2012.12.06: 平成24年度農林水産委員会 抜粋 本文(質疑2)
 次の質問です。
 議案27号「権利の放棄の件」、社団法人青森県肉用牛開発公社に対する債権の放棄について、公社の土地売却予定額は幾らになるのか、そして、最終的な県への返済額は幾らになるのか最初に伺います。
◯石郷畜産課長
 2点についてお答え申し上げます。
 まず土地の売却予定額でございますけれども、公社では、公社有地を今後も農地として利用する農業者にできるだけ高額で売却するため、公募型プロポーザル方式により購入希望者を募集しました。
 その結果、6件の応募がございまして、外部有識者等で構成する社団法人青森県肉用牛開発公社有地購入希望者審査会を経て売却予定者を決定し、土地の売却予定額は1億6,000万円になったと聞いてございます。
 2点目でございます。返済額の件でございますが、公社が県へ返済する金額は、土地売却予定額の1億6,000万円と公社の現金預金6,934万5,621円以上を合わせた2億2,934万5,621円以上となります。
 なお、この返済する金額が「以上」となっているのは、公社が県へ返済する時期によりまして預金金利等の変動要因があるということでございまして、債権を放棄しようとする額は、県からの長期借入金3億4,500万円から公社の返済予定額を差し引いた1億1,565万4,379円以内として本議会で御審議いただいているところでございます。
◯安藤委員
 土地が予定していた額よりも高く売れたというふうな結果になったわけですが、それでも、結果、債権放棄額が1億1,565万4,379円という、そうした額になったということ、これを県民の負担で債務処理しなければならないということについては非常に遺憾だということを指摘しなければならないと思います。
 次の質問ですが、公社の解散後、約10年間あったわけですが、土地の売却活動を行ってきたということですけれども、もっと早く何とか高い額で売るべきであったと思いますが、この点について県の考え方を伺います。
◯石郷畜産課長
 公社は、県からの長期借入金3億4,500万円を返済し、清算結了することとして公社有地の売却に取り組んできましたけれども、購入希望面積や価格面での折り合いがつかなかったことから、これまで売却に至りませんでした。
 公社では、県からの借入金の全額を返済できる金額で売却することを前提に、全面積を一括で、今後とも農地として利用されることなど幾つかの制限、制約の中で土地売却の取り組みを進めてきたところでございまして、県としては、売却がこの時期になったことはやむを得ないものと考えてございます。
◯安藤委員
 しかし、返済の期限が迫ったということで、最近になってもう一度評価をし直して、そうしたらその評価額がかなり低くなったということで、それに見合った売却方針が出たと聞いていますが、その辺についても、やはり対応といいますか、もう少し評価額なりを早く練り直して、売れる環境をつくるべきではなかったかと思うわけです。その点について県がどう指導をされたのか伺いたいと思います。
◯石郷畜産課長
 県とすれば、県民の負担が発生することがないように、県からの3億4,500万円という借入金を全額返済していただくということで土地の売却活動を行ってくださいというふうに指導してきたところでございます。そういう中で、もう一度繰り返しになりますけれども、農地として利用していただきたいとか、さまざまな制約がありましたのでこれまで時間がかかってきてしまったと。いずれにしても、県民の皆さんには負担を1円も負わせないということを前提に指導をしてきているところでございます。
◯安藤委員
 平成3年の牛肉の輸入自由化以降に公社の経営が悪化したようですけれども、将来的な公社運営について、その時点で、廃止も含めた適切な判断をするべきであったと思いますが、この点について県の考え方を伺います。
◯石郷畜産課長
 公社では、平成3年4月からの牛肉の輸入自由化により、経営がさらに厳しさを増すことが予想されましたので、平成3年度に、平成4年度から平成7年度までを計画期間とする経営改善計画を策定し、この中で、平成6年度から、飼育する品種をヘレフォード種から黒毛和種に切りかえることとしました。
