2012.10.04: 平成24年度農林水産委員会 抜粋 本文(質疑8)
 もう一点、環境公共についてということで質問したいと思います。最近、環境公共とよく聞くようになりました。弘前地域でもやられているところがありまして、中には、なかなか難しさもあるというお話も伺っています。そこで、今回質問させていただいて、この環境公共についての認識をしっかり持ちたいと思っています。
 最初の質問は、環境公共の概念について伺いたいと思います。
◯北林農村整備課長
 環境公共の概念でございますけれども、農山漁村の豊かな自然や美しい景観、伝統的な風習・文化などのかけがえのない地域資源を将来に引き継いでいくためには、自立した農林水産業が営まれ、地域コミュニティが存続していくことが不可欠でございます。
 このため、県では、「農林水産業を支えることは地域の環境を守ることにつながる」との観点から、農林水産業の生産基盤や農山漁村の生活環境などの整備を行う公共事業を環境公共と位置づけ、その基本的方向や実施手法などを定めた「あおもり環境公共推進基本方針」を平成20年2月に策定しているところです。
 この方針では、地場の資源、技術、人財の活用を基本に、みずから考え、実行していく「地域力の再生」、農業・林業・水産業の「より強固な連携」、環境への配慮から「環境の保全・再生」という3つの方向性を示しており、その方針に沿って推進しているところでございます。
◯安藤委員
 環境公共推進基本方針というものを掲げて、この事業を推進しているわけですけれども、この考え方というのは、国内では青森県だけなんでしょうか。他県でもこういう考え方で進めているところはあるんでしょうか。
 ◯北林農村整備課長
 環境公共の取り組みと申しますのは、先ほど申しましたけれども、平成20年2月に「あおもり環境公共推進基本方針」を策定したわけでございますけれども、これは全国に先駆けて、我が県が独自の概念として提唱しているものでございます。
◯安藤委員
 ということは、他県ではまだこういう概念を持って進めているところはないということですね。それで、環境公共ということですので、地域力というお話もありましたが、地域の方たちの考え方だとか、地域の方たちの協力のもとで進めようというものだと思うのですが、実際にやることは公共事業というふうに捉えていいのかなと思いますが、それを進めるに当たっての事業費の考え方は、基本的にはどういう捉え方になるんでしょうか。
 
 ◯北林農村整備課長
 基本的には、環境公共、農林水産部のいわゆる公共事業の予算内でいろいろと取り組みを進めているということでございます。
 ◯安藤委員
 そうしますと、地域の方たちの持ち出しだとか、あるいは、地域の方たちの所有地を提供するとか、そういうことは基本的にはないということでよろしいですか。
 ◯北林農村整備課長
 基本的には、一般の公共事業、農業農村整備事業でも、用地の取得をする場合というのがございますから、当然、用地の取得というのは補助対象になっています。他方で、農業農村整備事業の中でもいろいろな事業種がございます。事業の種類、性格によって、国費、県費、地元負担──この場合の地元負担というのは、市町村費と農家の負担ということでございますが──それぞれが違っているということでございまして、それぞれの事業の中で、用地取得の妥当性があれば補助対象となるんですけれども、その負担割合というのは、おのおのの事業の性格によって異なっているということになっております。
 ◯安藤委員
 それでは、環境公共の県内での取り組み状況について伺います。
 ◯北林農村整備課長
 環境公共の県内での取り組み状況でございますけれども、全国に先駆けて推進してきた本県独自の環境公共の取り組みは、本年度で5年目を迎えております。いわゆる「地区環境公共推進協議会」を設立している地区は、農林水産部の全公共事業の約5割、さらに、「地域力の再生」「農・林・水の連携」「環境の保全・再生」いずれかに取り組んでいる地区は約9割に達するなど、着実に浸透してきている状況にございます。
 具体的な取り組みとしては、圃場整備により短縮された稲作の労働時間を夏秋イチゴなどの高収益作物の作付拡大に向けている外ヶ浜町の上小国地区では、「地区環境公共推進協議会」を中心に、水田地域の生物の生息空間をビオトープとして整備し、生物を移動させるための捕獲作業に子供会も参加するなど、地域ぐるみの活動が展開されております。
 また、十和田市の奥入瀬地区では、奥入瀬川にある頭首工の改修や魚道の整備を契機に、土地改良区とボランティア団体が魚道の維持管理に関する協定を結び、これまで土地改良区が行っていた魚道の維持管理をボランティア団体が行うようになるなどの事例があります。
 ◯安藤委員
 着実に進んでいるというイメージを受けていますが、この環境公共という取り組みの中で、今、県が考えている問題点といいますか、難しさというか、そういうところはどのように捉えているのか伺います。
 ◯北林農村整備課長
 先ほど申し上げましたように、3つの方向性に基づいて取り組みを進めています。「地域力の再生」「農・林・水の連携」「環境の保全・再生」、これらの方向性に沿った取り組みということでございます。それを事業の完了後、このような取り組みにより多様な生物が生息する環境を創造し、安全・安心な食料生産が行われ、最終的には、農産物のブランドイメージの強化や収益性の向上にまでつなげていくことができれば、非常に環境公共の取り組みも一つの効果、成果を出したと言えるのではないかと思っております。
◯安藤委員
 最終的にそういうところまでうまく持っていければいいかと思いますが、一番最初に言ったように、地域ではなかなか難しさがあるんだということで、もう少し具体的な援助が欲しいようなお話も伺っています。県としても、また、市町村もかかわらなければいけないこともあるのでしょうけれども、親身になって、たくさんの対象地域があるでしょうから難しさもあるでしょうけれども、地域の方たちの思いに立った、また、問題点などがあったら、それに対応した適切なアドバイスなどもしていただけることが必要ではないかと思いますので、ぜひその点はよく耳を傾けていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。