2012.11.21: 平成24年度農林水産委員会 抜粋 本文(質疑5)
◯小桧山委員長
 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 なお、午後は、田澤団体経営改善課長が公務都合により欠席となっております。
 それでは、質疑を続行いたします。──安藤委員。
◯安藤委員
 稲わら有効利用の促進と焼却防止について伺います。
 稲刈りが終わった後、ことしはどうだろうと、いつも大変気にしながらそのときを迎えています。残念ながらことしも、私は弘前から青森まで自動車で移動しているのですが、浪岡に行くあたりまでのところで、ことしもかなり燃やしているところが多く見受けられました。皆さんや、それから市町村の方たちも努力をされていることは重々知っているのですが、こういう状況がまだあることをとても残念だと思っています。
 そこで最初の質問ですが、平成24年産稲わらの焼却状況について伺います。
◯相馬食の安全・安心推進課長
 24年産稲わらの焼却状況ですが、県内における平成24年産稲わらの焼却面積は、11月15日現在521ヘクタールとなっておりまして、前年の同時期と比べて223ヘクタールの減、水稲作付面積に対する焼却面積の割合は1.1%で、0.4ポイント減少しています。
 地域別に見ますと、東青地域が13ヘクタールの焼却で、水稲作付面積の0.3%、中南地域が195ヘクタールで2.2%、西北地域が313ヘクタールで1.7%となっており、いずれの地域も昨年よりは減少しております。
◯安藤委員
 全体で1.1%ということなので、それぞれの関係機関の努力の結果であるとは思います。ただ、まだ残っている部分があるということでは、これをゼロに近いところまで、あるいはゼロになるまで頑張っていただきたいと思うわけですが、御承知のように、青森県稲わらの有効利用の促進及び焼却防止に関する条例を制定しておりまして、その中に県の責務、農業者の責務、それから、市町村関係団体等への支援ということで条項が盛り込まれておりますが、この県条例に基づいた県の取り組みについて伺いたいと思います。
◯相馬食の安全・安心推進課長
 青森県稲わらの有効利用の促進及び焼却防止に関する条例では、県の責務として稲わらの有効利用の促進及び焼却防止に関して啓発と必要な施策を実施することを規定しています。これに基づきまして、県では、稲わらの有効利用の促進に関する取り組みとして、公益社団法人あおもり農林業支援センターに稲わら流通コーディネーターを配置し、稲わら流通商談会の開催運営と商談リストの作成、そして稲わら販路の掘り起こし、そして青森県家畜市場を一時保管場所とした稲わらの広域流通体制の構築などに取り組んでいます。
 また、稲刈りの時期に合わせまして、テレビ、ラジオ等のマスメディアを通じ、わら焼防止や有効利用を呼びかけているほか、県単の補助事業、あるいは国の緊急雇用創出事業等を活用しまして、市町村や関係団体の取り組みを支援しているところでございます。
◯安藤委員
 あわせて市町村段階で行われている取り組みの内容について伺います。
 ◯相馬食の安全・安心推進課長
 市町村段階での取り組みですけれども、今年度は弘前市や五所川原市など9市町村の稲わら活用推進協議会が、国の緊急雇用創出事業を活用した県の委託事業「わら焼シャットアウト大作戦サポート事業」を実施しておりまして、稲わらの収集やすき込み、市民が自由に持ち帰ることができる「稲わらふりーでん」の設置、そして「稲わらフリーマーケット」の開催などを行って、稲わらの有効利用に取り組んでおります。
 また、弘前市やつがる市など5市町村では、地域の実情に応じた稲わらの有効利用を支援する県補助事業「地域提案型稲わら有効利用システム確立事業」などを活用いたしまして、ロールベーラーの導入や、すき込みに使う資材の購入、あるいは稲わらを高品質で長期的に販売するための稲わら保管施設の整備などを進めています。
 これらに加えまして、稲わら収集ボランティア活動を行うNPO法人への支援や、農業者に対する稲わらの収集やすき込みに要する経費の一部助成など、独自の取り組みを行っている市町村もございます。
 ◯安藤委員
