸付金と公社が県に返済する額との間に差額が生じた場合は、貸付金の一部を債権放棄することとし、関連議案を11月の定例会に上程する予定でございます。
 4、今後のスケジュール(案)でございます。(1)平成24年9月には、土地売却の公募を公社が実施すると、これはなるべく早い時期に公募したいと思っております。(2)11月の定例会に関連議案を上程し、(3)12月に議会の議決をいただいた後に債権放棄を決定し、同12月に土地売買契約(本契約)の締結をいたします。来年の25年3月に公社の清算結了が終了するというスケジュールで、今後手続を進めてまいりたいと考えております。
 続きまして、定例報告事項については、要点のみ御説明いたします。
 まず県産農林水産物の放射性物質モニタリング調査です。
 (1)県が主体の調査については、9月14日現在で89品目、491件を実施した結果、マダラ19件など、計23件から放射性セシウムが検出されましたが、マダラ以外は基準値を大幅に下回っております。
 また、国の方針に基づき、市町村区域で放射性物質の測定結果が判明するまで出荷自粛することとしている平成24年産米は、9月14日までに16市町村分を精密検査した結果、放射性セシウムが検出されなかったことから、当該市町村の出荷自粛を解除いたしております。その解除した16市町村については、表の下のほうに列記しております。
 (2)国が主体の調査については、9月14日現在で、40品目226件を実施した結果、14品目、64件から放射性セシウムが検出されました。64件のうち、マダラが29件を占めており、それ以外の品目では基準値を大幅に下回っております。
 (3)マダラの出荷制限解除に向けた調査。8月9日に県が出荷自粛を要請した以降の精密検査の結果については、9月14日現在で14件を実施し、12件から放射性セシウムが検出されましたが、そのすべてが基準値を下回っております。
 (4)サバの入札前放射性物質検査については、9月14日現在で11件を実施し、すべてから放射性物質は検出されておりません。
 2、牛肉の放射性物質調査については、9月12日までに屠畜された1万165件を実施した結果、そのうち1件から基準値を大幅に下回る27ベクレルの放射性セシウムが検出されました。
 3、上記以外の農林水産物関連の調査につきましては、前回報告と同様であり、説明を割愛させていただきます。
 次に、農作物の生育と農作業の進捗状況についてであります。
 1、これまでの気象経過と今後の見通し。(1)気象経過。8月下旬から9月上旬、青森市の気象経過でございます。平均気温と日照時間は、平年に比べ8月下旬、9月上旬ともかなり上回っております。降水量は、平年と比べ、8月下旬は4%、9月上旬は52%とかなり下回っております。
 (2)今後の見通し。仙台管区気象台が9月14日に発表した東北地方の1カ月予報によりますと、向こう1カ月の平均気温は平年より高く、日照時間は平年並みから少なく、降水量は平年並みから多いと予想されております。
 2、農作物の生育や農作業の進捗状況と今後の対策であります。
 水稲。生育の状況。8月30日現在の登熟状況は、「つがるロマン」は平年を上回り、「まっしぐら」は平年を下回っております。
 今後の対策といたしましては、刈り取り適期を迎えているため、刈りおくれによる品質低下を生じないよう、適期刈り取りに努めるよう指導してまいります。
 次、畑作・野菜・花卉でございます。生育状況。2)ナガイモは、イモ長が平年並みで、イモ径・イモ重が平年を上回っております。3)秋ニンジンは、根長が平年を上回り、根重が平年を下回っております。
 今後の対策。2)野菜、花卉類は、排水対策と病害虫防除を徹底する。
 リンゴ。生育と農作業の状況。「つがる」は、高温により着色がおくれているものの、果肉の熟度は平年並みであります。
 今後の対策といたしまして、「つがる」の収穫は、例年の9月20日ころまでに終えるよう指導してまいります。
 飼料作物。生育と農作業の状況。牧草は、3番草の乾物収量が平年並みとなっております。サイレージ用トウモロコシは、収穫適期も平年並みの10月上旬と見込まれております。
 今後の対策といたしましては、2)のサイレージ用トウモロコシは、収穫適期の黄熟期になり次第刈り取るよう指導してまいります。
 次に、県産農作物の販売動向であります。
 1、野菜。(1)ナガイモの価格は、本年産及び市場全体の入荷量が少ないことから、前年比で126%、過去5カ年平均に比べると121%と高値安定となっております。
 (2)ニンニクの価格は、本県産の入荷は少ないが、市場全体の入荷量が多いことから、前年比、過去5カ年平均比ともに80%となっております。
