2013.6.20: 平成25年6月第274回定例会 一般質問

 日本共産党の安藤晴美です。通告に従い一般質問を行います。
第1の質問は、知事の政治姿勢についてです。

1点目 安部政権における経済政策、いわゆる「アベノミクス」の評価について 
 青森県においてアベノミクスの効果を享受している人がどのくらいいるでしょうか。安部政権が「アベノミクス」などとしている「3本の矢」−「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」は、国民の所得と消費を減らし、国民生活と日本経済に混乱と新たな危機をもたらす要因となっています。その被害は国民全体に広がり、食料品高騰などで生活費は上がるのに所得は増えるどころか、減少しています。アベノミクスで輸出大企業や富裕層が大もうけしているのと対照的です。「燃油高で採算が取れない」と、いか釣り漁業者は一斉休業行動で抗議しました。県内スーパーでも魚や果物など輸入食料品の仕入れ価格が上昇し、値上げ分を商品に転嫁できず、経営の厳しさを訴えています。「成長戦略」の名での「解雇自由化」をはじめとする労働法制の規制緩和は、雇用不安を広げ、大きな「賃下げ圧力」となります。その上に、景気に大打撃の消費税大増税と、社会保障の大改悪に着手では、国民の暮らしと日本経済にとって「5本の毒矢」だといわざるをえません。
 そこで
 知事は、安倍政権の経済政策、いわゆる「アベノミクス」についてどのような評価をしているのか伺います。

2点目 福島第一原発事故後の原子力政策について
 6月6日県議団で福島県南相馬市の小高区と浪江町の視察をしてきました。今回足を踏み入れることができたのは、避難指示解除準備区域や居住制限区域となっている所です。ただただ驚いたことは、津波の被害を受けた状況から何ら手を付けられていないという現実でした。崩れかかった家が、そのままになっていたり、町全体が流され荒野になった所に、壊れたポンプ車や乗用車、大小の船があちこちに横たわり、行方不明者捜索の際に出たという瓦礫が、所々に高く積み上げられていました。。
原発事故の影響を受けなかった被災地とのギャップが歴然と見て取れました。白昼堂々農機具泥棒なども発生し、浪江町では町が委託した警備員の検問が行われていました。
 安倍首相は、原発再稼働と原発輸出政策を進めることを宣言しました。しかし、「破綻」が吹き出しています。福島第1原発は「収束」どころか、危機的自体のまっただ中にあります。3月18日には、ネズミ侵入による仮設配電盤ショートで、使用済み燃料プールの温度が一時上昇、4月7日地下貯水槽の高濃度汚染水漏れなどトラブル続きです。原子炉建屋に1日400トンの地下水流入によって放射能汚染水が増え続け、すでに合計40万トンとなっています。東電は海洋放出する計画を当時の原子力安全・保安院に提出しましたが、全漁連の猛反対にあいました。当然です。政府は「収束宣言」を誤りと認め、放射能汚染水の海への放出は、絶対に行うべきではありません。そこで
 原発事故の発生から2年以上経過した現在でも、福島では収束にほど遠い状態が継続していることについて、原発立地県としての見解を伺います。
 
 阪神淡路大震災が起きた95年以降、日本列島が地震活動期に入り活発な状態になっています。東通原発敷地内に活断層があるという指摘が原子力規制委員会によってなされたことを重視しなければなりません。
 4月15日弘前において、原子力規制委員会大飯原発活断層調査団のメンバーでもある東洋大学渡辺満久教授のお話を聞く機会を得ました。地形の解析によって活断層を認定するという「変動地形学」から見て、活断層による「ずれ」の被害の大きさが示されました。青森県における東通原発も六ヶ所核燃施設も、大陸棚外縁断層、六ヶ所断層による「ずれ」の被害が懸念されると指摘し、事業者による「膨潤」という説明については、有識者会合で「膨潤ではない、活断層である」と結論づけたことが報告されました。一方、大間原発についても、確実な隆起運動が起きている場所で、海岸段丘とベンチの組み合わせから地震隆起(海底活断層)の可能性が非常に高く、よって「ずれ」による深刻な被害を想定すべきとしました。
 そこで
 東通原発、大間原発、再処理工場について、敷地内に活断層の存在が指摘されていることから、今後の運転・建設を認めるべきでないと考えるが見解を伺います。

