家族にささえられ

                                  安藤晴美

 今年は結婚35周年を迎えました。23歳の時に夫と結婚して、4人の息子に恵まれ6人家族となり、にぎやかに暮らしてきました。夫婦二人だけでは決して経験できなかった楽しい思い出、苦しい思い出が今ではぎっしり宝物のように心に詰め込まれています。そして長男が結婚し二人の孫が生まれ、先月5月12日には次男が結婚し、今年の11月にはすでに入籍済みの四男が結婚式をする予定です。わが家の家族はなんと二人から出発し、35年の年月を経て11人になりました。
 過ぎてしまえば時の経つのは本当に早いものです。
 今は、息子たちは皆県外で暮らしていますので夫婦二人だけの暮らしですが、息子たちは遠くにいてもこのかけがえのない私の家族が色々な意味で心を豊かにし、私を支えてくれています。
 先日の次男の結婚式では、一見クールな次男が新妻と二人して幸せな涙を何度もこぼし、私たちもそんな姿を見て幸せな気持ちになりました。 
 久しぶりに会えた二人の孫とも、たっぷりスキンシップを図り、「ばーば」として楽しく過ごすことが出来ました。九ヶ月児のこぼれる笑顔が周囲を和ませてくれ、またお姉ちゃんになった4歳の孫が弟の世話を上手にやり、あらためて姉弟っていいものだとつくづく感じました。その4歳になった孫は、帰るとき飛行場まで送っていった私と別れてから、ゲートを抜けてしばらく「青森ばーばが好きなのに・・・」と泣きじゃくり大変だったとあとから聞き、それは大変だったなと思いながらも、そんな風に私を求めてくれる孫の存在に満ち足りた気持ちになるのですから不思議なものです。
 わが家の一番下の息子も今年で26歳になり、一応みんな独り立ちし、それぞれが自分の選んだ道を歩み出していることに安堵すると共に、兄弟四人がとても仲良くいい関係を築いていることを何より嬉しく思います。また、それぞれ自分の持ち味を十分生かした仕事に着き魅力的に懸命に生きていることは嬉しい限りです。
 長男は、児童養護施設で「児童指導員」を、次男は温泉施設で「ボディーケアー」の仕事を、三男は居酒屋の「店長」を、そして四男は三男の店で「調理師」を。子どもが多いと子どもを通して色々な世界を間近に見ることができて大変勉強になります。これからまだまだ紆余曲折があるかも知れませんが、自分の選んだ道を一歩一歩着実に歩んでいってほしいと思っています。
 3人の息子たちが選んだそれぞれのパートナーは不思議なことに、みな堅実な仕事をしている女性たちです。長男の妻は今は離職しましたが「乳児院の保育士」、次男の妻は「整形外科の看護士」、四男の所は「保育園の保育士」。私がかつて保育園の「保母」をし、母は若い頃「看護婦」を経験したことのある人ですので、何かしら不思議な縁を感じます。
 まだ独り身の三男にも、よきパートナーが現れるよう祈っています。
 さて、この11人家族の源となった私の夫ですが、色々と助け合ってきた私にとっての良きパートナーです。血液型で性格を判断するのはナンセンスという向きもありますが、私がA型に対し夫はO型で、結構この組み合わせは馬が合うと思っています。向こうはおおざっぱでこちらは几帳面。私が少々気になることに目をつむればうまくいく感じです。それに、すっかり最近では炊事洗濯の部分を夫に頼ることが多くなり、贅沢を言っていられないのです。
 私は、週に3回朝の街頭宣伝に出ますので、その日は、私が身支度をしている間に夫が朝食の支度と弁当の準備をしてくれて、食事を終えると作ってもらった弁当を持ってバタバタと家を出るというパターンです。帰りも私の方が帰りが遅い日が断然多く、すなわち夕飯づくりも夫がやってくれる日が多いということになります。その代わり「O型パパ」の調理後の台所は大変汚いので、片づけはしなくてもいいと言われても「A型ママ」は手を出さないと気が済みません。室内の掃除は「A型パパ」は、ほとんどやらなくても気にならないのですが、「A型ママ」は我慢の限度が達すると几帳面に掃除を始めます。という具合で今のところこんな感じでわが家の歯車が回っています。
 夫についてもうちょっと紹介します。日曜大工と発明とボーリングが大好きな人です。思い出すままに書いて見ます。最初に思い出すのが、犬小屋づくりです。
 今住んでいる家は22年前に新築しました。それまで住んでいた官舎は犬は飼えませんでしたので、新しい家に引っ越してきたとたん当時小学二年生だった息子が、友達と秘かに約束していたらしく、生まれて数ヶ月の子犬を連れて来てわが家で飼う事になりました。その後その犬と仲良しになった迷い犬がわが家に居着いてしまい、2匹になりました。さらに、うちの前で車にひかれた生まれて間もない捨て犬を近所の人が病院へ連れて行き、治療後わが家に連れて来たので飼う羽目になり3匹になりました。ということで結局息子たちが育った15年くらいの間は3匹の犬がおりました。犬が来た当時次々に犬小屋が必要となりましたが、夫はこの犬小屋を楽しそうに創作しました。木にくぼみを作り木と木をはめ込んで、釘はなるべく使わずに、大雪の日でもびくともしない頑丈な小屋ができあがりました。その小屋の3匹の「住犬」たちは、色々楽しい思い出を残して、子どもたちが巣立ち始めてから順番に老衰でなくなりました。
 次なる発明品、家族で留守をする時のための「犬水やりマシーン」はなかなか面白かったです。水を入れた一升瓶を逆さにくくりつけ水の入った容器に差し込んでおくと、犬が水を飲むとその分だけ水が補給されるというものでした。
 「風呂水節約ろ過装置」なるものは、金魚のろ過装置を応用したもので、何度も風呂水を繰り返し使え、数年活用されました。
 庭に敷石を並べるなどの造園は、結構本格的でした。糸を水平に張って角度を確認しながら工事を進めるやり方は、さながら職人さんのようでした。
 その他にも、藤棚づくり、ぶどう棚づくり、台所の外の物置小屋、家の中の棚、地震対策などなど日曜大工の痕跡がわが家のあちこちに散在しています。物づくりの時の何とも言えぬ充実したそぶりは、傍から見ていても微笑ましいものです。
 もう一つの趣味のボーリングは、週に1回教室に通い日々研鑚を積んでいます。学生と行うボーリング大会できっとかっこいいところを見せたいのだと思います。何はともあれ日頃研究者として頭を使う職業柄こうした時間が気晴らしになっているのでしょう。
 私は、こうした家族と共に人生を歩んでいます。そして、この家族から市議3期県議1期16年目の議員生活を心底ささえてもらっています。
 今年の母の日に、素敵な花束が三男から届き、長男夫婦からは扇子セット、四男夫婦からは電動歯磨き、次男夫婦からは結婚式に素敵な津軽塗の時計をプレゼントしてもらいました。そして、ついこの間は父の日のプレゼントと共に、孫が選んだというフクロウのストラップが私にも届きました。
 ひとつひとつの心のこもったプレゼントに心が癒されました。感謝しています。この思いを明日の鋭気につなげ来年の県議2期目に向け精一杯頑張ろうと思っています。 
(「弘前民主文学」138、2010年8月15日)