 (4)トマトの価格は、本県産の入荷は少ないものの、関東産の入荷が多いことから、前年比で65%、過去5カ年平均に比べると63%となっております。
 (6)カブの価格は、本県産及び主力産地の入荷が順調であること、荷動きがあまり活発でないことから、前年比で78%、過去5カ年平均に比べると81%になっております。
 2、リンゴ。平成24年産リンゴの価格は、高温の影響による着色おくれなどから市場への入荷量が少なく、価格高となっており、前年比で149%、過去5カ年平均に比べると134%となっております。
 3、子牛。黒毛和種の子牛価格は、取引頭数が少なかったことから前月をやや上回り、前年比で118%、過去5カ年平均に比べて98%となっております。
 最後に、最近の漁模様についてであります。
 1、8月の主要魚種の動向。(1)サバ類は、太平洋で好調に推移した。(2)スルメイカは、日本海で好調、津軽海峡でやや低調、太平洋で平年並みに推移した。(4)クロマグロは、津軽海峡で低調、日本海と太平洋で好調に推移した。
 2、沿岸水温。9月1日から5日までの半旬平均水温は23〜27度で、日本海、陸奥湾及び太平洋で甚だ高目、津軽海峡でかなり高目となっております。
 3、その他。(1)最近の主要漁獲物の状況。9月上旬の主要漁獲物は、日本海と津軽海峡ではスルメイカ、クロマグロ、太平洋ではスルメイカ、サバ類となっている。
 (2)陸奥湾のホタテ養殖。平年より水温の高い状態が続いているため、「ホタテガイ養殖管理情報」を第5号まで発行し、養殖施設を水温の低い下層で安定させるよう指示しております。
◯小桧山委員長
 ほかに質疑はございませんか。──安藤委員。

◯安藤委員
 私も、今の問題から質問させていただきます。農林振興公社に次いで今回の青森県肉用牛開発公社の債権放棄を再び提案されるということに、大変遺憾な思いであります。先ほどの説明にもありましたように、この公社の解散のそもそもの理由が、牛肉輸入自由化ということに一つの理由があったということに、やはり国のこうした政策の影響が、こういう地方の政治に大きく影響しているということについて、改めて怒りを感じております。
 それで、今の質疑の中でいろいろとわかったんですけれども、結果的に現時点では2億円の債権放棄ということですが、これを少しでも縮めるために土地の売却の努力をされるかと思うんですが、この県の対応の中に、今後「公平公正な方法(公募型プロポーザル方式)で、可能な限り高額で売却するよう指導」と書いてありますが、この方式の中身と、そしてどの程度高額で売る可能性があるのかということが一つと、それから、一括売却方針をこれまで掲げてきたわけですが、今後も同じような方針を掲げて行うのか、その点について伺いたいと思います。
◯樋口農商工連携推進監
 3点御質問をいただきました。
 まず1点目でございます。公募型プロポーザル方式の内容ということでございます。通常物を販売する場合、一般的には入札で行うわけですが、この場合ですと、一番高い札を入れた方ということになるわけでございますが、このプロポーザル方式といいますのは、価格だけではなく、いわゆる取得をした後にどのようにしてそれを使用していくのかという、そのような企画書を複数の方から出していただいて、その内容を審議した上で決めるというものでございます。その審議に当たりましては、審査会を別途設けまして、そこで審議していただくというものでございます。
 それから、2つ目といたしまして、どれだけ高額で売却できるのかという御質問でございました。これは今後公募いたしまして、その企画書を出していただいた時点、その時点で購入を希望する方々がどのような価格で購入を希望するのかというものを見なければ、今の時点で幾らということのはっきりとしたお答えはできません。申しわけございません。
 それから、今後も一括での売却を行っていくのかという御質問でございました。先ほど来御説明させていただいておりますとおり、現在の170ヘクタールの農地部分と、一部林地になっている部分がございますけれども、あくまでもこれは公社の土地すべてを売却して、それによって県の貸付金の償還に充てるということでございますので、一括で売却するというように考えております。
◯安藤委員
 審議会を立ち上げて審議をしていただくということですが、どういうふうな構成で立ち上げる予定でしょうか。それから、あくまでも一括でということですが、なぜそこにこだわるんでしょうか。土地が売却できれば収入になるわけですし、企画書を出していただいて、公正なというか、利用度の高い活用があれば分割してもいいのではないかという素人の考えですけれども、そんなふうに思うんですが、一括にこだわるその理由を伺いたいと思います。