 県としましては、公社がこの経営改善計画を着実に実行することによりまして経営の安定化が図られるとともに、県の黒毛和種改良事業の一翼を担うことにより、能力の高い種雄牛づくりなどに貢献できるものと判断しました。
◯安藤委員
 しかし、輸入自由化以降の牛肉をめぐる環境が悪化していくということも踏まえればもう少し違った角度から経営についての方針を考えてみる必要があったのではないかと思うわけです。
 次の質問ですけれども、公社は、県から資金を借入できるという甘えがあったために負債が膨らむ結果になったのではないかと思います。その点について、県の考え方を伺いたいと思います。
◯石郷畜産課長
 県では、昭和44年に、国の大規模牧場創設事業によりまして、横浜町を含む下北地域の肉用牛の生産拡大を目的に社団法人青森県肉用牛開発公社を設置しました。
 公社では、公社の出資者が、県のほか畜産振興事業団──現在は農畜産業振興機構でございますが──や下北地域の市町村、県域を対象とする農業団体などでございまして、下北地域の肉用牛農家への繁殖雌牛や肥育用素牛の供給を公益的な事業として取り組んでいたことから、牛肉の輸入自由化などの影響もあり、結果的に経営収支のマイナス分を県からの借入金で補ったところでございます。
 県としましては、下北地域のみならず、本県肉用牛の生産振興を図るため、資金の貸し付けに当たりましては、短期貸付金として毎年度、その必要額を精査しまして、県議会の御承認を経まして実行してきたところでございます。
 ◯安藤委員
 平成15年度から毎年度県へ返済するため、年度末に市中銀行から借り入れし、年度当初に県の短期貸付金をその返済に充当するということを繰り返していたと。詳しくこの間聞きましたら、本当に数時間の間市中銀行から借りるということも場合によってはあったということで、そういうふうなからくりが許される世界ということが、県との関係といいますか、そういうことから見ても解決を遅くしてきたのではないかと考えるわけですが、県からの短期貸付金を返済に充てるというふうなからくりというのは、こうした公社との関係で、県としてはやむを得ないと考えるものなのか、やっぱり妥当ではないというかふさわしくないやり方であったと思っているのか、この辺についての認識を問いたいと思います。
 ◯石郷畜産課長
 短期貸付金につきましては、毎年4月1日に県から貸し付けを受けまして、その年度末、3月31日に返済するという仕組みになってございます。県の予算の都合上、単年度予算で全て貸し付け返済という手続を経なければならないものですから、仮にその年度内で土地が売却できなかった、もしくはその結果として貸付金を返済できなかった場合については、翌年度また改めて県から貸付金を受けるということになりますので、3月31日と4月1日の間の2日間、その分だけ市中銀行からお金を借りて、返済不能に陥らないような仕組みをしてございますので、御理解いただければと思います。
 ◯安藤委員
 その後、市中銀行からの借り入れができなくなって県の長期貸付金という形に変わったわけですが、当初から長期貸付金にしなかった理由というのはどういうことなんでしょうか。
 ◯石郷畜産課長
 当初、短期貸付金で貸し付けするということについては、速やかに清算結了を進めるために、要するに土地を売却して清算結了するということを促すためのものでございまして、結果としては短期貸付金の繰り返しになってきたわけでございます。
 短期貸付金が長期貸付金に変わった理由でございますけれども、平成20年に金融庁から金融機関に対する審査が入りまして、こういう清算中の法人に対しては貸し付けしてはいけないという話になりました。ですから、たとえ2日間であっても貸し付けの対象にならないということになりまして、いろいろ内部で協議した結果、長期貸付金に移行したものでございます。
 ◯安藤委員
 今回の権利の放棄の件については、一定の役割を果たしたと言える部分もありますけれども、結果的に県民の負担で解決するということになったわけですので、やはりその部分については賛成しかねるという立場であることをお話ししたいと思います。