 県の取り組みも、それから市町村の取り組みも、かなりきめ細かなところまで踏み込んできていると思います。高齢化されている方たちが、収集作業というか、その稲わらの活用を実際に行うことができないという、そういう高齢化などの問題でできないということもあるのかと思うのですが、収集だとか、すき込みだとか、こういう作業について、実際にその農家の方たちができない場合に、どこまで踏み込んで支援されるものなのか伺います。
 ◯相馬食の安全・安心推進課長
 委員がおっしゃったように、なかなかできない方々に対して、わら焼シャットアウト大作戦サポート事業などによって、その協議会が支援していく形をとっております。
 ◯安藤委員
 そこまで協議会のほうで手を差し伸べていても、まだ焼却の方法をとってしまう状況は、どういうことから起きていると思われるのでしょうか。
 ◯相馬食の安全・安心推進課長
 先ほど委員がおっしゃったように、やはり高齢化、それから例えばリンゴ農家ですと作業が重なるとか、いろいろな状況がございます。やはり県及び市町村、それから関係団体も連携して、そういう方々に、こういうことを例えば協議会でもやっている、こういうことがあるということをこれまで以上に呼びかけていかなければならないと考えております。
 ◯安藤委員
 また来年に向けて、焼却はやめようという意識を広げてもらえるように、ぜひ県と市町村が協力して事業を進めていただければと思います。県でつくった条例が最後のところまで生かされるように取り組みを強化していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 最後の質問です。養鶏場に係る家畜排せつ物の処理について質問させていただきます。津軽広域水道企業団の水道水異臭味問題が発生しました。これと養鶏場がどういうかかわりがあるかということになるのですが、異臭発生の主な原因とされているのが、6月以降の高温や小雨、そして、ダム湖上流部で藍藻類が発生しやすい環境が継続したことが言われています。また、9月中旬以降の急激な気温低下などとされているわけですが、こういうこととあわせて、津軽広域水道企業団がダムを管理している国土交通省へ要望しているように、浅瀬石川ダムの原水についての管理などもしっかりするようにという声を上げているように聞いています。特に必要なのはプランクトンを多く発生させることのないような環境が必要だと、原水そのものを、窒素だとかリンの流入を抑えることが必要だとお聞きしています。この津軽広域水道企業団が水を受けている浅瀬石川ダムの上流に養鶏場もあると伺っておりますので、この問題に注目をさせていただきました。
 そこで、養鶏場における排せつ物の処理はどのように行われているのか伺いたいと思います。
 ◯石郷畜産課長
 安藤委員にお答えします。
 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律により、一定規模以上の家畜を使用する畜産農家や事業者を対象といたしまして、家畜排せつ物を管理する施設につきましては、汚水の流出や地下浸透を防ぐために床をコンクリートなどの不浸透性材料でつくりまして、さらに、雨が当たらないように屋根をかけまして、コンクリートの側壁などを設けることとされてございます。
 本県の農家養鶏などの比較的規模の小さい経営体では、ほとんどの場合、コンクリート製の床及び側壁に屋根をかけました堆肥舎に排せつ物を集めまして、ホイールローダー並びにトラクター等で切り返しを行うなど堆肥化処理をしているほか、規模の大きい企業養鶏などでは、専用の攪拌機によりまして継続的に切り返しを行う強制発酵処理施設などを整備しまして、堆肥化処理をしているところでございます。
 また、これらの処理を経てつくられました堆肥につきましては、袋詰め、またはばら売り等により県内外の耕種農家に供給されているところでございます。
 ◯安藤委員
 浅瀬石川ダム上流の養鶏場は何カ所あり、そして規模はどのくらいなのか伺います。
◯石郷畜産課長
 浅瀬石川ダムの上流には現在2戸の養鶏農家がございまして、一つは20万羽規模のもの、一つが6,800、約7,000羽規模のものがございます。
 
 ◯安藤委員
 先ほど法律のことを紹介されましたけれども、この家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律では、鶏の場合は何羽以上が対象になっていますでしょうか。
