2013.03.19: 平成24年度農林水産委員会 抜粋 本文(質疑2)
次に、部長から報告事項があります。──渋谷農林水産部長。
◯渋谷農林水産部長
 それでは、報告事項4件について御説明いたします。
 最初に、今冬の豪雪による農業関係の被害と対策についてであります。
 1、黒石のりんご研究所における積雪深データを載せております。真ん中の図にありますとおり、太実線が今冬でございます。破線が昨年の冬、それから一番下が平年ということでございます。
 3月18日現在の積雪深を見ますと、平年より約60センチ強高いものの、ほぼ昨年並みの98センチとなっております。
 2、農業用ハウス等の被害状況3月15日現在でございます。
 農業用ハウス等の建物被害は、中南及び西北地域を中心に発生しており、3月15日現在の被害額は、農業用ハウスが4,738万8,000円、リンゴ冷蔵庫が1,951万6,000円となっております。詳しくは1)に農業用ハウスを表で示しております。2)のほうにはリンゴの冷蔵庫を記載しております。
 続きまして、3、りんご雪害状況調査の結果でございます。
 (1)調査の目的。4月中旬に実施する全県的な合同調査に先立ち、枝の被害割合等を把握するために毎月実施している定期調査の3回目でございます。
 (2)調査園地及び調査樹数は、普通栽培園が70園地700樹、わい化栽培園が64園地1,600樹でございます。
 (3)被害程度でございます。昨年同時期の調査結果と比較すると、普通台では被害程度中以上の割合は15.3%で、前年より4.2%高く、わい性台では被害程度中以上の割合は6.8%で、前年より6.6%低く、今冬は普通台の被害が高い傾向にございます。
 (4)作業の進捗状況でございます。ア、剪定作業は、例年に比べ3から4週間程度の遅れとなっております。
 (5)今後のスケジュール。ア、りんご等果樹雪害合同調査を4月15日から23日に実施する予定としております。イとして、雪害対策連絡会議を5月1日に予定しております。
 4、これまでにとった雪害防止対策でございます。
 (1)共通部門といたしましては、「臨時生産情報」の発行、それから災害復旧資金での対応等を各市町村へ通知したところでございます。
 (2)リンゴ等果樹関係につきましては、生産者向けの融雪促進チラシの配布、りんご園積雪等状況調査、りんご雪害防止連絡会議等を実施しております。
 (3)稲作関係におきましては、「稲作生産情報」を発行し、苗代予定地の除雪、それから排水対策を呼びかけております。
 (4)農業用ハウス及び野菜・畑作物関係では、迅速な損害評価と共済金の支払いの徹底等を図るよう農業共済組合へ要請しております。
 また、地域農林水産部次長会議を開催し、被害把握と、それから農業用ハウスの雪害防止対策の指示をしております。それと、営農相談の継続的な実施をしております。
 5、今後の対策でございます。
 (1)リンゴ等果樹関係につきましては、枝の裂開・折損等被害の拡大防止、それから園地の融雪促進を指導してまいります。
 (2)野菜・畑作物関係につきましては、春まき野菜、それから小麦、ニンニクについてそれぞれここに記載しているような指導を実施してまいります。
 続きまして、県産農林水産物における放射性物質の調査状況であります。
 1の県産農林水産物の放射性物質モニタリング調査につきましては、(1)の県が主体の調査、それから(2)の国が主体の調査ともに、調査件数が増加した以外は大きな変化はございませんでした。
 (3)マダラの出荷制限解除後の検査につきましては、3月6日漁獲のマダラで、精密検査の結果、56ベクレルとなったものがありますが、それ以外は大きな変化はございません。
 2、牛肉の放射性物質検査につきましては、3月11日までに屠蓄された2万1,144件を実施し、そのうち1件から基準値を大きく下回る27ベクレルの放射性セシウムが検出されております。
 3、上記調査以外の農林水産物関連調査は、前回報告と同様でございますので、説明を割愛させていただきます。
