2012.12.06: 平成24年度農林水産委員会 抜粋 本文(質疑3)
 次の議案第28号「権利の放棄の件」、社団法人青い森農林振興公社に対する債権の放棄について。こちらの放棄の額は、県の損失補償を合わせると357億円になり、放棄の額は227億4,728万2,471円という額になったわけで、非常に大きい額、小さな町村であれば1年間の予算に匹敵する額を放棄しなければならないという、そういう状況になったということですので、県民の思いに立てば、こうなってしまったことに対しての不信というものは大きいと考えます。
 そこで質問ですが、県は、公社の債務額が多額になる前になぜ対策を講じられなかったのかということについて伺います。
◯野呂林政課長
 分収造林事業については、経営の大きな要素である木材価格が、昭和55年のピーク時に比べ約3割に下落する一方、労務単価は、公社設立時の昭和45年に比べ約5倍に上昇するなど、本県同様、全国の公社が厳しい経営環境にあります。
 県と公社では、このような状況を踏まえ、平成15年度に新規の植林中止や低利な公庫資金への借りかえを行うとともに、平成21年度から、公社の負担を伴わない国の定額助成事業を導入するなどの支出を抑制する対策や、利用間伐の推進による収入を確保する対策など、経営改善に資する対策を講じてきたところです。
 また、分収造林事業は国の拡大造林政策と分収造林特別措置法に基づき行われてきたものであることから、国等に対して、各都府県と連携し、経営改善のための抜本的な支援を要請してきたところです。
◯安藤委員
 昭和55年に木材価格がピークであったということですけれども、それ以降、木材価格が下落し続けたわけですけれども、下落した大きな要因ということについて県はどう考えているか。
 それから、国に対しての働きかけということもありましたけれども、分収造林事業について、これまで国に対してどのような要望をしてきたのか伺いたいと思います。
◯野呂林政課長
 木材価格は昭和55年以降、円高ドル安の進行に伴い、低価格な外材輸入が増加するとともに、近年においては建築基準法の改正に伴う基準の厳格化、リーマンショックに端を発する世界同時不況やユーロ安など、さまざまな要因により木材需要が減少したことによって下落したものと考えております。
 国に対してどのような要望をしてきたかということでございますけれども、これまで県は、公社を有する各都府県で組織する森林整備法人全国協議会や森林整備法人等の経営改善を推進するための森林県連合を通じて、公庫資金の利息負担軽減や定額助成制度の継続等の補助制度の拡充、県が分収林を引き継いだ場合における林業公社と同様の支援措置などについて、毎年国に対し要請してきたほか、本県独自の要望活動も行ってきたところでございます。
◯安藤委員
 今回このように、結局は県にその管理を移管するということになったわけですけれども、こういう状況について、国との話し合いといいますか、その要請活動の中で、意見交換等についてはどのような状況だったのでしょうか。
◯野呂林政課長
 先ほども御説明申し上げましたけれども、県が分収林を引き継いだ場合においても林業公社と同様の支援措置等を要請するとともに、随時その状況について国と意見交換してきたところでございます。
◯安藤委員
 もともとは、先ほどの答弁にもありましたけれども、国が拡大造林を推進する施策を提唱し、それに呼応したということが事業の始まりだったわけで、国が示した造林事業、また、森林を管理していくという方向づけ、やはり今回のような事態に陥った大もとの責任というのは国にもあると考えるのですけれども、その辺について県はどのように見ているんでしょうか。
◯野呂林政課長
 先ほどもお答え申し上げましたけれども、森林整備法人全国協議会、あるいは森林整備法人等の経営改善を推進するための森林県連合、それらを通して国で進めてきた拡大造林、あるいは分収造林特別措置法、これらに基づいてやってきたものであるから、国においても抜本的な対策というものを講ずるよう随時要請してきたところでございます。
◯安藤委員
 分収割合の見直しについてなんですが、昨日もちょっとやりとりはありましたけれども、約30%の契約者が同意していないわけですけれども、その理由と、仮に100%の同意が得られない場合はどうなるのか伺いたいと思います。
◯野呂林政課長
 県と公社では、分収造林契約者に対して、これまで、文書による依頼や地区説明会の開催、個別訪問による説明などの同意取得の取り組みを実施しており、現在、約71%の契約者から分収割合の変更同意をいただいています。
 同意の意向を示していない契約者からは、分収造林事業の債務は公社の経営責任ではないか、当初の契約どおりの分収割合でいくべきである、分収金の減額が大きく、契約満了後に植林できない、木材価格が下がればさらなる分収割合の見直しがあるのではないかといった意見が寄せられています。
 県としては、分収割合の見直し同意が得られない場合は、除伐や枝打ちなどの作業は実施できますが、収益があった場合に分収が生ずる利用間伐や契約満了時の立木の売り払いは実施できないものと考えており、引き続き契約者に対し、丁寧に説明しながら同意を求めていくとともに、移管後においても県が同意取得のための説明を続けていくこととしております。
◯安藤委員
 移管後も説明や説得をするということですが、説得しても応じないという方が出るということもあり得ると思うのですが、その場合はそのまま最後まで平行線で行くということになるんでしょうか。
◯野呂林政課長
 先ほども御説明申し上げましたけれども、利用間伐、それから契約満了時の立木の売り払い、それについては非常に支障を来すということでございますので、引き続き丁寧に説明して同意を得るよう努力してまいりたいと考えています。
◯安藤委員
 平行線になってしまいますけれども、同意が100%得られないということもあり得ると思いますが、そういう方が出ないように努力するということですので、頑張ってくださいと言うしかないわけですけれども、今回の権利の放棄の件、227億という多額の放棄を県民が負わなければならないというこの結果について、木材の大きな下落ということもあって、また、国のそもそもの拡大造林という施策の大もとの失敗ということも加味しているかと思いますけれども、その失敗のツケが結局は県民にかかってしまうということになりましたので、これは賛成しかねるという立場であることを表明させていただきます。