2013.01.21: 平成24年度農林水産委員会 抜粋 本文(質疑4)
◯小桧山委員長
 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。──安藤委員。
◯安藤委員
 問2のところで耕作放棄地について伺ったわけですが、それに関連して、土地改良区の賦課金について伺います。
 その最初に伺いたいのが、耕作放棄地における土地改良区の賦課金の扱いについて伺いたいと思います。
◯北林農村整備課長
 土地改良法の第36条第1項では、「土地改良区は、定款の定めるところにより、その事業に要する経費に充てるため、その地区内にある土地につき、その組合員に対して金銭、夫役又は現品を賦課徴収することができる」とされており、また、同条第2項では、「賦課に当たっては、地積、用水量その他の客観的な指標により、当該事業によって当該土地が受ける利益を勘案しなければならない」とされています。
 ある農地を賦課金の徴収対象とすべきかどうかは、各土地改良区が定款に定めた施設の維持管理等の事業による利益の有無により判断されるものです。
 このことから、当該土地改良区における耕作放棄地の従来の取り扱い及び組合員の当該農地の利用に関する意向などを踏まえて、それぞれの農地ごとに利益の有無を判断し、賦課金の取り扱いを定めることになります。
◯安藤委員
 そうしますと、各土地改良区の定款によって、耕作放棄地についても賦課金は払わなければならないと位置づけられているという理解でよろしいでしょうか。
◯北林農村整備課長
 土地改良区ごとの従来の耕作放棄地の取り扱いをどうしてきていたかということでありますとか、組合の当該農地の利用に関する意向などを踏まえて、それぞれの土地改良区において、それぞれの農地ごとに利益の有無を判断して賦課金の取り扱いを定めるということですので、基本的には土地改良区ごとに基準を定めて決めているということになろうかと思います。
◯安藤委員
 耕作放棄地でも賦課金を払うところが多いかと思うのですが、例えば逆に耕作放棄地を、今言った2つの観点で賦課金を払わなくてもよいという定款になっているところもあるのですか。
◯北林農村整備課長
 定款に、そこが明確に、耕作放棄地であれば賦課しないとか、するというようなことが書かれているわけではなくして、土地改良区内の運用によっていろいろと取り決め事が決められているかと考えております。
◯安藤委員
 そうしますと、運用によっては賦課金を払わなくてもよいようなところもあると理解してよろしいのですか。その辺、現状をどのように把握されているでしょうか。
◯北林農村整備課長
 非常に難しゅうございまして、耕作放棄地の程度というところがまず問題になってこようかと思います。それとあと、先ほど申しましたように組合の意向、さらに当該土地に過去土地改良事業で投資した金額、あるいは現在そこに農業用水路等を通じて水が行く、つまり受益が生じているか等によって勘案されるべきだと考えております。
 ◯安藤委員
 私の単純な質問にはなかなか明快にはお答えいただけないのですが、今の答弁からすると、それぞれの土地改良区の判断によっては、土地の広さだとか耕作放棄地の広さだとか、その持っている所有者の方の意向だとか、そういうものによっては賦課金が免除されることもあり得るというように理解してもよろしいんでしょうか。
 ◯北林農村整備課長
 もちろんケース・バイ・ケースでございますけれども、賦課金を賦課しないというのは、基本的には土地改良法第66条では、「地区内にある土地が、その土地改良区の事業により利益を受けないことが明らかになった場合において、その土地についての組合員の届け出があるときは、その土地改良区は、その土地をその地区から除かなければならない」とされております。
 この場合、同法第42条第2項で、「その者及び土地改良区は、その土地の全部又は一部につき、その者の有するその土地改良区の事業に関する権利義務について必要な決済をしなければならない」とされておりますので、このことから、その賦課金を取らない場合には、まず、その組合員は、土地改良区に対してその農地に係る決済金を支払うことになろうかと考えております。
 ◯安藤委員
 決済金の件については次でお聞きすることにして、耕作放棄地をほかの方に耕作してもらうということも場合によってはあるわけですが、そうしたときに、その土地の所有者が賦課金を払うことになるのか、あるいはその土地を活用する人が払うことになるのか、この辺はどのように対応されることになるのでしょうか。
 ◯北林農村整備課長
 土地改良法第42条第1項により、組合員資格の権利移動を行った場合には、借りた人が新たに組合員となるため、新組合員が賦課対象者となります。
 ◯安藤委員
 権利移動ということは土地を売買するということではないのですか。土地は売らなくても、その土地を活用して農業を行う方が払うことが基本なわけですか。
 ◯北林農村整備課長
 耕作放棄地を他人に貸す場合も含まれていると考えております。
 ◯安藤委員
 その耕作放棄地が、他者に耕作していただいたり土地の売買ができたりというような場合はさておいて、全く耕作放棄地になったまま賦課金を払い続けるというのは、大変は大変と思うのですが、耕作放棄地が、先ほどの答弁でも7,645ヘクタールある中で、この賦課金の支払いがなかなかうまくいかない、滞納されるようなことが発生することもあり得ると思うのですが、その辺について、県がもし把握されていたら伺いたいと思います。
 ◯北林農村整備課長
 その賦課金を納めていない状況について把握していないのですけれども、賦課金を納めない組合員がいる場合、県は、土地改良区が耕作放棄地を含め受益があると判断し、総代会等の議決を経て適法に賦課しているものについては、滞納処分により徴収するよう指導しております。
