2012.11.21: 平成24年度農林水産委員会 抜粋 本文(質疑2)
それでは、用意しておいた質問をさせていただきます。
 最初の質問、家族経営協定についてです。
 1995年に農林水産省の局長通達「家族経営協定普及推進による農業の経営の近代化について」が出されまして、家族経営協定を結ぶ運動が本格的に始まったとされています。ちょうどこのころ、私も、この家族経営協定を積極的に進めようという方々からのお話を伺っていましたので、これがどう推移していくのかを大変興味深く関心を持って見てきた制度です。特に農業従事の6割を担う女性たちがこれまで長い間全くお金を持てないということがあって、農家の女性たちが自由に物も買えないような状況にあったことを伺ってきました。そういう中で、この家族経営協定がきちんと行われれば、女性も、また、その他の家族の方も、仕事に見合う報酬や給料が支払われ、自分の自由になるお金が持てるということは、農家で働く人たちの民主的な環境をつくるための第一歩と思ってきました。
 そこで、最初の質問ですが、この家族経営協定の内容について伺いたいと思います。
◯鈴木農林水産政策課長
 委員からお話がありましたとおり、農家経営の状況を見ますと、皆さん家族が協力して取り組んでいる例が非常に多いわけでございまして、その中での家族経営協定ということは、やはり農業を魅力ある職業としてさらにまた経営を発展させていくため、家族が共通の目標をもちまして、経営の方針や家族一人一人の役割、あるいは就業条件、就業環境について、家族全員で話し合いながら取りまとめるものでございます。
 協定に盛り込まれます具体的な内容につきましては、例えばおのおのの経営にマッチした計画や目的に基づいた労働時間や休日・給料等の労働条件、さらには日常生活における家事の役割分担など、家族の話し合いにより決めるものでございます。
◯安藤委員
 この家族経営協定を結ぶことによるメリットはどのようなものでしょうか。
◯鈴木農林水産政策課長
 考えられるメリットといたしまして、やはり経営体としての目標が明確になりますことで、その家族の経営の発展ということがまず考えられるかと思います。
 また、委員からもお話がありましたとおり、その就業あるいは労働条件がはっきりすることで、女性の方ですとか、後継者の方の責任感、あるいはやる気の醸成ということが大きいのではないかと考えてございます。具体的には農業者年金の加入に当たりまして、女性も農業者年金に加入することになれば、一定の国庫補助が受けられる制度がございます。
 県といたしましても、その個別経営に新たにチャレンジする女性等に対しまして、一定の補助事業の準備手当てなどをしているところでございます。
◯安藤委員
 締結状況と、県の普及に向けた支援について伺います。
◯鈴木農林水産政策課長
 締結状況と県の支援についてお答えいたします。本県の家族経営協定の締結数でございますが、平成23年度末、956戸となってございます。5年前の平成18年度末現在では、632戸になってございまして、5年前に比べて1.5倍の増加になっております。また、今年度中に1,000戸を目標としているところでございます。
 家族経営協定の締結が、男女共同参画による農業経営の充実・発展に資する有効な方策の一つと県では認識してございまして、県民局の普及指導員あるいは市町村が連携いたしまして、セミナーの開催による啓蒙活動を実施いたしますとともに、締結希望者には、協定書の作成など、具体的な作成支援をしているところでございます。
 また、先ほども触れましたけれども、その家族経営協定に基づきまして、例えば若手女性が本格的に起業に六次産業化なりで取り組む場合は、その加工機器の整備などにかかる経費の2分の1を補助する「農山漁村の元気な女性活動促進事業」も、県では実施しているところでございます。
◯安藤委員
 青森県の締結状況は、今年度中に1,000戸を目標ということですけれども、全国の締結農家の割合と比較するとどうなのかということについていかがでしょうか。
◯鈴木農林水産政策課長
 東北で比較させていただきたいと思いますけれども、青森県の場合は、岩手県の約1,500戸、福島県の約1,000戸に続いて3番目でございまして、東北の中では、いい線をいっているのではないかと考えておりますので、引き続き伸ばしてまいりたいと考えてございます。
◯安藤委員
 それともう一つ、県内の中で、この取り組みが進んでいると思われるところはどこでしょうか。
◯鈴木農林水産政策課長
 県内の市町村の動向でございますけれども、郡でいいますと上北地区、あるいは西北地域の市町村で協定数が多いということになってございます。この理由としてさまざまな要因が考えられるわけでございますけれども、例えば月給制の導入がしやすい、あるいは部門の分担がしやすい野菜経営などの複合経営が盛んな地域で取り組みが多いのではないかと考えてございます。
 ◯安藤委員
 ぜひ締結数が、各地域でそれぞれ農家の中身も違うので、その難しさがあるのかもしれませんが、女性の方たちも行っている労働がきちんと形になって評価されるような仕組みで、この家族経営協定が広がっていくように、ぜひ今後も力を入れていただきたいと思います。