2012.11.21: 平成24年度農林水産委員会 抜粋 本文(質疑1)
◯横浜副委員長
 ただいまから農林水産委員会を始めます。
 慣例によりまして、会議の記録署名委員を指名いたします。成田委員、安藤委員にお願いいたします。
 本日の審査案件は、特定付託案件であります。
 初めに、執行部より報告事項がございます。──渋谷農林水産部長。
◯渋谷農林水産部長
 それでは、報告事項5件について御説明いたします。
 最初に、「県民環境林経営検討委員会」報告書の概要についてであります。
 1、検討の経緯でございます。
 県では、平成25年4月から管理・経営する県民環境林の経営方向や県民負担の軽減等について意見・提言をいただくため、外部有識者からなる県民環境林経営検討委員会を9月7日に設置し、今後の経営管理のあるべき方向などについて幅広い観点から御検討いただき、去る11月19日、当委員会から県に対し報告書が提出されました。
 その主な内容は、次のとおりでございます。
 2、提言の主な内容。
 1、県民環境林の経営方針であります。これにつきましては、既に決定している3つの方針ごとに具体的に検討していただきました。
 1つ目のすべての県民が等しく恩恵を受ける森林の公益的機能の発揮につきましては、1)といたしまして、契約期間については、現状の45年〜60年を80〜90年まで延長いたしまして、長期にわたって公益的機能の増進を図る長伐施業の導入、特に杉で成長の遅い林とか、それからアカマツ林については、需要、採算性の観点からも長伐期施業を導入すべきという内容になっております。
 2)は、分収方式に関しては、これまでは収益分収方式によりすべての立木を一斉に売り払い、その収益を分収する方式に限定されておりましたが、この提言の中におきましては、契約者の持ち分を立木で残し、県の持ち分だけを売り払う立木分収方式や、契約者が県の持ち分を買い取りし、すべての立木を残す立木買取方式など、新たな分収方式の設定により、環境負荷の少ない皆伐によらない施業の推進について提言がなされております。
 2つ目の収益性に配慮した経営による財産の造成につきましては、1)といたしましては、利用間伐の推進と間伐収益の還元、2)J−VER制度や青い森の町内会、ネーミングライツ等の新たな仕組みの導入による森林整備資金の確保、3)県民環境林の管理方法につきましては、5年程度の一定期間一括で委託する公募型プロポーザル方式の導入となっております。
 3つ目の県民の理解と参画による適切な管理と整備の推進につきましては、森林環境教育を実践するためのフィールドや森づくり活動の受け入れ体制整備、観光関係とのタイアップ等、多面的な活用を図るとされております。
 2、県移管に当たっての県民負担軽減策。
 (1)の第三セクター等改革推進債の活用につきましては、43億円の活用効果が試算されていることから、県民負担軽減のためにこの制度を最大限に活用し、また、損失補償契約に伴い発生いたします遅延損害金についても、県は日本政策金融公庫と交渉の上、削減に努めるべきである。
 (2)分収割合の見直しにつきましては、丁寧に説明の上、理解を求め、100%の同意を得て県民負担の軽減効果を最大とするよう努めるべきである。
 次に、3番目といたしまして、県民環境林の収支予測についても提言をいただいております。県民環境林の整備に当たっては、高性能林業機械を活用し低コスト化に努め、路網整備は費用対効果を勘案の上、当面は現状の平均約690メートルの集材距離を400メートル程度まで短縮するように取り組み、分収割合の見直しは100%の同意を得るよう努めるべきである。これを実行し、木材価格が現状のままで推移するとした場合、真ん中の表にありますとおり、純収益は39.2億円となり、さきの公社資産評価時の純収益12.2億円に比べますと27億円の増収効果を生むことになります。また、仮に木材価格が10%上昇した場合の純収益は62.9億円、20%の場合は87.4億円、50%の場合は161.2億円となり、公社資産評価時の純収益に比べるとそれぞれ50.7億円、75.2億円、149億円の効果が得られると予測されております。
 これにつきましては、4ページと5ページをごらんいただきたいと思います。こちらのほうに、県民環境林における純収益の推移予測ということで、4ページには単年度の姿をあらわしております。例えば真ん中の赤線がありますけれども、これは木材価格が10%上昇した場合で、これによりますと、単年度で見れば平成30年度から黒字化になるという予測がされております。
 続きまして、5ページでは累計の姿をあらわしておりまして、これにつきましても、例えば真ん中の赤線の木材価格が10%上昇した場合は、累計で見た場合も平成35年度から黒字化になりまして、最終的には純収益として62.9億円になるという試算がされているところでございます。
 2ページにお戻りいただきたいと思います。4番、終わりにということで、県民環境林の経営に当たりまして、県は委員会からの提言に沿って取り組むとともに、次の4つの点に留意し、適切な経営に努めるべきであるとされております。