 ◯石郷畜産課長
 この法律に基づきました対象規模でございますが、鶏であれば2,000羽以上がその対象となってございます。
 ◯安藤委員
 そうしますと、先ほど答弁にあったように、上流域にある養鶏場は20万羽と6,800羽ですので、適切な処理の対応をしなくてはいけないと思うのですが、こういう観点から、この2つの施設は、法律で求められているような処理がされているのでしょうか。
 ◯石郷畜産課長
 お答え申し上げます。
 20万羽規模の採卵鶏の経営体につきましては、現在恒久的な堆肥化処理施設を設置しまして、堆肥の処理並びに製造処理をしてございますけれども、もう一方の6,800羽の養鶏につきましては、現在堆肥舎がございません。そのために、県としましては、そこから出る汚水等が外部に排出されることのないように、鶏舎の周りに排水溝を設けたり、あとは土を盛って外部に流出しないようにしている取り組みのほか、5月上旬から11月にかけまして毎週、その水質の定期検査をして、例えば硝酸態窒素等、またpH等を測定してございますけれども、その数値につきましては、いずれも基準値内でございます。
 ◯安藤委員
 6,800羽のほうについては、堆肥施設がなくて、汚水が外部に出ないような処理をされているということですが、そういう処理形態で法律上はクリアできるのですか、認められるのでしょうか。
 ◯石郷畜産課長
 お答え申し上げます。
 現状の家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律に基づけば堆肥化施設が必要でございますので、この形態については遵守されている状況にはないということでございます。
 ◯安藤委員
 今回の異臭問題では、別にここだけがその要因ではないでしょうし、ほかにも違う施設などもあると聞いています。けれども、今お話にあったように、堆肥化施設がつくられていないこと、法律が遵守されていない事態であることは、やはり問題だと思います。ダムがあるからでもない、直接そのことでなくても、やはり法律を遵守すべきであって、きちんと法律に基づく処理がなされるように今後指導すべきだと思うのですが、この点についてどのようなお考えでしょうか。
 ◯石郷畜産課長
 これまでも県では、この施設につきまして、この施設の改善、堆肥化の処理施設をつくるように指導を重ねてきたところでございますけれども、今後より一層強化して堆肥化施設を設置するよう指導していきたいと考えてございます。
 ◯安藤委員
 七、八年くらい前の話になりますが、実際に現場を見に行ったことがありまして、そのときは屋根もないところに山になって積まれている状況を見たことがあります。そういう状況ではないのかもしれませんけれども、やはり今回のようなダムの原水のプランクトンが非常に発生しやすい環境も発生しましたので、やはり厳重に、問題だと思われるところは管理を徹底指導していただきたいと思います。
 それで、2つ目の質問ですが、県全体における処理などについての県としての指導をどのようになされているのか伺いたいと思います。
 ◯石郷畜産課長
 お答えいたします。
 県では、養鶏場を含む全畜種の法対象農家における家畜排せつ物の処理対応を確認するため、毎年、家畜排せつ物法施行状況調査を実施しまして、対応が不十分な農家に対して指導を行うとともに、必要に応じて周辺環境に影響を及ぼすことがないよう定期巡回等を行っているところでございます。
 また、この調査にかかわらず、畜産に起因する苦情が発生した場合につきましては、関係機関との連携の上、直ちに現地調査を行いまして、当事者に対する原因の改善を指導しているところでございます。
 ◯安藤委員
 ぜひきめ細かな調査と、そして法律に基づく対応がなされるように厳しく指導していただきたいと思います。これを強く要望させていただきます。
 ◯石郷畜産課長
 先ほどの委員が七、八年前に現地の調査の結果、野積みになっていたという状況でございますけれども、それは規模の大きいほうの養鶏場のことだと思われます。現在は、恒久的な堆肥化施設をつくって、堆肥を堆肥化処理し、野積みの状態は改善されているところでございます。