 ◯安藤委員
 滞納指導はどの程度のことを行うのでしょうか。例えば、払う能力がなかったら土地を売ってでも払わせるとか、どの辺のところまで行うのですか。
 ◯北林農村整備課長
 不動産の差し押さえ等についても含まれると考えております。
 ◯安藤委員
 県内にはそういう事例も発生しているのですか。
 ◯北林農村整備課長
 定量的なデータはきょう持っていないのですけれども、滞納処分をした事例もあると聞いております。
 ◯安藤委員
 なかなか厳しい現実だと思います。
 2つ目の質問ですが、今度は、農地を転用する場合には、土地改良区の賦課金はどのようになるのか伺います。
 ◯北林農村整備課長
 土地改良法第66条では、「地区内にある土地が、その土地改良区の事業により利益を受けないことが明らかになった場合において、その土地についての組合員の申し出があるときは、その土地改良区は、その土地をその地区から除かなければならない」とされております。
 この場合、同法第42条第2項で、「その者及び土地改良区は、その土地の全部又は一部につきその者の有するその土地改良区の事業に関する権利義務について必要な決済をしなければならない」とされております。
 このことから、農地を転用する場合には、その組合員は、土地改良区に対してその農地に係る決済金を支払うことになり、支払い後はその農地への賦課はなくなります。
 ◯安藤委員
 その決済金の考え方、どういう基準で決済金を払うことになるのでしょうか。
 ◯北林農村整備課長
 決済金の単価等につきましては、土地改良区によって賦課単価が異なるように、決済金の単価も異なります。決済金については、これまでその土地に土地改良事業で投資した金額及び現在かかっている維持管理費等を勘案して決定されるものと考えております。
 ◯安藤委員
 その決済金は土地を投資した金額や維持管理費をベースにということであり、その考え方でどういう金額にするかはそれぞれの土地改良区の総代会などで決めることになると思うのですが、実は、県内の耕作放棄地であるところを転用するかどうかで大変悩んでいらっしゃる方から御意見をいただいたのです。
 この決済金を払うということについてですが、この人の事例でいうと、ここの土地改良区の場合は、国営事業が10アール当たり3万6,000円、県営事業が10アール当たり3万3,493円、共通管理費が10アール当たり7万6,000円、地域管理費が10アール当たり1万8,000円、合わせて10アール当たり16万3,493円かかるということで、この方の場合は、43アールお持ちなので、合計70万円の決済金がかかるということになり、その決済金の額がこの方にとっては非常に重いということです。
 こういう基本的な考え方に立って考えると、例えば何町も持っている方であれば数百万円の決済金が必要になるので、この人の御意見とすれば、国営とか県営は、国や県への借金なので支払うことは理解できるけれども、共通管理費だとか地域管理費については、この時点で20年先の分まで支払わなくてはならないというのが、もう実際にそこで利益を有する方でない人がその管理費を支払うことについて大変疑問に思うということですけれども、この辺の考え方についてもし御見解があったらいただきたいと思うのですが。
 ◯北林農村整備課長
 決済金については、それぞれの土地改良区の総代会で議決しておりますので、基本的には土地改良区ごとにお決めになると考えております。先ほど申し上げましたことの繰り返しになりますけれども、決済金の単価につきましては、これまで投資した土地改良事業の投資額及び今後の維持管理費に係る費用等も勘案して決められるものと私どもは認識しているところでございます。
 ◯安藤委員
 そうしますと、管理費についても、この先何十年間分を支払うということは、法律上そういう考え方になっているということですか。
 ◯北林農村整備課長
 法律には明記されていないのですけれども、概念としては安藤委員のおっしゃるとおりでございます。
 ◯安藤委員
 そのことについて、各土地改良区で十分話し合った上で決められていれば、それを翻そうという意見があって、その土地改良区でまた十分話し合いのもと違う方向に行けば、それはそれで尊重しなくてはいけないかと思うのですが、この投書をされた方がおっしゃるには、その土地改良区の決済金の考え方、どのような基準になっているのかということが、総代の方はもちろん決める場にいるのでわかるのでしょうけれども、一般の方たちはなかなか理解できないというか、知り得ないとおっしゃっています。教えてくださいと言っても簡単に教えてもらえなかったということを言っています。
 耕作放棄地がたくさんあり、また、それを転用しようという方も実際にあるということが現実なので、そういう方がこれからどういう方向でその土地を活用するかという判断をするときに、決済金がどのくらいになるかということはとても重要な判断材料になるので、そういう機会がありましたら、一人一人の賦課金を払っている方たちに対して、その転用なり耕作放棄地なり決済金なりの基本的なその土地改良区の考え方について広報をしっかりと行っていただきたいということをぜひ県として声を上げていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 ◯北林農村整備課長
 決済金についてはそれぞれの土地改良区の総代会で議決しているものであり、広報誌等を通じて、委員のおっしゃるとおり、組合員に対し周知している土地改良区もございますので、会議の場等を通じてその旨指導してまいりたいと思います。
 ◯安藤委員
 よろしくお願いします。中には広報誌が不十分なところもあると聞いておりますので、民主的な運営ということから、そうした広報を充実させることも含めて、今の運用についても広報をしっかりとお願いしたいと思います。