 (1)といたしましては、県民目線でわかりやすく丁寧に機会を捉え、説明やPRを行うべきである。
 (2)といたしまして、木材価格の上昇に向けて、市町村や業界団体、さらには消費者と一体となった取り組みを進めるべきである。
 (3)おおむね5年程度のサイクルで収支試算を再検証し、計画の見直しを適宜行うとともに、県民の意見や理解を得ながら進めていくべきである。
 (4)国に対する要請といたしましては、地方だけで簡単に処理し切れないような多額の負担を伴うというようなことを考慮し、国等に対してさまざまな働きかけを行うよう努めるべきであるとなっております。
 これに対しましては、3ページの3、今後の県の対応でございますけれども、県では、経営検討委員会からこのたび提出されました内容を最大限に尊重いたしまして、今後の経営に生かしていきたいと考えております。
 なお、今後の主なスケジュールといたしましては、これまでも御説明しておりますとおり、24年11月、明日からの定例会におきまして、県貸付金の債権放棄の議決をいただくべく上程いたします。来年の1月22日に青森地裁による債権者集会の開催がございます。25年2月の定例会におきまして、予算や損失補償に係る議決をいただきたく、議案を上程することとしております。25年4月に県への移管、貸付金の弁済、損失補償等がなされまして、25年4月以降に第三セクター等改革推進債の起債手続を進めてまいるというスケジュールになっております。
 以下の定例報告事項につきましては、要点のみ御説明いたします。
 まず県産農林水産物における放射性物質の調査状況についてでございます。
 1、放射性物質モニタリング調査のうち、(1)の県が主体の調査につきましては、11月15日現在で100品目、768件を実施した結果、これまでにマダラ29件など5品目34件から放射性セシウムが検出されておりますが、このうちマダラ1件が基準値を超える116ベクレルでありましたが、それ以外は基準値を大きく下回っている状況にございます。
 (2)国が主体の調査につきましては、11月19日現在で47品目、437件を実施した結果、16品目、148件から放射性セシウムが検出されております。この148件のうち、マダラが98件を占めておりまして、最高値が70ベクレルとやや高目でありましたが、それ以外の品目では基準値を大幅に下回っている状況にあります。
 (3)マダラの出荷制限解除後の検査についてであります。10月31日に出荷制限が解除となった本県太平洋海域のマダラにつきましては、水産庁の調査事業を活用して検査するほか、入札前検査を県のモニタリング調査で対応しており、50ベクレルを超過した場合には即座に入札の一時停止を要請すると同時に、青森県薬剤師会衛生検査センターで精密検査を実施し、基準値以内であることを確認した上で入札を開始することにしております。11月19日現在で14件を実施した結果、11件から放射性セシウムが検出され、そのうち1件については50ベクレルを超過したことから精密検査を実施いたしましたが、結果としてすべて基準値を下回っております。
 (4)サバの入札前放射性物質検査でございます。11月15日現在で25件を実施し、すべてから放射性物質は検出されておりません。
 2、牛肉の放射性物質調査につきましては、11月15日までに屠畜された1万4,210件を調査し、そのうち1件から基準値を大きく下回る27ベクレルの放射性セシウムが検出されたところでございます。
 3、上記調査以外の農林水産物関連の調査につきましては、(4)でございます、健康福祉部保健衛生課が10月16日から17日に7市町村から採取したクリ7件を検査した結果、すべてから放射性セシウムは検出されませんでした。
 (5)同じく保健衛生課が10月1日から11月19日に県内33市町村で採取した野生キノコ30品目58件を検査した結果、8品目11件から放射性セシウムが検出され、うちシイタケ1件十和田市です、ホウキタケ1件階上町、サクラシメジ1件青森市の計3件から基準値を超える放射性セシウムが検出されました。このことから、基準値を超過した3市町域の野生キノコ類について、原子力災害対策本部長から県に対して出荷制限を要請するよう指示があり、同日付で関係市町等に要請したところでございます。
 次に、農作物の生育と農作業の進捗状況についてであります。ことしの最終版でございます。
 1、生育期間の気象経過。青森市における4月〜11月前半までの気象経過でございます。
 (1)平均気温は、4月〜11月前半の累計で平年を1度上回った。
 (2)日照時間は、累計で平年の110%であった。
 (3)降水量は、累計で平年の101%でありました。
 2ページをお願いいたします。2、農産物の生育や農作業の進捗状況と今後の対策。
 水稲。(1)の作柄の状況。1)10月15日現在の作況指数は、県全体で106の良となっております。