 続きまして、県産農産物の販売動向でございます。
 1、野菜でございます。(1)ナガイモの価格は本県産の入荷量が少ない状況が続いており、高値だった前年比96%となっているが、過去5カ年平均比では117%となっています。
 (2)ニンニクの価格は、本県産の入荷量が前年より少ないが、中国産の入荷量が多いことなどから前年比で97%、過去5カ年平均比で71%となっています。
 (3)ゴボウの価格は、本県産の入荷量が多くなっていることから、高値だった前年比61%、過去5カ年平均で75%となっております。
 2、リンゴの価格は、近年にない高値だった前年に比べると64%、過去5カ年平均比では91%となっております。
 3、子牛です。黒毛和種の子牛価格は、前月をやや上回り、前年比で104%、過去5カ年平均比では107%となっております。
 最後に、最近の漁模様についてでございます。
 1、2月の主要魚種の動向。(1)ヤリイカは、日本海及び津軽海峡で低調に推移した。
 (2)マダラは、日本海で好調、津軽海峡で低調に推移した。
 (3)サクラマスは、日本海及び津軽海峡でやや低調、太平洋で低調に推移した。
 2、沿岸水温。3月6日から10日までの半旬平均水温は3から7度台で、日本海ではやや低目、津軽海峡と陸奥湾及び太平洋で平年並みとなっております。
 3、その他。(1)最近の主要漁獲物の状況。3月上旬の主要漁獲物は、日本海ではヤリイカ、マダラ、津軽海峡ではアブラノツノザメ、サクラマス、太平洋ではサクラマスとなっている。
 (2)陸奥湾のホタテガイ養殖。3月4日から3月6日の親貝調査では、西湾で大規模な産卵、東湾は一部地域での産卵が確認されている。
 (3)八戸港の水揚げ。2月の水揚げは3,328トンで、前年同月より1%減少、金額は6億5,707万円で10%減少した。
 以上でございます。
◯小桧山委員長
 ただいまの部長の報告事項に対して質疑を行います。──安藤委員。
◯安藤委員
 豪雪による農業関係の被害に関しての質問をさせていただきます。
 りんご雪害状況調査の結果が今発表されましたが、説明によれば、普通台の被害程度中以上の割合は15.3%で、前年より4.2%高く、わい性台では被害程度中以上の割合は6.8%で、前年より6.6%低いという結果ですけれども、これは県としては、どのようなことからこういう結果になったと考えられるのか、伺いたいと思います。
◯西谷りんご果樹課長
 まず最初に、普通台樹の件についてお話ししますと、今冬は12月上旬から昨年を上回る積雪であったこと、それから気温が低く推移したことから、枝の太い普通台樹では樹上から雪が落ちないということで、大きい枝の裂開や折損被害が、雪おろししていない園地でございますけれども、中心に見られました。昨年よりも被害程度中以上の割合が高くなっているということになります。
 それから、わい性台樹の被害状況についてお話ししますと、今回の調査におきましては、わい性台樹の枝の被害割合中以上が昨年より低かったということになっております。数字としては低いということになっておりますけれども、雪害を受けやすい地上から1メートル程度の高さまでの枝を中心に、昨年被害を受けた木では、既に枝の数が減少しているということが挙げられます。わい性台樹の被害程度の少の樹数、(3)の被害程度の表をごらんになっていただきますと、少の樹数が昨年の調査よりも多いというのもこういった原因があるのではないかと捉えております。
◯安藤委員
 そうしますと、普通台における被害が大きいわけですが、これまでの被害の対応として、炸裂した枝を元に戻して手当てをするという、そういう対応もこれから必要になるかと思いますが、この15.3%の被害樹の中で、どの程度回復できるというふうに見込んでよろしいのでしょうか。
◯西谷りんご果樹課長
 詳しい被害状況につきましては、2ページの今後のスケジュールに書いてありますように、4月15日から県内全域にわたりまして200地点の合同調査を関係機関・団体、市町村も参加して行います。そこで全容が明らかになってくると思います。