 原発事故から2年余りの体験は、原発と人類は両立できないことを示しました。「即時原発ゼロ」の政治決断をおこない、再生可能エネルギーへの抜本的転換の計画をたてて、実行に移すべきと考えます。
6月2日原発ゼロをめざす共同行動「6・2NO NUKES DAY(ノーニュークスデイ)」が、東京都心で繰り広げられ、夕刻には、6万人で国会包囲を成し遂げました。私も、この日1万8千人が集まった「原発をなくす全国連絡会」の明治公園での集会と、四谷までのデモ行進、国会包囲行動に参加し、「即時原発なくせ」「再稼働やめよ」「再生可能エネルギーに転換を」と、全国から集まった6万人の参加者と共有し行動してきました。
 そこで
 政府は原発ゼロを決断し、原子力に頼らないエネルギー政策に転換すべきと考えるが、県の見解を伺います。

3点目、TPP協定に関する県の見解について
 TPP問題で、安倍首相は、3月の交渉参加表明に続き、4月12日のアメリカとの事前協議「合意」を経て、4月下旬には交渉参加11カ国すべての同意をとりつけるなど、交渉参加への道を暴走しています。アメリカとの事前協議では、安倍首相が「守るべきものは守る」という、コメ、乳製品、砂糖など重要農産物の関税確保について全く保証がないことが明瞭になりました。他方、日本の交渉参加の条件とされた「入場料」−牛肉、自動車、保険の3分野で、日本はアメリカの要求を丸飲みする結果となりました。さらに、TPP交渉と並行して自動車、保険、企画・基準など、非関税措置について日米2国間協議を行い、TPP交渉の妥結までにまとめることを約束させられました。
 こうした状況下、県知事も激励に駆け付けた6月5日の「TPP参加断固阻止青森県民総決起集会」は、JAグループ青森など4団体が主催、TPP反対青森県実行委員会が協賛し、3000人を越える人が結集し、「TPP断固阻止」の県民の思いをぶつける集会として、大成功させました。そこで
 TPP交渉参加国による日本の協定交渉参加承認を踏まえての、TPP協定に関する県の見解を伺います。

4点目 憲法96条改正議論について
 2012年4月にまとめられた自民党の改憲案は、9条2項の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」という規定を削除し、新たに9条の2として「内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する」としました。9条2項の削除は、日本を米国と共に「海外で戦争できる国」に大きく変えるものに他なりません。ここに、憲法改正の真のねらいがあることは明瞭です。
 しかし、自民党は、憲法改定手続きの緩和を憲法改定の「突破口」としておしだしてきました。憲法がもつ立憲主義は、主権者である国民が、その人権を保障するために、憲法によって国家権力を縛るという考え方にたっています。
 96条改定に大きな批判の声があがり、自ら「憲法改正論者」と語る小林節・慶応大学教授や古賀誠自民党元幹事長らも96条改憲に強い反対を表明しました。他に法曹団体、日本弁護士連合会が3月に「憲法第96条の発議要件緩和に反対する意見書」を政府、各党に提出しさらに96条改悪に反対する研究者や弁護士などでつくる「96条の会」、今月14日に1000人を超える人で発足シンポジウムを成功させました。
 そこで
憲法改正の発議要件を緩和する憲法第96条改正議論についての知事の見解を伺います。

第2の質問は、乳幼児等の医療費助成についてです。
 少子化は、日本社会及び本県に於いても社会の基盤をゆるがす重大問題となっています。長期にわたって少子化傾向がつづいている根本には、不安定雇用の広がりと異常な長時間労働、賃金の抑制、増税にくわえ出産・育児・教育などの経済的負担の増大、子育ての社会的環境の悪化など、政治がつくりだした社会のゆがみがあるからだと考えます。
 今やるべきことは、「労働法制の規制緩和」による働くルールの破壊、子育てへの障害をつくりだす政治ではなく、誰もが安心して結婚・子育てできる環境作りです。
 国は、乳幼児医療費無料化の実施を早急に実現させ、乳幼児医療費への独自助成を実施している自治体に対するペナルティーは即刻やめるべきです。子どもの医療費無料化は、全国都道府県及び、県内市町村を含むすべての市町村において、拡充がすすめられています。
青森県は、平成20年の通院を0歳から小学校未就学児童まで拡充して以来。残念ながら拡充はストップしたままです。子どもの医療の格差をつくってはなりません。そこで次の3点
● 乳幼児等の医療費助成について、各都道府県の状況と、県内市町村の状況について
● 青森県乳幼児はつらつ育成事業について、4歳以上の一部負担を無くすべきと考えるが、県の見解を
● 子どもの医療費は無料化すべきであり、乳幼児等の医療費助成については、少なくともその対象を小学校卒業まで拡大すべきと考えるが、県の見解をそれぞれ伺います。

