2013.5.21: 平成25年度総務企画委員会 抜粋 本文(質疑1)
◯安藤委員
 私からは2本、質問をさせていただきます。
 最初の質問は、市町村の消防の広域化についてです。
 政府が、消防本部を減らし、消防の広域化を進めるために、平成18年7月に基本指針を制定し、その中で、各都道府県は、推進計画において、自主的な市町村の消防の広域化を推進するために、必要な措置を定めるとされました。
 青森県においても、津軽地域消防広域化推進協議会が、平成23年広域消防運営計画を策定し、平成25年7月1日に統合する動きとなっています。
 そこで伺います。消防の広域化の趣旨・目的についてお伺いします。
◯貝守防災消防課長
 災害や事故の多様化及び大規模化、住民ニーズの多様化等の消防を取り巻く環境の変化に的確に対応していくためには、消防の広域化を推進することにより、様々なスケールメリットを実現し、消防力の強化による住民サービスの向上や消防に関する行財政運営の効率化と基盤強化を図る必要があるとして、平成18年6月に消防組織法が改正されました。
 これを受け、本県では、平成20年3月、当時の14消防本部を6つの広域市町村圏と同一のエリアとすることを柱とする青森県消防広域化推進計画を定め、推進計画策定後5年度以内の平成24年度までを目途に、広域化の実現を目指すこととしたところです。
 消防の広域化により、災害発生時における初動体制の強化、統一的な指揮のもとでの効果的な部隊運用、本部機能統合等の効率化による現場活動要員の増強、救急業務や予防業務の高度化及び専門化、財政規模の拡大に伴う高度な資機材の計画的な整備等が期待されるところです。
◯安藤委員
 今の趣旨・目的の中には入っていなかったのですが、デジタル化も広域化の目的の一つに入っていると聞いていますが、このデジタル化について、どのような状況になっているのか伺います。
◯貝守防災消防課長
 デジタル化の話がございましたが、直接的には消防の広域化とデジタル化というのは、直接的に広域化の目的として入っているわけではございません。ただ、消防無線のデジタル化につきましては、今のアナログのものをデジタルに変えなければならないという状況にございまして、各消防本部において、そのための整備を今進めているところでございます。
◯安藤委員
 そうしますと、津軽地域消防広域化推進協議会の策定に当たっての文章の中に、消防救急無線のデジタル化への移行や高機能指令センターの更新など、多額な財政投資が見込まれているということがあります。このデジタル化が特に広域化の目的の中に入っていないということですが、広域化・統合をしなくても、デジタル化に対応することは可能だという判断でよろしいでしょうか。
◯貝守防災消防課長
 デジタル化をするにあたって、統合し広域化を計らなければならないということはございません。
◯安藤委員
 それでは、本県における消防の広域化に係る進捗状況及び今後の県の取り組みについて伺います。
◯貝守防災消防課長
 県では、既に広域化となっております三八地域と下北地域を除いた、青森地域、津軽地域、西北五地域及び上十三地域の4圏域の市町村長や関係消防長に対して、消防の広域化の必要性や、広域化実現に向けた具体的な実施内容について、直接説明し理解を求めてきたところです。
 その結果といたしまして、青森地域は平成25年3月31日に広域化を実現しています。また、津軽地域は平成25年7月1日の広域化の実現に向けて、進展が見られているところです。
 一方、西北五地域及び上十三地域では、協議が整わず、平成24年度までの消防の広域化は見送るとされております。
 国においては、全国的に見ても、消防の広域化の進捗は十分ではなく、地域ごとの進捗状況にも差異がみられることから、広域化の実現の期限を5年程度延長し、平成30年4月1日としたところです。
 県としては、こうした国の動向を踏まえまして、現行の青森県消防広域化推進計画の期限の見直しを検討するとともに、各圏域において円滑な協議が行われるよう、市町村・消防本部等に対する助言あるいは情報提供を行うなど、各圏域の取り組みを支援して参りたいと考えております。
◯安藤委員
 この広域化の話が出された平成18年の段階で、全国的に消防関係者の間から地域の消防力が広域化によって低下するのではないかという危惧の声も生まれたのは事実です。その時に、我が党の佐々木憲昭議員が質問主意書で政府に質したところ、自治体が自主的に判断するもので、国や県の方針に拘束されない、広域化しない場合も一切不利益な扱いを受けないという答弁しています。この観点をきちんと踏まえた上で、県も対応をしていくべきだと思います。
 今の説明によりますと、2つの圏域が当初の目標にしていた25年までには協議が整わなかったということです。さらに5年、目標を延ばすということですが、あくまでも主体は、その圏域のそれぞれの自治体であったり、消防署であったりするわけですが、この協議に向けて、県はどのような対応をしていこうとしているのかもう一度伺いたいと思います。
◯貝守防災消防課長
 委員おっしゃられたとおり、消防の広域化というのは、あくまでも市町村、それから各消防本部の自主性が基本になるということです。県といたしましては、市町村、それから消防本部等に対しまして、情報提供あるいは助言などを行うなどして支援していくということです。
◯安藤委員
 県としても助言・指導をされるということですが、結果的にさらに5年経ったとしても協議が整わなければ、広域化がされないということもあり得るという捉え方でよろしいでしょうか。
◯貝守防災消防課長
 そのとおりです。
◯安藤委員