◯樋口農商工連携推進監
 まず審議会の委員の構成でございますけれども、これは今後、その審議会を立ち上げるということでございまして、まだ具体的にどういう方ということは決まっておりません。これから検討していきたいと考えております。
 それから、一括売却の理由ということでございますけれども、もしこれが、170ヘクタールという膨大な土地が切り売りといいますか、その欲しいところ、いいところだけを売却していくということになりますと、結果的に利用価値の低い土地が残ってしまいます。そうしたときには、さらに土地の価格が下がってしまうと、利用価値が低くなってしまいますので、そういうことも考えられるということから、一括で購入していただきたいというのが、公社の考えでございます。
◯安藤委員
 このような方法で買い手が見つからなかった場合は、結局は今と同じような活用方法ということになるんでしょうか。
◯石郷畜産課長
 お答え申し上げます。
 仮に売れなかったと、審査会でなかなか決まらなかったという場合につきましては、公社は、これから引き続き県にお願いして、借入金、貸付金の貸し付け延長をお願いして売却活動を進めていきたいと考えていると聞いてございます。
◯安藤委員
 しかし、県に結局移管されるということになるかと思うんですが、県の方針ということについては、どのようなお考えがあるんでしょうか。
◯渋谷農林水産部長
 先ほど来一括購入のお話が出ましたけれども、それは先ほど推進監が説明しましたとおり、いいところだけが売れると、やはり条件の比較的悪いところが売れ残ってなかなか売れないと、ひいては売れ残ってしまうのではないかというようなことから、全部を一括でというようなことを考えております。
 それから、先ほど説明しましたとおり、現在の評価額以上に、これからその土地の評価額が上がる見込みがあれば、さらにまた、貸付期間を延ばして、その中で売却、より高額で売却してほしいという指導もできるでしょうけれども、やはり全般的に見まして、農地価格が今よりも上がるようなことは見込めないというのであれば、やはり今の価格で土地を売却して、それでもって県に返していただくことが、ある意味では一番多い額になるのではないかと。これから待てば待つほど土地価格が下がって、県の債権放棄額がふえるということになりますので、これは今年度中にどうしても売却先を見つけて、今年度中に清算結了するような形で公社を指導していきたいと考えております。
◯安藤委員
 私の理解が不足しているのですが、公社は既に解散したわけですけれども、県が公社を引き継いで土地を管理するなどということは全くないわけですか。
 ◯石郷畜産課長
 お答え申し上げます。
 例えば土地を県が譲り受けてという形であれば、やはり県は、その土地を使って、行政財産として有効活用するということが考えられます。しかし、県が土地を所有することは想定されませんので、公社が売却を目的として売って、その代金を県に返済するということが、今の県の判断では、一番最適な方法と考えてございます。
 ◯安藤委員
 そうしますと、土地がもし売れなかった場合は、あくまでも公社が管理をし続けるという理解でよろしいんでしょうか。
 ◯石郷畜産課長
 公社はあくまでも売却活動を続けていくということで、あとは清算結了ということで考えていると確認してございます。
 ◯安藤委員
 私の質問にお答えがないかと思うんですが、結局売れるように公社は努力されているわけですけれども、新しい方式で売却の努力をされると思うんですが、もし売れなかった場合は、その土地をどういうふうな形で管理するのかということをお聞きしているんです。
 ◯石郷畜産課長
 引き続きその土地を有効利用していただく方に改めて貸し付けするとか、あくまでも草地としての機能維持できるようなことを考える。今草地でございますので、その草地を利用できる方に貸し付けするのが一つ、そして、その一方で売却活動を続けるということで考えてございます。ですから、その土地は、決して放置するということではなくて、あくまでも畜産利用をしながら貸す方向と、売却活動を続けるという二方向で活動を続けていくことになると聞いてございます。
 ◯安藤委員
 そうしますと、公社は、ずっと売れるまで追求するということですか。
 ◯石郷畜産課長
 売れなければという話でありますけれども、そこは早目に買う方を探す、募集を何回も複数回繰り返すなどして、あくまでも売却をしていくということで考えてございます。
 ◯安藤委員
 この件については終わります。