 2)10月31日現在の1等米比率は、ほぼ平年並みの83.8%となっております。
 畑作・野菜。(1)の生育と農作業の状況。1)ナガイモは、茎葉の枯れ上がりがおくれたため、前年より10日遅い11月19日ころから本格的に収穫が始まっております。
 2)大豆は、断続的な降雨の影響により津軽地方で刈り取りがおくれており、11月19日現在で約55%の収穫となっております。
 次、リンゴでございます。(1)の生育と農作業の状況。2)「ふじ」の果実肥大は平年をやや上回り、果実品質も糖度が平年より高く仕上がっております。
 (2)今後の対策の2)雪害防止対策、野ネズミ対策を徹底するよう指導してまいります。
 飼料作物についての生育の状況は、牧草は、年間の合計収量は平年比94%となっております。サイレージ用トウモロコシの収穫期は平年より6日早く、乾物収量は平年比104%となっております。
 次に、県産農産物の販売動向についてでございます。1、野菜につきまして、(1)ナガイモの価格は、本県産の入荷量が少な目であることから、過去5カ年平均に比べると121%と高値安定となっている。
 (2)ニンニクの価格は、本県産及び市場全体の入荷量は多くなっているが、引き合いがあることから前年比で103%、過去5カ年平均比で82%となっている。
 (3)ゴボウの価格は、本県産及び市場全体の入荷量は多くなっているが、需要が回復していることから、過去5カ年平均比で109%となっています。
 (5)ネギの価格は、本県産及び市場全体の入荷量が少な目であることから、過去5カ年平均比で100%となっている。
 2、リンゴです。リンゴの価格は、「早生ふじ」など中生種の入荷量が多かったことや、ミカンなど競合果実類の入荷も多かったことから、過去5カ年平均に比べると90%となっております。
 2ページをお願いいたします。3の子牛。黒毛和種の子牛価格は過去5カ年平均に比べて99%となっております。
 最後に、最近の漁模様についてでございます。
 1、10月の主要魚種の動向。(1)サバ類は、太平洋で低調に推移した。(2)ブリは、日本海で平年並み、太平洋で好調に推移した。(3)スルメイカは、日本海で好調、津軽海峡と太平洋で低調に推移した。(4)サケは、日本海、津軽海峡及び太平洋で低調に推移した。
 2、沿岸水温については、11月6日から10日までの半旬平均水温は15〜18度で、日本海ではなはだ高目、津軽海峡、陸奥湾及び太平洋でやや高目となっております。
 3、その他。(1)最近の主要漁獲物の状況。11月上旬の主要漁獲物は、日本海と津軽海峡ではスルメイカ、サケ、太平洋ではブリ、スルメイカ、サケとなっている。
 (2)陸奥湾のホタテガイ養殖。11月5日〜13日にかけて陸奥湾内23漁業協同組合及び支所を対象に養殖ホタテガイ実態調査を実施した結果、速報値によるへい死率は、稚貝──24年産貝ですけれども──については西湾で0.9〜99.8%、東湾で0〜71.3%、新貝については西湾で0〜87.3%、東湾で0〜46.8%となり、西湾で高い傾向にありました。なお、詳細な調査結果につきましては、陸奥湾養殖業者1,117名からの保有数量等の聞き取り調査も加えまして、12月中旬までに整理の上公表する予定でございます。
◯横浜副委員長
 ただいまの部長報告及び特定付託案件につきまして質疑を行います。
 質疑は所管以外にわたらないようにお願いいたします。
 なお、答弁者は、挙手の上「委員長」と呼び、次に職名を言って発言を求めてください。
 質疑はありませんか。──安藤委員。
◯安藤委員
 最初に、部長報告の中で質問させていただきます。
 「県民環境林経営検討委員会」報告書の概要についての1ページの四角枠の2、県移管に当たっての県民負担軽減策のところで、損失補償契約に伴い発生する遅延損害金について、県は日本政策金融公庫との交渉の上、削減に努めるべきであるという方針ですが、この遅延損害金がどのくらい発生するものなのかということと、もう一つ、次のページの県民環境林の収支予測というところで、木材価格が現状のままと、それから10%上昇、20%上昇と推定の予測値が出されていますが、県の予想として、もちろん木材価格が上がることは、そうあってほしいと願うわけですけれども、木材価格というのはどんどん減少傾向にあるわけで、今後ここには現状より下がるという見込みの数値は全くないんですが、そういうことは予想しなくてよいのか、また、木材価格の上昇が、例えば10%、20%、50%上昇ということが想定できるものなのかということについて伺いたいと思います。
◯樋口農商工連携推進監
 お答えいたします。
 まず1点目でございますが、遅延損害金がどのぐらい発生するのかということでございます。まず遅延損害金というものがどういうものか御説明させていただきますけれども、この遅延損害金といいますのは、県と日本政策金融公庫が締結しております損失補償契約において定められているものでございまして、県がその損失補償契約に基づいて公社が支払えない分を支払うものでございます。その際に、この補償金の利息がかかる期間でございますが、公社が民事再生手続を申し立てしてから公庫の損失が確定するまでの間、この分の利息ということになるわけでございます。これは契約では10カ月間になっておりますので、今回委員会から提言いただいた部分は、この10カ月間をもっと短くするようにという御提言をいただいたところでございます。
