2012.9.19: 平成24年度農林水産委員会 抜粋 本文(質疑5)
 次の質問ですが、マダラの出荷制限指示についてです。
 国は1カ月以上にわたり検査が安定的に基準値を下回ることとした解除要件について、青森県が2回目の出荷自粛を実施した8月9日を起点とするとしていましたが、既に1カ月以上がたちましたけれども、そこで伺いたいと思います。国の出荷制限指示に対して、県は今後どのような方向で臨んでいくのか伺います。
◯宝多水産局長
 お答えいたします。
 8月27日付の国の原子力災害対策本部の出荷制限指示を受けまして、県では現在漁業者に対しまして、本県太平洋沖つまり出荷制限海域におけるマダラを漁獲しないように指導するとともに、混獲した場合、──混獲というのはマダラ以外の魚種にまじってマダラが入った場合に──確実にそれを選別してマダラを出荷しないように指導してきたところでございます。
 また、卸売市場や直売所などに対しましても、太平洋沖で漁獲したマダラを取り扱わないよう指導するとともに、本県太平洋沖以外の海域で漁獲されたマダラを出荷等する場合は、産地を十分確認の上、本県太平洋産のマダラではないことがわかるような適切な表示を行って流通させるよう指導してきているところでございます。
 今後の方向ですけれども、県としましては、マダラのモニタリング調査を継続し、得られた数値の安全性や漁業関係団体等の意向を踏まえ、さらに消費者のマダラを初めとする県産水産物に対する信頼の確保を十分見きわめた上で、国の出荷制限指示の解除申請等の手続を進めていくことにしています。
◯安藤委員
 安全を見きわめた上でと、消費者だとか漁業者などの声も反映させてということなんですが、それは大体具体的に言うとどのくらいの期間を指しているのか、近いところなのか、あるいは数カ月、半年ぐらいを見ているのか、その辺についてお考えを伺いたいと思います。
◯宝多水産局長
 出荷制限指示の発動以降、県のモニタリング調査の状況ですけれども、現時点で既に国の解除のマニュアルといいますか、方針を満たしております。ただ、水産業界等の慎重な意見もございます。また、先ほど答弁しましたとおり、得られたデータの安全性が即消費者の理解を得られることにつながるかという意味で、それから、もう一つ、直近の事例として、原子力災害対策本部が出荷制限を解除した事例といたしまして、8月に宮城県の小型のマダラについて、51検体についてモニタリングをして、安全性が確認されたとして解除されたという事例がございます。これらを一つの参考事例として、県は引き続きモニタリングを継続していきたいと。
 今後の目安ですけれども、11月ごろからマダラの本格的操業に入ります。その時期に解除できるよう50検体という目安を満足するべく、きょう現在で19検体以上基準値を下回っているという結果が出ていますので、先週、先々週から周辺域五ないし六検体を目安で検査をしておりますので、このまま順調に安全性が確認されれば、11月の操業に向けて50検体を満たすものと考えておりますし、そのように努力したいと思っております。
◯安藤委員
 大体11月ごろを目安ということなんですが、今の答弁で触れられた宮城県ですが、宮城県も国の出荷制限を受けていたわけですが、既に8月にそれを解除されたという理解でよろしいんでしょうか、宮城県は。
◯宝多水産局長
 宮城県では、マダラにつきまして、5月に出荷制限指示を発動されておりまして、3カ月後の8月に、マダラ全体ではなく、1キロ全重量、体重です、1キログラム未満の小型のマダラに限定して出荷制限指示が解除されてございます。
◯安藤委員
 マダラの中でも部分的にということで、その選別が大変だなという感じを受けますが、青森県でもそういうことはあり得るのでしょうか。
 ◯宝多水産局長
 宮城県の場合は、今までのモニタリングの結果、1キロ未満の個体について51検体行いましたが、その検査の過程において、小型魚については制限値を常に下回るということがわかってきておりました。それらを受けて、特に加工業界が、全体で大きな魚も含めて解除は非常に難しいという状況でございましたので、せめて加工用に1キロ未満の個体だけでも解除するような方向を選んでほしいという強い要望を受けまして、1キロ未満と1キロ以上にモニタリングを分けて調査を実施した結果、1キロ未満につきまして解除されたということでございます。
 本県につきましては、きょう現在19検体と申しましたけれども、1キロ未満と1キロ以上に分けては検査していますけれども、今のところ業界から小型魚だけを先に解除してほしいとか、そういう意向は聞いてございませんので、そういうことも今後あった場合の対応も含めて両方分けていますけれども、県としては、一緒に解除できればいいのではないかと考えております。
 ◯安藤委員
 今後スムーズに解除されて、漁に安心して出られる環境が一日も早くできることを私も願っています。
 そこで、今回のような事態が起きた大もとの東日本大震災の中での東京電力に対する損害賠償が厳重に行われていかなくてはいけないんですけれども、この損害賠償について、これまでどのように進んでいるのか伺えればと思います。
 ◯山内水産振興課長
 お答えいたします。
 漁業者への補償につきましては、青森県漁業協同組合連合会が窓口となって東京電力株式会社と協議を進めており、去る7月25日には、補償交渉を速やかに進めていくために、県内漁業協同組合代表者等をメンバーといたします青森県水産物放射能対策協議会を立ち上げたところでございます。
 損害賠償請求につきましては、太平洋沿岸関係漁協から第1回目の出荷自粛期間であります6月19日から7月25日までにマダラが漁獲できなかったことによる減収分等を取りまとめまして、8月31日に東京電力に第1回目の請求を行ったところであり、その額は2,100万円となっております。
 なお、まだ被害額を調査中の漁協もありますので、請求額はさらにふえるものと聞いております。
 また、8月9日からの出荷自粛及び国の出荷制限期間分につきましても、引き続き県漁連が窓口となって損害賠償の手続を進めており、県としても、損害賠償請求が速やかに支払われますよう東京電力に強く申し入れをしているところでございます。
 ◯安藤委員
 そうしますと、1回目の請求はもうされたわけですが、まだそれに加わることもあるようですけれども、それに対して東京電力が補償額の提示というのは、まだそこまでいっていないんでしょうか。
◯山内水産振興課長
 請求をしたということは聞いておりますが、それに対する回答というのはまだ聞いておりません。
◯安藤委員
 先ほどの話では大体11月ぐらいをめどにということでしたけれども、いわゆるそれまで収入がないという事態が続くわけで、それに対する賠償をしっかりと請求をして漁業者の方たちの生活がしっかりと補償できるような対策を、この協議会を中心に進めていただくように、県もその対応方しっかりと行っていただくようにお願いいたします。