 消防の広域化に伴い、住民サービスが低下することはないのか。一番最初の目的のところに、住民サービスを向上させるということが入っていましたが、逆に広域化することで住民サービスの低下を心配する声があるわけです。この辺についてどのように考えておられるのか伺います。
◯貝守防災消防課長
 消防の広域化の推進の目的といいますのは、先ほども申し上げたとおり、市町村の消防防災体制の一層の強化ということでございまして、広域化することによって住民サービスが低下するというようなことはあってはならないと考えています。
 今般改正されました、国の「市町村の広域化に関する基本指針」では、広域化を行なった消防本部においては、人員配備の効率化と充実、消防体制基盤の強化を通じた住民サービスの向上等の成果が現れており、広域化に伴う現象として、一部の地方公共団体が懸念する、消防署所の配置換えによる一部地域での消防力低下といった事実は認められないとしています。
 本県の青森地域、それから津軽地域の広域消防運営計画においても、消防力の低下を招かないよう、消防署所の配置等について配慮がなされているところでして、広域化による様々なスケールメリットを活かしながら、住民サービスの一層の向上が図られていくものと考えています。
◯安藤委員
 そうしますと、広域化によって、例えば津軽地域で言えば、近々統合の計画なわけですが、現在、地域にある消防署所の合併といいますか、統合というようなことはなくて、あくまでも消防署所については、これまでの体制を継続するという理解でよろしいでしょうか、確認をさせていただきます。
◯貝守防災消防課長
 津軽地域の広域消防運営計画に記載されております消防署所等の配置というところを読み上げますと、「国が定める消防力、充足力率を満たしている現状と、今後の消防力の低下を招かないよう配慮する必要から、消防署所の位置はそれぞれ現行のとおり維持します」というようになっています。
◯安藤委員
 国の整備指針では、火災発生から6分半以内で消火活動を実施しなければならないと規定しています。広い地域になることで、この6分半以内で消火活動がなされないというようなことがあってはならないわけで、これまでの体制をしっかりと踏襲して、6分半以内で消火活動が実施できることについて、体制をさらに強化する方向で、県としても指導していただきたいと思います。この点について、見解がありましたら伺いたいと思います。
◯貝守防災消防課長
 広域化によって消防力の低下を招かないということが基本になっていますので、当然のことながら各消防本部においては、そういうことを第一に考えて、今後運営していくものと考えてございます。
◯安藤委員
 あともう一つ、消防ポンプ自動車の件ですが、総務省消防庁告知の消防力の整備指針の中で、消防ポンプ自動車の配置基準が定められているのですが、市街地人口規模3万人で3台、5万人で4台、10万人で6台、20万人で9台、30万人で14台などとしています。例えば、5万人が6自治体なら24台が必要となりますが、消防広域化で6自治体分を30万人にまとめると、面積が広くなるにもかかわらず、14台に減少してしまうということになるわけです。そういうことで、消防ポンプ自動車の配置については、広域化によって、ただちに、現在ある消防ポンプ車をなくしていくということはないだろうと思うのですが、将来的に、人口を基準にして配置を考えると、消防ポンプ自動車がゆくゆく減らされるなんていうことがありはしないかという心配を持つのですが、どうでしょうか。
◯貝守防災消防課長
 委員がおっしゃられました消防力の整備指針で、市街地に配置する動力消防ポンプについて、市街地の人口に応じた動力消防ポンプの基準の数が示されてはございます。しかしながら、実際の基準数というのは、この指針で定めた、先ほど委員がおっしゃられた数を基準として、地域における地勢、それから道路事情、建築物等の事情を勘案した数とするということで、さきほどの数がそのまま基準の数になるというものではございません。指針で定めている数が、そのまま基準となるというものではないというようなことです。
 いずれにいたしましても、消防本部が広域化によるスケールメリットを活かしながら、住民サービスの向上に努めていくものと考えてございます。

◯安藤委員
 ぜひそういう観点で、消防力の低下がないように、県としてもしっかりと指導をしていただきたいと思います。
 もう一つ、消防団員との関係ですが、消防団員については、この広域化とは別問題であるということは承知しているのですが、現在、消防団員の減少が問題になっていることから、広域化になることによって、連携しにくくなるのではないかという心配の声もあります。この辺について、どのように指導されていくのでしょうか。
◯貝守防災消防課長
 今の消防の広域化は、国の消防組織法の改正等の中では、消防団の広域化を行なうことにはなっていません。委員ご懸念の、消防団との連携の確保ということも一つのクリアすべき課題だとは認識してございます。各市町村、それから消防本部においては、それぞれ広域化後の消防本部と消防団の緊密な連携の確保というようなことにも十分意を用いていくということで、それぞれの広域化後の運営計画の中にも掲げてございますので、その辺きちんとやっていくように県としても必要に応じて助言等行っていきたいと考えております。
◯安藤委員
 いずれにしてもこの広域化に関わって、地域の消防力の低下を招かないよう、そしてさらに強化に結びつくように、また、今の消防団員の話では、今後、問題などが起きることも懸念されますので、自治体や消防署などとも緊密な連携を取りながら、問題などが生じた場合には適切な解決に向けて県としても力を発揮していただきたいと思います。以上でこの問題の質問は終わります。