 なお、これにつきましては、これまでも日本政策金融公庫といろいろ協議をしてまいりまして、今のところでございますが、8カ月に、2カ月ぐらいは短縮できる見込みで現在進めているところでございます。
 なお、この遅延損害金が発生する金額でございますけれども、現在公社が公庫から借り入れしている金額が130億円でございます。この130億円を、第三セクター等改革推進債を使用しないで、このままの状態で平成66年度までに返すことになった場合には、利息としまして約47億円かかるわけでございます。これを、今回三セク債を活用して県が補償するということであれば、この利息が約4億円で済むということでございまして、軽減額としましては、約43億円が見込まれている状況でございます。
 それから、御質問の2つ目の木材価格の予想でございます。ただいま部長から報告した資料の中では、木材価格は現状からということでございますけれども、報告書の本体では、木材価格マイナス10%減という部分についても予測しております。それから、上昇が見込めるのかということでございますけれども、まず木材価格の20%上昇という部分でいきますと、価格としましては、杉で換算いたしますと、1立方約1万500円程度が見込まれておりますが、これは平成16、17年度ぐらいの単価ということでございます。それから、50%とした場合、これは単価的に1万3,100円程度でございますが、これも平成13、14年当時、まず10年ほど前の価格でございますので、いずれにいたしましても、全く見込みのない価格ではないと、今後の状況を見きわめていきたいと考えております。
◯安藤委員
 この遅延損害金については、8カ月に短縮できる見込みということなので、こういうことが可能であるということは一応確認をさせていただきました。
 そして、木材価格については、これまでもいろいろ議論はされてきましたが、県の独自の努力で木材価格は上昇させていけるものなのか、その辺についてどういう認識なのか伺いたいと思います。
◯樋口農商工連携推進監
 ただいまの御質問でございますけれども、報告資料の2ページをお開き願います。4の終わりにの(2)でございますが、御指摘のとおり委員会におきましても、県の取り組みだけで木材価格を上昇させるというのは非常に無理ではないかという議論がございました。そのために検討委員会からは、国際的な木材動向を注視しなさいということでございます。それから、木材需要の掘り起こしを図ると、これは県産材の需要拡大、これまでもいろいろと県といたしまして施策を講じてきたわけでございますけれども、さらに、その県産材の需要を掘り起こすことで、県のみならず市町村や業界団体、消費者と一体となった取り組みを進めるべきであるとの御提言をいただいておりますので、今後県といたしましても、県民一丸となって県産材の需要拡大、また、国に対しても所要の要望をしてまいりたいと考えております。
◯安藤委員
 今の点については、一応その方向であることはわかりました。
 それから、報告事項の最近の漁模様等のホタテについてですが、後段質問もあるようですので細かいことは置いておきまして、へい死率が西湾で高い傾向にあったことは事実であって、0.9〜99.8%の稚貝のへい死率ということは、やはり大きな、深刻な実態だったと受けとめなくてはいけないと思います。それで、マスコミの報道などによれば、青森市はかなり積極的に支援策を打ち出しているのですが、県として独自に、こういう財政的な面も含めて独自の支援を考えていないのか伺いたいと思います。
◯山内水産振興課長
 お答えいたします。県では、現在関係漁業協同組合等と来年春の親貝となる平成23年度産貝の保有数量等の聞き取り調査を、先ほど御報告のとおり実施しておりまして、それらの結果をもとに、陸奥湾漁業振興会等とホタテ貝の安定生産に向けた対策を検討することとしております。
 なお、実態調査の速報値によりますと、先ほど西湾で高いというものの、平内町漁協及び東湾では比較的低いことから、平成22年の異常高水温時のように全湾的な親貝の不足には至らないと考えております。以上のことから、県では稚貝の融通とか、いろいろな親貝対策等について、今後、これから取りまとめる実態調査の結果を踏まえまして、検討していきたいと考えております。
 なお、これまでのところ、青森市や青森市漁業協同組合、また、後潟漁業協同組合等からは、親貝等の購入などへの支援に係る要望などは出ておりません。
◯安藤委員
 ぜひ関係漁協組合などとの情報交換を十分しながら、要望などについて今後もしあった折には、ぜひその声を十分受けとめて対応していただきたいと、これは要望しておきたいと思います。