 それを受けまして、5月1日に雪害対策連絡会議を開いて、関係機関・団体が一体となった対策をしていくということになります。優先順位といたしましては、まずは被害樹の修復ということで、それに当たっていきたいと、次には収穫に向けた栽培管理を指導してまいりたいと、それから被害の大きいところにつきましては、改植事業の活用を進めていくという、この3つの段階に応じて対策に取り組んでいきたいと思っております。
◯安藤委員
 それから、これまでとった雪害防止対策の中で、日本政策金融公庫の災害復旧資金での対応等を各市町村等へ周知するとありますが、これまでのこの対応から見て、どの程度の農家の方がこれを活用してきたのか。それで、被害の大きい農家の方たちがこの災害復旧資金の活用を行うに当たっての条件といいますか、その辺はどのようなものでしょうか。
◯田澤団体経営改善課長
 まず、3月11日に各市町村に、具体的な災害の状況はまだ全容が明らかになっていないんですけども、災害に遭われた農家の再生産資金、運転資金等に活用できる農林漁業セーフティーネット資金がございますので、それらの活用について、相談があれば使ってもらいたいということで通知してございます。
 具体的な対応につきましては、日本政策金融公庫でも相談窓口を開いて、相談にこれから応じていくというような対応をこれからすることになってございますが、実際、農家の方が資金を活用する、あるいは資金をどれくらい要望するかというのは、これからの被害状況が明らかになった後でないと、農家の方々も資金需要はまだ見えてこないと思いますので、当面はそういう相談があれば受けるという形で、窓口を開いていくという対応を今しているところでございます。
◯安藤委員
 それから、今後の対策のところで、園地の融雪促進についての指導というのがありまして、これまでもさまざま融雪剤の散布なども大変効果があるというふうなお話がされていますが、融雪剤をまくにも、園地が多ければ多いほど、それだけお金もかかるわけですけれども、市町村における融雪剤の補助の状況等をつかんでおられるのか。そしてまた、青森県として融雪剤についての金銭的な支援などについて考えていないかどうか伺います。
◯西谷りんご果樹課長
 リンゴ融雪剤につきましては、複数の市町村、あるいはJAで補助を既に実施しているところでございます。
 県の対応につきましては、先ほど申し上げました合同調査の結果をもちまして、その対応を検討してまいりたいと思っておりますけれども、先ほど申し上げました栽培関係の指導3本の柱で進めていきたいと思っております。
 
 ◯安藤委員
 先ほど伺った災害復旧資金等の対応もあるかと思いますが、融雪促進のための融雪剤散布が速やかに行われるように、ぜひ県としてもその実態を把握した上で支援を行っていただきたいということを要望したいと思います。
 それから、先ほどの部長の報告にはなかったんですけれども、ちょっと確認をさせていただきます。このたびの深浦での座礁船の問題で報告がなかったということは、漁業に大きな影響がなかったのかというふうにも思われますが、県としては水産業への影響について、どのような認識をされているのか伺いたいと思います。
◯山内水産振興課長
 お答えいたします。
 水産業にかかわる影響でございますが、今回の座礁事故の周辺海域には、小型定置網や底建て網などが設置されておりまして、現在ヤリイカなどが最盛期を迎えております。
 これまでのところ、設置した漁具への被害や燃油の流出によります漁獲物へのにおいなどの被害の情報は出てございません。県といたしましては、引き続き地元漁業協同組合等から漁業被害に関する聞き取り調査を行い、地元と連携しながら対応していくことにしております。
 
 ◯安藤委員
 ぜひ今後も調査、それから聞き取りなども十分に行って、水産物への影響がもし発生した場合は、しっかりと漁業補償ということでの対応を図っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。