第3の質問は、風しん対策についてです。
 今年は、風疹の患者が男性を中心に首都圏や近畿地方に目立ち、平成20年以降、最も早いペースで報告数が増えているといいます。抗体を持たない妊娠中の女性が風しんにかかると、赤ちゃんに難聴や心疾患、白内障などの障害(先天性風しん症候群)が起こる可能性があるといわれています。
 健康な赤ちゃんを産むためにも、母親になる女性・父親になる男性が、女性の妊娠前に風しんワクチンをきちんと接種する体制の確立が求められます。特に、現在母親・父親になる年代の20代から40代の女性・男性の約15%は、風しんの免疫を持っていないか不十分だといいます。周知の徹底を図り、ワクチン接種を呼びかける必要があります。しかし、大人がワクチン接種する場合、9千円から1万円と高額なため気軽には受けられない状況です。県は、助成が広がるよう市町村と連携して取り組み、風しん患者の感染を押さえ、「先天性風しん症候群」発生をくい止めるために次の2点
● 風しん及び先天性風しん症候群の発生状況について
● 本県における対応状況についてそれぞれ伺います。

第4の質問は、社会的養護関係施設における被措置児童の虐待事案についてです。
 県内の児童虐待に関する2012年度の相談件数は過去最高の842件にのぼり、この問題にどう立ち向かうべきか重要な課題となっている時に、虐待を受けて心に傷を持つ子どもなどを支援する社会的養護関係施設において、県発表によれば「当時20代の男性職員が概ね2年間に渡り複数の女子児童に体を触るなどのわいせつ行為を繰り返していた」という、あってはならない事案が発生したこと、それを早期に発見できなかった施設・監督責任のある県に対して怒りを禁じ得ません。今回の事案は、NHKが報じなければ表面化せず内部処理されていたかもしれません。しかし、今回の事案は、青森県でも平成22年3月に「非措置児童等虐待対応マニュアル」がつくられ公表が義務づけられた矢先のものであります。
 そこで、次の3点
● 先般報道された虐待事案について、県の公表が遅れた要因を
● 被害児童へのケアの体制がとられているのか
● 施設において発見が遅れた要因と再発防止策についてどのような対応をしたのかそれぞれ伺います。

第5の質問は、児童養護施設の現状についてです。
 児童養護施設では、虐待を受けたり、事情があって親元から離れて暮らす1歳から18歳までの子どもたちの成長を保障し、指導やケアを行うために、15の職種の皆さんが日夜奮闘されています。子どもたちに余裕を持って対応するためにも、また、今回夜間に起きた指導員による性的児童虐待などの再発を防ぐためにも十分な職員体制が必要です。
 そこで
● 児童養護施設における職員配置の実態と配置基準を超えた職員への県単独の支援の考え方について伺います。
 先般、弘前市にある児童養護施設「愛成園」を訪問し、園長先生からお話を伺ってきました。近年、児童養護施設には、虐待を受けてきた子どもの割合が多くなり、発達障害や自己肯定感がもてない愛着障害など、心のケアーが必要な子どもが増えていること、夜間の外出など中学生や高校生の生活指導の大変さなどが指摘されました。
 そこで
 入所児童の近年の特徴について伺います。
 
 国の検討委員会がまとめた「社会的擁護の課題と将来像」において、「社会的擁護が必要な子どもを、できる限り家庭的な環境で、安定した人間関係の下で育てることができるよう、家庭的養護・小規模化を強力に推進する」とあります。定員88名である児童養護施設「愛成園」では、小規模グループ棟をつくるなど、改善の方向で検討されていました。
 そこで
 施設の小規模化について、県の取組状況を伺います。
 
 家庭から巣立っていっても、自立するまでに色々な困難に遭遇する現代において、児童養護施設から、退所しても自立にいたらず進路につまずいたときに一旦帰ることができ、自立支援を受けることができる場所が必要と考えます。そこで
 児童の退所後の支援を行う自立援助ホームの設置について、県の考え方を伺います。

第6の質問は、今冬の豪雪によるりんご樹被害についてです。
 今冬は、弘前市で153a、黒石市のりんご試験所では、180aの積雪深を記録し、共に観測史上最深となりました。私は、3月29・30日、5月2日に弘前市・西目屋村・黒石市・平川市・大鰐町・青森市など10数カ所の雪害状況の調査をし、農家の方々のご苦労と厳しい雪害の状況を調査しました。農家の方から「農業をやって55年になるが、これほど降ったことはない」「屋敷の除雪に追われつつ、畑に向かったが腰までの雪にはばまれ、たどり着けなかった。年寄りには無理だった」「今年はネズミ対策に力を入れたが又、ひどく皮を食べられた」など、大変な状況を訴えられました。県知事に対しては、関係市町村や財団法人青森県りんご協会などから「りんご園雪害復興に関する要望書」などが提出されています。そこで、次の4点
● 今冬の被害の状況と、昨冬との違いについて
● 今冬の被害に対して、県はどのような生産対策などの支援を行うのか
● 野ねずみ対策について、県はどのような指導をしているのか
● 平成25年産りんごの果樹共済への加入状況と、2年連続の豪雪を踏まえ、今後の加入促進に向けた取組についてそれぞれ伺います。
  
第7の質問は、旧尾太鉱山木戸ヶ沢廃水処理施設における未処理廃水流出事故についてです。
 昨年に続いて発生した今回の未処理廃水流出事故は、弘前市民にとって飲み水に使われている岩木川への流出だけに、「またか」というのが、率直の思いでありました。昨年の事故を教訓に、再発を防げなかった原因はどこにあるのか、徹底した検証が求めらます。
 そこで、次の5点について

●旧尾太鉱山木戸ケ沢廃水処理施設において平成25年4月29日に発生した未処理廃水流出事故の原因について
●同施設における未処理廃水流出事故の再発防止対策をどのように図っていくのか
●同施設において、昨年度と今年度に発生した未処理廃水流出事故の際に流出した細砂の量について
●旧尾太鉱山木戸ヶ沢堆積場の底設暗渠内にある浸透孔から、細砂が流出し、かん止堤の斜面に陥没が最近発生していることから、陥没の可能性がある箇所について調査を実施する必要があるのではないか。
●同堆積場の底設暗渠内にある浸透孔から、細砂が流出しない対策を講じることが出来ないのかそれぞれ伺います。

第8の質問は、原子力防災についてです。
 原発の防災対策重点地域が半径30キロに拡大されたことに伴い、東北電力東通原発30キロ圏の東通、むつ、六ヶ所、横浜、野辺地の5市町村は、具体的な避難ルートや移動手段などをまとめた避難計画の策定がすすめられています。
 東京電力福島第一原子力発電所の過酷事故発生の際の、住民の避難誘導の混乱は、過酷事故は起きないとした安全神話の元で、広域的な避難を想定せず、安全な場所への適切な誘導のマニュアルもなかったが故に起きたものでした。スピーディーの情報を公開しなかったために、何時間もかけてたどり着いた避難場所が、自分たちの居住地域よりも放射線量が高く、また別の場所に移動させられる。こうした混乱の中で、入院患者や高齢者が落とさずにすんだ命をなくす結果となり、6月1日現在で災害関連死は1400人にのぼっています。いわき市には、作業員を含め約3万人が流入し受け入れ自治体住民とのあつれきも生まれているそうです。こうしたことを踏まえるならば、原発・核燃から撤退する以外にありません。そのことを前提にした上で尚次の質問をします。         
1点目 東通原子力発電所の原子力災害対策重点区域拡大に伴う広域避難について
1つ 東通原子力発電所に係る広域避難の基本的な考え方について
1つ 広域避難に際して、地震・津波等により道路が使用できない場合の避難の考え方について
1つ 原子力災害時の広域避難について、UPZ圏内の住民等に対してどのように周知を図っていくのかそれぞれ伺います。

2点目 安定ヨウ素剤について
 福島原発事故では、福島県などが準備したヨウ素剤が国の服用指示の遅れでほとんど活用されなかったことを反省し、被爆対策の見直しをすすめる原子力安全委員会の分科会は、2月7日甲状腺がんを避けるための安定ヨウ素剤を原発周辺の家庭に事前に配布するべきとの提言をまとめました。
 そこで
1つ 安定ヨウ素剤の配布方法の基本的な考え方について  
1つ 安定ヨウ素剤を事前配布する場合の対応についてそれぞれ伺います。

最後の質問は、下北半島の道路整備についてです。
 津波と並行して東通原発や六ヶ所再処理工場の事故が起これば六ヶ所村泊地区は陸の孤島となるといわれ、国道279号と国道338号を連結する一般県道泊陸奥横浜停車場線は冬は閉鎖される為、整備を求める声があがっています。同促進協議会からの要望書も提出されています。
 そこで、
 一般県道泊陸奥横浜停車場線の整備状況と今後の取組について伺い、壇上からの一般質問を終わります。